2017年7月6日更新

最恐ホラー『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を徹底紹介【ネタバレ注意】

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『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』アイキャッチ画像
Photo by Artisan Entertainment - © 1999 Artisan Entertainment

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ホラー史上最も成功したインディペンデント作品!『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』

6万ドルの低予算で製作されながらも、全世界での興行収入が2億4000万ドルを超え、爆発的ヒットとなったホラー作品『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』。全世界でこれほど成功したインディペンデント映画は珍しく、一体なぜここまでヒットしたのかが気になりますね。 2016年に正式な続編『ブレア・ウィッチ』も製作され話題となった、この作品のネタバレを含むあらすじ・キャストをご紹介し、ヒットした要因を分析します。

映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のあらすじ紹介

『ブレア・ウィッチ』
© Lionsgate

1994年10月、映画学科の学生3人がドキュメンタリー映画の撮影のため森に入り、消息を絶ったという事実から物語は始まります。撮影メンバーは女性監督のヘザー・ドナヒュー、撮影担当のジョシュことジョジュア・レナード、録音担当のマイクことマイケル・ウィリアムズ。 3人が撮影しようとしたのはメリーランド州バーキッツヴィルに残る「ブレアの魔女(ブレア・ウィッチ)」伝説についてのドキュメンタリー映画。バーキッツヴィルでの地元の人々への取材の後に向かったのが、消息を絶ったブラック・ヒルズの森です。 そしてその一年後、彼らが撮影したとみられるフィルムが森の中で発見されます。そこに映し出された不可解な現象・恐怖の映像を再構成して編集したものが、この『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』という映画なのです。

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「ブレアの魔女」伝説とは?

バーキッツヴィルに伝わる魔女伝説とそれに関連すると思われる事件の中に、ラスティン・パーという人物が起こした事件があります。パーは森に住んでいた隠者で、1941年に7人の子供たちを誘拐し殺害した男でした。警察に出頭した後に、パーはこう主張しました。「森に住む老女の幽霊のためにやった」と。 その老女とは、エリー・ケドワードという女性で、18世紀のブレアの町の子どもたちをさらって血を抜き取ろうとし、魔術を使った罪を問われて町を追放されたという「ブレアの魔女」伝説の張本人です。バーキッツヴィルは元々ブレアという町でした。 それから、メアリー・ブラウンという年老いて狂ったように見えるけれど、その土地に長年住む女性にインタビューします。なんと彼女は本物の「ブレアの魔女」に遭遇したことがあると主張し、それは獣のような毛をはやした半人半獣だというのです。 こうして「ブレアの魔女」の正体をフィルムに収めようとして森に入った撮影隊は、その一週間後、忽然と姿を消すことになるのです。

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のキャスト

前述したように、キャストは3人ともオーディションで選ばれました。そして俳優名と役名は同じ名前になっています。しかし、もちろん映画の公式ホームページに記載されている彼らの略歴はこの映画のために作られたもの。では現在の3人はどうしているのでしょうか?

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ヘザー・ドナヒュー

ヘザー・ドナヒュー
© 2000 - Dimension Films

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の主演女優であるヘザー・ドナヒューは、実はこの世界的ヒット作でゴールデンラズベリー賞最低主演女優賞を受賞しています。その後も女優業は続けていましたが、2012年に出版した自叙伝『グロウ・ガール』によると、女優業は引退し、合法マリファナのビジネスをしていたとのこと!意外な転身に驚きです。

マイケル・ウィリアムズ

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の公式サイトでの略歴には、モンゴメリー大学でサウンド・ミキシングと編集のコースで学んだと書かれているマイクですが、実際はニューヨーク州立大学で舞台芸術を学んでいます。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の大ヒット後も、映画『オブジェクティブ』やテレビドラマ『ロー&オーダー』などに出演し、着実に俳優としてのキャリアを築いています。

ジョシュア・レナード

ジョシュも映画用の略歴にはモンゴメリー大学で撮影技術を学んだことになっていますが、実際には16歳からメキシコでボランティア活動をしたり、シアトルやニューヨークへ転々として写真の勉強をしていたようです。1997年に『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のオーディションを受け、この作品で俳優としてのキャリアを始めた後も、数多くの映画・ドラマに出演。 2015年にはテレビドラマシリーズ『ニュースルーム』に出演しているカナダ出身の女優アリソン・ピルと結婚しています。

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POV撮影方式ホラーとメディアミックス商法のパイオニア【結末・ネタバレ注意】

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』監督
© 1999 Artisan Entertainment

実はこの作品は、あらすじで書いたような実際に起こった事件を撮影したドキュメンタリー映画ではなく、脚本もありキャストもオーディションで選ばれた、事前に綿密に計画された作品でした。監督・脚本・編集を務めたのはエドゥアルド・サンチェスとダニエル・マイリックです。 まるで撮影者と同じ恐怖を味わうような「主観ショット」と呼ばれるPOV(Point Of View)方式で撮影された、完全なフェイク・ドキュメンタリー映画なのです。その手法はモキュメンタリー映画(疑似ドキュメンタリー)と呼ばれるようになりました。 「ブレアの魔女」伝説を本物に思えるように、伝説について語ったテレビ特番を映画公開直前に放映したり関連書籍も刊行し、メディアミックスを宣伝に使用したことも、世界的な大ヒットへとつながりました。

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』4
© 1999 Artisan Entertainment

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の公式サイトには、魔女伝説とその後に起こった事件、そしてヘザーたち3人の残したフィルムやテープなどの遺留品、周辺の人々へのインタビューなども掲載され、現実に起こったことだと本当に錯覚してしまいます。 また、撮影隊が遭遇した「恐怖の体験」が結局何だったのかということが最終的にわからないままになっているという点が、この映画の最大の特徴でありホラーとしての最大の魅力です。種明かしされないことがストレス=恐怖につながり、宣伝方法でも物語の核心部分には極力触れずにいたことが大ヒットにつながったということですね。

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正統な続編『ブレア・ウィッチ』が公開!以前は『ザ・ウッズ』というタイトルだった?

『ブレア・ウィッチ』ポスター
©2016 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.

2016年に『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の正式な続編として製作された『ブレア・ウィッチ』。この作品、実は製作中は『ザ・ウッズ』というタイトルでした。アメリカでのワールドプレミア上映で、突然タイトルを『ブレア・ウィッチ』に変更し、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の続編であるとサプライズ発表したのです! あらすじは、ヘザーの弟ジェームズがYouTubeで姉と思われる映像を見たことで、姉の生存を確かめるために友人たちとともに、魔女伝説がいまだ息づくブラック・ヒルズの森に入っていくというもの。しかしヘザーたち同様、彼らにも恐怖体験が襲いかかります。 この続編にも『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のシンボルともいえる「スティックメン」が登場しています。ポスターにも大きくデザインされていますが、この木で作られた謎のオブジェが物語のカギとなっているのでしょうか? アメリカでは2016年9月16日公開、日本では2016年12月1日に公開されています。