2026年5月25日更新

映画『海よりもまだ深く』ネタバレや名言を解説!是枝監督が伝えたかったことを考察

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『海よりもまだ深く』
(C)2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ

『海街diary』の是枝裕和監督『海よりもまだ深く』(2016年)。是枝裕和監督の長編12作目となった本作は、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品されるなど、国内外で高い評価を得ました。 この記事では、『海よりもまだ深く』のネタバレや名言、作品位込められたメッセージについて徹底解説します。

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【基本情報】是枝監督映画『海よりまだ深く』

映画『海よりもまだ深く』基礎情報
タイトル 海よりもまだ深く(英題:After the Storm)
公開年 2016年5月21日
上映時間 117分
監督・脚本・編集 是枝裕和
主演キャスト 阿部 寛(篠田良多 役)
主要キャスト 真木よう子(白石響子 役)
小林聡美(中島千奈津 役)
リリー・フランキー(山辺康一郎 役)
池松壮亮(町田健斗 役)
吉澤太陽(白石真悟 役)
橋爪 功(仁井田 満 役)
樹木希林(篠田淑子 役)
音楽 ハナレグミ
主題歌 ハナレグミ「深呼吸」(Speedstar Records)
製作・配給 フジテレビジョン、バンダイビジュアル、AOI Pro.、ギャガ(配給)
その他情報 ・第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門正式出品作品
・是枝監督が実際に幼少期を過ごした東京都清瀬市の旭が丘団地で撮影が行われた。
・タイトルの由来は、テレサ・テンの楽曲「別れの予感」の歌詞の一節から。

【あらすじ】『海よりもまだ深く』どんな話?

団地で一人暮らしをしている淑子(樹木希林)の長男・良多(阿部寛)は15年前に新人賞を一度取っただけの売れない作家。生活のために探偵事務所で「小説の取材」と称して働いています。かつては結婚していましたが、妻(真木よう子)に愛想をつかされ離婚。息子の養育費も払えないという状況です。 そんな元家族が淑子の家にたまたま集まりますが、台風のせいで翌朝まで帰れなくなり……。

【ネタバレ】映画『海よりもまだ深く』最後まで起承転結で解説

【起】小説家にこだわる良多

15年前に新人賞を受賞した小説家の篠田良多は、その後は鳴かず飛ばずで、今は「小説のリサーチ」と称して興信所で探偵として働いています。良多には別れた妻の響子と息子・真悟がおり、月に1度の息子との面会を心待ちにしていました。 しかし収入が少なくギャンブルが趣味の良多は養育費が払えず、響子は彼を快く思っていません。見栄を張って母・淑子にお小遣いを渡した良多は、実家で見つけたカメラは質屋に持ち込みますが、大した金額にはなりませんでした。

【承】良多はお金を無理やり集める

良多は野球をやっている真悟にグローブを買うため、なんとか金を作ろうとします。調査対象の女性に浮気の証拠を売りつけ、受け取った金を競輪に注ぎ込みますが、すべてスッてしまいました。 真悟はすでに響子の恋人からグローブを買ってもらっていたため、良多はスパイクをプレゼントすることにします。 養育費とスパイク代を工面するため、姉の千奈津に金を貸してくれと頼む良多。しかし彼女は父も同じように金を貸してくれと言ってきたと言います。2人はかつて父が母のへそくりを盗もうとした話をします。 さらに良多は調査対象の高校生を強請り、金を手に入れました。

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【転】真悟との時間と姉のいたずら

真悟との面会日。良多は響子に養育費の催促をされますが、ごまかします。 良多は真悟にスパイクを買ってやり、ハンバーガーを食べさせ、宝くじを買ってやります。その後、真悟を連れて淑子のもとに向かった良多は、子どものころ、台風の日に父と公園のすべり台の中でお菓子を食べた話をします。 台風がひどくなり、良多たちは淑子の家に泊まることに。響子から恋人の話を聞いた良多は焦り、彼女に迫りますが拒絶され、養育費を払わなければ今後は真悟には会わせないと言われます。 良多は夜中に淑子のへそくりを探し出しますが、これは千奈津のいたずらで中身は段ボールでした。彼は物色をつづけ、父の仏壇から古びたすずりを見つけます。

【結末】台風後の晴天

その後、良多はトイレに起きてきた真悟を誘って公園に向かいました。すべり台の中でお菓子を食べながら、良多は真悟に将来の夢を聞きます。すると真悟は良多はなりたかったものになれたのかと聞き返します。 2人を心配した響子が公園にやってきますが、真悟は宝くじを落としたことに気づき、3人で大雨のなか宝くじを探し回ります。 台風が過ぎ去った翌朝は快晴。3人は淑子の家をあとにします。良多が質屋に寄ってすずりを見せると、30万円の価値があると言われます。しかし彼が新人賞を受賞したとき、父が近所に初版本を配っていたと知り、すずりを売るのをやめました。 電車で響子と真悟を送っていった良多が「また来月」と言うと、響子は「養育費3ヶ月分、15万」と返します。良多は「大丈夫だよ」と言って2人を見送るのでした。

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【考察】是枝監督が伝えたかったこととは?

良多をはじめ、本作の登場人物たちは現状にどこか不満を抱えています。しかしそれでも日々を積み重ねていきます。 本作のキャッチコピーは「なりたかった大人に、なれなかった人たちへ」で、これはそのまま良多に当てはまるものでしょう。 彼は理想とは違っても真悟との交流を大切に思っています。本作は思い通りではなかったとしても、日常を丁寧に積み重ねることが重要だと訴えているのではないでしょうか。

【名言】映画『海よりもまだ深く』人生を考え直させるセリフ

なんかの役には立ってるのよ。

良多の母の家のベランダには、彼が高校生のころに植えたみかんの鉢植えがありました。「花も実もつけない」という母の言葉にいじける良多。しかし母は青虫がこの木の葉を食べ、サナギになったことを話し、このセリフを言います。 本来の役割を全うできなくても、別の形でなにかの役に立っているというのは、理想とは違う今の自分も、なんらかのかたちで誰かの役に立ち、存在意義があるという意味です。

そんなに簡単になりたい大人になれると思ったら大間違いだぞ。

興信所の仕事で得た情報をもとに、高校生を脅して金を手に入れた良多。すると高校生は「あんたのような大人にだけは絶対になりたくない」と言います。そこで良多が返したのがこのセリフでした。 この高校生は興信所の所長の警察時代の上司の息子であり、何不自由ない生活を送っているのでしょう。将来の夢があり、自分がその道から外れることはないと信じているのかもしれません。 そんな若者に向かって、良多は現実は厳しいものだと言い放ったのでした。

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誰かの過去になる勇気を持つのが、大人の男ってもんだよ……

別れた妻に対していつまでも未練たらたらの良多に、興信所の所長がかけたこのセリフ。 大切なものを失ってしまった“今”を受け入れ、誰かの“過去”として思い出のなかに留まるには、現実を受け入れられずに足掻くよりも勇気と強さが必要です。それは良くも悪くも「あきらめ」ではありますが、“これから(未来)”に向かう第一歩になるのです。 過去を捨てるわけではなくても、きちんと置いていく。大人にはそんな勇気が必要なのでしょう。

幸せってのはね……何かを諦めないと手に出来ないもんなのよ。

台風で淑子の家に泊まった良多は、夜中に起きてきた母と亡くなった父の話や、響子との関係、小説家という仕事など、さまざまなことを語り合います。そこで淑子が良多に向けて言ったのがこのセリフです。 良多は小説家としてうまくいかず、妻の響子との関係も悪化し、かつて自分が手にしていた大切なものが手のひらからこぼれ落ちるような気持ちでいたのでしょう。しかし本当の幸せというのは、理想と現実の間で折り合いをつけ、なにかを手放すことでしか得られないのです。

なれたかどうかは問題じゃないんだよ。大切なのは、そういう気持ちを持って生きてるかどうかってことなんだよ。

台風の中、公園のすべり台で良多が真悟に将来の夢を聞くと、「公務員」という答えが返ってきました。さらに真悟は「パパはなりたいものになれた?」と問い、良多はこのセリフを返します。 これは、なりたい自分になれなくても理想を忘れず、そこに向かう気持ちを持ちつづけることが大切だということです。良多は理想と現実があまりに違うことに苦しんでいますが、理想に近づくためには、現状をありのままに受け入れる必要があります。そのことを彼も無意識に自覚していたのではないでしょうか。

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【キャスト】『海よりもまだ深く』主演阿部寛に注目

良多/阿部寛

阿部寛

これまで映画『歩いても 歩いても』、『奇跡』、ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』と是枝監督作品に3度出演している阿部寛が主人公良多を演じます。『歩いても 歩いても』で演じた主人公は横山良多で、ストーリーは15年前に亡くなった兄の命日に家族を連れて実家に帰省するというものでした。 今回の『海よりもまだ深く』とは「良多」「15年前」「家族と実家」といったことが共通しています。もしかしたらテーマなどのつながりがあるのかもしれません。 阿部寛は2015年にはドラマ『下町ロケット』に主演、高視聴率を記録しました。2016年には本作のほかに3月12日公開の映画『エヴェレスト 神々の山嶺』に出演。 近年の出演作には、ドラマ『VIVANT』(2023年)や映画『ショウタイムセブン』(2025年)などがあります。

淑子/樹木希林

樹木希林

『海街diary』で印象に残る4姉妹の大叔母役を演じた樹木希林が、主人公良多の母淑子を演じます。是枝作品には『歩いても 歩いても』『奇跡』『そして父になる』『海街diary』と出演しており、本作が5作目の是枝作品になります。 ちなみに『歩いても 歩いても』でも、阿部寛演じる良多の母親役を演じており、やはり何か意図的にかぶせてきている気がしてなりません。 2015年に出演した映画は『駆込み女と駆出し男』『あん』『海街diary』と抜群の作品選びを見せている樹木希林。その後、2018年公開の『万引き家族』に出演しましたが、同年惜しまれつつもこの世を去りました。

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良多の元妻/真木よう子

真木よう子
©︎ciatr

『そして父になる』でリリー・フランキーの妻役を好演した真木よう子が本作では阿部寛の元妻を演じます。 真木よう子は本作のほかに、2016年4月1日公開予定の映画『蜜のあわれ』にも出演しました。 近年の出演作には、ドラマ『ネメシス』(2021年)や映画『金子差入店』(2025年)などがあります。

探偵事務所社長/リリー・フランキー

リリー・フランキー

『そして父になる』『海街diary』と是枝作品に出演しているリリー・フランキーが、主人公良多が働く探偵事務所の社長役で出演します。 2016年には本作のほかに、『シェル・コレクター』『二重生活』『秘密 THE TOP SECRET』『お父さんと伊藤さん』『SCOOP!』と5つの映画に出演しました。 その後、『万引き家族』で主演を務め、2024年には日英合作映画『コットンテール』でも主演を務めました。

探偵事務所の相棒/池松壮亮

池松壮亮

『愛の渦』『紙の月』『MOZU』などで若手演技派俳優として注目を集めている池松壮亮が是枝作品に初出演を果たします。 池松壮亮は2016年に映画『セトウツミ』に主演するほか、2月公開の『シェル・コレクター』、3月公開の『無伴奏』、5月公開の『ディストラクション・ベイビーズ』にも出演しました。 2023年の映画『白鍵と黒鍵の間に』では一人二役で主演を努め、2026年には大河ドラマ『豊臣兄弟!』で豊臣秀吉を演じています。

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良多の姉/小林聡美

小林聡美

大林宣彦監督の『転校生』でスクリーンデビューを果たし、『かもめ食堂』『紙の月』などで注目を集める女優・小林聡美も是枝作品に初出演。2016年4月1日公開の多部未華子主演映画『あやしい彼女』に出演することも決まっています。 その後、2022年の映画『ツユクサ』で主演を務めたほか、ドラマ『団地のふたり』では小泉今日子とワブル主演を果たしました。

淑子の憧れのクラシックの先生/橋爪功

橋爪功

2011年の『奇跡』以来の是枝作品出演となる橋爪功が、樹木希林演じる淑子の憧れのクラシックの先生を演じます。橋爪功は近年、『東京家族』『小さいおうち』『母と暮らせば』と山田洋次作品の常連となっており、2016年には山田洋次最新作『家族はつらいよ』に出演しました。 その後、『ゴジラ-1.0』(2023年)へのカメオ出演やNetflixオリジナルシリーズ『シティハンター』(2024年)への出演などが話題になりました。

【監督】脚本・原案とともに是枝裕和が担当

是枝裕和
©︎ciatr

日常、人生といったテーマの映画を撮ることに関して、日本のみならず世界的にもトップクラスと言えるであろう是枝裕和が本作の監督をつとめます。これまで長編監督デビュー作『幻の光』(1995年)がヴェネツィア国際映画祭で金オゼッラ賞を受賞したのを皮切りに、国内外で数々の賞を獲得している是枝監督。 本作は監督自身が9歳から28歳まで19年間住んでいた東京都清瀬市の旭が丘団地が本作の舞台となっており、是枝裕和自身が最も色濃く表現された作品になっているとのことです。 また、本作の主人公・良多という名前は映画『歩いても 歩いても』で阿部寛が演じた主人公の横山良多、ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』で同じく阿部寛が演じた主人公の坪井良多、映画『そして父になる』で福山雅治が演じた主人公野々宮良多とこれまでに3度登場しています。この「良多」という名前に関して、是枝裕和はツイッターで次のように答えています。

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【感想】映画『海よりもまだ深く』のCiatrユーザーの評価を紹介!

mazda620 ある家族の風景から切り取った、孤独な男の絶妙なきもちと人との距離感を巧みに描いた是枝監督の新作。 この人の映画ってほんと、良い意味ですごく邦画らしくて、邦画でしか伝えられないものをきちんと表現してくる。映画と観者との距離がすごく近くて、自分とまったく違う暮らしだとしても、自分の家族や日常を、観ながらふと思い出させる。今作はとくにこの監督の良さを再認識できる映画になったと思う。 仕事も一度成功し、家族とも一時は幸せな時間があったはずなのに自分の理想の形にはなってくれない落ちた小説家の良多。人生は自分が思うようにうまくはいかない。自分の中にある理想の「まる」が少しづつ、ぐねぐね、カクカクしていく感じ。形を変えてきれいなまるじゃなくなっていくのを、不器用な手で一生懸命きれいなまるになるように、ちょっとずつくずれていく形を何度も何度も修正する。優しくなりたいけど丁寧にはなれなくて、ガサツだし矛盾しているし、家族にも奥さんにも息子にも伝えたいことはいっぱいあるのに、「いい大人のプライド」が素直になりたい自分の心の邪魔をする。 「いい大人」になった自分をわかってるからこそ、現実は超かっこ悪い自分を手でふさぐみたいな隠し方で、お母さんの前でも奥さんの前でも見栄をはる。いい大人、できる男、かっこいい人、形だけでも守りたい。みんなにバレバレだけどね、俺は落ちこぼれてないってそういう振る舞いをすることで精一杯。人生は自分が思うようにはいかないのと一緒で、自分の理想像と現実の自分は違う。なりたい自分に簡単になれるわけではない。直せと言われてもなかなか直らないところみんな1つ2つもってる。ダメな自分の姿を自分で一度受け止めなければ、素直にはなれない。ダサくてもかっこ悪くても、それが今の自分なんだよって、離れる人もいるかもしれないけど、受け止めてくれる人だっているはず。 「あれだよあれ」 がすごく多かった良多。小説家のくせにね、いろんな言葉がのどの奥でつまってるのがすごくわかる。素直に伝えれない不器用な人間をすごく表現する、素敵な言葉遣いだった。「カレーにはグリンピース入れろ。色があれするだろ。」っていうのがあれあれのくだりで一番好きだった。 相変わらずキャスティング最高だったな。演技においては断トツ樹木希林、もう何も言うまでもないくらい、素晴らしかった。プロの人だってすごく思った。言葉を発するスピードも手つき、目つき、人の横に座る距離感もボディタッチも全てが良かった。 私的にはちょい役だったけどリリーフランキーと池松くんがめちゃめちゃいいキャラだったなって思う。池松くんは良多の職場の部下としてでてくるけど「できる人間」じゃなくて「できちゃう人間」として描かれるから良多のダメなところがより際立つ。できすぎくんみたいな人。できちゃう自分を自慢とかしないから嫌味にならない、ダメな良多を年下だけどわかっていて自分のお父さんを想うきもちと重ねて、優しい目で彼のことを見てる。かっこのつかない彼の見栄っ張りな性格をすごく理解してる、その演技がよかった。 リリーさんの「誰かの過去になる勇気をもつ」っていう言葉と樹木希林の「幸せはなにかをあきらめないと手に入らない」って言葉がものすごく響いた。崩れそうになるまるの形でも別にいいじゃんって思える。自分の理想とは違うかもしれないけど、新しい形を手にするのは怖いかもしれないけど、変化する自分のことを恐れたくない。 東京のはしっこを感じる色褪せた黄色の電車西武池袋線と、ハナレグミのエンディング。西武池袋線に乗ってハナレグミを聞き過ごした高校生時代が重なってすごく感情移入して、あらゆる言葉が自分に言われてるみたいで。人との掛け合いが面白くてシアター内クスクスって笑いがこぼれるそういう映画だったけど、重なった部分にすごく感傷的にさせられてハナレグミの「深呼吸」を聞きながらポロポロしたままエンドロールだった。 是枝監督の作品は映画というよりドラマのような進み方をするけど、いつも、映画館で観ることでより深く感じさせるものを作ると思う。映画館で観る意味っていうのは迫力のあるアクションや映像美や音質だけじゃない。彼の映画はできれば全部映画館で観たいなと思える。
toshibakuon 冒頭から樹木希林と小林聡美の会話に聞き入りとてもユニークなのにナチュラルで面白かった。是枝監督のオリジナル脚本で監督が昔住んでいた団地もロケ地になっている。日常を切り取った自然な感じのストーリーで起伏は激しくないけれど阿部寛のダメ男で元妻に未練タラタラを好演。小さい頃思い描いた大人に俺はなれているのかな?・・割となれてる気がするので幸せなのかもしれない。
igagurichan 主人公。小説家。一発ドカンと上げたけど、それ以降はぱっとしなくて探偵業で生計を立てている男。 いい歳したオッサンダメ息子(主人公) だけどやっぱり息子は可愛いと世話をやく母。 こっそり親のスネをかじってる要領の良い姉。 大人しそうに見えるけど、やたらとしっかりしてる主人公の息子。 団地の風景が、私が子どもの頃に住んでいた社宅にそっくりで懐かしかったです。 台所と直結してるベランダ。 カルピスシャーベットを作るモロゾフのプリンのあき容器。 家具でぎゅうぎゅうの部屋に布団を敷いて妹とピロートークをした思い出。 そんな風に一部の人に郷愁を与えてくれる。懐かしい。 失敗し後悔して挽回しようと思っても、叶わない事はある。特に対人相手。 幼い頃、家庭環境が最悪な状況でも、強烈な思い出って誰しもひとつはあるかな...と思えるような映画でした。 あの状況で元奥さんをあそこに呼んじゃう無神経さ!だから駄目なんだよー。とイラっとしたけど(笑) まぁ台風一過を起点にして 新しい生活を見据える。 そんなふうに考えたら清々しくなりました。
Ryosuke_Ohba 是枝監督映画の中でベスト5には入る佳作です。ただ、昨年の『海街diary』がちょっと凄すぎたので、それと比べるとちょっと、という気はします。 キャスト陣はみんな演技巧者なので安心して観れます。子役の吉澤太陽くんも割とうまいと思います。 ちょっと気になったのは、相変わらず「アレ」が多い是枝脚本。『海街diary』でも連発されていましたが、今回もかなり使われてました。ただ、今回の「アレ」は『海街』の時の「アレ」とは使用意図が異なるだろうと思います。『海街』は「家族になるまで」、今回は「口下手な小説家」を表すのに使われているんだろうなと思いました。 個人的に印象に残ったセリフがふたつ。ちょっと正確ではないですが、探偵事務所の若い女の子が言う「女の記憶は油絵みたいなもの」というセリフと、樹木希林の「幸せはなにかを諦めないと手に入らない」というセリフ。 男の恋愛は名前をつけて保存、女の恋愛は上書き保存とは言いますが、「油絵」というたとえは美しいなと思いました。重ね塗りはするけど、ちゃんと残ってるっていう。 「幸せは何かを諦めないと手に入らない」というのは、その通りだなと、短い人生経験ながら思いました。諦めないから幸せになれんのだなと、私は。これまでに何十回と「おまえは幸せになれない」と言われたことがありますが、それはこれだったんだなと。 きっと本作の主人公も、今後幸せになれず、うだつの上がらない、未練たらたらな人生を歩んでいくんだろうなと思いましたが、それは、きっと、まぁ、そんなに悪いことでもないんじゃないかと。『NARUTO』で自来也先生も言ってましたが、幸せってやつは、男が求めるものじゃないんですよ、たぶん。 最後に、こんなストーリーの起伏の無い映画を成立させてしまう手腕はさすがだなと思いながら、『海街diary』を観返そうと思った次第であります。

映画『海よりもまだ深く』ネタバレや名言を解説!

理想と現実の間でもがく中年男性の視点を通して、本当の幸せを手にするために必要なことを教えてくれる『海よりもまだ深く』。 劇中で淑子は「台風は気持ちがせいせいするから好き」と言っていましたが、本作も爽やかな余韻に浸れる作品です。