2018年1月15日更新

歴史上の伝説的な人物や偉人を描いたおすすめ映画

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伝説・実在の人物を描いたおすすめ歴史映画!

歴史映画はお好きですか?伝説的人物や実在の偉人たちの人生を描いた、新旧の歴史大作を集めました。あなたは何本観たことがありますか? 古代ローマ時代から中世ヨーロッパ、近代の日本や中国などアジアやアメリカ大陸まで、時代・地域も幅広くピックアップしています。世界史の復習にも役に立つ、これらの名作をぜひチェックしてみてください。

『トロイ』(2004年)

古代ギリシアのトロイア戦争を元にした歴史戦争映画【紀元前1700年〜1200年ごろ】

『トロイ』はウォルフガング・ペーターゼン監督による歴史大作で、トロイの木馬で有名なトロイア戦争を描きました。主人公のアキレスをブラッド・ピットが演じています。 トロイとスパルタの間に起こったのがトロイア戦争。実はトロイの王子とスパルタの王妃の禁断のロマンスが火種となった戦争でした。勇者として名高いアキレスはスパルタ側のギリシア連合軍に参戦し、トロイ侵攻に向かいます。 「アキレス腱」と名が付いている踵の腱ですが、この戦いでアキレスが踵を射抜かれた逸話が由来となっています。トロイア戦争はホメロスの叙事詩『イリアス』に記された神話ですが、この作品では人間性を強調されており、アキレスも人間の武将として描写されています。

『300〈スリーハンドレッド〉』(2007年)

ペルシア戦争のテルモピュライの戦いを描いた作品【紀元前480年】

『300〈スリーハンドレッド〉』は、ザック・スナイダー監督、ジェラルド・バトラー主演で2007年に公開したアメリカ映画です。原作はフランク・ミラーによるグラフィックノベルで、構図や色彩などもかなり忠実に作られています。 スパルタ中心のギリシア連合軍とアケメネス朝ペルシアの遠征軍が激突したテルモピュライの戦い。ヘロドトスが記した『歴史』に登場しており、たった300人のスパルタ軍が3日間も100万ものペルシア軍を食い止めたといいます。 スパルタ人の勇猛さを誇張し、ペルシア人をことさら異教徒的に描写した点は気になりますが、戦闘シーンの迫力は他の追随を許さないほど激しいものでした。主人公のレオニダス王を演じたジェラルド・バトラーをはじめ、スパルタ人役キャストたちの鍛えた筋肉がすごい!

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『グラディエーター』(2000年)

ラッセル・クロウ演じるローマ軍将軍は皇帝と皇太子の確執に巻き込まれて家族を失い、自らも奴隷に身分を落とすが……。【96年〜192年:ローマ帝国中期】

『グラディエーター』は2000年のアメリカ映画で、リドリー・スコット監督、ラッセル・クロウ主演による古代ローマの剣闘士=グラディエーターを描いた歴史大作です。ローマ帝国軍の将軍マキシマスは政権確執により奴隷に身を落としますが、復讐を誓って剣闘士として成り上がっていきます。 主人公の将軍マキシマスは架空の人物ですが、彼が仕える第16代ローマ皇帝マルクス・アウレリウスは賢帝と呼ばれた実在の名君。帝政から共和制に戻そうとし、野心家の息子コモドゥスに暗殺されてしまいます。この物語はマキシマスとコモドゥスの闘いを描いています。 帝政ローマ時代の様子やコロッセウムでの剣闘技大会などが描写されていますが、リドリー・スコット監督は大筋は史実に基づきながらも、細部で大胆に独自の歴史解釈も加えています。また、マキシマスは複数の実在の人物がモデルになっているようです。

「レッドクリフ」(2008年、2009年)

『三国志演義』を基に前半のクライマックス赤壁の戦いを描く【208年】

「レッドクリフ」は原題『赤壁』で、三国志中盤の大合戦「赤壁の戦い」を描いており、2部構成になっています。2008年に前編『レッドクリフ PartⅠ』、2009年に後編『レッドクリフ PartII -未来への最終決戦-』が公開されました。 赤壁の戦いは中国の三国時代における最大の合戦で、呉を攻めんとする魏の曹操を、蜀の劉備と呉の孫権の同盟軍が迎え撃った戦いでした。劉備の軍師・諸葛亮孔明と呉の総司令・周瑜の活躍が大きな見どころの一つです。 前半は赤壁の戦いに至るまでを詳細に描き、後半は戦いそのものをリアルに描写し、戦争の虚しさや悲惨さが映し出されています。メインキャストとなる孔明を金城武が、周瑜をトニー・レオンが演じました。

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『エル・シド』(1962年)

中世イベリア半島に起こったレコンキスタで伝説となった、カスティーリャ王国の武将エル・シドの物語【1100年代】

『エル・シド』は1961年に制作されたイタリア・アメリカ合作の歴史映画で、監督はアンソニー・マン、主演はチャールトン・へストンとソフィア・ローレンでした。現在スペイン・ポルトガルのあるイベリア半島で中世に起こったレコンキスタをテーマにした作品です。 レコンキスタとは、イスラム国家の支配から国土を回復するために興ったキリスト教国の国土回復運動です。718年にキリスト教勢力がアストゥリアス王国を建国してから、1492年にグラナダが陥落し、イスラム教勢力のナスル朝が滅亡するまで続きました。 主人公はチャールトン・へストン演じるカスティーリャ王国の武将ロドリーゴで、イベリア半島に侵攻してきたムーア人との戦いで活躍し、「エル・シド」の尊称を得ていきます。El Cidとは主人・主君という意味で、中世スペインの叙事詩『わがシッドの歌』でその活躍が謳われています。

『ブレイブハート』(1995年)

13世紀のスコットランド独立運動を率いた指導者ウィリアム・ウォレスの激動の人生を描く【1200年代末】

1995年のアメリカ映画『ブレイブハート』は、オーストラリア出身の俳優メル・ギブソンが監督・主演を務め、スコットランドの独立運動を描いています。主人公のウィリアム・ウォレスはスコットランド独立のために闘った実在の人物です。 13世紀末のスコットランドにイングランド王エドワード1世が侵略し、ウォレスの家族が殺害されるところから物語は始まります。その後恋人さえもイングランド兵士によって殺され、復讐を誓ったウォレスはイギリスへの抵抗運動に身を投じていきました。 この作品は細部に史実との相違が指摘されていますが、実在の人物を映画で描くと多くの脚色がなされるという例の典型ともいえます。それよりもスコットランド人のイギリスへの反抗心・独立心を大いにかき立てる作品という意味で、政治的な影響が言及されています。

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『エリザベス』(1999年)

ケイト・ブランシェット主演で、16世紀のイギリスで宗教抗争を闘ったエリザベス1世の前半生を描いた作品【1500年代】

1998年のイギリス映画『エリザベス』は、シェカール・カプール監督、ケイト・ブランシェット主演で、イングランド女王エリザベス1世の若き日を描きました。2007年には同監督・主演で続編となる『エリザベス:ゴールデン・エイジ』が制作されています。 エリザベス1世が生きた16世紀は、前国王ヘンリー8世がカトリック教を捨てて、新教としてイギリス国教会を打ち立てた時代。エリザベスは父王の遺志から国教会を守ることを決意しますが、新旧宗教対立によりさまざまな戦いに巻き込まれていきます。 25歳で女王に即位し、スペイン王との政略結婚や恋人との別れ、隣国スコットランドとの戦争、カトリック教国との軋轢や女王暗殺未遂事件などを経験して強い女王となっていく様子は圧巻です。

『のぼうの城』(2012年)

和田竜による日本の歴史小説の映画化【1590年】

犬童一心と樋口真嗣の共同監督、野村萬斎主演の2012年の日本映画で、歴史小説『のぼうの城』の映画化作品です。安土桃山時代の豊臣秀吉による後北条氏征伐、いわゆる「小田原攻め」を描いています。 小田原城落城まで、秀吉の側近である石田三成を翻弄した武蔵国忍城の城主・成田家の戦いが主題となっています。領民に「のぼう様」と慕われる主人公・長親が、三成の水攻めに対して奇策を講じる様子が爽快です。 映画のクライマックスともいえる水攻めのシーンがあまりにもリアルだったため、東日本大震災に配慮し、当初2011年だった公開年が一年以上も延期されたことでも有名です。その中でも人間が水に呑まれていくシーンは、一部カットされて公開されました。

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『関ヶ原』(2017年)

石田三成率いる西軍と徳川家康率いる東軍との天下分け目の決戦を描く【1600年】

『日本のいちばん長い日』を手がけた原田眞人監督が、司馬遼太郎の同名歴史小説を映画化。徳川家康が天下を手中に収めることになる「関ヶ原の戦い」が描かれています。 関ヶ原の戦いは1600年10月21日に起こった「天下分け目の決戦」。豊臣秀吉の死が引き起こした豊臣政権の内紛から、総大将を毛利元就とした豊臣側の石田三成が率いる西軍と政権掌握を狙う徳川家康の東軍が「関ヶ原」を主戦場にして、各地で戦闘を繰り広げました。 豊臣家に忠誠を誓った石田三成を岡田准一が演じ、不器用ながら人間味あふれる人間として新たな解釈に挑んでいます。年を重ねてもなお天下人への野望を捨てなかった徳川家康を役所広司、西軍から東軍に寝返って勝敗を決した小早川秀秋を東出昌大が演じました。

『ジャンヌ・ダルク』(1999年)

ミラ・ジョボヴィッチ主演で、ジャンヌ・ダルクの生まれから処刑までを描いた歴史映画【1600年代】

polo1026 ジャンヌ・ダルクってなんとなーくは知ってたけど映画を観て改めてこんな人物だったのか!と理解。彼女がシャルル王太子をフランス国王に即位させるべく、軍を率い、軍兵に語りかけるシーンが熱い~!最後の火あぶりの刑は見るのがつらい…(;_:)

『ジャンヌ・ダルク』はリュック・ベッソン監督による1999年のフランス映画で、フランスの英雄となった少女の実像に迫る伝記映画です。ジャンヌ・ダルクが神の啓示を受けてフランス軍に従軍し勝利を収めながらも、捕虜になり宗教裁判にかけられて処刑されるまでをリアルに描いています。 ジャンヌ・ダルクとは、14世紀に起こったフランス王国とイングランド王国との「百年戦争」に突如出現したフランスの救世主・聖女と伝えられる少女です。ジャンヌは劣勢だったフランス軍を勝利に導き、イングランド軍を撤退させたといいます。 リュック・ベッソンはこの作品の中でジャンヌ・ダルクを信心深い一人の少女として捉え、神の使いとして英雄視されてきたジャンヌを敢えて否定的に描いています。ジャンヌ・ダルク伝説に一石を投じた作品といえるでしょう。

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『マリー・アントワネット』(2007年)

ソフィア・コッポラ監督が悲劇の王妃マリー・アントワネットの生涯をポップな青春映画に仕上げた異色作【1700年代】

ソフィア・コッポラ監督がアントニア・フレーザーの同名著書をもとに、フランス革命に散った王妃マリー・アントワネットの生涯を描いた伝記映画。マリー・アントワネットをキルスティン・ダンストが演じました。 マリー・アントワネットが故国オーストリアからフランス王室に嫁いだのはわずか14歳の時。18歳でフランス王妃となり、37歳でフランス革命によって処刑された王妃の悲劇の人生を、異国でよそ者扱いされた一人の少女の孤独に焦点を当てて描いています。 とはいえ、近年ではアントワネット王妃を再評価する研究が進められている中、パーティ三昧の浪費に溺れた側面を強調した本作は、カンヌ国際映画祭でブーイングも起こったとか。それでもアカデミー賞ではその豪奢な衣装が評価され、衣装デザイン賞を受賞しています。

『アマデウス』(1984年)

モーツァルトは暗殺された?ライバルのサリエリ目線から描かれた天才ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの生涯【1800年代】

『アマデウス』はミロス・フォアマン監督による1984年のアメリカ映画で、元々はブロードウェイ舞台だったものを映画化した作品です。モーツァルトの生涯をライバルの視点から描いており、モーツァルト殺しをほのめかすシーンから始まるサスペンス仕立てになっています。 実直な秀才サリエリは、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世に仕える宮廷音楽家。しかし突然現れた下品で礼儀知らずな天才モーツァルトの存在が許せず、半生をかけて嫉妬と苦悩に苛まれることになります。 作中にはモーツァルトの代表作のオペラが実際に上演されているシーンがいくつもあり、『後宮からの誘拐』『フィガロの結婚』『ドン・ジョバンニ』『魔笛』のハイライトが楽しめます。モーツァルト役のトム・ハルスはこの役のためピアノの特訓をし、作中でも吹き替えなしで弾いているそうです。

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『リンカーン』(2013年)

アメリカ第16代大統領エイブラハム・リンカーンの最後の4ヶ月を描いた歴史映画【1865年】

ダニエル・デイ=ルイスがアメリカ合衆国第16代大統領リンカーンを演じた作品『リンカーン』は、ドリス・カーンズ・グッドウィンの伝記本『リンカン』が原作となっています。南北戦争が続く中で、奴隷解放宣言と戦争の犠牲の間で揺れる彼の苦悩と決断を描いています。 リンカーンが大統領に再選された1865年、奴隷制存続を主張した南部と反対する北部との南北戦争は4年以上も続いていました。この戦争中に宣言した奴隷解放も、現実的には効力があるとはいえない状態。リンカーンの政治的手腕が試される時でした。 リンカーンはアメリカ史上最も偉大な大統領の1人に挙げられています。スティーヴン・スピルバーグは彼に敬意を表すために、製作期間中はスーツを常に着用していたといいます。また、役作りのためにダニエル・デイ=ルイスは髪やあご髭を伸ばしたり、関連書物を読み、リンカーンの妻役のサリー・フィールドと4ヶ月も文通するなど、1年間も準備期間に費やしたそうです。

『ガンジー』(1982年)

イギリス領インドの独立運動を導いたマハトマ・ガンジーの半生を描く【1893年〜1948年】

『ガンジー』はリチャード・アッテンボロー監督による、1982年公開のイギリス・インド合作映画です。主演はインド人とイギリス人の血を引くベン・キングズレーで、青年弁護士の時代から非暴力運動の指導者として暗殺されるまでのガンジーを演じています。 1893年にイギリス領南アフリカへ弁護士として列車で向かっていたガンジーは、白人による有色人種差別を身をもって体験します。そこから次第に人種差別に対する運動、そしてイギリスの支配に対抗するために非暴力運動を起こしていきました。 第二次世界大戦の終結後イギリスから独立する機会が訪れますが、イスラム教とヒンドゥー教の壁は厚く、イギリス領インドはインドはとパキスタンに分かれてしまいます。宗教対立に心を痛めたガンジーの姿を、外見や仕草もそっくりに演じたキングズレーの演技は称賛を浴び、アカデミー賞をはじめ多くの映画賞を受賞しました。

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『ラストエンペラー』(1987年)

清朝最後の皇帝となった愛新覚羅溥儀の波乱の人生を描いた作品【1908年〜1950年】

『ラストエンペラー』はベルナルド・ベルトルッチ監督による歴史大作で、1987年公開の伊中英合作の作品です。主演はジョン・ローンで、中国清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀の青年期から晩年までを演じ切っています。 愛新覚羅溥儀は、1908年にわずか3歳で西太后によって清朝の皇帝に指名され、第12代清朝皇帝・宣統帝として即位しました。1924年にはクーデターにより紫禁城から退去させられますが、清朝復興を信じて1934年に満州国皇帝となります。 日本軍による傀儡国家として国際的な非難を浴びた満州国の皇帝になったことで、時代に翻弄された悲劇のラストエンペラーとして語り継がれています。しかしこの作品では、自らの意志で清朝復興のため満州国皇帝となった経緯も語られています。

『英国王のスピーチ』(2010年)

吃音のイギリス王ジョージ6世とそれを治療する言語療法士の絆を描いた作品【1893年〜1948年】

Risa_Ishiguro 笑えるシーンもたっぷりなんだけど、けど何より泣ける。感動できる映画だった。 これはいい映画だったな。

『英国王のスピーチ』は2010年のイギリス映画で、トム・フーバー監督、コリン・ファース主演の歴史ドラマです。1936年から1952年の間イギリス国王として在位したジョージ6世の後半生を描いています。 ヨーク公アルバート王子は、不遇な境遇から吃音症に悩まされていたといいます。ラジオ放送やスピーチで国王自らが国民に呼びかけることが必要な時代に、望まぬ形でジョージ6世として即位することになったアルバート王子は、やむなく言語療法士のローグと吃音症治療を始めました。 ジョージ6世がヒトラーの演説をニュース映像で見て、その巧みさに素直に「上手い」と感じるシーンが印象的です。時代は第二次世界大戦に突入しようという重大な局面を迎えていました。開戦後、イギリス国民に緊急ラジオ放送を行なったジョージ6世の演説を、コリン・ファースが見事に再現しています。

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『1917 命をかけた伝令』(2020年)

西部戦線を駆け抜ける伝令の眼を通して目撃する第一次世界大戦の戦場【1917年】

第一次世界大戦の西部戦線を、伝令として戦地を駆け抜けるイギリス兵の視点で追った戦争映画。「007」シリーズで知られるサム・メンデスが監督・脚本・製作を務めました。 この物語はサム・メンデス監督が第一次世界大戦に従軍した祖父から聞いた話にインスパイアされたものだとか。西部戦線とはドイツ対イギリス・フランス連合国の戦いの最前線。史実との違いも指摘されていますが、激烈な戦場となった西部戦線の悲惨さは十二分に伝わってきます。 湾岸戦争を描いた『ジャーヘッド』(2005年)でも一兵士の視点から戦争を描いたサム・メンデス監督。本作ではまるで全編がワンカットのように見える驚異の映像を創り出し、アカデミー賞で撮影賞・視覚効果賞・録音賞と技術賞3冠を果たしました。

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2018年)

戦時下の英首相ウィンストン・チャーチルをゲイリー・オールドマンが特殊メイクで再現【1940年】

イギリス出身の監督ジョー・ライトによる伝記映画で、第二次世界大戦時にイギリス首相となったウィンストン・チャーチルを描いた作品。首相就任から、チャーチルが主張する“ナチス・ドイツとの徹底抗戦”が国会で満場一致するまでを追っています。 第二次世界大戦初期の1940年5月10日、チェンバレン首相の辞任によって、保守党と労働党の挙国一致内閣にチャーチルが首相として就任。ヒトラーのナチス・ドイツに徹底抗戦を主張する主戦派だったチャーチルが、ドイツとの講和を模索する保守党と対立する様子が劇中で描かれています。 ダンケルクに取り残された兵士たちやカレー守備隊の全滅などで、途中主戦論の決意が揺らぐチャーチルでしたが、国王のサポートと国民や下院議員たちの同意を得て、ついにナチス・ドイツと徹底抗戦する覚悟を決めます。下院での演説「We shall never surrender. (我々は決して降伏しない)」は時代を超えた名言です。

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『ダンケルク』(2017年)

生き延びることこそ勝利!第二次世界大戦のダンケルク大撤退を描く

クリストファー・ノーラン監督が第二次世界大戦の史実をもとに戦争を描いた作品。第二次世界大戦の「ダンケルクの戦い」で、史上最大の救出作戦といわれた「ダイナモ作戦」を描いています。 ダイナモ作戦とは、第二次世界大戦初期の1940年5月26日に始まったイギリス首相チャーチルによる大規模な撤退作戦。6月4日までの9日間に、民間の船も含め860隻もの船舶がイギリスから出航し、30万を超えるイギリス兵とフランス兵をドイツ軍の侵攻に脅かされるフランス・ダンケルクから救出しました。 普通の戦争映画なら激しい戦闘を描いて戦争を表現するところ、クリストファー・ノーラン監督は陸海空の三つの視点で、戦場から“撤退する”作戦を題材に戦争の現実を描き出しました。アカデミー賞では技術部門で高く評価され、編集・録音・音楽編集賞の3冠を獲得しています。

『ヒトラー 〜最期の12日間〜』(2005年)

ナチス・ドイツを率いた独裁者ヒトラー最期の12日間とベルリン市街戦【1945年】

ヒトラーの秘書だったトラウドゥル・ユンゲの回想録をもとに、ナチス・ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラーの最期の日々とベルリン市街戦を描いた戦争映画。ヒトラー暗殺を主題にした映画『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(2015年)を手がけたオリバー・ヒルシュビーゲルが監督を務めました。 第二次世界大戦末期の1945年4月、ベルリンの総統官邸の地下壕は総統大本営となり、ヒトラーはここから司令を出していました。敗戦が色濃くなった4月30日、ヒトラーとその妻エヴァ・ブラウンは自殺。ソ連軍が迫るベルリンは激しい市街戦となり、劇中で多くの市民たちが犠牲になった様子も描かれています。 ドイツ語タイトルは「没落」を意味する『Der Untergang』。ドイツ第三帝国の建設を夢見たヒトラーと彼の信奉者たちが没落していく様を事実に基づいてリアルに描写しています。

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『日本のいちばん長い日』(1967年)

太平洋戦争を終結させるために尽力した男たちの終戦の一日を追った作品【1945年8月14日〜15日】

終戦の日を克明に記録した半藤一利による『日本のいちばん長い日 運命の八月十五日』は、これまでに二度映画化がされています。岡本喜八監督の1967年版と原田眞人監督の2015年版があります。 太平洋戦争がいよいよ厳しい局面に入る中、1945年8月14日の正午に昭和天皇と閣僚たちによる御前会議において、無条件降伏を記したポツダム宣言を受諾する決定がなされました。そこからクーデターとして宮城事件を引き起こす陸軍将校たちや、ラジオの玉音放送を行う日本放送協会や政府関係者たちの闘いを描いています。 1967年版では主役級の阿南陸軍大臣を三船敏郎が、2015年版では役所広司が演じました。2015年版で昭和天皇を演じたのは本木雅弘で、この演技で第58回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞しています。

『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2018年)

韓国の民主化運動の分岐点となった「光州事件」を世界に伝えたドイツ人記者とタクシー運転手【1980年】

韓国で1980年に起きた民衆蜂起「光州事件」を題材にしたヒューマンドラマ。光州事件を世界に伝えたドイツ人記者ピーターをトーマス・クレッチマン、ピーターを現地まで送り届けたタクシー運転手マンソプをソン・ガンホが演じました。 光州事件が起こった背景には、朴正煕大統領の暗殺後に始まった「ソウルの春」と呼ばれる民主化運動があり、1979年の全斗煥による軍事クーデターと民主化運動家の政治家・金大中の逮捕がその引き金となりました。 政治には無関心だったマンソプが現場で事件を目撃し、目を開いていく様子が描かれています。この物語は実話がベースであり、マンソプは実在のタクシー運転手キム・サボク、ピーターはドイツ公共放送連盟の東京特派員だったユルゲン・ヒンツペーターがモデルとなっています。

歴史は繰り返す—そこから学べること

古代ローマ時代から第二次世界大戦後の現代までの歴史映画を紹介してきましたが、そのほとんどが戦争や抗争を描いたものばかり。人間はどの時代でも争うことを止めず、世界から戦争がなくなる日は来る気配もありません。 映画で描かれた戦争から学べることはただ一つ、歴史は繰り返すということ。憎しみは憎しみしか生みません。この負の連鎖を止めるためにも、作品から多くのことを学びたいものです。