メル・ギブソンのプロフィール
メル・ギブソンは、1956年1月3日生まれ、ニューヨーク州ピークスキル出身の俳優・映画監督です。
11人きょうだいの6番目であるギブソンは、12歳のときに家族とともにオーストラリアのシドニーに移住しました。高校時代は、セント・リオズ・カトリック・カレッジで教育をうけ、その後オーストラリア王立演劇学院で学び、1977年に『青春グラフィティ』で映画デビューしました。
メル・ギブソンの代表的な出演作品
大人気シリーズの原点!体当たりのアクションに驚愕【1977】
荒廃化した近未来のオーストラリアを舞台に、暴走族に息子を殺された警官の復讐劇を描くアクション映画です。この作品でギブソンは、主人公の警官マックス・ロカタンスキーを演じ、一躍人気俳優となりました。
『マッドマックス』は低予算で制作されたB級映画でありながら、予算のほとんどを登場する車やバイクの改造費に充てたため、それ以外の作りは非常にチープなものです。近未来という設定ですが、オーストラリアで撮影をしているため舞台は自然豊かで、あまり近未来感はありません。しかし、制作費の大半を投じた車やバイクの本体、カスタムのかっこよさを賞賛するファンも多くいます。暴力描写も多く、低予算なりの工夫が随所に見られ、一部でカルト的な人気を誇る作品となっています。
興行的には大成功し、後に同じくメル・ギブソン主演で2作目『マッドマックス2』と、3作目『マッドマックス/サンダードーム』が制作されました。4作目として2015年にトム・ハーディ主演で『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が公開されたことも記憶に新しいですね。
正反対の刑事コンビの熱いアクション映画【1987】
ある売春婦の飛び降り自殺をきっかけに、その事件の捜査を始めた刑事と、彼の新しい相棒となった問題を抱える刑事が協力し合うなかで、相棒のこころの問題が解決していく刑事アクション映画です。
ギブソンはこの作品で、3年前に愛妻を亡くし自暴自棄になった刑事マーティン・リッグスを演じました。マーティンは若いながらもベトナム戦争で陸軍特殊部隊員であったため、射撃の腕前と戦闘能力が非常に高い人物です。相棒の刑事ロジャー・マータフ(ダニー・グローバー)にも、当初は心を閉ざしていましたが、ロジャーがマーティンを自宅に招くなどして、少しずつ打ち解けていきました。捜査を続けるうち、事件の背景ではCIAのOBが糸を引いていることがわかり、2人は激しい戦闘に巻き込まれていきます。
マーティン・リッグス役でギブソンは、タフなアクション俳優としての地位を不動のものとしました。1989年には続編『リーサル・ウェポン/炎の約束』が公開され、1999年には3作目『リーサル・ウェポン3』も公開されるなど、人気シリーズとなりました。
スコットランド独立の英雄を描いた壮大な物語【1995】
メル・ギブソンが主演・監督を兼任した映画『ブレイブハート』は、スコットランド独立のために戦った実在の人物ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた歴史映画です。
13世紀末のスコットランドで、イングランド王エドワード1世に家族を虐殺された過去を持つウィリアム(ギブソン)は、成人し、幼なじみと結婚したものの、彼女もイングランド兵により殺害されてしまいます。復習を決意したウィリアムは、圧政に苦しむスコットランドの民を引き連れ、抵抗運動を始めます。
ギブソンは主人公のウィリアム・ウォレスを演じました。
最低男は女性たちの心の声に寄り添えるか【2000】
遊び人の広告マンが、ある事をきっかけに女性の考えていることが聞こえるようになります。彼女たちの心の声に耳を傾けるうち、今までの様々な人間関係が変わっていく、というロマンチック・コメディです。
母がダンサーだった影響で女性の扱いはお手の物な広告マン、ニック。彼は一時的に前妻との娘と暮らすことになりますが、完全にバカにされており、会社ではヘッドハンティングされてきた女性に、狙っていた役職につかれ、彼女の部下になってしまいます。会社では女性向け商品の広告を担当することになりますが、今まで女性を軽んじてきた彼にはさっぱり勝手がわかりませんでした。そんなある日、突然女性たちの心の声が聞こえるようになり、最初は悪戦苦闘しながらも次第に彼女たちの心に寄り添うことができるようになっていきました。
この作品で主人公のニックを演じたギブソンは、ゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートしました。
監督としても活躍するメル・ギブソンの代表作
主演作で監督としての手腕も発揮【1995】
出演作として上述した『ブレイブハート』で、ギブソンは監督も務めています。スコットランドの英雄をモチーフしたこの作品で、ギブソンは監督として高い評価を受けました。
ウィリアムとフランス王女イザベルとのロマンスなど、史実と異なる点は多々ありますが、『ブレイブハート』は、その年のアカデミー賞で音響効果賞、メークアップ賞、撮影賞、そして作品賞と監督賞を受賞しました。この功績によって、メル・ギブソンは監督としても広く認められるようになります。
キリストの受難を克明に描いた問題作!【2004】
イエス・キリストが処刑されるまでの12時間を描いた映画『パッション』は、ギブソンの監督作の中でも公開前から注目を集め、物議を醸しました。
自身も熱心なカトリック教徒であるギブソンは、今までのキリスト受難劇の映像化について「真実を伝えていない」と不満を持っていました。そこで構想12年、私財30億円を投じてこの作品を制作しました。
人々の尊敬を集めるイエスを疎ましく思った時の権力者の手により、無実の罪を着せられ、投獄され、兵士から拷問を受け、十字架の上で息絶えるまでを詳細に描いた衝撃作です。映像は聖書の描写に忠実に再現されており、リアリティにこだわるため、セリフは当時話されていたアラム語とラテン語を使っています。
拷問シーンは非常に陰惨なもので、カンザス州ではこの作品を鑑賞中、50代の女性が心臓麻痺を起こして
死亡するなどの問題が起こりました。また、反ユダヤ主義的な描写があるとして多くのユダヤ人団体から抗議を受けました。
メル・ギブソンのやんちゃ過ぎる私生活
離婚とDV疑惑
メル・ギブソンは、1979年に当時歯科助手であったロビン・ムーアと結婚し、娘1人と6人の息子をもうけました。夫婦は2006年から別居から別居を始め、なかなか離婚の合意には至りませんでしたが、2009年にロシア人ピアニスト、オクサナ・グレゴリエヴァがギブソンの子供を妊娠していることが発覚し、2011年に離婚が成立しました。
その後2010年4月にはオクサナと破局し、7月にギブソンが彼女に対して暴言・暴力を行ったとされる録音テープが流出し、警察がドメスティック・バイオレンス事件として調査を始めました。結局事件は、2011年3月にギブソンが起訴事実を認める代わりに禁固刑を免れるという司法取引で解決しました。
熱心すぎる?!純潔主義
カトリックの家庭で育ち、教育を受けたギブソンは熱心なカトリック教徒として知られ、特に避妊や妊娠中絶に反対する発言を度々メディアでしています。
飲酒運転で逮捕
2006年7月、アメリカのマリブを走行中、メル・ギブソンはスピード違反で捕まり、アルコール検査でも許容量を超える値が検知されたため、飲酒運転で逮捕されました。ギブソンは逮捕される際、警察官にも非協力的な態度で、人種差別的な発言をしていたことも後にわかっています。後日ギブソンは公式に謝罪を表明し、アルコール依存症である事も告白しました。
また、この飲酒運転での逮捕が、先述の元妻・ロビンとの別居のきっかけとなったそうです。
『マッドマックス 怒りのデスロード』に出演しなかったワケ
当初メル・ギブソンは2015年公開の『マッドマックス』シリーズ4作目『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に出演する予定でした。しかし、様々な要因が重なり出演を断念せざるを得なくなったそうです。
ハフィントンポストのインタビューで、監督のジョージ・ミラーは「我々はメルと一緒にこの作品を作る予定でしたし、その用意がありました。しかし、9.11が起きて米ドルが豪ドルに対して暴落し、予算が膨らんでしまいました。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を撮影する準備ができた頃には、メルは様々なトラブルを抱えていました。また、マックスには絶対に若い役者が必要でした」と語りました。
また、同監督は他の役でもギブソンが出演しなかったことについて、「もし今までのシリーズでマックスを演じたメルが出演したら、観客は映画に入り込めなくなってしまうと思ったんです。私たちは観客にできる限り映画に没頭してほしいと考えていますから。ロジャー・ムーアがダニエル・クレイグのボンド映画に出演するようなものです。楽しいかもしれませんが、映画としては一歩引いて観てしまうと思いました」とも言っています。
予算の問題や、自身のDV疑惑などのトラブル、キャラクターの年齢との違いなど、多くの理由で出演が立ち消えになってしまったギブソンですが、完成後のLAプレミアには姿を見せました。