2020年4月28日更新

歌手・ミュージシャンのおすすめ伝記映画 歌手が役者として出演している作品も紹介

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『ロケットマン』タロン・エジャトン
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歌手やミュージシャンたちの波乱の人生を描いた名作伝記映画を紹介

フレディ・マーキュリーやエルトン・ジョン、ジュディ・ガーランドなど、世界的に有名なミュージシャンたちの人生を描いた伝記映画が近年立て続けに製作され、主演を演じた俳優たちも絶賛されています。その名作たる所以は一体どこにあるのでしょうか? 天賦の音楽の才能を持ちながら、波乱万丈な人生を歩んできた数多くのミュージシャンたち。ここではそんな彼らの音楽人生を描いた名作伝記映画を紹介します。後半ではciatr特選として、著名な歌手が役者として主演している作品もピックアップしていますので、お楽しみに!

『ジュディ 虹の彼方に』(2020年)

『オズの魔法使』で知られるミュージカル女優ジュディ・ガーランド波乱の生涯

ハリウッド黄金期の名作ミュージカル『オズの魔法使』のドロシー役で一世を風靡したミュージカル女優ジュディ・ガーランドの晩年を描いた伝記映画。レネー・ゼルウィガーがその圧巻の演技と歌声で、アカデミー賞をはじめ多くの映画賞で主演女優賞を受賞しました。 1968年冬、起死回生を狙うロンドン公演にすべてを懸けていた往年のミュージカル女優ジュディ・ガーランド。かつては『オズの魔法使』で名を馳せた売れっ子女優でしたが、度重なる遅刻や欠勤で仕事のオファーも途絶えていました。 自由奔放で愛情深いジュディ・ガーランドの愛すべき実像を、レネー・ゼルウィガーが見事に演じ切っています。『シカゴ』でも美声を披露した彼女ですが、すべての歌唱シーンを吹き替えなしでこなした本作はそのキャリアのベストパフォーマンスともいわれました。

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『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)

フレディ・マーキュリーの半生とともに描くロックバンド「クイーン」の成長物語

イギリスのロックバンド「クイーン」のフロントマンで、世界中をその歌で魅了したフレディ・マーキュリー。彼の悩み多き半生にスポットを当て、クイーン誕生秘話やバンドの成長を描いた作品です。音楽監督をクイーン現メンバーのブライアン・メイとロジャー・テイラーが務め、劇中楽曲はメインにフレディの歌声を使用しています。 ロンドンに住むペルシャ系移民の青年ファルークは、自分のアイデンティティや差別に悩みながらも音楽にのめり込む日々を過ごしていました。「スマイル」というバンドのボーカルが脱退したところに声をかけたファルークは、自らを売り込みます。こうして「クイーン」が誕生し、ファルークはフレディ・マーキュリーと名乗り、バンドは着々と成長していきます。 フレディを仕草や外見からそっくりに演じたラミ・マレックの熱演が、アカデミー主演男優賞を引き寄せました。音楽界を騒然とさせた稀代の名曲「ボヘミアン・ラプソディ」誕生秘話や、バンド復活をかけたチャリティ・コンサート「ライブ・エイド」でのパフォーマンスなど、知られざる舞台裏を描いています。

『ロケットマン』(2019年)

イギリスの天才シンガーソングライター、エルトン・ジョンの半生を描くミュージカル映画

天才的な音楽の才能を持ち、瞬く間にスターとなったイギリスのシンガーソングライター、エルトン・ジョンの苦悩に満ちた半生を描いたミュージカル映画。大ヒット曲「ユア・ソング」やタイトル曲「ロケット・マン」など名曲の誕生秘話も描かれます。 イギリスの郊外の町で生まれ育ったレジーは、両親の愛を得られず、その一方で音楽の才能を開花させていました。やがてミュージシャンを目指して「エルトン・ジョン」という名で音楽活動を始めたレジーは、生涯の友となる作詞家のバーニー・トーピンと運命的な出会いを果たします。 エルトン・ジョン役を吹き替えなしで歌唱とダンスに挑んだタロン・エガートンが、ゴールデングローブ賞で主演男優賞を獲得。製作総指揮にエルトン・ジョン本人も名を連ね、アカデミー賞では書き下ろしの新曲「(アイム・ゴナ)ラヴ・ミー・アゲイン」が主題歌賞を受賞しました。

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『ジャージー・ボーイズ』(2014年)

人気ポップスグループ「フォー・シーズンズ」と名曲「君の瞳に恋してる」誕生の物語

クリント・イーストウッド監督が、トニー賞受賞の人気ミュージカルを映画化。60年代アメリカで活躍したポップスグループ「フォー・シーズンズ」結成とリードボーカルのフランキー・バリの代表曲「君の瞳に恋してる」誕生秘話を描いています。 ニュージャージー州で育った若者トミーとニックは弟分フランキーの歌唱力に可能性を感じ、作曲の才能を持つボブをスカウト。4人でバンドを組んで音楽業界での成功を目指していきます。 ミュージカル舞台でも主演を務めたジョン・ロイド・ヤングが映画版でもフランキー・バリを演じました。サウンドトラックには大ヒット曲「シェリー」をはじめとするフォー・シーズンズのオリジナル曲と、ジョン・ロイド・ヤングが歌唱したバージョンが収録されています。

『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(2010年)

ザ・ビートルズ結成前の若き日のジョン・レノンを描いた青春映画

アーロン・ジョンソンが若き日のジョン・レノンを演じた伝記青春ドラマ。イギリスの写真家サム=テイラー・ウッドの映画監督デビュー作で、ジョン・レノン生誕70周年・没後30年の節目に公開されました。 リバプールで伯母ミミに厳格ながら深い愛情を受けて育ったジョン。近所に実の母ジュリアが住んでいると知って、ミミには秘密で会いに行きます。ジュリアから教わったロック音楽に興味を抱いたジョンは、ロックに自分の道を見出していき――。 若き日の知られざるジョン・レノンの姿を描いた本作には、ビートルズの前身バンド「クオリーメン」が「THE NOWHERE BOYS」として登場。彼らの初レコーディング曲や、ジョンがポールと初めて会った時に披露した楽曲などがサウンドトラックに収録されています。ジョンが初めて作曲した「ハロー・リトル・ガール」をアーロン・ジョンソンの歌声で聴くこともできます。

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『アイム・ノット・ゼア』(2008年)

多角的に見たボブ・ディランの実像を6人の俳優が演じた異色伝記映画

フォーク・ロック界伝説のアーティスト、ボブ・ディランの人生を多角的にとらえた異色の伝記映画。監督は『ベルベット・ゴールドマイン』で知られるトッド・ヘインズが務め、女性ながらディランを演じたケイト・ブランシェットが各国の映画賞で助演女優賞を受賞しました。 詩人、アウトロー、映画スター、革命家、放浪者、ロックスターといった様々な側面を持つボブ・ディランを、それぞれの人格として投影した「6人のディラン」を描いた6つの物語です。 ケイト・ブランシェットが演じたのはロックスター「ジュード」。フォーク界のスターだったディランがロックに転向した1965年の出来事が語られます。ヒース・レジャー、リチャード・ギア、クリスチャン・ベールといった豪華キャストにも注目が集まりました。

『恋するリベラーチェ』(2013年)

実在の天才ピアニスト「リベラーチェ」の晩年の愛の物語

1950年から70年代に活躍したアメリカの天才ピアニスト「リベラーチェ」の晩年を、スティーブン・ソダーバーグ監督が映画化。マイケル・ダグラスがリベラーチェ、マット・デイモンが同性の恋人スコットを演じました。 リベラーチェが青年スコットとラスベガスで出逢ったのは、1977年の夏。境遇も年齢も違う二人はお互いに惹かれ合い、スコットはリベラーチェの運転手として、恋人として側で支えていきます。 派手な衣装と奇抜なパフォーマンスで世間を沸かせたリベラーチェ。ポーランド系アメリカ人として音楽一家に生まれ、幼少からクラシック・ピアノの才能を開花させ、後にクラシックとポップスを融合させた音楽で一世を風靡しました。

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『Ray/レイ』(2005年)

盲目の天才ミュージシャン、レイ・チャールズをジェイミー・フォックスが熱演

盲目の天才ミュージシャンでR&B界の巨星レイ・チャールズの生涯を、『ホワイト・ナイツ/白夜』の監督テイラー・ハックフォードが映画化。身振りなどレイ・チャールズそっくりに演じたジェイミー・フォックスが、アカデミー主演男優賞を獲得しました。 6歳で緑内障のため失明し、ハンディキャップを負いながらもピアノを学んだレイ・チャールズ・ロビンソン。17歳になるとシアトルに移り、音楽活動を始めますが、同時に薬物にも手を染めてしまいます。やがてレイ・チャールズと名乗り、バンドとツアーにも出るようになっていきます。 R&Bを中心に、ジャズやゴスペルなどブラックミュージック界を代表するミュージシャンとなったレイ・チャールズ。本作の完成直前に本人は惜しくも他界していますが、「ホワッド・アイ・セイ」や「我が心のジョージア」など後世に残る名曲を多数生み出し、偉大なシンガーとしてその功績が刻まれています。

『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(2007年)

フランス国民が愛したシャンソン歌手エディット・ピアフの生涯を名曲で綴る

フランスの国民的シャンソン歌手エディット・ピアフの47年の生涯を描いた伝記映画。主演を務めたマリオン・コティヤールの熱演が評価され、セザール賞やアカデミー賞など各国の映画賞で主演女優賞を受賞しました。 第一次世界大戦の最中、貧しい家庭に生まれたエディット・ピアフは、祖母の娼館に預けられて育ちました。街角に立って歌う日々でしたが、そこでスカウトされプロデビューを果たし、人気歌手となっていきます。 「愛の讃歌」や「ばら色の人生」など、日本でもよく知られる名曲の数々を歌ったエディット・ピアフ。その生涯は波乱に満ち、愛に恵まれない悲劇的な人生ではありましたが、彼女が生み出した音楽は痛々しくも共感を呼び、今も愛され続けています。

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『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(2006年)

伝説のロカビリー歌手ジョニー・キャッシュとその妻ジューン・カーターの愛の軌跡

1950年代のロカビリー黄金期を築いたジョニー・キャッシュと、その二人目の妻ジューン・カーターとの愛の軌跡を描いた伝記ドラマ。監督はジェームズ・マンゴールドが務め、主演のホアキン・フェニックスとリース・ウィザースプーンがゴールデングローブ賞で男優賞と女優賞に輝きました。 父の暴力に怯え、最愛の兄も失った幼いジョニーの心を癒してくれたのは、ラジオから聞こえる少女ジューン・カーターの歌声でした。成長したジョニーはセールスマンとして働きながら趣味でバンド活動をしていましたが、そこでプロになるチャンスを手にします。 ヒット曲は140曲以上、グラミー賞を11回受賞した伝説のロカビリー歌手ジョニー・キャッシュ。ロックの反逆性を持ち、カントリーの哀愁とフォークの語り口で多くの人の心をつかみました。主演の二人は劇中のすべての曲を自身で歌っています。

『8 Mile』(2003年)

白人ラッパーのカリスマ「エミネム」の半自伝的な青春映画

黒人優位のラップ界でカリスマ的な人気を誇っている白人ラッパー「エミネム」の青春を描いた半自伝的な作品。エミネム本人が主演を務め、主題歌「ルーズ・ユアセルフ」はアカデミー歌曲賞を受賞しています。 デトロイト生まれの青年ジミーは、ラッパーとして成功して貧しい生活から抜け出すことを夢見ていました。工場に勤めながら、街で行われるラップ・バトルに出場しようとしますが、プレッシャーから棄権してしまいます。 エミネムは父に捨てられ、極貧の中で母とともにカンザスシティやデトロイトを転々として育ったスコットランド系移民。いじめや自殺未遂など暗い少年時代を過ごしましたが、その逆境がエミネムの音楽を形作りました。本作はその激動の半生を真摯な姿勢で追っています。

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『ストレイト・アウタ・コンプトン』(2015年)

西海岸コンプトンで結成されたヒップホップグループ「N.W.A.」の結成秘話

西海岸の伝説的ヒップホップグループ「N.W.A.」の結成と解散、再結成までを描いた伝記音楽映画。映画タイトルは彼らのデビュー・アルバムから取られています。 アメリカ屈指の治安の悪い地区コンプトンで、ドラッグの売人エリック/イージーEは、DJのドクター・ドレー、リリックメイカーのアイス・キューブとともに1986年に「N.W.A.」を結成。暴力的な日常を過激な歌詞に乗せた彼らのラップは「ギャングスタ・ラップ」と呼ばれるようになります。 「N.W.A.」は「Niggaz Wit Attitudes (主張する黒人たち)」の略で、過激な歌詞でFBIに目を付けられつつも、理不尽な社会に鋭く切り込む姿勢が多くのリスナーの共感を生みました。メンバーのドクター・ドレーとアイス・キューブが製作に参加し、アイス・キューブ役をその息子オシェア・ジャクソン・Jr.が演じています。

ciatr厳選!歌手が役者として出演している映画

ここからは、実在の人気歌手が役者として出演している映画をciatr編集部がピックアップ。ステージとはまた違った魅力を放っているので、ぜひ気になる作品をチェックしてみてください。

『アリー/ スター誕生』(2018年)

レディー・ガガ初主演作!往年の名作『スタア誕生』を現代風にリメイク

歌姫レディー・ガガを主演に迎え、俳優のブラッドリー・クーパーが監督を務めた、1937年の映画『スタア誕生』4度目のリメイク作。アカデミー賞では作品賞をはじめ8部門にノミネートされ、主題歌賞を受賞しています。 バーでウェイトレスをしながら時にステージで歌も披露するアリーは、歌手になることを夢見ていました。しかし容姿に自信がなく、声をかけてくれるスカウトもない。そんな時、大物カントリー歌手ジャクソン・メインがバーを訪れて彼女の歌を聴き、その才能を見出します。 ジャクソン役も務めたブラッドリー・クーパーは一からギターと歌唱を学び、一方レディー・ガガも初めて本格的な演技に挑戦。二人がもたらした相乗効果は、映画とサウンドトラックの世界的なヒットを生み出しました。

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『バーレスク』(2010年)

クリスティーナ・アギレラがバーレスク・ダンサーを熱演

クリスティーナ・アギレラがバーレスク・ダンサーのアリ役で主演を務めたミュージカル映画。シェールが共演し、アリの才能を見出すロサンゼルスのラウンジ「バーレスク」を経営するオーナーのテスを演じています。 アイオワからロサンゼルスに出てきたアリは、ショーガールがダンスや歌などのパフォーマンスを披露するラウンジ「バーレスク」でウェイトレスとして働き始めます。そこでオーナーのテスに歌声を認められ、次第にその才能を開花させていきます。 最初の第一声で観る者の心を鷲掴みにする、圧倒的な歌唱力を持つクリスティーナ・アギレラの魅力が全開の作品です。サウンドトラックは彼女が新レコーディングした楽曲で占められ、聴き応えのある一作となっています。

『ボディーガード』(1992年)

ホイットニー・ヒューストンがケビン・コスナーと共演

もともとスティーブ・マックイーンを想定し書かれたローレンス・カスダンの脚本を、ミック・ジャクソン監督により映画化。大統領の警護経験もある優秀なポディガードのフランク・ファーマーは、人気スターのレイチェル・マロンの護衛をすることに。実は、レイチェルには殺人予告まできていて、彼女の周りで様々な事件が起こり……。 ケビン・コスナーがボディガードのフランクを、人気歌手のホイットニー・ヒューストンが作品中でも大スターとなりレイチェルを務めました。 サスペンス要素もありながら、トップスターとボディガードとの恋を描き大ヒット。同時に主題歌も爆発的に売れ、ホイットニー・ヒューストンが歌う『I Will Always Love You』はグラミー賞、アメリカン・ミュージック・アワードなどの賞を総なめにしています。

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『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000年)

残酷な運命を受け入れる母親をビョークが演じる

ラース・フォン・トリアーが監督と脚本を務めた、ミュージカル仕立ての作品。アメリカの片田舎で暮らすセルマと息子のジーン。セルマは病気のため視力が弱まり、息子のジーンも遺伝によりいずれ手術が必要でした。そんな中、セルマは手術費として貯めていたお金を盗まれ、殺人の疑いまでかかってしまい……。 主役のセルマを演じたのは、アイスランドの人気歌手ビョーク。セルマの生きがいがミュージカルであるという設定のため、空想の歌唱シーンが効果的に使われています。 本作は、第53回カンヌ国際映画祭においてパルム・ドールを受賞。ビョークは主演女優賞を獲得しました。また、ビョークは主題歌『I've seen it all』も担当し、グラミー賞とアカデミー賞にノミネートされ高い評価を得ています。

『ドリームガールズ』(2006年)

ブロードウェイ・ミュージカルの映画化でビヨンセが圧巻のパフォーマンスを披露

黒人女性グループ「スプリームス」のメンバーをモデルとしたブロードウェイ・ミュージカルをビル・コンドン監督が映画化。1962年のアメリカ・デトロイト。 「ドリーメッツ」という3人のヴォーカルグループは、車関係の仕事をするカーティスにスカウトされ地元のスターであるジミー・アーリーのバックコーラスになります。順調に名を売るドリーメッツでしたが、メンバー内に亀裂が入り……。 野心家のカーティスをレイ・チャールズの伝記映画『Ray/レイ』でアカデミー主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックスが、ドリーメッツのメンバーのディーナをグラミー賞の常連・ビヨンセが演じています。 また、地元スターのジミーをエディ・マーフィ、ドリーメッツで一番の歌唱力を誇るエフィーをジェニファー・ハドソンが務めるなど、人気と実力を兼ね揃えたスターが揃い、圧巻のパフォーマンスのミュージカル映画となっています。

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『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(2007年)

ノラ・ジョーンズが映画初主演

ウォン・カーウァイ監督によるラブ・ストーリー。ニューヨークのカフェのブルーベリーパイに日々癒されていたエリザベスでしたが、失恋の心の傷は深く、ふとあてのない旅に出ます。旅先で様々な人と出会い、次第に自身を取り戻していくエリザベス……。 本作は、第60回カンヌ国際映画祭のオープニング作品として上映されました。主役のエリザベスを務めたのは、映画初主演の世界的な人気歌手ノラ・ジョーンズ。 主題歌も担当し『THE STORY』を書き下ろしています。カフェのオーナーであるジェレミーは、ジュード・ロウ。そのほか、ナタリー・ポートマン、レイチェル・ワイズ、デヴィッド・ストラザーンらが共演しています。

『戦場のメリークリスマス』(1983年)

デヴィッド・ボウイが美しき陸軍少佐を演じる

原作は、ローレンス・ヴァン・デル・ポストの『影の獄にて』。作者の体験を基に書かれた物語を、大島渚監督が映画化しました。舞台は1942年のジャワ、日本軍の浮虜収容所。そこでは様々な国を祖国に持つ男たちが暮らし、“統治軍”と“俘虜”の関係の中で生まれた奇妙な形の友情や愛情を描いた作品です。 物語の鍵となる美しい英国陸軍少佐ジャックを、イギリスのロックスターであるデヴィッド・ボウイが務め話題となりました。 また、俘虜収容所所長のヨノイ大尉には「YMO」として活躍していた坂本龍一、その部下であるハラ軍曹にビートたけしという異色のキャスティング。トム・コンティが日本語を話し通訳的な役割をする俘虜の英国陸軍中佐ジョン・ロレンスを演じています。 坂本は音楽も担当し、英国アカデミー賞作曲賞を受賞。『Merry Christmas Mr.Lawrence』は、坂本の代表曲のひとつとなっています。これを機に、数々の映画音楽を手がけるようになったとか。

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『スワロウテイル』(1996年)

岩井俊二作品でCHARAがミュージシャンのグリコを演じる

岩井俊二監督作品。“円”が世界で一番強かった時代、“円都(イェンタウン)”という街に円を求めてたくさんの人々が集まり、日本人はそれらの移民を“円盗(イェンタウン)”と呼び蔑みました。円が全ての街“円都”での“円盗”たちの生々しく激しい日常を描いた物語です。 上海出身の円盗で娼婦のグリコを、ミュージシャンのCHARAが演じました。共演は、 三上博史、伊藤歩、 江口洋介、山口智子など。グリコがボーカルを務める無国籍バンド「YEN TOWN BAND」としてリリースした『Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜』は、オリコンシングルチャート1位を獲得。 CHARAは女優としても認められ、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞しています。

『タイヨウのうた』(2006年)

難病を抱えたシンガーをYUIが演じる

坂東賢治のオリジナルストーリーを小泉徳宏監督により映画化。太陽の光にあたることができない病気、XP(色素性乾皮症)。ミュージシャンの雨音薫はそのXPを患い、昼夜逆の生活を送っていました。不自由ながらも音楽を楽しんでいた薫は、いつの頃からか藤代孝治に恋をし……。 主人公の雨音薫を務めたのは、シンガーソングライターのYUI。本作が女優デビューとなったYUIは、過去に余命宣告を受けたことがあるそうです。最終的な診断は違ったのですが、YUIと薫の境遇は重なるところがあります。 その熱演により、第30回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。主題歌『Good-bye days』も担当しました。

『愛のむきだし』(2009年)

衝撃内容を約4時間に詰め込んだ傑作

実話を基に執筆された小説を、園子温監督が映画化。幼い頃母を亡くし、クリスチャンを父に持つユウは、懺悔のために盗撮を趣味にするようになってしまいます。そんな日々を過ごすうち、運命の女性・ヨーコと出会ったユウ。宗教問題を交えながら、激しくまっすぐな愛を描いた衝撃作。 主演はパフォーマンスグループ「AAA(トリプル・エー)」の西島隆弘、そして抜群の演技力の満島ひかり。新興宗教団体のコイケを、奥田瑛二と安藤和津の娘・安藤サクラが務めました。 西島は第83回キネマ旬報ベスト・テンにおいて新人男優賞を受賞。満島は助演女優賞を獲得しています。

『KOTOKO』( 2011年)

Coccoが迫真の演技で母親役を熱演

塚本晋也による脚本・監督作品。幼い息子を女手ひとつで育てる琴子は、息子を愛するあまり精神を病んでしまいます。ついには幼児虐待を疑われ、息子と引き離されてしまう琴子の前に、優しく手を差し伸べる小説家の田中が現れ……。 シンガーソングライターとして絶大な人気を誇るCoccoが主演。息子への愛が思わぬ方向へずれてしまった琴子を、自身も息子を持つCoccoが迫真の演技で臨み、エンディングテーマ『Lolly­pop』も担当しました。 塚本監督はキャストも務め、小説家の田中役で出演。第68回ベネチア国際映画祭にてグランプリを獲得した作品です。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016年)

Coccoが劇中でシンガーソングライターを演じる

岩井俊二が黒木華をイメージして執筆した小説を、岩井自身が脚本と監督を務め映画化。 派遣教員である皆川七海はSNSで知り合った鶴岡鉄也と結婚しますが、新婚早々追い出される羽目に。結婚式での代理出席を「なんでも屋」に依頼した縁から、「なんでも屋」の安室より好待遇のメイドの仕事を紹介され……。 主演はもちろん黒木華、「なんでも屋」の安室は綾野剛が務めました。メイド仲間の個性的な里中真白をシンガーソングライターのCoccoが演じ、主題歌も務めました。

『君と100回目の恋』(2016年)

miwa主演で送る時をかけるラブストーリー

大島里美脚本のオリジナルストーリーを月川翔監督が映画化した作品です。 誕生日に事故に遭い命を落としてしまった大学生の日向葵海。どうしても彼女を救いたい幼なじみの長谷川陸は、時間を遡ることができるレコードを使い何度もタイムリープを重ねますが、タイムリープには重大な秘密が……。 日向葵海を演じるのは、人気シンガーソングライターのmiwa。彼女は物語で重要な役目を果たすラブソングも担当しています。ダブル主演となる幼なじみの長谷川陸を務めるのは、坂口健太郎です。

『トイレのピエタ』(2015年)

手塚治虫最後の日記をもとに「RADWIMPS」の野田洋次郎主演で映画化

手塚治虫の絶筆となったアイデアにインスパイアされ、監督を務めた松永大司がオリジナルの脚本で映画化した作品。ロックバンド「RADWIMPS」のボーカル・野田洋次郎の俳優デビュー作で、主題歌「ピクニック」も書き下ろしています。 画家を目指して美大を卒業したものの、その夢に破れてフリーターとなっていた園田宏。ある日突然倒れて病院に運ばれた宏は、両親に連絡もせず、偶然知り合った女子高生・真衣(杉咲花)に妹として、精密検査の結果を一緒に聞いてもらうことにします。そこで話されたのは、余命3カ月という宣告でした。 松永監督が野田洋次郎に宏役をオファーしたのは、絵を描く姿や彼が歌う死生観がこの作品に“しっくり”きたという理由から。宏が最期にトイレに描く絵は真衣に似た聖マリアで、自らがその腕に抱かれる形で完成するピエタ=聖母子像でした。手塚治虫が最期に綴った「浄化と昇天」が見事に表現されています。

波乱に満ちたミュージシャンたちの人生を追体験

実在の著名なミュージシャン、アーティストたちを描いた音楽伝記映画を紹介してきましたが、その誰もが苦悩と引き換えに名曲を生み出していることがわかりました。そして波乱に満ちた人生を追体験し、彼らの魂ともいえる名曲の数々にも触れてきました。 ミュージシャンの伝記映画の良いところは、その音楽も存分に楽しめる点。彼らの人生を通して、ぜひその音楽にも耳を傾けてみてください。