2020年5月26日更新

おすすめブルース、R&B映画10選【起源や特徴も紹介】

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アメリカ音楽の源・ブルースをテーマにした映画を紹介!R&Bやソウル系の作品も

アメリカの音楽といえばロックやカントリー、R&Bやソウルなど様々なジャンルのものが多岐に渡って発展を遂げてきました。これらの音楽の源として歌い継がれているのが、ブルースです。 ブルースは元々、黒人霊歌や労働歌として黒人の間で広まった「魂の歌」。その多くが孤独や悲しみといった“ブルーな”気持ちを表現しています。この記事では、そんなブルースをテーマにしたおすすめの映画を紹介したいます。 初めにブルースの起源や特徴、他ジャンルへの影響を解説し、前半でブルースをはじめR&Bやソウルのミュージシャンたちを主人公にした作品を紹介。後半ではブルースのドキュメンタリー作品にフォーカスし、ブルースの本質に迫っていきましょう。

現代音楽の基礎を築いたブルースとは

ブルースの起源

ブルースは19世紀の後半頃、アメリカ深南部(ディープサウス)で黒人奴隷たちが農作業中に歌う労働歌として生まれました。そしてキリスト教を信仰する黒人たちが黒人霊歌を歌ってゴスペルが生まれ、労働歌と黒人霊歌がブルースの源となりました。 ブルースが広まったのは1903年、ミシシッピ州を旅行中だったW・C・ハンディがブルースの生演奏を聴き、譜面に書き起こしたことがきっかけ。その後カントリー・ブルースといったサブジャンルが生まれたり、シカゴ・ブルースなど地域的なスタイルも確立されていきました。

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特徴、他ジャンルへの影響

ブルースは孤独や悲しみを歌うギターの弾き語り形式が一番の特徴。一方同じルーツを持つジャズは、楽器演奏が主となっています。12小節形式のブルース形式が基本で、「ブルー・ノート・スケール」と呼ばれるマイナースケールが物悲しさを一層強調しています。 ブルースから派生したジャンルは、ジャズをはじめカントリーやR&B、ソウル、ロックンロールといった、正にアメリカ音楽を代表するものばかり。つまりブルースにはアメリカ音楽の源と魂が歌い継がれており、現代音楽の基礎を築いたといっても過言ではないのです。

『ブルース・ブラザース』(1981年)

ブルース・R&B・ソウルへのオマージュ満載!ブルース兄弟が繰り広げるミュージカル・コメディ

ブルース・ブラザーズ
©︎Universal Pictures/Photofest/zetaimage

アメリカNBCの人気番組「サタデー・ナイト・クラブ」から生まれたバンド「ブルース・ブラザーズ」を主人公に映画化されたミュージカル・コメディ。ブルース兄弟ことジョン・べルーシとダン・エイクロイドが主演を務めました。 出所した兄ジェイクを迎えに行った弟エルウッドは、二人が育った孤児院が資金難で税金が払えずにいるのを知り、バンド活動でその資金を工面しようと考えます。二人は昔のバンド仲間を探す旅に出ますが、彼らの行く手を阻むものばかり現れ……。 黒いサングラスに全身黒のコーディネートでキメたブルース・ブラザーズは、そのスタイルも演奏もクール!劇中にはジェームス・ブラウンやアレサ・フランクリン、レイ・チャールズなどR&Bやソウル界の大御所たちが出演しており、彼らのパフォーマンスもじっくり堪能できます。

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『ソウルメン』(2008年)

サミュエル・L・ジャクソンとバーニー・マックがソウル・ミュージシャンに!伝説のソウルバンドのロードムービー

ソウルメン
©︎Dimension Films/Photofest/zetaimage

サミュエル・L・ジャクソンとコメディアンのバーニー・マックが主演を務めたロードムービー。コーラス・デュオ「ザ・リアル・ディール」のルイスとフロイドのアメリカ横断の珍道中を描いています。 伝説のソウルバンド「マーカス・フックス&ザ・リアル・ディール」は、マーカスのソロ活動で解散。ルイスとフロイドはコーラス・デュオで活動を始めますが、上手くいかずケンカ別れしていました。そんな中マーカスの訃報を聞き、追悼コンサートに出演するため2人はデュオを再結成します。 本作の撮影中に肺炎で入院し、そのまま死去したバーニー・マックの遺作であり、サミュエル・L・ジャクソンのソウル・シンガーぶりも観ることができる貴重な作品。映画『黒いジャガー』のテーマ曲で有名なミュージシャン、アイザック・ヘイズが本人役で出演しています。

『クロスロード』(1987年)

ロバート・ジョンソンの「クロスロード伝説」がモチーフ!ブルースのルーツを探し求める青年のロードムービー

ウォルター・ヒル監督、ラルフ・マッチオ主演のブルースをテーマにしたロードムービー。実在のブルース歌手ロバート・ジョンソンが、“十字路で悪魔に魂を売り渡して”その技術を手に入れたという「クロスロード伝説」をモチーフにしています。 ジュリアード音楽院でクラシック・ギターを学びながらも、ブルースに傾倒していた青年ユージン。伝説のブルースマン、ウィリーと出会った彼は、「クロスロード」に連れて行けばロバート・ジョンソンの幻の曲を教えるというウィリーの頼みを聞き、ミシシッピ州へ旅立ちます。 クライマックスでは、ユージンと悪魔スクラッチの手先ジャックとの壮絶なギター対決が繰り広げられます。このジャック役を務めたのはなんとスティーヴ・ヴァイ!また、名ギタリストのライ・クーダーが音楽と劇中のギター演奏を担当しました。

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『ドリームガールズ』(2007年)

モータウン・サウンドの女性グループ「スプリームス」がモデル!大ヒットミュージカル舞台を映画化

ドリームガールズ
©︎DreamWorks SKG/Photofest/zetaimage

同名のブロードウェイ・ミュージカルを映画化した作品で、モータウン・サウンド伝説のグループ「スプリームス」をモデルにしたサクセスストーリー。主演をビヨンセ・ノウルズ、ジェイミー・フォックスが務めました。 1960年代のデトロイト、ディーナ、エフィ、ローレルの3人で結成された「ドリーメッツ」はライブハウスに出演するためオーディションを受けていました。これに注目したプロデューサーのカーティスは、彼女たちを歌手ジミーのバックコーラスとして雇います。 車の街デトロイトで生まれたレコード・レーベル「モータウン」黄金期を描いた本作。その成功譚を珠玉のミュージカル・ナンバーで彩った名作であり、アカデミー助演女優賞を受賞したエフィ役のジェニファー・ハドソンのソウルフルな歌唱力に圧倒されます。

『天使にラブソングを…』(1993年)

ウーピー・ゴールドバーグがゴスペルを歌う!修道院を舞台にしたミュージカル・コメディ

『天使にラブソングを』
© Buena Vista Pictures /zetaimage

ウーピー・ゴールドバーグの人気を不動のものにしたコメディ映画で、翌年に続編も製作された大ヒット作。カジノで歌うクラブ歌手デロリスが、修道院で起こす騒動と改革を描いています。 リノ一帯を仕切るマフィアのボス・ヴィンスの愛人でクラブ歌手のデロリスは、偶然ヴィンスが殺人を犯すのを目撃。彼女は警察に重要参考人として保護され、ヴィンスの裁判の日まで修道院に匿われることになります。 修道院で聖歌隊のリーダーを任されたデロリスは、下手で退屈だった聖歌隊の歌にモータウン風のアレンジを加え、メキメキと上達させます。それまで小さな声で歌っていた内気なメアリー・ロバートがソロパートを高らかに歌うシーンは鳥肌モノです。

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『キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語』(2009年)

シカゴのブルース・レーベル「チェス・レコード」がモデル!シカゴ・ブルースの全盛期を描く

キャデラック・レコード~音楽でアメリカを変えた人々の物語
©︎Columbia TriStar Pictures/Photof/zetaimage

『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディが主演を務め、ビヨンセがエタ・ジェイムズ役で出演し、製作総指揮にも名を連ねた伝記映画。シカゴのブルース・レーベル「チェス・レコード」をモデルに、シカゴ・ブルース全盛期を描いた作品です。 1947年、シカゴでバーを営んでいたポーランド系移民レナード・チェスは、ギタリストのマディ・ウォーターズやハーモニカ奏者のリトル・ウォルターを雇って店で演奏させていました。彼らが奏でるブルースに魅了される客を見て、チェスはレコード・レーベル設立に乗り出します。 「チェス・レコード」はブルースやR&Bをメインに、マディ・ウォーターズやチャック・ベリー、ハウリン・ウルフ、エタ・ジェイムズなどのスターを世に送り出しました。彼らの音楽は50年代ロックンロールにも影響を与えています。

『ロード・トゥ・メンフィス』(2004年)

マーティン・スコセッシ製作総指揮のブルース生誕100年記念作ドキュメンタリー

ロード・トゥ・メンフィス
©︎Photofest/zetaimage

ブルース生誕100年を記念して製作された7本のドキュメンタリー集「THE BLUES Movie Project」の1本。製作総指揮をマーティン・スコセッシ、監督をリチャード・ピアースが務めています。 世紀のロックイベントを記録した『ウッドストック/愛と平和と音楽の3日間』を手がけた2人が、ブルースの聖地メンフィスから旅立ったブルースマンたちの足跡を追った作品です。 メンフィスのビール・ストリートを拠点に活躍したブルースの王様B.B.キングをはじめ、アイク・ターナーやボビー・ラッシュなど、伝説のブルースマンたちのステージやプライベートに密着。彼らの音楽性やブルース観に迫っています。

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『サイドマン:スターを輝かせた男たち』(2018年)

ブルースのビッグ・アーティストを支えた3人の「サイドマン」の生き様に迫る

マディ・ウォーターズとハウリン・ウルフなど、ブルースのビッグ・アーティストたちの音楽を支えた3人のサポート・ミュージシャン=「サイドマン」たちの生き様に迫ったドキュメンタリー。 マディ・ウォーターズのレコーディングや、ステージをサポートしてきたピアニストのパイントップトップ・パーキースとドラマーのウィリー・“ビッグ・アイズ”・スミス、そしてハウリン・ウルフのギタリストを務めたヒューバート・サムリン。彼らのサポートなくして、ビッグ・アーティストたちの音楽は成立しませんでした。 この3人のサイドマンたちの魅力を、キース・リチャーズやエリック・クラプトン、ジョー・ペリーなど大物ミュージシャンたちが語っています。また、2011年にこの世を去った3人の生前最後のインタビューや、最後の共演となった貴重なステージ映像も観ることができます。

『約束の地、メンフィス ~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー~』(2017年)

メンフィスで誕生した「スタックス・レコード」と世代を超えた貴重なセッションをとらえたドキュメンタリー

メンフィスの音楽精神を、現代に蘇らせるプロジェクトを追ったドキュメンタリー。ブルースから生まれたソウル、R&B、ロックンロールが育った音楽の街メンフィスで行われた、ジャンルも人種も世代も超えた貴重なセッションの模様をとらえています。 ボビー・ブランドやスキップ・ピッツ、ブッカー・T・ジョーンズやメイヴィス・ステイプルズなど、ジャンルを超えた巨匠たちがメンフィスに集結し、若い世代のミュージシャンたちにその音楽を継承していく姿が印象的です。 ブッカー・T&ザ・MG’sや、オーティス・レディングなどを輩出したメンフィス・ソウルを代表する「スタックス・レコード」と黒人差別の歴史も絡めて、メンフィスの音楽シーンを振り返っています。

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『I AM THE BLUES アイ・アム・ザ・ブルース』(2018年)

アメリカ南部から巣立った大御所ブルース・ミュージシャンたちの足跡を追う

ルイジアナ・バイユー、ミシシッピ・デルタなど、ブルース生誕の地アメリカ南部から輩出された大御所ミュージシャンたちの足跡を追ったドキュメンタリー。ブルースの精神やその栄光と衰退、そして未来への希望をも描いた作品です。 83歳にして2017年グラミー賞で「最優秀トラディショナル・ブルース・アルバム」を受賞したボビー・ラッシュをはじめ、日本でも知名度の高いバーバラ・リンやヘンリー・グレイなど、数多くのブルース・ミュージシャンが登場しています。 作中では彼らがそれぞれの言葉でブルースについて語っており、ステージはもちろん地元のパーティや庭先での即興演奏など、貴重なセッションの数々も。カナダ人監督のダニエル・クロスが製作・脚本も兼ね、3年以上をかけて完成させました。

人種・世代・ジャンルを超え、これからも歌い継がれるブルースの魂を映画で感じてみて!

フィクションや伝記映画、そしてドキュメンタリーと、様々なジャンルでブルースの精神や歴史、そしてソウルやR&Bなどをテーマに描いた作品を10本紹介しました。 アメリカはもちろん、世界中で聴かれている現代音楽の源となったブルース。今では人種やジャンル、そして世代も超えてブルースの魂が歌い継がれています。これを機会に、ぜひブルースの奥深い世界を味わってみてください。