2019年12月5日更新

クリント・イーストウッドの功績をおすすめ映画とともに振り返る! 監督・出演作どちらも名作揃い

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名俳優にして名監督クリント・イーストウッドの功績を映画とともに振り返る

俳優として、監督として、時には作曲家として、映画界に貢献し続けてきたクリント・イーストウッド。80歳を過ぎても現役で活躍し、私たちに素晴らしい作品を届けてくれています。 今回は彼のプロフィールやトリビアから、おすすめの出演&監督作品を紹介していきましょう。また、映画への意欲が衰えないイーストウッドの最新作情報もお伝えします。

クリント・イーストウッドのプロフィール 西部劇俳優として名をあげる

クリント・イーストウッドは1930年5月31日生まれ、カリフォルニア州サンフランシスコ出身。俳優・監督として多くの作品を世に届けていますが、プロデューサーや音楽家としても知られています。 俳優として活動し始めたのは1950年代、キャリアの初期は『ローハイド』など数多くの西部劇に出演しました。特に俳優イーストウッドの名を高めたのは、“マカロニウエスタン”といわれたセルジオ・レオーネ監督による『荒野の用心棒』(1964)。これ以降、人気俳優の仲間入りを果たします。 さらに1971年の『ダーティハリー』で、ハードボイルドな刑事ハリー・キャラハンというキャラクターを確立し、映画シリーズとしてヒットを続けました。またこの年『恐怖のメロディ』(1971)で監督デビューも飾り、監督としても素晴らしいキャリアを築いていきます。

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意外と知らないイーストウッドのトリビアを紹介 スーパーマンのオファーがあった? 

実はミュージシャンでもあった!受け継がれる音楽の才能

名優・名監督として名高いクリント・イーストウッドですが、実は幼い頃からピアノに親しみ、ジャズやブルースを好んだ少年時代を過ごしました。 後に監督・主演作で音楽や作詞・作曲を手がけるなど、その才能を発揮。『ミスティック・リバー』(2003)、『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)などでは音楽担当としてもクレジットされています。 音楽の才能は、ミュージシャンの息子カイル・イーストウッドにも受け継がれています。

もしかしたらボンドやスーパーマンに?イーストウッドの役へのこだわり

ショーン・コネリーが1971年の『007 ダイヤモンドは永遠に』を最後にジェームズ・ボンド役降板を発表した時、2代目ボンド役のオファーが!しかしボンド役は「僕ではない」と断ったといいます。 さらに同じ理由でスーパーマン役をパスしたりと、役の選び方にもこだわりが見えます。イーストウッド演じるジェームズ・ボンドやスーパーマンを見たかった気もしますが、こういった彼流のこだわりがあってこそ、実際に演じる役が光っているのでしょう。

政治家としても活躍!銃規制は支持派

クリント・イーストウッドは1986年にカリフォルニアのカーメル市の市長に選出され、1期2年間を務めました。政治的立場としては穏健派の“中道”であり、朝鮮戦争やベトナム戦争、イラク戦争など外征戦争に対しては反対しています。 また、『荒野の用心棒』や『ダーティハリー』ではピストルを手にした役で有名になりましたが、現実では銃擁護派であるチャールトン・ヘストンとは立場が違うようです。CNNのインタビューで「ずっと一定の銃規制を支持している」と語っています。 これらの政治的思想は『アメリカン・スナイパー』(2014)や『グラン・トリノ』(2008)などの作品からも感じることができます。

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監督最新作はアトランタ五輪の実話を描く『リチャード・ジュエル』【2020年1月17日公開!】

2019年3月に日本でも公開された『運び屋』で監督としても俳優としても健在ぶりを見せつけた巨匠イーストウッド。2020年1月17日には、最新作『リチャード・ジュエル』が日本公開されます。 本作は、1996年に起きたアトランタ五輪爆破テロ事件を取り上げた実話ベースの物語。タイトルの“リチャード・ジュエル”とは、アトランタ五輪の警備員で巡回中に爆弾を発見した人物。爆破テロを未然に防いだヒーローから、マスコミにテロ容疑者扱いされるという数奇な運命をたどりました。 リチャード・ジュエルを演じるのは『ブラック・クランズマン』(2018年)のポール・ウォルター・ハウザー。共演には『スリー・ビルボード』(2017年)のサム・ロックウェル、『ミザリー』(1990年)のキャシー・ベイツらが出演します。

クリント・イーストウッドが出演/監督を務めた20作品を紹介

1954年の映画『半魚人の逆襲』の端役でデビューしたクリント・イーストウッド。その後、西部劇で大人気となり、活躍の幅を広げました。さらに1971年、『恐怖のメロディ』で監督デビュー。2019年現在に至るまで活躍をつづけています。 ここでは、イーストウッドが出演もしくは監督、またはその両方を務めた代表作20作品を年代順に紹介していきましょう。

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『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(1966年)

世界中で愛され続けるマカロニ・ウエスタンの最高傑作【主演】

セルジオ・レオーネ監督によるイーストウッド主演のマカロニ・ウェスタンで、『荒野の用心棒』から始まる“ドル箱三部作”の3作目。原題は『The Good, the Bad, the Ugly』で、「いい奴、悪い奴、ひどい奴」という意味。 いい奴=ブロンディをイーストウッド、悪い奴=エンジェル・アイをリー・ヴァン・クリーフ、ひどい奴=トゥーコをイーライ・ウォラックが演じました。 南北戦争時代の荒野が舞台。戦争中に隠された金を探して3人が騙し合い、サッドヒル墓地で最後の三つ巴の決斗が繰り広げられます。 タランティーノが世界最高の映画に選び、ドキュメンタリー映画『サッドヒルを掘り起こせ』が製作されるなど、現在も世界中で愛され続けている作品です。韓国でもキム・ジウン監督によって“キムチ・ウェスタン”としてリメイクされました。

『ダーティーハリー』(1971年)

クリント・イーストウッド初期の代表作!ハリー・キャラハン刑事が悪を討つ【主演】

ドン・シーゲル監督、イーストウッド主演で製作された刑事アクション映画。捜査のためなら暴力も辞さないアウトロー刑事ハリー・キャラハンを演じて大ヒット。その後シリーズ化され、5作品が公開されています。 サンフランシスコ市警のハリー・キャラハン刑事は、組織やルールから外れても職務を遂行するアウトローで、通称“ダーティーハリー”。連続殺人を犯し警察を脅迫する犯人・スコルピオとの攻防が描かれます。 いわゆるダーティーヒーロー(=アンチヒーロー)ものの典型となった本作。このシリーズのヒットでハリウッドスターの地位を確率しました。

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『荒野のストレンジャー』(1973年)

町の行く末は謎のよそ者に託された!イーストウッド演じる西部のガンマン再び【監督・主演】

イーストウッド監督作2作目の西部劇で、彼が師と仰ぐセルジオ・レオーネ監督とドン・シーゲル監督の影響を色濃く受けた作品です。 鉱山の町ラーゴに、見知らぬ流れ者のガンマンがやってきます。からんできたならず者3人を簡単に仕止めるほどの腕の持ち主。しかしこの3人は町の人々が雇っていた用心棒でした。その男は代わりに用心棒を引き受けることになるのですが……。 町で犯罪を犯した悪党が出所後に町に仕返しに来るため、住民たちは用心棒を雇っていたのですが、その流れ者はなぜか町の人々に奇妙な指示を次々に出します。悪党たちを迎え討つ流れ者の奇抜な作戦に注目です。

『アウトロー』(1976年)

妻子を殺され復讐に駆られていた男が最後に見つけた答えとは?【監督・主演】

監督・主演の西部劇2作目。1890年代、南北戦争時代のミズーリ州を舞台にしています。 北軍の名を借り、略奪や暴行を繰り返すならず者集団“レッド・レッグス”。彼らに家族を殺された農夫ジョージー・ウェールズは、同じく復讐を誓うゲリラ部隊に加わり、北軍と戦って早撃ちを知られるようになります。 物語はここで終わらず、戦争後に北軍の裏切りによってゲリラ部隊は皆殺し、ジョージーは追われる身に。戦争に人生を翻弄される哀しさを描いた作品ですが、西部劇らしく迫力と緊張感のあふれる銃撃戦も見どころです。

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『ペイルライダー』(1985年)

名作西部劇『シェーン』を彷彿とさせる“荒野の流れ者”【監督・主演】

『アウトロー』(1976)以来のイーストウッド監督・主演の西部劇。製作も兼任しています。 1880年頃のゴールドラッシュ後のカリフォルニア州、谷あいの村と付近の町との間で金の採掘権をめぐる争いが起こっていたカーボン峡谷。その採掘権を狙う町の名士コイ・ラフッドが嫌がらせを行い、村人たちは困り果てていました。しかしある時、居合わせた流れ者の男がラフッド一味を叩きのめしてしまいます。 その男は実は牧師でした。彼との出会いによって村人は再び希望と勇気を取り戻し、悪党に立ち向かいます。イーストウッド監督が自ら演じる牧師の、クールで味のある演技が見どころです。

『許されざる者』(1992年)

アカデミー賞13部門ノミネート!イーストウッド西部劇の集大成【監督・主演】

イーストウッド監督・製作・主演の西部劇で、これまで彼が西部劇で培ってきたすべてが表現された集大成といえる名作。ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマンと共演しています。 男女差別の激しい時代に、二人のカウボーイに顔を傷つけられた娼婦デライラ。男たちは捕まったものの、罪の軽さに納得のいかない女性たちはカウボーイの首に賞金をかけます。伝説のアウトローで今は改心して農夫となっていたマニーも、貧困にあえいでいたため、賞金目当てにカウボーイを追うことになります。 マニーが一人で悪党たちの中に飛び込む、ラストの激しい銃撃戦が大きな見どころ。本作は「最後の西部劇」と呼ばれ、実際これ以降、西部劇を撮っておらず、イーストウッド演じる西部のアウトローは見納めになりました。

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『パーフェクト・ワールド』(1993年)

ケビン・コスナーとW主演!脱獄犯と少年の絆を描いた感動作【監督・主演】

ケビン・コスナーと共演したヒューマンドラマで、主人公の脱獄犯ブッチ・ヘインズをコスナー、ブッチを追うテキサス警察のガーネットをイーストウッドが演じました。 刑務所を脱獄したテリーとブッチは、一人の少年フィリップを人質にとって逃亡を続けます。しかし途中、テリーが人質を殺そうとしてトラブルになり、ブッチはテリーを殺してしまいます。ブッチとフィリップは二人になりますが、優しく接するブッチにフィリップはいつしか信頼を寄せていました。 追う側と追われる側の微妙な心理を描き、コスナーとイーストウッドの味のある演技に心奪われる作品です。

『マディソン郡の橋』(1995年)

ベストセラー小説が原作!不倫を描いた傑作ラブロマンス映画【監督 ・主演】

イーストウッドが監督・主演に加え、製作と音楽も担当した作品。ロバート・ジェームズ・ウォラーのベストセラー小説を映画化し、メリル・ストリープと共演しました。 マディソン郡のローズマン橋を撮りにきたカメラマンのロバートは道に迷い、近くの農場の主婦フランチェスカと出会います。自然と恋に落ちる二人。しかし一緒に町を出ようと言うロバートに、フランチェスカは家族を裏切れないと留まる決意をします。 夫と二人の子を持つフランチェスカと、旅人のロバートとの切なく熱い恋。情熱的で純粋な恋の行方に目が離せません。

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『ミスティック・リバー』(2003年)

ある事件をきっかけに変わる幼なじみ三人の関係!25年後、彼らの運命が再び交差する【監督】

イーストウッドが監督・製作・音楽を手がけたサスペンス映画。主演にはショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコンと演技派の三人が名を連ねました。 雑貨店を営むジミーと、普通の家族を持つデイブ、そして刑事のショーン。三人は幼なじみでしたが、ある日ジミーの娘が何者かに殺されてしまいます。そして事件の日、デイブが血まみれで帰宅してきたことを耳にするジミー。この事件を境に三人の歯車はさらに狂い始めていくのでした。 すれ違う三人の思惑、衝撃の事実と結末に驚きが隠せません。深い人間ドラマを描いた点が高く評価され、第76回アカデミー賞では作品賞を含め6部門にノミネート。主演男優賞にショーン・ペン、助演男優賞にティム・ロビンスが輝きました。

『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年)

女子プロボクサーと老トレーナーの感動ヒューマンストーリー!【監督・主演】

ヒラリー・スワンクと共演し、監督・製作・主演・音楽を兼任したヒューマンドラマ。第77回アカデミー賞作品賞を受賞し高い評価を得ましたが、衝撃の結末には賛否両論が巻き起こりました。 さびれたボクシングジムを営むトレーナーのフランキー。優秀でありながらも選手との信頼関係が築けずにいた彼は、一人の女性ボクサーと出会います。彼女をトレーナーとしてサポートすることになったフランキーは、次々に結果を残していくのでした。 ヒラリー・スワンク演じる女性ボクサーのマギーは、男性ボクサーにも負けないぐらい強い闘志の持ち主。熱のこもったボクシングシーンにも注目です。

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『硫黄島からの手紙』(2006年)

日本の硫黄島での激戦を描いた歴史的価値ある作品【監督】

第二次世界大戦の硫黄島の戦いをアメリカと日本、両国の視点から描いた戦争映画。『父親たちの星条旗』(2006)と対をなす作品で、イーストウッドは製作も務めました。日本軍の軍人役として、渡辺謙や二宮和也など日本人俳優が抜擢されています。 硫黄島で米軍と死闘を繰り広げた日本軍を指揮していた大将・栗林忠道。彼をはじめこの島で戦った兵士たちが残した数百通もの家族への手紙が、2006年に硫黄島で発見されました。これは、その手紙をもとに兵士たちの素顔と死闘の全容を映し出した物語です。 当時の軍人たち各々が、心の奥底に秘めた気持ちをリアルに再現しています。家族の元へ帰りたい、生きたいという希望を持ちながら戦う男たちの姿に胸が締め付けられます。

『チェンジリング』(2008年)

アンジェリーナ・ジョリー主演!1920年代の実話をもとにした映画【監督】

アンジェリーナ・ジョリーを主演に迎え、イーストウッドが監督・製作・音楽を担当した実話ドラマ。実際に起こった連続少年誘拐殺人「ゴードン・ノースコット事件」を元にしています。 ある日突然行方不明になった息子・ウォルターを探す、シングルマザーのクリスティン。警察に通報して月日が流れ、そしてついに息子が見つかったと連絡を受けます。しかしそこにいたのは自分の息子ではありませんでした。 息子で間違いないという警察、しかし違うと確信がある親。どちらが真実かわからなくなるストーリーが見どころの作品。劇中では事件の関係者はすべて実名となっており、ジェイソン・バトラー・ハーナーが殺人鬼ゴードン・ノースコットを不気味に演じています。

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『グラン・トリノ』(2008年)

クリント・イーストウッドの全てが詰まっている名作!最後に主人公が下す選択とは?【監督・主演】

イーストウッドが監督・製作・主演・音楽を担当し、これまでのアメリカ人として感じてきた“現在のアメリカ”をありのままに描いた作品。当時、イーストウッドは本作を俳優最後の作品としていましたが、この10年後も『運び屋』に主演して健在ぶりを見せました。 かつてフォードの自動車工として働いていた元軍人のコワルスキー。家族さえも寄せ付けない頑固な男でしたが、ある日ギャングに目をつけられている少年タオを世話することに。コワルスキーはいじめられっ子のタオに仕事を教えて一人前に育てていきます。次第にお互いの絆が深まっていく中、ギャングたちによってある事件が起きてしまいます。 コワルスキーが少年を守るためにとった行動とは。そして最後に少年に贈ったプレゼントへ込められた愛に、感動の涙が流れます。

『インビクタス/負けざる者たち』(2009年)

モーガン・フリーマンがネルソン・マンデラを熱演!【監督】

南アフリカ共和国の大統領ネルソン・マンデラの自伝を映画化。モーガン・フリーマンが主演を務め、南ア代表のラグビーチーム「スプリングボクス」のキャプテン、フランソワ・ピナールをマット・デイモンが演じています。 反政府運動による投獄から27年後に釈放され、南アフリカ共和国初の黒人大統領となったネルソン・マンデラ。人種差別に揺れる国民をラグビーというスポーツを通じて一つにするため、南ア代表チームの再建を試みます。 マンデラに瓜二つのモーガン・フリーマンが、静かに情熱を感じさせる熱い演技で魅了します。さらにワールドカップでスプリングボクスが起こした奇跡は、本当の出来事!胸の高鳴りが抑えられなくなるほどの感動が待っています。

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『アメリカン・スナイパー』(2014年)

映画の神がイーストウッドに作らせた完璧な戦争映画【監督】

イラク戦争に4回従軍した伝説のスナイパー、クリス・カイルの自伝を原作とした作品。イーストウッドは製作も務めています。戦争映画としては『プライベート・ライアン』(1998)の興行成績を抜き、特に北米を中心に大ヒットを記録しました。ブラッドリー・クーパーがカイルを演じています。 母国からは“伝説の男”、敵国からは“悪魔”と呼ばれた凄腕のスナイパー、クリス・カイル。特殊部隊シールズに所属し、イラク戦争で狙撃兵としての才能を開花させます。しかし4度にわたる従軍で、クリスはPTSDに苦しむことに。家族との溝も広がっていきます。 国のために尽くした兵士が、皮肉な最期を遂げる本作。イーストウッドはこの作品を通してアメリカが行ってきた他国への介入戦争の是非を問い、大きな支持を得たといっていいでしょう。

『ジャージー・ボーイズ』(2014年)

名作ミュージカル舞台の映画化!イーストウッドによる斬新なミュージカル伝記映画【監督】

トニー賞を受賞した名作ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』の映画化作品。フランキー・ヴァリがリードボーカルを務めたグループ「フォー・シーズンズ」の伝記映画です。ミュージシャンの才能も持つイーストウッドがミュージカル映画を手がけるのは、意外にも本作が初! ニュージャージーの田舎町で育った四人の青年。彼らは貧しい町から出て、ミュージシャンを目指す事を決めます。しかし「フォー・シーズンズ」としてスタートを切った彼らは、まだ音楽業界では素人同然。しかし、そんな状況にも負けず各自の才能を生かして世にその名を知らしめていきます。 ミュージカル公演でも好評を博している『ジャージー・ボーイズ』。主人公のフランキー・ヴァリを演じたジョン・ロイド・ヤングは、舞台でもフランキー役を務めています。演技だけではなく息の合った歌声にも注目すべき作品です。

『ハドソン川の奇跡』(2016年)

トム・ハンクス主演!“ハドソン川の奇跡”と呼ばれた飛行機不時着事故を映画化【監督】

2009年に実際に起こったUSエアウェイズ1549便の不時着事故を、奇跡の生還劇として映画化した作品。1549便はハドソン川に不時着したため、“ハドソン川の奇跡”と呼ばれています。 2009年1月15日、マンハッタン上空を飛行中のUSエアウェイズ1549便が、突然バードストライクによって全エンジン停止という事態に。コントロールを失った機体でしたが、機長のサレンバーガーは必死で操縦し、ハドソン川への不時着を決意します。 勇気ある決断で乗員・乗客全員を無事に帰還させた機長サレンバーガーを、トム・ハンクスが演じました。また、イーストウッドは撮影のためだけに本物のエアバスを購入し、実際に事故現場に居合わせた当人たちを出演させるなど、ここでも徹底的にリアリティにこだわり抜いています。

『15時17分、パリ行き』(2017年)

実際に起こった「タリス銃乱射事件」を当事者主演で映画化【監督】

2015年8月21日に発生した「タリス銃乱射事件」をドキュメンタリータッチで描いた作品。なんと主演を務めたのは、事件に立ち向かった本人たち。このキャスティングを決めたのは、監督を務めたクリント・イーストウッドでした。 乗客554名を乗せた高速鉄道タリスは、アムステルダムを発ってパリに向かっていました。その車内で、トイレから出てきた男が自動小銃を発砲。そんな中、犯人に立ち向かう乗客たちがいました。 その勇敢な乗客は、アメリカ軍人のアレクとスペンサー、そしてアメリカ人大学生のアンソニーとイギリス人ビジネスマンのクリス・ノーマン。アメリカ人の3人は幼なじみで、一緒に乗車していたのです。本人出演で製作されたのも、常にリアリティを追求するイーストウッドならでは!

『サッドヒルを掘り返せ』(2017年)

映画ファンが立ち上げた巨大プロジェクト!『続・夕陽のガンマン』ロケ地「サッドヒル墓地」復活を追うドキュメンタリー【出演】

イーストウッド主演の名作西部劇「続・夕陽のガンマン」の舞台となった「サッドヒル墓地」。この撮影用に作られたロケ地を掘り返し、復活させようと集まったファンたちの一大プロジェクトを追ったドキュメンタリーです。 ロケ地を再現するプロジェクトの全貌を追うとともに、『続・夕陽のガンマン』製作スタッフや出演者たちがその当時を振り返るインタビューも収録。音楽を担当したエンニオ・モリコーネや主演のイーストウッドが、熱い想いを語っています。 サッドヒルを掘り起こすためにロケ地ミランディージャ渓谷に集ったのは、ヨーロッパ各地から来た数百人のボランティアたち。ただ『続・夕陽のガンマン』が好きという熱い想いで、このプロジェクトを成功に導きました。映画の力を感じさせる素晴らしいドキュメンタリーです。

『運び屋』(2019年)

麻薬の運び屋は80代?!驚きの実話を基にした犯罪映画【監督・主演】

ニューヨーク・タイムズ紙に載った記事を原案とした作品で、イーストウッドは監督・製作と主演を務めました。実在する退役軍人レオ・シャープの話が元になっています。 アール・ストーンは名の通った園芸家で、デイリリー栽培に人生をかけていました。しかし仕事第一で家族を大切にせず、時代の波にも逆らえず園芸家としても落ちぶれてしまいます。生活に困ったアールは、誘われるまま麻薬カルテルの運び屋となっていきます。 麻薬の運び屋となってもどこか飄々としたアールを、これまでの俳優人生と人生経験で培った演技力で見事に表現しました。本作でもアメリカの現状をあちこちに散りばめており、ソフトに社会批判するスタンスは崩していません。

まだまだ現役!90代になったクリント・イーストウッド作品も鑑続けていきたい

西部劇で名を上げ、刑事アクションでスターダムにのし上がり、俳優としても監督としても素晴らしい作品を世に送り出し続けているクリント・イーストウッド。 『運び屋』のように、齢を重ねているからこそ描き出せる物語があります。2020年には90歳になりますが、まだまだ現役で新たな作品を作り出してほしいと切に願っています。