2017年7月6日更新

愛される映画『ブルックリン』の魅力って?【7月1日公開!】

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ブルックリン

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映画『ブルックリン』あらすじ

愛が見えない街で、私は未来を探していたー。 アイルランドの田舎町に住む少女エイリシュ(シアーシャ・ローナン)は姉の勧めで祖国を離れ、ニューヨークで暮らし始める。故郷との違いに戸惑いながらも、イタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)との出会いや、周りの人との交流により、洗練された女性に変化を遂げていくエイリシュ。 しかし、彼女の元に故郷からある悲報がもたらされ…。 1950年代を舞台に、二つの国と愛に揺れる女性の成長を描く移民ドラマです。

映画『ブルックリン』のキャスト

それでは早速、『ブルックリン』の主要キャストをご紹介します。

エイリシュ/シアーシャ・ローナン

主人公エイリシュを演じるのはシアーシャ・ローナン。今作の演技が評価されてアカデミー主演女優賞にノミネートされました。まだ22歳という若さですが、既に『つぐない』で13歳にしてアカデミー助演女優賞にノミネートされており、まだまだ成長が期待される若手の1人です。 こちらを見透かす様な色素の薄い目が特徴的。等身大で”普通”のキャラクターを”特別”に変える演技力と、圧倒的な透明感から目が離せません。

トニー/エモリー・コーエン

エイリシュと恋に落ちるイタリア系移民の青年トミーを演じるのはニューヨーク出身の俳優エモリー・コリン。 エモリーはザ・アーツ大学で奨学金援助を受けながら演劇を学び、『スマッシュ』というドラマでデビュー。大役を掴んだのは今作が初めてなので、今後に期待したいですね。

ジム/ ドーナル・グリーソン

アイルランド上流階級の御曹司役を演じるのは『ハリー・ポッター』のビル・ウィーズリー役でおなじみ、アイルランド出身のドーナル・グリーソン。カメレオンよりもっと自然に、様々な役柄をさらりとこなしてしまう器用さががあります。 『スターウォーズ フォースの覚醒』、『レヴェナント』、『エクス・マキナ』、『ブルックリン』、と2015年アメリカ公開の映画を並べただけでも分かる通り、映画選びが秀逸!これからも出演作は面白いと思って間違い無さそうです。

エイリシュ役はルーニー・マーラだった?

実は、初めはルーニー・マーラがエイリシュ役を演じるということで話が進んでいましたが、映画化に向けて動くうちにシアーシャ・ローナンの名前が浮上。しかし、エイリシュを演じるには当時若すぎたため、プロジェクトは数年ストップしてしまいます。 ルーニー・マーラはその間に企画を降り、再びプロジェクトが動き出した頃にはシアーシャの年齢がぴたりとはまりました。 第88回アカデミー賞には、シアーシャが『ブルックリン』で主演女優賞、ルーニーが『キャロル』で助演女優賞にノミネート。どちらも1950年代のニューヨークが舞台なので因縁めいたものを感じますが、今回はお互いにとって良い選択だったと言えそうです。

エイリシュと重なるシアーシャ・ローナン

シアーシャ・ローナンはアイルランド人の両親を持っていますが、生まれはニューヨーク。3歳の時にアイルランドに移り住みました。彼女はエイリシュとの共通点についてインタビューでこう話しています。
エイリシュとの繋がりを、初めはとてもパーソナルなものに感じていました。私の両親はアイルランドからニューヨークに移り住み、エイリシュとトニーの様にシティーホールで結婚式を挙げ、私が生まれました。つまり、ニューヨークとアイルランド、2つの地が今の私を作ったんです。(中略)エイリシュが直面し乗り越えて行く全てのステージは、同時に、私が通り抜けるべきものでもありました。

少女から女性へ…

また、シアーシャのキャリアもエイリシュが辿る少女から女性への成長に重なります。シアーシャが観客に鮮烈な印象を残したのは2007年の映画『つぐない』。当時13歳だった彼女は、少女であるが故の残酷とも言える純粋さを、自然体で演じきりました。 2009年『ラブリーボーン』では殺害された14歳の少女という難しい役柄をこなし、放送映画批評家協会賞若手俳優賞を始めとする各賞を受賞。その後も『わたしは生きていける』、『グランド・ブダペスト・ホテル』等に出演し、『ブルックリン』では大人の女性…と成長を見せてきたシアーシャ。 "天才子役"と称されるとその後が難しくなる俳優も多い中で、透明感を無くさずにいられる希有な才能を、今後も見守っていけるのが楽しみですね。

少女の成長と画面の変化

『ブルックリン』をより楽しむために知っておきたいのが画面の変化。ジョン・クローリー監督は、今作を大きく3つに分けて画作りを行いました。

アイルランド1

ニューヨークに移住する前のアイルランドは、窮屈な街を象徴する様にタイトなフレームで映されており、アイルランドのシンボルカラーである”緑"を中心にカラーがまとめられています。

ニューヨーク

エイリシュがニューヨークへ発つと、ここで初めて的確なワイドショット。色はカラフルで楽しげになり、1952年のアメリカポップカルチャーを垣間見ることが出来ます。祖国を忘れない様に”緑"を身につけていたエイリシュも、次第にアメリカに馴染む色を選ぶようになっていくのです。

アイルランド2

エイリシュが再びアイルランドへ戻ると、祖国があらためて魅力的に写ります。初めのイングランドより明るく、少しカラフルになった世界。監督は色に注目して映画を3つのパートに分けることで、エイリシュの変化を見せたかったと言います。

ニューヨークと移民

映画を観るにあたって知っておきたいのが、アメリカと移民の関係です。この映画で描かれる1950年代を含む19世紀末〜20世紀の初頭、アメリカは公共事業の拡大に向け、大量に移民を受け入れていました。 町並みやカルチャーがおしゃれと話題になっているブルックリンですが、実は移民の街。アイルランド系やイタリア系など、移民して来た人々が暮らしをスタートさせる場だったのです。 現在のアメリカ人口のほとんどは移民の末裔が占めており、移民のアイデンティティーを扱う映画となると他人事ではありません。わたしたち日本人には身近に感じられないかも知れませんが、この辺りを押さえて観ると理解が深まります。

『ブルックリン』は監督と脚本にも注目!

最後に、『ブルックリン』で注目したいのはキャストだけではありません。監督は『BOY A』のジョン・クローリー。彼もアイルランド出身で、監督デビュー作となる『ダブリン上等!』ではアイルランドを舞台に映画を撮り、話題を呼びました。

脚本は『17歳の肖像』のニック・ホーンビィ

脚本を手がけるのはイギリスの小説家、エッセイストであるニック・ホーンビィ。彼の書いた小説のうち、3作品がこれまでに映画化されています。また、『17歳の肖像』、『私に会うまでの1600キロ』では映画脚本家としても高い評価を受けました。 原作の無い映画脚本は今作が初めてですが、女性の成長を描くことには定評があるニック・ホーンビィ。ちなみにプロデューサー4人の中に『17歳の肖像』でもプロデュースをつとめたフィノラ・ドワイヤーとアマンダ・ポージーの名前があるので、より期待が高まりますね。

『ブルックリン』公開は2016年7月1日

ここまで紹介してきました映画『ブルックリン』。あらすじを見ても分かる通りシンプルな物語ですが、キャストの演技や美しい画面が私たちを惹き付けます。批評家に愛された今作、公開は2016年7月1日。ぜひ劇場でご覧ください!