大人気少女漫画『君に届け』
第32回講談社漫画賞の少女部門を受賞した、椎名軽穂による人気漫画が『君に届け』です。『別冊マーガレット』の2006年1月号に始まり、現在も連載中で、単行本の累計発行部数は1000万部を超えています。ファンの間では、「きみとど」の愛称で呼ばれています。
アニメ化作品は、第1シーズンが2009年10月から2010年3月まで、第2シーズンが2011年1月から3月まで放送され、話題を呼びました。実写映画版は、2010年9月25日に全国公開されています。
物語は、北海道の北幌高校を舞台に、少々風変りな黒沼爽子をヒロインに、人気者の同級生・風早翔太との恋、友情、そして彼らの青春と日々悩みながら成長していく姿を描きます。
黒沼爽子のプロフィール
北幌高校に通う女子高生の主人公が黒沼爽子です。愛称が「貞子」なのは、まっすぐ長く伸びた黒髪と白い肌がホラー映画『リング』の貞子に似ており陰気、という理由から……。中には本気で貞子が本名だと信じているクラスメイトもいるほどです。
そんな見た目と愛称にも関わらず、中身はいたって純粋で真面目。持ち前のポジティブ・シンキングでいろいろなことを乗り切っていく強さがあります。成績は優秀で、特に料理と手芸が得意という女性らしい一面もあります。座右の銘が「一日一善」であるとおり、他の生徒たちが嫌がるような仕事や雑用にも進んで取り組みます。
爽子は一人っ子で両親と三人暮らしです。公務員である父の黒沼喜多男は、一人娘を溺愛しています。専業主婦をしている母の黒沼陽子との夫婦仲も良く、温かな家庭だと言えるでしょう。
イケメンで人気者である風早翔太に出会ったことで、そんな爽子が次第に変わっていきます。
貞子!?orかわいい!? 黒沼爽子のルックス
長い黒髪と白い肌から、「貞子」と呼ばれていますが、その容姿は決して怖い作りではなく、むしろ可愛く、見方によっては相当の美人顔です。クラスメイトから、霊を呼ぶとか、目が合うと不幸になるとか言われてしまうのも、実際は、ほとんど面白半分。愛称として「貞子」と呼んでいるだけの人もいます。
そんな与えられたキャラから、本人も笑顔が無意識のうちにひきつったりしてしまい、それが逆に怖いと評されてしまう結果に。そのため、風早と出会い、その存在が爽子を変えていくと、笑顔は自然なものになり、根も葉もない変な噂話も少しずつなくなっていきます。
アニメで声優を務めたのは?
黒沼爽子の声を務めたのは声優の能登麻美子です。ストレートの長い髪は偶然の一致でしょうか。
能登麻美子は、1980年2月6日、石川県金沢市生まれです。地元の高校を卒業後上京し、代々木アニメーション学院で声優になるべく勉強しました。しばしば「ウィスパーボイス」とも称される、優しく柔らかな癒し系ボイスを得意としています。
代表作には、本作のほか、『映画 プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』の主人公・坂上あゆみ役などがあります。声優としての活動はもちろん、舞台やナレーションの仕事、また歌手活動も活発に行っています。
映画版では多部未華子が演じる
2010年9月25日に公開された待望の実写映画版では、黒沼爽子を多部未華子が、風早翔太を三浦春馬が演じました。多部は、独特のルックスと個性を持つ異色ヒロインを、コミカルに熱演しています。
かねてから、ファンの実写化リクエストが非常に高かった作品であり、原作ファンを裏切らない内容になっています。監督は『ニライカナイからの手紙』でメガフォンをとった熊澤尚人がつとめました。
黒沼爽子名言集!
異色ヒロイン、黒沼爽子はそのキャラクターゆえに発せられる独特のセリフが、名言だと評価されています。いくつか引用してみます。
ここ1年の集大成として・・・立派にうらめしい演技をするから!きっと役に立つから・・・
あの瞬間 私の世界はなにもかもがかわった 名前を呼ばれたあの瞬間 私はもう恋に落ちていたんだな……
…壊したい 風早くんとの間に作った壁を伝えたい 私の気持ち全部………届いてほしい 届け 届け……届け…
一人の女の子らしい切ない思い、純粋な心、心苦しさなどが伝わってくる、確かに名言ばかりです。
風早くんも惚れた黒沼爽子の魅力
爽子のクラスメイトで恋の相手、物語のもう一人の主人公が風早翔太です。その性格からクラスでも中心的な存在の人気者です。入学式の日に初めて出会ったときから、爽子の魅力に気付き、特別な感情を抱き始めます。風早は、意外に孤独な内面を抱えており、ところが、爽子にだけは他のクラスメイトとは違う何かを感じているのです。
何度もそれらしきアプローチをしますが、鈍感な爽子は気づかず、そのことがさらに魅力となって風早の気持ちを高めます。すれ違いを乗り越え、やっと交際するようになっても、爽子の一筋縄ではいかない個性が、独占欲の強い風早を悩ませます。
強い絆で結ばれ、つきあっていてもどこかぎこちない二人の関係から目が離せません。