1.ミスト・モービルでドライブ
キックアスがレッドミストの車ミスト・モービルに乗り込み、2人でドライブするシーンは非常にコミカルです。
このシーンの2人は、普通の高校生がスーパーヒーローになったら、実際こんなふうだろうという演技を見せてくれます。音楽に合わせて体を動かす様子はとてもマヌケっぽく、笑わせてくれます。
このシーンを見ると、最終的に彼らがどうなるかを考えるのがつらいですね。
2.口の悪い親友マーティ
主人公デイヴの親友マーティは、典型的な口の立つ嫌な奴です。
彼のほとんどのセリフで吹き出してしまいそうになりますが、特にデイヴとマーティ、トッドの3人のそばをボディガードに守られたクリス・ダミーコが通り過ぎるシーンのセリフは秀逸。
だれひとり話しかけられない状態で学校に通うクリスをデイヴが気の毒に思っていると、マーティは古風な返事をします。
「ああ、親父が金持ちでなんでも買ってもらえるっていうのはきっと最悪だよな。お前がそんなこと言うから、俺はもう泣きそうだよ」
嫌味なマーティを完璧に演じたクラーク・デュークは、ミラ・クニスやクリスティン・ベル、クリスティーナ・アップルゲイトらの『バッド・マムズ(原題)』(2016)にも出演しています。今後も活躍してもらいたい俳優です。
3.デイヴの初体験
ついにケイティとお互いの気持ちを確かめ合ったデイヴが最初にしたことは、彼女の胸を揉むことでした。
このシーンでは、今まで女性と恋愛関係になったことのなかったデイヴのぎこちない動きが痛々しいほど笑わせてくれます。私たちの不運なヒーロー、キックアスは、そのまま初体験まで辿り着きます。
4.キック・アス、はじめての勝利
『キック・アス』には多くの魅力的なキャラクターが登場しますが、キックアスことデイヴ・リズースキが主人公であることを忘れてはいけません。観客は最初、彼を高い志を持ってはいても、そのうち殺されてしまうバカな高校生であると思うでしょう。しかし、このシーンで「スーパーヒーローになる」という彼の決意の固さを知るのです。
最初は笑えるシーンですが、キックアスの本質を見せる重要なシーンになっています。音楽もかっこいいですね。
5.強い絆で結ばれたマクレイディ親子
ビッグ・ダディとヒット・ガールの前に、2人はミンディとデイモンのマクレイディ親子が登場します。このシーンは、映画全体の価値とマシュー・ヴォーン監督の力量を証明しています。
一体だれが娘に防弾チョッキを着せて打たれる練習をさせる父親を描こうと思うでしょうか。マシュー・ヴォーンはそれに成功しただけでなく、このシーンをチャーミングで好感の持てるものにしました。父と娘の絆をはっきりと感じさせ、その後の悲劇を際立たせます。
6.はじめての戦闘で大ケガ
グロテスクでショッキングですが、このシーンが物語を前に進めていきます。私たちのヒーローは、ネットで衣装を買い、ビッグマウスですが、はじめて悪人と対峙した時すぐにナイフで刺され、ひき逃げにあい、病院に運ばれてしまいました。
この映画では、他のスーパーヒーロー映画と違い、ヒーローになるのは簡単ではありません。
7.”むかし偉大な男が言った……”
キックアスとヒットガール、そしてビッグダディに父を殺され、その犯罪組織も壊滅されられてしまったレッドミストことクリス・ダミーコは、映画の最後で『バットマン』(1989)のジョーカーのセリフを引用しています。
「むかし偉大な男が言った ”今に見てろよ”」引用:www.imdb.com
当初はデイヴと同様にスーパーヒーローになりたいと願っていたクリスですが、ここではっきりと悪役レッドミストになる決意を表明し、続編へと物語は続いていきます。
8.ヒット・ガール登場!
クロエ・グレース・モレッツ演じるヒットガールについては、映画公開前から話題になっていました。当時11歳のモレッツが戦闘・殺害シーンを演じることが批判の的にもなりましたが、モレッツは見事にヒットガールを演じ、一気に大人気キャラクターとなります。
ヒットガールが登場するのは、映画が始まってしばらく経ってからです。観客は彼女の登場を今か今かと待っていましたが、待ったかいのある素晴らしいアクションとともに登場しました。
9.ビッグ・ダディの戦闘シーン
若い俳優が素晴らしい演技を見せるなか、ビッグダディを演じたニコラス・ケイジのパフォーマンスも非常に素晴らしいものでした。ケイジの信条が感じられ、実直な演技をしています。
キックアスやヒットガール、レッドミストはたくさんの見せ場を持っていますが、倉庫の破壊シーンはビッグダディが実際にどれほど強いかを見せつけるシーンになっています。
10.”キック・アスの素顔”
ダミーコの部下に捕われたビッグ・ダディとキックアスをヒットガールが救出に行くシーンは、映画で最も胸が痛むショッキングなシーン。
ヒットガールはいつも通り見事に敵を倒し、その場をコントロールしているように見えますが、ビッグダディの足元に火が放たれ、全員が助かるのではないかという観客の期待は裏切られます。
このシーンはショッキングなだけでなく、それ以降のストーリーの燃料となりキック・アスとヒット・ガールに、敵を倒す強い意志を与えることになりました。
11.ヒットガールの廊下での戦闘シーン
このシーンについては、なにも言うことがないほど完璧です。ヒットガールは廊下にいた敵をほとんど全滅させ、犯罪組織のボス、フランク・ダミーコの部屋に乗り込みました。
12.ジェットパックでニューヨークの空を飛び回る!
多くのスーパーヒーロー映画は、観客を2時間のアクションに耐えさせることができません。多くの予算をかけた最後の山場に辿り着くころには、帰ってなにをしようか考え始めているでしょう。
しかし、『キック・アス』の最後の山場では、ジェットパックやバズーカ、そして勝利した後にマンハッタン上空を飛び回るシーンまで、観客を惹きつけます。
キックアスとヒットガールは敵を滅ぼし、自らの勇気を証明しましたが、目立たない高校生と親を亡くした子供になってしまいました。夜明けのブルックリン橋の上空を飛ぶこのシーンは、彼らがほんの少し楽しむ時間です。