1.バットマンとキャットウーマン
DCユニバースの中でもっとも健全なカップルとは言えないかもしれませんが、バットマンとキャットウーマンの「するのか、しないのか」はらはらさせる関係は、アメコミの中でも魅力的なものの一つではないでしょうか。
キャットウーマンことセリーナ・カイルは、バットマンことブルース・ウェインの内にひそむ不良少年の部分、犯罪者の側に一歩踏み出すことがどれだけ簡単かを知っている部分を理解しています。時には自分を解き放ってもいいのだということをブルースに示すのです。
一方ブルースはセリーナに、バットマンとともにゴッサム・シティを守るヒーローとなるもう一つの道を示しています。
キャットウーマンは出会ったとたんにバットマンの好敵手となり、また最良の愛の対象となりました。この二つの要素は相乗効果を持っているのです。お互いを向上させ合うような、そして猫とネズミが追いかけあうような二人の関係はファンに長らく愛されています。
2.グリーンアローとブラックキャナリー
グリーンアローことオリバー・クイーンとブラックキャナリーことダイナ・ランス。二人はDCコミックのスーパーヒーローが集結するジャスティスリーグのメンバーとして初めて会ったとき、「反発し合うと同時に惹かれ合う」というラブストーリーの王道的な関係になりました。
ダイナは最初オリバーの態度に嫌悪感を覚え、うまくやっていくことができませんでした。しかし、グリーンアローの相棒であるスピーディがヘロイン中毒になった時、回復させるためにダイナが大きな役割を担ったことで二人は恋に落ち、急接近します。
ダイナとオリバーは2000年代後半にオリーの死という事件を乗り越えて、とうとう結婚しました。
悲しいことに、結婚も死さえも彼らにリブートという名の究極のリセットに対する心構えをさせることはできませんでした。DCコミックスが2011年に連載中のすべてのシリーズを終了し、新しく「The New 52」のシリーズをスタートさせたため、二人の関係もリセットされてしまったのです。
2016年には「The New 52」も終了し、新しいシリーズ「DC Rebirth」が始まりました。この中でグリーンアローとブラックキャナリーは再会するようです。二人の関係からまだ目が離せませんね。
3.スーパーマンとロイス・レーン
スーパーマンことクラーク・ケントとロイス・レーンはDCコミッックのうちでもっとも代表的なカップルと言えるでしょう。たとえ二人の70年以上に渡る恋の駆け引きがリブート作「New52」によって消し去られても、彼らはDCを代表するカップルです
スーパーヒーローとラブストーリーの典型として、ロイスとクラークは1990年代中頃に結婚するまで、何十年も正体を隠しながらの恋の駆け引きを楽しみました。スーパーマンの存在を脇に置いておいて、二人のロマンチックな関係のみにフォーカスしたテレビシリーズさえ登場しました。
しかし彼らのロマンスで本当に目覚ましいのは、二人の関係がギブアンドテイクの成り立った、とても現実味のあるものとして描かれていることでしょう。ロイスは、スーパーマンに救われるのと同じくらいに、スーパーマンが精神的につらいときの救いになっているのです。
二人には、他にも愛するものはあります(仕事に対する愛など)が、彼らはなぜかいつもお互いのもとに帰ってくることになるのです。
4.ナイトウィングとバットガール
バットマンとともに悪と戦う最中に、ナイトウィングことディック・グレイソンとバットガールことバーバラ・ゴードンはゆるぎない絆で結ばれました。他の人と付き合うこともありますが、気がつけばまたお互いのもとに帰ってくる二人。
このオシドリ(コウモリ)カップルの間に恋のエネルギーが存在することは、世界で最も偉大な探偵であるバットマンが探りを入れずとも明らかです。
5.ビッグ・バルダとミスター・ミラクル
神様同士が聖なる結婚をしたらちょっと恐ろしいことになりそうですが、ニューゴッズと呼ばれる神の一族であるビッグ・バルダとミスター・ミラクルの結婚は、DCユニバースのためになるようです。
背が高く美しいビッグ・バルダは、ミスター・ミラクルのことを猛烈に愛しています。
二人はDCコミックのスーパーヒーローたちが集結したジャスティスリーグで活躍し、そのために関係が悪くなったこともありましたが、問題を乗り越えることでさらに絆を強くしました。
6.アクアマンとメラ
アトランティスの王であるアクアマンと、女王であるメラもいくつもの夫婦の危機に直面してきましたが、その度に以前より絆が強くなっていくようです。
海底の王国ジーベルを追い出されたメラと、海底人の世界と人間の世界の間に挟まれたアクアマンは、王族として海底人の社会で大きな権力を持っているのにもかかわらず、アウトサイダーであるという点で結ばれています。
近年、人間たちから大きな銃を担いだ水性の不自由なヒーローと見なされることもありましたが、アクアマンとメラはすぐに彼らがスーパーヒーローとして、そしてまた王族として尊敬されるべき存在であることを示して見せました。アクアマンとメラは、完璧に一心同体なカップルの一例なのです。
7.ミッドナイターとアポロ
出版社の買収と二度の物語の筋全体に渡るリブートも、ミッドナイターとアポロを引き離すことができなかったようです。
バットマンとスーパーマンのタッグのようなものと見られていた二人ですが、今ではスーパーヒーローのコミックの中でも卓越した同性のカップルと見なされるようになりました。
1998年にワイルドストーム社から出版された漫画誌『ストームウォッチ』の中で、二人はスーパーヒーローのチーム「ジ・オーソリティ」のキーメンバーとなり、後に結婚しています。ミッドナイターとアポロは、ワイルドストーム社がDCコミックの傘下となり、それぞれの会社のスーパーヒーローたちが一つのユニバースに統合された後も生きながらえました。
8.ラルフ・ディブニーとスー・ディブニー
エロンゲイテッド・マンことラルフ・ディブニーは、体を自由に伸縮させることのできるスーパーヒーロー。そしてスー・ディブニーはラルフの妻です。
二人はDCカップルの中でも最も悲惨な運命に苦しみますが、その分最もロマンチックな関係でもあると言えるかもしれません。
ラルフは、DCコミックのスーパーヒーローの中で初めて自らの正体を公衆に明かした人物の一人であり、その際にはスーの支えが計り知れないほど貴重なものとなりました。コミックスでの連載中は、ある災難が起りすべてが台無しになるまで、ほとんどずっと幸せな関係を築いていました。
2004年にリリースされた『アイデンティティ・クライシス』シリーズの中で、スーがジャスティスリーグと敵対するスーパーヴィラン、ドクター・ライトにレイプされたことが明かされ、この事件が連鎖反応を引き起こして、最終的にスーが悲劇的な死を遂げることになりました。
自殺も考えるほどにひどく落ち込み、死と再生への思いに取り付かれたラルフは敵との戦いで英雄的な死を迎えます。ラルフの魂はあの世でスーと結ばれるのでした。
二人はゴーストディテクティブとなりDCユニバースの超常現象をともに捜査するようになったので、ある意味ハッピーエンドと言えるのでしょうか。この二人の関係には愛があふれていて、DCコミックによりもたらされた悲劇的な結末に不満を持つファンもいるようです。
9.ホークマンとホークガール
生まれ変わる度に定められた運命の相手と再会する、こんな筋書きほどロマンチックなものがあるでしょうか。
ホークマンとホークガールは、DCコミックのスーパーヴィランの一人で残酷なエジプトの司教ハスセットに殺されて以来、何年もこの生まれ変わりを繰り返しています。
ハスセットがエヌスメタルと呼ばれる魔力を持つ金属でできたナイフで二人を殺したために、二人は強力な絆で結ばれ、死後生まれ変わることが可能になったのです。
10.スーパーマンとワンダーウーマン
スーパーマンとワンダーウーマンという比較的最近にできたカップルに対して、反対するファンも多かったようです。しかしこの二人の組み合わせは近年のDCユニバースの最も重要な発展の一つと言えるでしょう。
二人がコミックに登場し出した頃からファンたちはマン・オブ・スティールとアマゾネスの恋の進展を深読みし、議論してきました。何十年にも渡ってDCコミックスの作家やアーティストたちは二人がカップルとなった別次元のユニバースや、架空の続編などを製作してきました。
他のカップルと比べると歴史は浅く、ファンからの同意もあまり得られていないかもしれませんが、ワンダーウーマンとスーパーマンという代表的なスーパーヒーロー二人が恋人同士になるという例はこれまで他にありませんでした。
2011年からのリブート「The New 52」が2016年に終了した際にスーパーマンは死に、二人の関係も終わりを迎えました。このカップルのファンは、2016年に新たにラウンチされたシリーズ「DC Rebirth」でまたスーパーマンとワンダーウーマンの恋を期待しましょう。