2019年5月8日更新

映画『エクソシスト』の恐ろしい裏話&撮影秘話 白い悪魔が映り込んでいた?

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エクソシスト
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映画『エクソシスト』誰もが知っている傑作ホラーには恐ろしい秘話が隠されていた

1972年に製作され、その後の悪魔系ホラー映画に多大な影響を与えた傑作ホラー『エクソシスト』。公開から何年経ってもその恐怖は色褪せず、悪魔に取り憑かれた少女のビジュアルや音楽がセンセーショナルでした。 さらに“曰く付き”な映画としても知られている本作。作品の評価を初め、当時の撮影秘話や本作にまつわるトリビアを紹介したいと思います。

映画『エクソシスト』のあらすじと作品評価

あらすじ

物語の冒頭ではイラクの遺跡調査中、メリン神父が悪霊パズズの像を見つけ、近いうちに悪霊と対峙することを悟ります。そして舞台はワシントンのジョージタウンへ。女優として活躍するクリスは、娘のリーガンと共に一時的に借りた家に住んでいました。 しかし、リーガンがウィジャボード(日本で言うコックリさん)で遊び始めた頃から徐々に彼女の様子に異変が。病院に連れていき、脳検査をしても異常は見つけられませんでした。日に日に彼女の風貌が変化し、ついに悪魔的なものが原因だと悟った母は引退を考えていたカラス神父に悪魔祓いを依頼。彼は、ベテランとされているメリン神父を彼につかせ、二人はリーガンのエクソシズム(悪魔祓い)に挑むのでした。

実は異例の快挙を遂げたホラー映画だった

映画『エクソシスト』はなんとアカデミー賞で10部門にノミネートされました。 主にノミネートされたのはクリス・マクニールを演じたエレン・バースティンが主演女優賞、ウィリアム・ピーター・ブラッティが作品賞、そしてウィリアム・フリードキンが監督賞に。しかし、10部門ノミネートされたうち、受賞したのは脚色賞と音響賞の2部門だけでした。 ホラー映画でアカデミー作品賞にノミネートされたのは史上初の快挙。さらに、悪魔を扱ったオカルトホラーものでいえば、その後も作品賞にノミネートされた作品はないのです。

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『エクソシスト』は実話?メリーランド悪魔憑依事件とは

本作はウィリアム・ピーター・ブラッディの小説『エクソシスト』を元に製作されています。ちなみにブラッディは映画製作にも関わっていました。そして彼の小説は、何と実際に起きた「メリーランド悪魔憑依事件」をもとに執筆されていたのです。 実際の事件が起きたのは1948年。アメリカ合衆国メリーランド州コッテージシティで、13歳の少年ロビーの身に悪霊が憑りついたのでした。きっかけは、叔母がよく使って遊んでいたウィジャ・ボードに興味を示したことでした。小説では少年が少女になっていますが、ウィジャ・ボードから憑依が始まる点は映画のリーガンと同じですね。 さらに、少年の体に浮かび上がった奇妙な文字、少年が口を開いた時に出るしゃがれ声など実際の事件レポートに書かれていたことをもとに、原作者は『エクソシスト』を書いたのです。

エクソシストの意味と実際の悪魔払い、あの悪魔パズズの正体とは?

本作のタイトルにもなっている「エクソシスト(The Exorcist)」とは、カトリック教会による悪魔祓いの祈祷師という意味です。また、悪魔祓いのことを「エクソシズム」と言います。実際、この悪魔祓いは古代から現代まで、世界中で行われています。主なやり方として、聖書を朗読しながら聖水をかけて取り憑いている悪魔を外に出します。特に重要なのは、悪魔(悪霊)の名前を知ること。 今回リーガンに取り憑いていた悪魔は、映画の冒頭でメリン神父が対峙した像パズズです。神父がベテランエクソシストとして推薦された背景に「昔数か月にも及ぶ悪魔祓いの経験もある」と言われている点。そして、リーガンの声を録音したテープを逆再生した時にメリン神父を呼んでいたことから、メリンは長きにわたってこのパズズと戦ってきたことが伺えます。 このパズズとは、二次創作で作られたものではなくアッカドに伝わる風と熱風の悪霊として知られています。また、彫像が悪霊を統御する力を有していたとも言われており、冒頭の遺跡のシーンがこれに繋がってくるのです。

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撮影中事故多発!?本当に呪われた映画だったかもしれない

プロローグ撮影は問題だらけだった

本作の冒頭のメリン神父が悪霊パズズの像を発見する発掘シーンをイラクで行うとウィリアム・フリードキン監督は主張し、キャスト・スタッフは1か月間イラクに滞在することになりました。 しかし50℃近い灼熱の気温、撮影クルーに広まった病気、イラク国内で起きたクーデター、間違えてオーストラリアに送られた悪霊パズズの像など滞在中に起きたハプニングは数知れなかったそうです。

本当に呪われている映画と言われるわけ。

監督は「映画は呪われてはいない」とコメントを出していますが、それと同時に映画撮影中に起きた不可解な事故についても述べていました。 例えば原因不明の火事が起こりリーガンのベッドルーム以外のインテリアセットが全部燃やされた、ジェイソン・ミラーの赤ん坊がバイクに轢かれて入院することになった、マックス・フォン・シドーの兄弟が亡くなったなど。 また、監督は言及してはいませんが、映画内で死ぬことになるメアリー・カラスとバーク・デニングズを演じたバシリキ・マリアロスとジャック・マッゴーランが、映画公開前に亡くなったことなど本作は様々な不幸がつきまとった映画でした。

サブリミナルで白い悪魔が差し込まれている?

また、本作の恐怖ポイントとしても一役買っているのは悪霊バズズと思われる白い顔の悪魔が、場面場面で突然入ってくることです。サブリミナルとして観せることで、観客が気づかぬうちに潜在的な恐怖を感じ始めることを意図しています。 この顔が登場するのは、カラス神父の夢の場面、リーガンが病院で診察中の場面、そして悪魔祓いを受けている時の場面。しかし、劇場公開版やディレクターズカット版で違いがあるようです。ちなみに監督は、当時「一瞬顔が見えてしまったかもしれない」という恐怖を植え付けたくてしたのに、「今ではDVDをストップしてじっくり見ることができる」と2012年に受けたインタビューで嘆いていました。

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衝撃!!リーガンの有名なブリッジシーンはオリジナル公開版にはなかった?

『エクソシスト』の中で、最もアイコニックなシーンの一つがリーガンがブリッジをしながら階段をおりてくる(スパイダーウォーク)シーンですよね。しかし、映画公開当時はこのシーンはカットされており、存在しないものでした。 本作は「劇場公開版」と「ディレクターズ・カット版」の2つが存在するのですが、このスパイダーウォークは「ディレクターズ・カット版」に収録されているのです。さらに、元々は階段からおりて蛇のように長くなった舌をペロペロ出しながら秘書のシャロンを追い回すというシーンでした。しかし、「ディレクターズ・カット版」製作時に、口から血を吐く映像がCGで加えられたのです。

悪魔に取り憑かれた少女リーガンを演じた子役リンダ・ブレア

リンダ・ブレアが主演に選ばれた理由とは?

リンダ・ブレアは主人公で悪霊に憑りつかれる少女リーガン・マクニールを演じました。映画制作陣はリーガン役を演じる少女を求めて何千人という少女のオーディションを行ったのです。ウィリアム・フリードキン監督はオーディションで12歳になる前のリンダを発見。 監督は彼女には役者としての素晴らしい才能があるだけではなく、トラウマ的な体験をするであろう映画撮影に耐えることができると確信したので、彼女にリーガン役を与えることにしました。

悪魔に憑りつかれたメイクにかかる時間は何と3時間

メイクアップアーティストのディック・スミスと彼の弟子リック・バーカーが悪魔に憑りつかれたリーガンのメイクアップのためにかけていた時間は1日に何と3時間。この努力のおかげで人々を恐怖で震え上がらせる少女リーガンが完成したのです。

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デミアン・カラス神父のモデルになった人物とは?

カトリックの信仰を失いかけているデミアン・カラス神父のモデルとなった人物は、なんと原作の作家であり映画の脚本を担当したウィリアム・ピーター・ブラッディ。 映画でカラス神父を演じたのはジェイソン・ミラー 。彼は1973年ブロードウェイで上映された戯曲『栄光の季節』でトニー賞、ピュリッツアー賞を受賞しています。

ジェイソン・ミラーの人生も、カラス神父そのものだった!?

前述した通り、カラス神父はカトリックの信仰を失いつつある人物。当初映画製作者たちはカラス神父役を、ドラマシリーズ『マイク・ハマー』で知られるステイシー・キーチにこの役をオファーし、サインまで交わしていたそう。 しかし、その後製作者たちはジェイソン・ミラーと出会うことになるのです。 なんと彼は俳優・脚本家になる前、カトリック神学校に通っていました。その自身の経験とカラス神父の経験を重ね合わせ、製作陣に自分こそ神父を演じるにふさわしいと熱弁。その結果、ジェイソンが役を勝ち取ったのです。

ランカスター・メリン神父のモデルとなった人物は?

ランカスター・メリン神父は遺跡の発掘調査をしていた際に、悪霊パズズの像を発見した人物。彼のモデルとなった人物は、同じように神父であり考古学者でもあった実在の人物ジェラルド・ランカスター・ハーディングです。彼は死海文書発見に関わった人物でした。

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リンダよりメイクに時間がかかっていた!?

前述した通りリンダ・ブレアのメイクにかかった時間は1日に約3時間。 しかしそれ以上にメイクをするのに時間がかかった人物がいたのです。それはランカスター・メリン神父を演じたマックス・フォン・シドー。 撮影当時のマックスの年齢は43歳でした。そして彼が演じたメリン神父は70歳以上の設定!老けてみえる必要があったため、1日のメイクにかかった時間は驚きの4時間でした。

その他キャスト・撮影にまつわる裏話を紹介

オードリー・ヘプバーンも出演オファーされていた!?

実はオードリー・ヘプバーンは、リーガンの母親クリス・マクニール役のオファーを受けていました。 しかし彼女はアメリカで行われた撮影のために、自宅のあったローマを離れたくないという理由で辞退したのです。 結局は1971年公開の映画『ラスト・ショー』で注目されていたエレン・バースティンがウィリアム・フリードキン監督に直談判したため、役を勝ち取ることになりました。

バーク・デニングズのモデルとなった人物がいた

映画内でクリス・マクニールと共に映画撮影を行う映画監督バーク・デニングズにはモデルとなった実在の人物がいます。 それは映画監督のJ・リー・トンプソン。彼は1961年の映画『ナバロンの要塞』でハリウッドで名声を獲得した名監督。ちなみに映画内でバーク・デニングスを演じたのはジャック・マッゴーランです。

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本物の酔っぱらいが映画に出演

小さな役ですが映画内で強烈なインパクトを残したのが、地下鉄でカラス神父に話しかける酔っ払いの乞食。実はこの乞食を演じたのはビニー・ラッセルという本物の大酒のみ。彼はなんと撮影時にも酔っぱらっていたということです。また、シーンで彼が着ている服は彼の私物でした。

オスカー女優の女優魂

リーガンに憑りついた悪霊パズズの声優を務めたのは、マーセデス・マッケンブリッジ。彼女は1949年の映画『オール・ザ・キングスメン』でアカデミー助演女優賞を受賞したベテラン女優です。 彼女の魅力はハスキーボイス。映画撮影が行われる前に、彼女はそのハスキーボイスを取り戻すために長年止めていたタバコとお酒の習慣を再開していたそうです。 またリーガンがベッドに縛りつけられたシーンでの演技を行う際に、彼女は自身を椅子に縛りつけ生卵を飲み干しました。そうすることでリーガンの気持ちを最大限表現することができたそうです。

あの不気味な音の誕生秘話

映画で音楽プロデューサーを務めたのはジャック・ニッチェ。彼は本作における様々な音を作り上げた張本人です。まず、オープニングクレジットで流れるあの不気味な音は、ワイングラスの飲み口をこすって制作されたもの。 また彼はうつぶせになってソファで眠っている彼の彼女の背中に向かってジャンプ。その時の彼女の驚いた叫び声が、リーガンが嘔吐するシーンのサウンドとして使われていたのです!

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知れば知るほど怖くなる映画『エクソシスト』

映画の裏話や真相、実際にあったモデルを知れば知るほど背筋がゾクッとしてしまいますよね。誰もが知っていて、かつ曰く付きな映画なのにも関わらずオスカーまで受賞している。その後に公開されるホラー映画と比べても、桁違いな業績と恐ろしさを誇るのが、まさに『エクソシスト』の魅力なのではないでしょうか。