2019年2月25日更新

「カリオストロの城」はなぜ傑作なの?絶対に注目すべき8つのポイント【ルパン三世】

ミュージックファイルシリーズ:ルパン三世クロニクル ルパン三世カリオストロの城MUSIC FILE

1979年に公開された映画『ルパン三世 カリオストロの城』は、現在も色褪せることない名作として人気を集めているアニメーション作品。この記事では、そんな本作の魅力を深堀りし、人気たる所以を徹底的に探っていきます。

不朽の名作『ルパン三世 カリオストロの城』の魅力に迫る

『ルパン三世 カリオストロの城』は、1979年に公開された宮崎駿の初監督映画。月日が流れた現在も不朽の名作アニメーションとして人気を集めています。 今回は、本作の本当に注目すべき要素を8つピックアップして徹底解説していきます!これを読めばもっともっと「カリオストロの城」が好きになってしまうかも?

絶対に注目してほしいポイントはここだ!こだわりの演出や構成について

実は、わずか半年で構想から制作まで行われていた本作。非常に短い期間であったにも関わらず緻密な演出や技法をふんだんに使用し、後のアニメ業界に大きな影響を与えることになりました。 大胆なコミカルシーンとシリアスシーン、それぞれが盛りだくさんとなっている本作の中でも、特に注目すべき描写や構成、設定について解説していきます。

1. 「カリオストロの城」は70年代という時代背景を大きく反映した作品

実は『ルパン三世 カリオストロの城』は、当時の日本社会を大きく反映させた作品。そのことは、ルパンのキャラクター性と社会状況の連動性から伺うことができます。 本作が作られた時期は1970年代でした。70年代といえば、日本の学生運動が下火になった時期に成人を迎えた若者が、何事に関しても関心を持てない「シラケ世代」へと変貌していった頃。 そこで本作のルパンも”暇つぶしに面白そうなことをやる"というスタンスで物事に取り組むのです。事実、クラリスと追っ手によるカーチェイスを追いかけたのも、単に“面白そうだから”という理由です。 また本作でのルパンは、過去の自分に対して「まだ駆け出しのチンピラだった」、「もう10年以上昔だ。俺は一人で売り出そうと躍起になっている青二才だった。バカやって、いきがった挙げ句の果てに俺はゴート札に手を出した……」などと語っており、60年代の学生運動が盛んだった頃は当時の若者同様、ルパンも野心溢れた青年だったことを表しています。 しかし、クラリスとの出会いを通じて「シラけた」ルパンは少しずつ変化していきます。宮崎駿は日本の若者たちに希望を抱いていると同時に、希望を抱かせたかったのかもしれません。

2. 偶然の連続性が面白い?計算され尽くしたストーリー構成

まずは、物語の進行を促す役割として「指輪」が活躍しているところに注目してみてください。 物語の冒頭でのこと。クラリスが偶然指輪を落とすことによって、ルパンは「大きくなりやがって……」と、彼女との記憶を思い出します。つまり、指輪が彼らの偶然の再会を実現させたということです。 また、クラリスの指輪を狙う伯爵とルパンの戦いが佳境を迎えた際には、伯爵が指輪を手に入れたことによって、そのまま不運にも死を迎えることになります。 上記からわかるように、一つの指輪を軸に冒頭から結末までストーリーが展開されていくという、指輪による偶然の連続性が本作の面白さの一つなのです。

3. 痛快なアクションとサスペンス性の融合が最高

アクションシーンの魅せ方がバラエティ豊かなところは、本作の魅力を語る上で欠かせない要素です。 冒頭のカジノ襲撃での華麗な逃走劇や、クラリスの追っ手との愉快なカーアクションは観る側をスカッとさせるような痛快さがあります。また、クラリスが幽閉されている場所を目指して屋根をつたっていくユニークなアクションシーンでは、ルパンが現実ではありえないような大ジャンプを披露し、鑑賞者の笑いを誘いました。 一方で、敵がアジトを襲撃してきた時にルパンたちが大苦戦してしまうアクションシーンや、クラリスと脱出する際にルパンの胸がピストルで撃たれてしまうようなハラハラのサスペンスも。 このように、ワクワクさせる痛快なアクションから、思わず息を飲んでしまうような緊張感溢れるアクションまで、観るものを全く飽きさせることがないのです。そしてアクションシーンを用いて私たちに夢を与えると同時にリアリティをも感じさせるのは、まさに宮崎演出の賜物でしょう!

4. キャラクター同士のやり取りから目が離せない?ルパンと次元大介の掛け合い

作品内にはクスッとくるポイントが多々ありますが、中でもキャラクター同士の掛け合い にもこだわりが感じられます。 例えば、ルパンと次元のやり取りに注目。 指輪のことを真剣に話すシーンでは運ばれてきたミートパスタを奪い合い、故障した車を修理する冒頭のシーンでは全身全霊でじゃんけんを行い、そしてルパンに何があったか聞き出そうとするシーンでは謎の格闘技をかけたり……。 物語に必要なシーンを抑えつつ、彼らのたわいもないやり取りを描くことで、絶大な信頼関係を私たちに示しているのです。 また、ルパンがクラリスを救出しに来たシーン。クラリスを助けたいという趣旨を説明しつつ、可愛らしいマジックを披露するルパンの姿は、なんとも微笑ましいですね。

5. ロマンあふれるストーリー構成にも秘密が?オマージュの使い方がエモい

『ルパン三世 カリオストロの城』を観た者はわくわくとした高揚感を抱きます。その理由は、本作のストーリー構成に隠されていました。 実は、いくつかのオマージュが本作には組み込まれているのです。それぞれのオマージュもロマン溢れるものになっています。 例えば、ダスティン・ホフマン主演の青春映画『卒業』。この映画では“花嫁を結婚式中に奪取する"という場面が非常に有名で、その後、数々の作品で模倣されるようになりました。そして『ルパン三世 カリオストロの城』でも、よく似た場面が出てきます。 また、湖の中に古代遺跡が隠されているという設定は、モーリス・ルブランの「アルセーヌ・ルパン」シリーズの一篇「緑の目の令嬢」のオマージュです。

6. リアル感もたっぷり味わえる!実際に起こり得そうな設定を織り混ぜた構成

本作には、夢のような冒険だけでなく、リアリティを感じさせる表現も描かれています。ここからは、本作でリアリティを感じられる2つの点について紹介していきます。

複雑な国際事情

本来、夢のあるストーリーとシリアスな政治的物語は共存しづらいもの。しかし、本作ではワクワクする要素がたっぷりと詰まっていながらも、実際にありそうな国際情勢を描いたプロットが展開されています。 物語の中盤、カリオストロ公国の偽札作りを目の当たりにした銭形警部は、すぐさま国際警察に証拠を提出。 しかし、国際警察は証拠を目の前にしても出動を命令することはありませんでした。それは、カリオストロ公国が「クラリスをルパン三世から守った」という建前を得ている上に、各国との強い結びつき(様々な国が偽札作りを頼んでいた背景がある)を持つ中では、世論はカリオストロ公国を支持するに違いない、という国際警察の主張があったからです。 こういった複雑な国際関係は、現実さながらにシビア。あるべき正義像とは一体何なのかを考えさせられます。

謎の偽札、ゴート札の存在

またゴート札そのもののにもリアリティとシリアスな面が感じられます。それにはとある仕掛けが。 作品の中盤で、ルパンはゴート札に対して以下のように語っていました。 「中世以来、ヨーロッパの動乱の陰に必ずうごめいていた謎のニセ金……。ブルボン王朝を破滅させ、ナポレオンの資金源となり、1927年には世界恐慌の引き金ともなった、歴史の裏舞台、ブラックホールの主役、ゴート札」 つまり、ゴート札は実際に起こった歴史に組み込まれているということ。そうすることで「本当に実在した犯罪」という印象を鑑賞者に与えるのです。

7.「カリオストロの城」はルパン三世とクラリスが大人になる物語でもある

彼らが初めて出会った当時は、幼い子供と青二才の泥棒という未熟な者同士でした。しかし再び会った時は、クラリスは美しい女性へ、そしてルパンは心身ともに成熟した大人へと成長しています。 そんな彼らの成長に合わせた関係性の変容が、本作のミソです。クラリスにルパンが救われるという関係性が、成長後はルパンにクラリスが救われるという構図に逆転します。

ルパンからクラリスへ

この逆転を受け、クラリスへの複雑な思いを抱いているルパンの様子が随所随所に描かれています。 過去に自分を助けてくれた救世主、可哀想な少女、そして魅力ある女性として、ルパンは彼女に対する複合的な視点をもち、葛藤するのです。しかし最後のシーンでは、クラリスに抱きつかれるものの手を回すことはなく、そっとおでこにキスだけをして彼女のもとから去るのでした。 ルパンがクラリスとの別れを選んだのは、彼なりの優しさがありました。クラリスのことは好きだが、彼女の想いに応えると彼女の望む平和な生活を奪ってしまうことになってしまう……そう気が付いたルパンは、彼女のために身を引いたのです。 この結末は、ルパンが心身ともに大人になったことを暗に示しているのではないでしょうか。

クラリスからルパンへ

対してルパンとの過去を思い出すことがなかったクラリスは、当初は少し怪しげなおじさま、ぐらいにしか捉えていなかったようです。しかし、彼の茶目っ気のある性格や真摯な態度を見て、次第に心を寄せていきます。 そして物語の最後には「私も連れてって!」とルパンと一緒にいたい気持ちを吐露します。しかしルパンになだめられ、そのまま彼らのやり取りは終わってしまいます。 恋は叶わなかったものの、少女から恋愛感情を覚えた女の子へと成長するクラリスの姿からは、女性としての魅力を感じざるを得ません。

8.クラリスのヒロイン像にも注目!

本作のヒロインであるクラリス像には、とあるモデルを使用したようです。 そのクラリスのモチーフとなったのは、モーリス・ルブランの「緑の目の令嬢」に登場するオーレリィという少女。オーレリィは強い自立心を持つキャラクターとして描かれており、クラリスの芯のある姿と一致するものがあります。 例えば、一人で車に乗って追っ手から逃走する場面は、彼女の強さを最もわかりやすく表しています。 しかしクラリスは強いながらもまだまだあどけなさを残し、子供と大人の狭間で揺れ動いていました。そして、その成長過程が観る者の心を強く惹き付けるのでしょう。

何度観ても最高!名作映画『ルパン三世 カリオストロの城』

一言では語りつくせない『ルパン三世 カリオストロの城』の魅力を紹介してきました。 本作は、ストーリー構成や細かい演出、魅力あるキャラクターの登場など様々な要素が引き立てあった傑作アニメ映画に仕上がっています。 ぜひこの記事を通じて、あなただけのお気に入りポイントを再確認してみてください!