2017年7月6日更新

『アニー・ホール』のあなたの知らない驚きの事実15選

1978年公開の『アニー・ホール』はウディ・アレン監督作の中でも特に人気がある映画の1つ。アカデミー賞など数々の賞を受賞し、名実ともにロマンスコメディ映画の金字塔になりました。今回はそんな本作の驚きの事実15選を大紹介!

1.映画『アニー・ホール』はミステリーになる可能性があった!?

『アニー・ホール』は最も影響力のあるラブコメディ映画の1つだという評価を得ていますが、実は監督・脚本を務めたウディ・アレンが当初思い描いていたのは全く違うもの。彼は恋愛関係を描くつもりではありませんでした。

共に脚本を務めたマーシャル・ブリックマンは当初殺人ミステリーにロマンスとコメディを散りばめた映画にする予定だったのです。

映画のタイトルも当初は『Anhedonia』というものでした。『Anhedonia』の意味は性快感消失症という意味。つまり喜びを感じることができないという意味のタイトルでした。

また上映時間も140分と実際に製作された『アニー・ホール』よりも50分も長い映画になる予定だったのです。

2.ファンタジー満載の原稿だった!?

映画製作が始まった当初の脚本には数え切れないほどのファンタジーがあったそうです。例えばアルビー・シンガー(ウディ・アレン)とアニー・ホール(ダイアン・キートン)が時空を超えてエデンの園、フランス革命が起きていた時代、そしてナチが支配をしていた時代のドイツに行くというもの。

また地獄のツアーに参加して、New York Nicksとキルケゴールなどがメンバーの哲学者チームがバスケの試合を行うというハチャメチャな空想も含まれていました。

3.『アニー・ホール』には続編があった!?

当初アルビーとアニーがイングマール・ベルイマンの映画『鏡の中の女』を土壇場に見ることをやめたシーンの続きで、2人が殺人現場の目撃者となり調査を始めるという物語になる筈でした。

しかし編集者のミステリーを映画内に挿入したくないという意向で2人が殺人現場を目撃し探偵ごっこする設定はなくなったそうです。

後に監督は『アニー・ホール』で描きたかったミステリー映画を製作していました。それは1993年公開の映画『マンハッタン殺人ミステリー』。映画で主演を務めたのは本作と同じくウディ・アレンとダイアン・キートンです。

4.タイトル宣伝のために広告会社を雇った!?

ウディ・アレン映画をよく配給する会社ユナイテッド・アーティスツは当初タイトルとなるはずだった『Anhedonia』を宣伝しようと考え、広告会社を雇っていました。

目的は大衆向けではないタイトルを身近なものにするため。そのために全米の地元新聞紙に「Anhedonia Strikes ~!(性快感消失症が~で流行!)」という見出しをつける莫大な予算がかかるプロジェクトを実行したのです。

しかし、ユナイテッド・アーティスツがタイトル変更を行うよう説得したため、このプロジェクトが実行されることはありませんでした。

5.映画のタイトルは主演女優の名前!?

映画のタイトル修正を行うことになったウディ・アレンとマーシャル・ブリックマンは様々な案を出しますが、どれも納得いくものではありませんでした。

そこで彼らはヒロインの名前アニー・ホールをそのまま映画タイトルにすることにしたのです。

名前はアニーを演じたダイアン・キートンが由来です。彼女の本名はダイアン・ホール。そしてニックネームはアニーでした。

6.ウディ・アレンが心底嫌っているシーンとは!?

ウディ・アレンは映画で使われることのなかったシーンにも愛情を持っていますが、あるシーンだけは別。彼はそのシーンが本当に嫌いでニューヨークのイーストリバーに投げ捨てたと言われるほどです。

そのシーンとは映画後半で信号機がアルビーに空を飛んでアニーを取り返しに行けと説得する空想の場面。彼がこのシーンを毛嫌いした理由は、不快なほどかわい子ぶっている印象を人々に与えると思ったからだそうです。

7.アニーの衣装は馬鹿げていた!?

映画内でアニーが着ているファッションは「アニー・ホール・ルック」と呼ばれ1970年代後半の女性たちに多大な影響を与えました。男性もののような大き目のベスト、バギーパンツ、そしてネクタイを身につける彼女のファッションは新たな女性らしさを表現するものとして大人気となったのです。

実は彼女のファッションは本役を演じたダイアン・キートンの普段着を参考にしたもの。しかし映画の衣装デザイナーはダイアンのファッションは馬鹿げていると言って、彼女にちゃんとした服を着せようとしたらしいですよ。

結果的にダイアンのファッションが世界中で受け入れられることとなりました。

8.革新的な分割画面の撮影方法とは!?

本作は当時としては画期的な分割画面を使用したことで高く評価されています。しかしこの分割画面の撮影方法はとても古典的なもの。特にアルビーとアニーがそれぞれの精神科医に会っている様子を分割画面で同時に映したシーンの撮影方法はとても単純なものでした。

その方法とは隣接したセットに薄い壁を置いて同時に撮影を行っただけです。

9.あの爆笑シーンの秘密とは!?

映画前半の最も面白いシーンの1つといえば、アルビーが友人の家でコカインをばらまいてしまい、くしゃみがとまらなくなった場面でしょう。

実はこのシーンのくしゃみは演技ではなくウディ・アレンのリアルな反応だったのです。結果的にこのシーンは劇中で最もおかしくて印象に残るシーンの1つになるのでした。

10.『アニー・ホール』は他の映画よりも2倍複雑!?

映画の1シーンの長さはシーンに含まれる会話やアクションの複雑さに比例して長くなってきます。つまり長ければ長いほど複雑な会話や素晴らしい映像を作ることができるということ。研究によると『アニー・ホール』1シーンの長さは約14秒。これは本作と同年に公開された他の映画の2~3倍の長さでした。

11.トルーマン・カポーティも出演!?

多くの人々の記憶に残っているシーンといえば、アルビーとアニーがマンハッタンの公園のベンチに座って人々を観察している場面。このシーンで「あそこにトルーマン・カポーティのそっくりさんがいるよ」と言うセリフが出てきました。

実はこの男性そっくりさんではなく、カポーティ本人だったのです。彼はアメリカの偉大な小説家で、代表作に『ティファニーで朝食を』、『冷血』などがあります。

12.ある映画との奇妙なつながりとは!?

『アニー・ホール』には今では有名ですが、当時無名だった俳優がたくさん出演しています。

特に有名なのが1978年の映画『ディア・ハンター』でニックを演じアカデミー賞助演男優賞を受賞したクリストファー・ウォーケン(アニーの自殺したがっている兄デュエイン)、1993年の映画『ジュラシック・パーク』等で知られるジェフ・ゴールドブラム(ロサンゼルスのパーティーで一言だけセリフあり)。そして1983年の映画『ナショナル・ランプーンズ/ ホリデーロード4000キロ』で知られるビヴァリー・ダンジェロ(Rob's T.V. Showの女優)の3名。

実はこの3人は本作の3か月前に公開された映画『センチネル』に出演していました。

13.映画のエンディングはタクシーの中で思いついた!?

本作は企画から制作の間に何回も台本が書き直された作品です。そのため脚本を務めた2人は完璧なエンディングを思いつくのに苦労していました。

そんな中、ウディ・アレンがエンディングにつながるようなアイデアを思いついたのはタクシーに乗っていた時のこと。彼は忘れないようにすぐにノートにメモを取ります。この時のアイデアが映画の結末にアルビーが行う「卵が必要だから」というスピーチになるのでした。

14.あの有名監督も出演していたのかも!?

世界的名監督となったウディ・アレンの映画に出演したいと思う人物はたくさんいます。しかし『アニー・ホール』以前はそう思う人は少なかったというのも事実。

彼は1973年の映画『フェリーニのアマルコルド』で知られるイタリア人映画監督フェデリコ・フェリーニと1929年の映画『アンダルシアの犬』で知られるスペイン人映画監督ルイス・ブニュエルに出演オファーをしました。

しかし、何とか出演にこぎつけることができたのは前述した通り作家のトルーマン・カポーティです。

15.ウディ・アレンは『アニー・ホール』が好きじゃない!?

本作はアカデミー賞作品賞、主演女優賞、監督賞などを受賞した誰もが認める名作...。ある1人を除いては。

実は監督を務めたウディ・アレンは『アニー・ホール』のことを気に入っていません。その理由は前述したように何度も作り直さなければならず、結果的に彼が本当に作りたかった内容にならなかったからです。