映画『ネオン・デーモン』!華やかなモデル業界の闇を描く
デンマーク出身の鬼才ニコラス・ウィンディング・レフンが監督を務める映画『ネオン・デーモン』。今作は豪華絢爛なモデル業界に足を踏み入れた少女が危険な存在になっていくというスリラー映画です。カンヌ映画祭でも話題騒然となった本作のすべてを大紹介!
『ネオン・デーモン』のあらすじ
誰もが羨む美貌を持つ主人公ジェシーはトップモデルを目指しロサンゼルスに移り住みます。特別な存在の彼女はすぐにトップモデルとしての道を歩み始めることに。しかしそんな彼女を妬む友人やモデルたちがジェシーをどんな手を使ってでも引きずり降ろそうとします。
次第にジェシーも邪悪なモデル業界に染まっていき、すべてを失っていくのです。
『ネオン・デーモン』のキャスト
『SUPER8/スーパーエイト』で知られるエル・ファニングが主人公ジェシーを演じる
純粋な少女から悪魔のような人間になっていく主人公ジェシーを演じるのはエル・ファニング。彼女は幼少期より姉のダコタ・ファニングとともに天才子役として活躍する若きスターです。
2016年現在18才でありながら多数の映画に出演している彼女は2011年公開の映画『SUPER8/スーパーエイト』でアリス・デイナーを見事に演じ、数々の称賛を受けました。
また2014年公開の映画『マレフィセント』ではアンジェリーナ・ジョリーと共演を果たしオーロラ姫を熱演しています。
日本でも絶大な人気を誇るキアヌ・リーブスがハンクを演じる
大物俳優キアヌ・リーブスも今作に出演しています。彼が演じるのはモーテルで働く男ハンク。予告映像では彼がジェシーにナイフを突きつけている様子が見られます。
日本でも大人気の俳優キアヌを一躍スターダムにのしあげたのは1994年公開の映画『スピード』でのジャック・トラヴェン役でしょう。その後もコンスタントにヒット作に出演し、主な代表作に映画「マトリックス」シリーズのネオ役、2014年の公開の映画『ジョン・ウィック』でのジョン・ウィック役などがあります。
スーパーモデル”アビー・リー・カーショウ”がモデル役で出演
オーストラリアのスーパーモデルで女優のアビー・カーショウが演じるのは若手ファッションモデルグループのリーダー、サラです。アビーはグッチ、ドルチェ・ガッバーナ、そしてシャネル等の一流ファッションブランドの広告を務めたことがあるスーパーモデル。
彼女のスクリーンデビューは2015年公開の映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の5人の妻達の1人、ザ・ダグ役でした。
その後も続々と出演作が決まり、2016年公開の映画『キング・オブ・エジプト(原題 Gods of Egypt)』では女神アナト神役で出演を果たします。
またスティーブン・キングの原作小説『The Dark Tower』の映画化作品にも出演することが決定したようです。
『ダーク・シャドウ』で知られるベラ・ヒースコートも出演
オーストラリア出身の若手女優ベラ・ヒースコートが演じるのはジジです。期待の若手女優である彼女の主な出演作は2012年の映画『ダーク・シャドウ』でのビクトリア・ウィンターズ役。この作品はティム・バートンを監督に、そしてジョニー・デップを主演に迎えた大ヒット映画です。
『ハンガーゲーム』のジェナ・マローンが演じるのはルビー
子役からキャリアをスタートし、現在も多数の映画に出演するジェナ・マローンが演じるのはルビーです。前作『ハンガーゲーム』ではジョアンナ・メイソン役で出演し、強い女性を演じました。
ジェナは今後も多数の映画に出演することが決定しており、実力派美人女優として期待が寄せられています。
メガホンをとるのはニコラス・ウィンディング・レフン
本作でメガホンをとるのはライアン・ゴズリング主演作『ドライブ』『オンリー・ゴッド』で監督を務めるなど今最も注目される監督の1人ニコラス・ウィンディング・レフンです。
エンディングはアドリブで作られた!?
本作で主演を務めたエル・ファニングによると、映画撮影は時系列に沿って行われたそうです。そしてエンディングはなんとアドリブで行われたのだとか。役者たちがアドリブで作り上げたエンディングは見ものですね。
映画最大の特徴であるカラフルな色彩の秘密
本作の最大の特徴の1つはカラフルな色使い、色彩が強いコントラストです。強い色彩が使われているのにはある理由がありました。
それは監督のニコラス・ウィンディング・レフンが中間色を識別しづらい色覚障害を患っているため。そのため彼が手掛けた映画のほとんどは色彩コントラストの強いものとなっています。
レフン監督が語る『ネオン・デーモン』の意図
監督のニコラス・ウィンディング・レフンが来日し、本作についてコメントを残しました。
本作の意図として彼が語るのは、
「輝くような美しさと、目を背けたくなるような危険。そのコンビネーションが僕は大好き。その2方向を掘り下げ、観客を驚かせたいんだ」
とのことです。
また、衝撃的なその内容に対する各メディアからの反応については、
「観ていて心地いいだけの映画ばかりつくっていたら、野心的で面白い作品は生まれない。多様性こそが大切なんだよ。NYタイムズは、僕の存在自体を憎むような批評を載せていたけど(笑)、イギリスの映画評論家は2回も観て作品の本質に迫ってくれた。美術館で気に入ったアート作品があれば、そこに何度も足を運ぶよね? そんな風に見直すたびにインパクトを与える映画が僕の理想だよ」
とコメントしています。
清純派女優のイメージが強かったエル・ファニングに関しては、
「あの年代にしては、エルは真のプロフェッショナル。恐れ知らずで、心にはダークサイドも持っている。それはアーティストとして重要な資質だ。年齢制限によって彼女の全裸を撮影することはできなかったけど、今思えばもし入れていたら逆に陳腐な作品になったかもしれない」
とのこと。
そして、本作中に見られる過激な描写については、
「一般的にタブーとされる描写は、ただ挿入するだけなら、こけおどしに終わる。衝撃的なシーンも、僕はしっかりとストーリーを機能させるため、そして生と死というテーマを象徴するために使っているんだ。そこにはデジタルなものに慰めを求める現代人への皮肉も込めているよ」
と、レフン監督の本作に対する意気込みが大いに感じられるコメントになっていました。
ハイブランドが提供した衣装に注目!
(C)2016, Space Rocket, Gaumont, Wild Bunch
レフン監督の「偽物ではなく、既成概念の枠を超えた高級ファッションの舞台を作り上げたい」と言う思いを基に選ばれた衣装は、「エンポリオ・アルマーニ」や「サンローラン」をはじめ「ヴィヴィアン・ウエストウッド」や「サルヴァトーレ・フェラガモ」など、いずれも一流のブランドのものが主流です。
エル・ファニング演じる主人公のジェシーが着用しているトップスは、サンローランの衣装です。
(C)2016, Space Rocket, Gaumont, Wild Bunch
ジェシーに強い嫉妬心を抱く、アビー・リー演じるサラとベラ・ヒースコート演じるジジが隣り合って立つシーン。ここで二人が着用しているのは、レディ・ガガ御用達の「Marina Hoermanseder」というブランドのものです。
(C)2016, Space Rocket, Gaumont, Wild Bunch
ジェシーが首から血を流しソファーに横たる印象的なシーン。ここで着用している鮮やかな深みのあるブルーのドレスは、エンポリオ・アルマーニのもので、実際着用したエル・ファニングも絶賛しているそうです。
(C)2016, Space Rocket, Gaumont, Wild Bunch
同じくエンポリオ・アルマーニの衣装で、こちらは黒のロングドレス。堂々とした姿でファッションショーの舞台に立つシーンは、迫力のある美しい映像にくぎ付けになってしまいます。
本編のいたるところに、レフン監督が拘った、衣装を通して魅せる美しい映像の世界が広がっています。
『ネオン・デーモン』海外の評価感想※ネタバレ注意
『ネオン・デーモン』は海外ではすでに公開されているため、ネット上に次々と評価感想がアップされています。海外の人気映画サイトIMDbで平均6.4/10とまずまずの評価を獲得しているようです。
全てが美しい
写真、構図、そして音楽は全て美しくて知性さえ感じたよ。劇中にはたくさんの鏡と明かりが効果的に使用されているシーンがあって本当に興味深かった。記憶に残るシーンもたくさんあっていい映画だった
美しいビジュアルと全く進まないストーリー
ビジュアルは豪華で、サウンドトラックも素晴らしかった、そして撮影方法も何か考えさせられるものがあったよ。でも本当のストーリーはないんだ。美しいビジュアルを取り払ったら、待っているのは全く進んでいないように感じられるストーリーだけ。
格好いホラー映画
もしかしたら映画が長いなと感じるかもしれないわ。でも最後まで絶対に見て。エンディングは鳥肌が立つほど素晴らしいわ。これは格好いいホラー映画よ。見る価値は十分にあるわ。
『ネオン・デーモン』の感想・評価
YU66
勝手にトップモデルへのサクセスストーリーかと思っていましたが、プチスプラッターでした。そしてR15ではなくR18ぐらいの破壊力でした。
点数が低いですが、嫌いな映画ではありません。むしろ鑑賞中驚きの展開にニヤついてしまいました。
xxx_nun
どの瞬間を切り取ってもNEON DEMONほど綺麗な映画は珍しいと思う。
エル・ファニングをはじめとする出演者が全員美人、そしてスタイル抜群。さらに、演出もお洒落で出てくるもの全てが可愛い(特にモデル業界とだけあってファッションは格別!)。
そんな美しい世界の中で起こる嫉妬が彼女達を狂わせ、最悪の結末を迎える事に観客はただ息を呑んで見守ることしか出来ない。
そして、甘美で今にも壊れてしまいそうな儚げな雰囲気は、次々に続くグロテスクなシーンにも健在。どんなに怖い場面でも、その美しさのあまり、画面から目を離す事が出来なかった。そのリアルなバイオレンスシーンと暴力的な美しさに、恐怖で手が震えてしまう程。
美に執着し、美を得る為なら悪魔に魂を売る事も厭わない登場人物たち。美大生や服飾学生、美を追求する人々におすすめの映画。
dtanbe
海外版ヘルタースケルター的な。
loomis
映像は綺麗で、描写は隠喩的なものが多くて面白い。でもグロいのは受けつけられなくて無理だった。
これが人間の飽くなき美への欲求のグロさか。
エル・ファニングが意外によくて、まだ上京したばかりの、一見ピュアに見える、しかし本質的には自分の美を誇って他人を見下してる意識が垣間みえる演技が良かった。
最初のシーンで、「主人公は死にますよー」って明かしてるけど、自殺とかではなく、殺されるってとこに意外性があった。 最終的には主人公ではなく、その周りの女たちが美への執着を隠喩的にグロく、綺麗に表現していた。
#ネタバレ