実際の政治に大きな影響を与えた社会派映画9選
社会的な影響を与えた映画を紹介!
皆さんはなぜ映画を見に行きますか?現実から逃げるために映画館に行き、スクリーンにドップリはまる方も中にはいるかもしれません。巨大な銃で巨大なCGのうさぎを撃っているシーンとか…。 特に内容は関係なく、なんとなく楽しめればいいと思っている方もいるのではないでしょうか?ただし、安っぽいスリルと笑いだけではない作品も多くあります。 ときに映画が世界を変えてしまうこともありえるのです。チケット売り場を飛び越えて現世界の社会を変えたフィルムを10作品ご覧ください。
アメリカ国民が政治に希望をもてなくなった『JFK』【1991】
オリバー・ストーン監督の1991年に公開された『JFK』はかなりの議論を巻き起こし、映画による精神的作用についての研究が行われました。 スタンフォード大学のリサ・バットラー臨床心理士の1997年の研究から『JFK』鑑賞後、怒りの感情が2倍になることがわかったそうです。 さらに、政治的概念にも影響があったり、映画に感化され投票などの政治にかかわろうとする意志がかなり下がってしまうことが明らかになりました。
温暖化に注目を集めさせた『デイ・アフター・トゥモロー』【2004】
イェール大学の研究者が映画公開3週間後に温暖化についてのアンケート調査を実施。 映画を見ていない人のうち72パーセントが温暖化の影響に注目していました。そして、映画を見ると83パーセントにまで上がることがわかりました。さらに映画鑑賞者は都心の洪水などの気候の変化による災害がここ50年でおこるリスクを心配する傾向にあることが判明したそうです。
共和党の報道機関に対する態度を変えた『大統領の陰謀』【1976】
アメリカの新聞(ワシントン・ポスト)記者ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインがウォーターゲート事件を追いかけ、共和党のリチャード・ニクソン大統領の権力の乱用を暴露するという内容の作品です。 この二人の勇敢な記者を描いた『大統領の陰謀』はアメリカのジャーナリズムの学校への入学者を増やしたそうです。 1979年にオレゴン大学とカンザス州立大学の教授が共和党と人民党の報道機関に対する考えがそれぞれどのように映画の影響を受けたか研究しました。 改進的な考えをもつ人は映画の中の報道機関にいいイメージをもち、逆に保守的な考えを持つ人は報道機関に悪いイメージをもつという研究結果が得られました。
反乱の教科書となった『アルジェの戦い』【1966】
1954年から1957年にアルジェリア人がフランスから独立しようと武装蜂起し、はじまった戦争についてのドキュメンタリー映画です。 監督のジッロ・ポンテコルヴォは中立な立場で双方の視点からこの映画を作ったようですが、フランスの権力者たちは監督をアルジェリア派だとひどく非難しました。 フランスでは政治的に危険と判断され、公開後5年もの間上映禁止になってしまいました。 しかし、反乱の教科書または反乱を抑える教科書としてフランス以外では上映されていたと言われています。
妊娠中絶を合法にした『アルフィー』【1966】
イギリスがまだ妊娠中絶を禁止していたころにマイケル・ケイン主演のクラシック映画『アルフィー』が1966年に上映されました。 アルフィーのセフレが妊娠し、苦しみながら不法に中絶するという結末を迎える映画です。この非合法的な妊娠中絶というテーマに観客は多大なるショックを受けました。 公衆は『アルフィー』をスキャンダルとして受け止めるだけではなく、心を動かされたそうです。そうでなくては一年後にイギリスの国会が妊娠中絶法を制定し、認可された医者による中絶を許可するということにはならなかったでしょう。 ちなみに『アルフィー』で行われたような危険な中絶は改めて禁止されたそうです。
売春防止法の発端『赤線地帯』【1956】
東京のいかがわしい地域でせっせと働いている5人の売春婦にまつわる話です。溝口健二監督は当時日本の社会において常に後回しにされていた女性の人生にスポットをあて脚色しました。この目新しい内容は観客と政治家に強い衝撃を与えたそうです。 公開から数か月後、国民からの強い要望により日本の政府は売春防止法を施行しました。この法律の効果はいまいちわからないそうですが、『赤線地帯』の効果は抜群だったようです。
未成年の労働法の改革へ導いた『ロゼッタ』【1999】
ジャン=ピエールとリュック・ダルデンヌ監督が貧困から抜けだそうと必死にもがく17歳の女の子を撮りました。『ロゼッタ』は幅広く支持され、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞しました。 『ロゼッタ』はいいようにこき使われる未成年者を映し、それがベルキー人の興味を強くひいたようです。これによりベルギー政府は児童労働法を見直し、未成年でも最低賃金は支払われるよう改正しました。
10.死刑制度について論争を巻き起こした『殺人に関する短いフィルム』【1988】
クシシュトフ・キエシロフスキー監督の『殺人に関する短いフィルム』は気持ちのいい内容ではありませんが、映画の質は高くメッセージ性の強い作品です。 残酷な殺人とそれに伴う極刑という内容は死刑執行についてポーランド中議論を巻き起こしました。観客は内容に激怒し、また動揺もしたようです。『殺人に関する短いフィルム』は死刑制度に対して議論を勃発させたことと、それにより死刑制度を廃止させたことで賞賛されました。