映画『ガンジー』に出演していたキャストの現在に迫る!
アカデミー賞作品賞、主演男優賞をはじめ8部門を受賞し、世界を感動の渦に巻き込んだ、1982年の傑作映画『ガンジー』。
イギリスの植民地であり、有色人種へのアパルトヘイトが行われていた1893年の南アフリカ。同じくイギリスに支配されていたインドに存在する不平等と差別。南アフリカでの青年時代から暗殺までの、ガンジーの自由と平和を求める闘いを描きます。
当時のベテラン俳優だけでなく、若手俳優やインド人俳優を起用した本作ですが、作品に登場した俳優陣はその後どうしているのでしょうか?その気になる現在をご紹介します。
マハトマ・ガンジー/ベン・キングスレー
イギリス人のベン・キングスレーは本作でガンジーを演じ、アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。風貌だけでなく、ガンジーの不屈の精神までも感じさせるその演技は、「伝記映画の歴史に残る」と激賞されました。本作の後も、華々しい活躍を続けています。
『シンドラーのリスト』(1993)では、英国アカデミー賞助演男優賞にノミネート。
またベン・キングスレーは、『バグジー』(1991)『セクシー・ビースト』(2000)『砂と霧の家』(2003)の計3回アカデミー賞ノミネートされています。
現在、人気アメコミ作品の『アイアンマン3』(2011)でマンダリン役を演じるなどハリウッド大作でも活躍を続けています。2002年には英国王室からナイトの称号を与えられました。
カストゥルバ・ガンジー/ロヒニ・ハタンガディ
ガンジーの妻カストゥルバ・ガンジーを演じたのはインド人女優のロヒニ・ハタンガディでした。1982年当時27歳だった彼女は、中年のカストゥルバも過不足なく演じきりました。
彼女はインド人女優で唯一、英国アカデミー賞 助演女優賞を受賞しています。また、優れたインド映画を評価するフィルムフェア賞を『Arth(原題)』(1982)と『パーティ』(1984)で、計2回受賞しています。
彼女はインド国内を中心に映画、舞台、TVなど幅広く活躍していますが、実は舞台女優からキャリアをスタートをしました。演劇グループを結成したり、近年では夫と芸術教育と研究のための機関を立ち上げたりしたことで、インド演劇への貢献を称えられ、国内で表彰もされています。
『ガンジー』での印象が強いためか、母親役を演じることが多いようです。イメージとしても実績としても彼女はインド映画の母と呼べるのではないでしょうか。
ジャワハルラール・ネルー/ロシャン・セス
本作でガンジーの独立闘争の同士であり、後にインドの初代首相になったジャワハルラール・ネルーを演じました。
高い理想と政治的手腕、そしてガンジーを気遣う優しさを併せ持つネルーの演技は、第36回英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。『ガンジー』での演技が評価され、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 I』(1984)『インドへの道』(1984)で重要な役を演じます。
『ストリート・ファイター』(1994)『バーティカル・リミット』(2000)などアクション大作にも度々出演しています。1998年の映画『かくも長き旅』で第19回ジニー賞最優秀男優賞を受賞します。
イギリスやアメリカ映画にもコンスタントに出演しているため、彼の姿を探してみるのも楽しいかもしれません。
パテル/サイード・ジャフリー
インドで生まれ、イギリスで活躍するサイード・ジャフリーが演じたのは、ガンジー、ネルーの独立闘争の同士であり、インド国民会議の議長であるパテルです。
1980〜1990年代には、サイード・ジャフリーはイギリスのアジア俳優の最高峰だと評価されていました。実は、アジア人としては初めてイギリスとカナダの映画賞にノミネートされています。『マイ・ビューティフル・ランドレット』(1985)『インドへの道』(1984)などの演技で知られています。
また、美声の持ち主としても有名で、インドの性愛の聖典『カーマ・スートラ』の英訳『愛の技法』(1996)の朗読はタイム誌が「史上5本の指に入る最高の朗読」として絶賛したほど。
インド映画の俳優としても活躍しており、インドのお茶の間では親しまれているそうです。
ダイヤー将軍/エドワード・フォックス
イギリス人俳優エドワードフォックスは、非武装の市民を虐殺したアムリットサル事件の責任者であるダイヤー将軍を演じました。この事件をきっかけとしてガンジーと植民地総督との対話が行われます。
非公式のジェームズ・ボンド映画で「M」を演じた、『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)『バウンティ/愛と反乱の航海』(1984)『ロスト・イン・スペース』(1998)での演技で知られているエドワード・フォックス。
イギリスでは舞台俳優としても有名で、途切れなく活躍している彼は、2010年には一人舞台の作品を演じたり、ウィンストン・チャーチルを演じるなどトップクラスのベテランと言えます。
マーガレット・バーク=ホワイト/キャンディス・バーゲン
アメリカ人女優キャンディス・バーゲンは実在したアメリカ人カメラマンのマーガレット・バーク=ホワイトを演じ、ガンディーの偉業を全世界に伝える役を担いました。
テレビシリーズ『TVキャスター マーフィー・ブラウン』(1988-1998)で主演を張ったキャンディス・バーゲンは、エミー賞を本作で5回、ゴールデングローブ賞主演女優賞を2回受賞しました。この作品は大成功を収め、9年続く長寿番組になり彼女はコメディ女優として最も成功した人物となりました。
TVでも精力的に活躍しており、アメリカの名門番組である「サタデー・ナイト・ライブ」の司会を女性として初めて担当しています。
また映画の中だけでなく、実際に彼女は写真家としても才能を発揮。「ヴォーグ」、「コスモポリタン」、「ライフ」誌などにも写真を発表しています。 日本では一眼レフカメラ・ミノルタXDのイメージキャラクターを務め、TVCMにも出演しました。
ヴィンス・ウォーカー/マーティン・シーン
アメリカ人俳優マーティン・シーンは、本作で架空のニューヨーク・タイムズ誌のジャーナリスト、ヴィンス・ウォーカーを演じました。彼は南アフリカ時代からのガンジーの賛同者であり、インドでもガンジーを取材し、ガンジーの思想を世界に伝えます。
『地獄の黙示録』(1979)のウィラード大尉役で有名なマーティン・シーンは、『ガンジー』の後も数々の映画やTV作品に出演しています。『ザ・ホワイトハウス』では、エミー賞に6回ノミネートされ、2001年には「TVガイド」誌の主催するTVガイド賞年間最優秀俳優賞を受けています。
その他、『ウォール街』(1987)、『ディパーテッド』(2006)、主人公の養父を演じた『アメイジング・スパイダーマン』(2012)や『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)でも見覚えのある方は多いでしょう。