映画『シンドラーのリスト』に出演したキャストは今
スティーヴン・スピルバーグがメガホンをとった1994年公開の映画『シンドラーのリスト』は、第二次世界大戦中ナチスドイツの占領下にあったポーランドのクラクフ・ゲットー(ユダヤ人の隔離居住区)を舞台に、ドイツ人の工場主オスカー・シンドラーがおよそ1100人のユダヤ人の命を救ったという実話に基づく物語です。
アカデミー賞で多くの部門でノミネートされ、作品賞、監督賞をはじめ7部門を受賞しています。この大作に出演したキャストたちの今をご紹介。
オスカー・シンドラー/リーアム・ニーソン
1952年6月7日生まれの北アイルランド出身の俳優リーアム・ニーソンは、ユダヤ人の命を多く救ったオスカー・シンドラーを演じ、アカデミー賞やゴールデングローブ賞などで主演男優賞にノミネートされました。
彼はその後もアナキン・スカイウォーカーが主役となる1999年『スター・ウォーズ』新三部作でのクワイ=ガン・ジン役や2005年公開の『バットマン ビギンズ』ヘンリー・デュカード / ラーズ・アル・グール役などの人気作で活躍しているほか、2006年からの『ナルニア国物語』でのアスランの声を担当するなど声優としても多くの映画に参加しています。
2008年から大人気アクション『96時間』シリーズでブライアン・ミルズを演じ、最近では最強の父親としてすっかりお馴染みに。
2017年には『タクシードライバー』や『グッドフェローズ』などで知られるマーティン・スコセッシ監督による、遠藤周作の小説『沈黙』をもとにした『沈黙 -サイレンス-』に出演する予定です。
イザック・シュターン/ベン・キングズレー
ユダヤ人の会計士イザック・シュターンを演じたのは、1943年12月31日生まれのイギリスの俳優ベン・キングズレーです。
1983年公開の『ガンジー』にマハトマ・ガンジー役で主演し、アカデミー賞や英国アカデミー賞で主演男優賞を受賞しているほか、1992年公開の『バグジー』、2000年公開の『セクシー・ビースト』でアカデミー賞助演男優賞にノミネート、2004年公開の『砂と霧の家』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。
2002年にはイギリス映画界への貢献に対し、ナイトの称号が授与されました。近年では2013年公開の『アイアンマン3』にマンダリン役、2015年公開の『ナイト・ミュージアム/エジプト王の秘密』にマレンカレ役で出演。2016年に公開されたディズニーの実写版『ジャングル・ブック』ではパギーラの声を演じています。
アーモン・ゲート/レイフ・ファインズ
冷酷なナチス親衛隊将校アーモン・ゲートを演じたのは1962年12月22日生まれのイギリスの俳優レイフ・ファインズです。
彼はこの役で英国アカデミー賞助演男優賞をはじめ多くの映画賞を受賞しています。その後も1997年公開の『イングリッシュ・ペイシェント』ラズロ・アルマシー役でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。
2005年公開の『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』以降のシリーズでは、最も恐れられているヴォルデモート卿役を演じていることで有名ですね。
2014年公開のウェス・アンダーソン監督による『グランド・ブダペスト・ホテル』ではムッシュ・グスタヴ役を演じ英国アカデミー賞やゴールデングローブ賞など多くの映画賞にノミネートされました。
2016年公開の映画『ヘイル・シーザー』ではローレンス・ローレンツ役で出演。2017年にアメリカで公開予定の『ザ・レゴ・バットマン・ムービー(原題)』ではブルース・ウェインの執事ペニーワースの声を演じると言われています。
エミリエ・シンドラー/キャロライン・グッドール
シンドラーの妻エミリエを演じたのは1959年11月13日生まれのイギリスの女優キャロライン・グッドールです。
ロイヤル・シェイクスピアン・カンパニーに所属し、演劇界でも活躍しているほか、1992年公開のスティーブヴン・スピルバーグ監督の映画『フック』にも出演しています。
近年ではゲイリー・マーシャル監督の『プリティ・プリンセス』シリーズでアン・ハサウェイ演じる主人公ミアの母親ヘレン・サーモポリス役を演じているほか、2014年公開のラース・フォン・トリアー監督の『ニンフォマニアック』では心理学者役で出演しています。
ヘレン・ヒルシュ/エンベス・デイヴィッツ
ナチスの将校アーモン・ゲートの屋敷のメイドだったヘレン・ヒルシュを演じたのは、1965年8月11日生まれのアメリカ出身で南アフリカで育った女優エンベス・デイヴィッツです。
彼女は2001年公開のラブ・コメディ映画『ブリジット・ジョーンズの日記』にナターシャ役や、2011年公開の『ドラゴン・タトゥーの女』アニカ・ジャンニーニ役、マーク・ウェブ監督の『アメイジング・スパイダーマン』シリーズでのピーター・パーカーの母親メアリー役など、話題作に出演しています。
赤いコートの少女/オリヴィア・ドブロフスカ
ホロコーストという大変重い題材を扱った『シンドラーのリスト』の制作は、監督や俳優たちにとっても負担の大きいものでした。俳優たちは撮影中に体調を崩し、スピルバーグ監督はセットでも妻や子供たちに付き添ってもらっていたそう。ロビン・ウィリアムズに2週間ごとに電話をして笑い話をしてもらったという逸話も残っています。
制作から20年以上がたち、『シンドラーのリスト』の最も若い出演者の一人が当時のことを振り返っています。白黒の画面の中で赤いコートが印象的だった少女を演じたオリヴィア・ドブロフスカは撮影時3歳で、映画の悲惨さや重要性をまだわかっていませんでした。18歳になるまで本作を見ないことをスピルバーグ監督と約束したそう。
監督のアドバイスに反して、11歳で『シンドラーのリスト』を見てしまった彼女は次のように語っています。
私は恐怖に襲われました。ニ度と見たくないと思いました。映画に出たことを恥ずかしく思い、両親が私が出演したことを誰かに話すと腹を立てました。
18歳になった彼女は再び見返し、この映画のことを誇りに思うようになったそう。
スピルバーグ監督は正しかったのです。私は(『シンドラーのリスト』を)見るためには成長しなければなりませんでした。
スピルバーグ監督は本作が失敗作になると予想していたようですが、現在に至るまで高く評価される作品となっています。