サムの活躍に涙が止まらない。『ロード・オブ・ザ・リング』影の功労者を紹介
『ロード・オブ・ザ・リング』“影の功労者”、サムとは?
サムという愛称で呼ばれているホビットのサムワイズ・ギャムジーは、一つの指輪を葬る冒険『ロード・オブ・ザ・リング』において、必要不可欠な人物です。 彼は、戦士でも何でもないただのホビットの庭師でありながら、それまで一歩も出たことがない外の世界に飛び出し、冒険が終わるその時まで、精神も肉体も蝕まれたフロドを自らの疲労はお構いなしに全力で救い続けた影の功労者で、彼がいたからこそ成し遂げられた物語こそが『ロード・オブ・ザ・リング』なのです。
はじめはただの平凡な庭師
ショーン・アスティン演じるサムは実に素朴なホビットであり、好奇心があり、少々どんくさく、そして正義感が強く、仲間想いの真面目な人物です。 イライジャ・ウッド演じる主人公フロドのお家の庭師をしていた彼は、好奇心からガンダルフとフロドが話していたひとつの指輪の話を少し聞いてしまい、聞いた以上は身が危ないとして、庭師からフロドの小姓の様な存在となり、冒険に出ることに。 決して飾らないながらも、この冒険では、そして特にフロドは、そんなサムの存在に幾度となく救われていきます。
約束を守り抜く男、サム
『ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間』の終盤、想像を絶した過酷な旅となることを予期したフロドはすべての仲間を置いて自分一人だけで滅びの山へひとつの指輪を葬りに行こうとします。しかし、それに気づいたサムは追いかけ、泳げないのにもかかわらず川へ飛び込みフロドを救いました。 泳げないのに何故追ってきたのか、と聞かれたサムは、フロドに対してどんな時もそばを離れないと約束した、と告げます。こうして2人の冒険が新たに始まることとなったのですが、ホビット庄を出てから冒険の終焉まで、時には対立しながらも彼は決してフロドのそばを離れず、約束を果たしたのでした。
シリーズ通しての名台詞のひとつを言っている
『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』の終盤で、フロドは一切の望みや希望を抱けなくなり、冒険を続けるのが困難になるかと思わされます。同じくサムも冒険の過酷さが身に沁みてはいましたが、そんな現状について、彼にこう語りかけました。
サム「まるで、偉大な物語の中にでも迷い込んだような気分です。闇や危険が一杯に詰まっていてその結末を知りたいとは思いません。幸せに終わる確信がないから。
こんな酷いことばかり起きた後で、どうやって世界を元通りに戻せるんでしょう?でも、夜の後で必ず朝が来るように、どんな暗い闇も永遠に続くことはないんです。新しい日がやって来ます。
太陽は、前にも増して明るく輝くでしょう。それが人の心に残るような偉大な物語です。子供の時読んで理由が分からなくても、今ならフロド様。なぜ心に残ったのかよく分かります。登場人物たちは重荷を捨て、引き返す機会はあったのに帰らなかった。信念を持って道を歩き続けたんです。」
フロド「その信念って何だい?」
サム「この世には、命を懸けて戦うに足る素晴らしいものがあるんです。」
この台詞は、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの名台詞のひとつに挙げられている人気の言葉で、フロドはこの言葉を受けて冒険の終わりを目指すことを決意します。 スクリーンを超えて、鑑賞者にも勇気を与えてくれる、そんな言葉ですね。
一緒に重荷を背負う
滅びの山に到達したフロドですが、敵も力を巻き返したこともあって指輪が持つ冥王・サウロンの邪悪な力が影響し、正常な判断が出来ず、肉体と精神も蝕まれて立つことすらままならなくなってしまいます。 このひとつの指輪を自分が持って同じ傷みを味わうことはサムにはできません。しかし、サムはフロド自身を抱えていくことで、その重荷や傷みを少しでも共有しようとし、火口付近までフロドを抱えて走り上ります。 自らももちろん疲弊していながら、最後まで彼へ無償の愛をもって、共に冒険を終わらせようとする強い決意がまじまじと表されていますね。
常に冒険の光であり続けた
ひとつの指輪がもつ邪悪な力は強大なもので、実際に所有した者でないとその苦しみは到底理解できません。作中に登場し、フロドとサムの案内人を務めるも、指輪への未練が断ちきれないゴラムや、指輪に魅せられてしまったボロミアなどからわかる通り、所有者を誘惑し、狂気の世界へと導いてしまいます。 そのため、作中では何度もフロドが闇の精神世界へ身を投じそうになりますが、その度に身近で救い支え続けたのがサムでした。いうなれば、この冒険を通じて、彼らの光のひとつがサムだったのでした。 そんな彼は、フロドが巨大蜘蛛に襲われた時にエアレンディルの光で蜘蛛を撃退していますね。
旅を通じて得たもの
サムはかねてからホビット庄に住んでいる幼馴染のロージー・コトンが好きでした。しかし、内気な彼はロージーとは積極的な会話もままなりませんでした。しかし、冒険が終わりホビット庄に帰ってきた彼は、パブでロージーを見かけると自ら声をかけに行き、2人はめでたく結ばれます。 以前の彼なら起こさなかったかもしれない行動でしたが、指輪を葬る冒険を通じて、彼は前進する勇気を得たのではないでしょうか。それまでは二歩も三歩も後ろを歩くような内気なホビットでしたが、希望をもって前へ進み続けると、何かが大きく変わっていく、ということを得たのかもしれません。 本シリーズで愛する者と結ばれた人物は、常に仲間のため民のためにと戦い続けたアラゴルン、そしてフロドを支え続けて目的を成し遂げたサムであり、彼が作中の影のヒーロー、功労者である、ということが暗示されているのかもしれませんね。