サウロンの素顔が判明!なぜ力の指輪を作った?「ロード・オブ・ザ・リング」今後の展開を考察
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの壮大なストーリーには実に多くの悪役が登場します。個性豊かな悪役の中でもずば抜けて凶悪なキャラクターは、冥王サウロンでしょう。 3部作全ての公開終了から10年以上経過しても、スティーブン・キングが選ぶ究極の悪役10選に選ばれ、 英エンパイア誌の悪役人気投票では12位に食い込む存在感を見せるサウロン。 そんな彼を徹底的に深掘りし、ドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』での活躍や正体などについても考察していきます。 ※本記事は「ロード・オブ・ザ・リング」3部作、「ホビット」3部作、『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』第7話までのネタバレを含む可能性があります。未鑑賞の場合はご注意ください。
サウロンの基本情報
本名 | サウロン |
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呼び名 | 冥王, かの者, 指輪王, 死人占い師, 死人遣い(ネクロマンサー) など |
出身 | ーー |
種族 | アイヌア(マイアール) |
サウロンはもともと創造神が最初に生み出した精霊アイヌアの1人で、魔法使いのガンダルフらと同じ「マイアール(マイア)」と呼ばれる種族でした。悪に堕落したのちエルフを騙して指輪を作らせ、その後自らの魂を込めて「一つの指輪」を作ります。 「一つの指輪」を奪われて肉体を失ったサウロンは、映画では鎧姿や「目」として登場。作中のラスボスです。
なぜ指輪を作った?
サウロンがエルフに指輪を作らせたのは、エルフ達を監視し支配するためでした。エルフの金銀細工師達は、サウロンが教えた技術を使って指輪を作ります。 その後サウロンが自らの魔力を込めて作った「一つの指輪(力の指輪)」は、エルフが作った19個の指輪とその所有者を支配し、操ることができたのです。
『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』での“サウロン探し”
「力の指輪」での素顔は?
サウロンは精霊アイヌアであるため、本当の意味での肉体や顔は持っていません。しかし外見を自由自在に変えることができたため、美しいエルフや人間の姿になって各種族を騙したと言われています。 そのためドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』では、この人が実はサウロンなのではないか?というサウロン探しが大盛り上がり!ついに最終話で明かされたサウロンの正体はハルブラントでした。 はじめは「よそびと」がサウロンかと思わせる展開でしたが、彼はイスタル(良い魔法使い)でした。 一方ハルブラントは、「肉体を超えたパワー」という言葉を使ったことでガラドリエルからサウロンではないかと正体を怪しまれます。南方国の家系図とともに問い詰められると、自らの正体をさらしてガラドリエルを苦しめ、エルフの国から去っていきました。 以下では最終回前にサウロンであると考察されていた4人のキャラクターの正体や今後を考察していきます。
①ハルブラント
エルフのガラドリエルが海で遭難中に出会った人間のハルブランド。2人はともにヌーメノールへ行き、ハルブランドはそこで鍛治の才能を発揮します。また彼は南方国の王の紋章を身につけていました。 原作設定では、サウロンは美しい容姿でエルフに近づき、鍛治の技術をエルフの鍛治師に伝授して「力の指輪」を作らせています。またヌーメノールの民たちも騙して支配した天才的な詐欺師です。サウロンの動向や特徴に最も近かったハルブランドが、はやりサウロンでした。 ガラドリエルに正体を見抜かれたハルブラントは、ガラドリエルの意識の中に入り説得を試みていました。原作設定でも、サウロンは第二紀の初め、純粋に中つ国を再建しようとしたことがあったそうです。しかしガラドリエルの説得に失敗し、そのまま立ち去りました。 ハルブラントはエルフの国からいなくなったので、そのまま南方国の王になる可能性もあります。しかし大詐欺師であるサウロンなら、今後のシリーズでも何か別の種族に化けて、中つ国を混乱に陥れる可能性が高いのではないでしょうか。 シーズン2にもしハルブラントがいなければ、サウロンらしき新しい登場人物に目を光らせておきましょう。
②謎の女性
第5話の冒頭でよそびとの墜落場所を観察していた、白装束の謎の女性。2人の女性を引き連れた怪しい人物です。この3人は情報が少なく、どんな人物かはわかっていませんが、強い魔力を持っていること、サウロンに仕えたいと思っていることはわかっています。 第7話ではたいまつの火を握りしめると、その指に息を吹きかけただけでハーフットの集落全体に火をつけるという魔力を見せました。さらに第8話ではよそびとをサウロンだと勘違いして追いかけていたことも判明。 最後はよそびとに消されましたが、生死は定かでないので、来シーズンでも登場するかもしれません。
③よそびと
ハーフットの集落の近くに墜落したよそびとは、意思疎通ができないこともあり、どこから来たのか正体不明で怪しいキャラクター。 ハーフットの少女たちと心を通わせているように見えますが、非常に強力な魔力を持っているようで、蛍を殺したり狼を追い払ったりと悪い魔法も使えたためサウロンではないかと考察されていました。 しかしよそびとの正体はイスタルでした。イスタルとは中つ国を救うためにアマンの地から送られるマイアール。複数形だと「イスタリ」と呼ばれる魔法使いです。 あのガンダルフもイスタルだったので、よそびとはガンダルフではないかという考察がますます賑わっています。今後の展開に注目していきましょう。
④アダル
オーク軍を従えるアダルは人間が暮らしていた南方国を奪い、第7話のラストで「モルドール」を作りました。モルドールとは原作や映画版でサウロンが王として君臨した王国です。 しかしアダルはサウロンを殺したと言ったうえに、自らをウルク(元エルフ)だと言ったので、精霊アイヌアであるサウロンだという可能性はほぼないでしょう。アダルが南方国周辺を奪うことに執着していた理由が気になるところです。
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原作でみるサウロンの人生年表
ここからはサウロンの人生を時系列順に紹介していきます。原作や映画「ロード・オブ・ザ・リング」3部作、「ホビット」3部作、ドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』のネタバレを含む可能性があるため、読み進める際は注意してください。
紀元前 | ①鍛冶・工芸の神アウレに仕える ・「マイロン」という名前 ②冥王モルゴスに誘惑されて堕落 ・モルゴスの最強の手下に ・モルゴスと悪事を尽くす ・アウレの下でスパイ活動 |
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第一紀 | ①「宝玉戦争」に参加 ・モルゴス捕まる ・サウロンは逃げる ・兵力増強 ②「怒りの戦い」で再び敗北 ・サウロンまた逃亡 |
第二紀 | ①中つ国を再建させようとする ・力をつけるとすぐにまた堕落 ②モルドールに拠点を構える ・20の指輪の誕生 ③エルフと対立する ④ヌーメノールを滅ぼす ⑤「最後の同盟」の結果 “力の指輪“を失う |
第三紀 | ①サウロンは静かに力を蓄える ②ゴラムが指輪を拾う ③ビルボが指輪を拾う ④フロドが指輪を受け継ぐ ⑤指輪戦争→指輪が破壊される =サウロン滅亡 |
〜第一紀
時が始まるよりも前に生まれたサウロンは、鍛冶神アウレに仕えるマイアールでした。アウレに使える者の中でも特に優秀なサウロンでしたが、アルダ(地球)の黎明期に、諸悪の根源であるメルコールに誘惑され堕落します。 アルダを我が物にしようとしたメルコールは、やがて冥王モルゴスとなりました。サウロンはモルゴスの副官として残酷な力を示していきます。600年間に渡る「宝玉戦争」の末にモルゴスが追放されると、中つ国に姿を隠しました。
第二紀
美しい外見を使ってエルフに近付き、彼らに様々な知識を与えたサウロンは、第二紀1500年頃に「指輪」を鍛えさせることに成功します。そして第二紀1600年頃、自らの魔力の大部分を込めて、他の指輪を支配する「一つの指輪」を完成させました。 ところがエルフに目的がバレてしまい、エルフを支配するという計画を果たせなかったサウロンは、エルフとの戦いを開始。モルゴス時代の下僕を集め、多くの人間を支配して勢力を強め「冥王」と呼ばれるようになります。 しかし第二紀末期の3430年、人間とエルフの「最後の同盟」が結ばれ同盟軍と戦ったサウロンは、人間のイシルドゥアに「一つの指輪」を奪われます。魔力と肉体を失ったサウロンは力を失って去っていきました。
第三紀
サウロンの台頭は終わったものの、「一つの指輪」が破壊されなかったため、サウロンは少しずつ力を取り戻していました。第三紀1100年頃にはネクロマンサー(死人遣い)として姿を現します。 再び中つ国で勢力を広げていったサウロンは、やがて「一つの指輪」がホビットの手にあることを嗅ぎつけました。指輪を取り返そうとして、3018年より「指輪戦争」がスタート。 第三紀末にホビットの青年フロド・バギンズが「一つの指輪」を破壊したことで、全ての力を失って消え去ったのでした。
サウロンの強さ・能力
能力
アウレに仕えていた頃のサウロンは、鍛治や工芸の技術に長け、世界を構成する物質に関する知識も豊富でした。悪しき存在に堕ちてからもその技術を利用して中つ国で一番大きな塔や要塞を自分で作ったり、「力の指輪」を作らせたりしています。 またサウロンは妖術師でもあり、死霊や悪霊を呼び集めて配下とすることも得意でした。その他に幻術で不思議な現象を見せたり、いきものに対して品種改良を加えたり、自然現象を操ったりする能力も。 また強力な意思を送り、その悪意で相手を苦しめることもできます。この能力は映画でも、フロドたちが見たサウロンの「目」で表現されていました。
どのくらい強い?
サウロンは原作の登場人物の中でもトップレベルに強いと言われています。第二紀の台頭時代には、中つ国のほとんどを支配したうえ、かなりの強さを誇ったヌーメノールの島を滅ぼすことに成功しているからです。 原作者のJ・R・R・トールキンも、魔法使いのガンダルフよりも遥かに格上の存在であるとしていました。 しかし実は第一紀には負け続け、第二紀にも指輪を奪われているサウロン。自分の魔力の大部分を「一つの指輪」に詰め込んでしまったため、最後は指輪を破壊されて消え去っています。 指輪を作ったときのサウロンは中つ国最強でしたが、指輪を奪われてしまったあたり、ちょっと詰めが甘いのが弱点なのかもしれません。 ドラマで描かれるのはまさにサウロンが最強の第二紀。これまでの映画作品以上に恐ろしいサウロンが見られそうです。
“力の指輪”について
指輪の能力
- 体が透明になる
- 老化を遅らせ長寿をもたらす
- 能力を増大させる
- (見えない世界のものを見えるようにする)
- (19の指輪の持ち主を支配する)
- (持ち主の心を奪い堕落させる)
20個の力の指輪には共通して不老長寿、能力の増大、はめた者の体を透明にするなどの力がありました。そしてサウロンが作った「一つの指輪」にだけは、他の指輪や所有者を支配する力があったのです。 「一つの指輪」を作った時、サウロンは「一つの指輪はすべてを統べ、一つの指輪は、すべてを見つけ、一つの指輪は、すべてを捕えて、くらやみのなかにつなぎとめる」と口にしています。 当初の「エルフを支配する」という計画は失敗したものの、この指輪の力を使って人間を支配し、ドワーフを富への欲望によって破滅させ、中つ国のほとんどを支配しました。また「一つの指輪」が存在する限りサウロンは何度でも蘇ることができました。
映画でのサウロン
「ロード・オブ・ザ・リング」におけるすべての不幸の元凶
記念すべきシリーズ1作目『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』の冒頭では、フロドたちの時代に至るまでの歴史がコンパクトにまとめられています。冒頭部で描かれる時代から、サウロンは悪の存在として数々の種族を破滅させたり、幾度となく戦争を起こしていました。 3部作本編の時点では既に体を失っていたサウロンは、「一つの指輪」を破壊するための旅の仲間たちに直接手出しをすることはしません。その代わりにナズグルやオークなどの手下を使って旅の仲間をバラバラにし、彼らに協力した善良な人々の命を奪いました。 地下道でフロドたちに襲いかかったバルログのように、一見サウロンとは直接関わりがないように見える存在もいます。しかしバルログが目覚めたのは、サウロンが与えた指輪に取り憑かれたドワーフたちが地下を深く掘りすぎてしまったためでした。 このように劇中に登場する災厄は、大なり小なりサウロンが原因と言っても過言ではありません。
映画と原作の違い
映画『ロード・オブ・ザ・リング』の冒頭で、第二紀末に最後の同盟の戦いの回想があります。 原作ではエレンディルとギル=ガラドがサウロンを殺し、イシルドゥアが指輪を奪いますが、映画では前者の戦いを省略して、エレンディルが指輪を奪ったことでサウロンが肉体を失ったことになっていました。 また原作ではあくまでも心象であったサウロンの目が、映画ではバラド=ドゥーアの頂上の炎にふちどられた巨大な目が実際に存在している点も異なります。
『ホビット』にも登場!
「ロード・オブ・ザ・リング」3部作の前日譚にあたる映画「ホビット」3部作にも、わずかですがサウロンは登場します。体を失ったサウロンは当初影のような姿で登場しましたが、途中で前3部作でおなじみのあの姿になったことが明らかになりました。 「ホビット」ではまだサウロンは復活していないと思われていたこともあり、サウロンの存在感は一見希薄に思えますが、当時から暗躍していたことは映画の節々から窺い知ることができます。 特にガンダルフの言動に注目してストーリーを追ってみると、サウロンの動きを読むことができるでしょう。
「ロード・オブ・ザ・リング」サウロンの行動に瞬き厳禁!
何千年もかけて悪の心を育て、世界を追い詰め続けたサウロン。映画の名だたる悪役の中でも粘り強さで群を抜いています。まさに冥王という呼び名がふさわしいでしょう。 しかし彼も太古の昔は善の存在であり、悪に堕ちてからも一度は世界を修復しようともしました。 そんな姿を想像できないほど、悪役としてその名を轟かせる彼に焦点を当てて「ロード・オブ・ザ・リング」3部作を見てみるのはいかがでしょうか? ドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』の続編で、これまで明かされなかったサウロンの謎が描かれることにも期待しましょう!