2018年8月13日更新

鬼才!フレンチシネマの注目株フランソワ・オゾン監督作品まとめ

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思春期の複雑な心模様を描く『17歳』

HMworldtraveller フランソワ・オゾン監督作品。17歳のイザベラが売春行為に本当に求めていたのはお金ではなく、もちろん快楽でもなく、ありのままの心と心の交流だったのだろうか。求めていたというより、探していたと言ったほうが正しいかもしれない。一見、何の問題も無さそうな家庭に見えるけれど、別れた実の父親への思慕などもあったのかなと思った。満たされない気持ちがかえって大きくなり、それを紛らすためにまた行為に走る彼女の物憂げな目と危ういバランスをなんとか保っているようなたたずまいが印象的でした。

現実と虚実が入り混じる不思議な映画『危険なプロット』

s_p_n_minaco オゾン映画って題材がまずキャッチーというか「あ、面白そう」と期待させるのね。正にこの少年が書く文章みたいに。ちょっと下世話な興味含めて、巧い誘い文句にまんまと釣られてしまう。フランスの橋爪功=ファブリス・ルキーニの喜劇的な持ち味でもって、ウディ・アレンかヒッチコックが作りそうなブラックコメディだと思った。オゾンには美少年>熟女>インテリ>少年>おっさんなんだな…

鬼才若手監督と大女優の化学反応『しあわせの雨傘』

s_p_n_minaco ビバ1977年!ビバ・ウーマンリブ!コテコテの様式美をとことん再現してる映画がツボだわー。分割画面のオープニングは昔あったドルレアック&ドヌーブ姉妹映画のタイトルバックっぽい。岡田茉莉子そっくりなドヌーブ、巨大化したドパルデュー。「ダイナスティ」みたいな上流階級メロドラマ。ディスコダンス。ベタベタな場面音楽、台詞回し。朝ドラ1本を2時間にまとめたダイジェストみたいな、急ぎ足の展開。歌うドヌーブのストップモーション。全部が確信的でいいですなあ!

静かで平穏なプロットの中の残酷『ムースの隠遁』

Moto_Ishiduka 最初のドラッグ中毒のシーンといい妊娠シーンといいリアルさにびびったけど、オゾンの優しい空気感にまたもやうっとりしてしまった。母性の有無でのラストシーンの解釈は人それぞれだとして、故人を忘れられない2人が求め合うシーンはなぜか綺麗だと思ってしまった。互いの持つ哀感がリンクした証拠なのかと。

不思議なファンタジー映画風な仕上がり『リッキー』

misaki14yama 幼い娘と母親の恋人とのあの微妙な距離感や、シングルマザーの神経質な一面や孤独の描写はさすがオゾン。そんな現実的な要素と奇抜なアイディアを絡ませてちょっと不思議なファンタジー映画に仕上がっています(原作はローズ・トレメイン)。成長途中の翼が妙にリアルでグロテスク、そんなところもまた良し。でも最後がどうしても納得いかなかった!

成功からドン底へ共感を呼ぶ生き様を描く『エンジェル』

misaki14yama 想像力豊かで才能あふれる女流作家の生涯を描いたお話。自分の作品や夫に真摯な愛を注ぎ、成功も掴みますが、純粋ゆえに傷つきやすく段々と生きづらくなっていきます。 この監督は作品ごとに多種多様な色を見せてくれるので毎回楽しんでいます。ただ超個人的な意見だけど、オゾンの映画で『スイミング・プール』を超える傑作になかなか出会えません…。

運命を受入れ死と向き合う姿が切ない『ぼくを葬る』

Megu_Komatsu オゾン監督映画。どこまでも美しかった。そして切ないし報われない。一人で行く海のシーンが唯一明るく感じて泣けてきた。死を迎えることに葛藤していた主人公が、そこで初めて生を感じ死を受け入れた気がした。いい顔をしたのもラストだけ。孤独もまた美しい。

ありふれた愛をありふれない映像で魅せる『ふたりの5つの分かれ路』

tmmyon フランソワ・オゾン監督。 ある夫婦の離婚の手続きの場面から、ふたりが出会った時までを遡る話。 初めは「ふ~ん」って感じで見ていたのだけど、最後の二人が夕焼けの海に入っていくシーンでは胸が詰まった。 なぜ、あんなにも魅かれあってたのに、最後は別れてしまうのか。 失恋した後に見たら号泣できそう。

フランソワ・オゾンの最高傑作『スイミング・プール』

igagurichan フランソワ・オゾン監督作品。 好き嫌い真っ二つに分かれる映画だと思います。サスペンスだけど、ラストから始まる謎解き。南フランスの暴力的な太陽の光、少女役のリュディヴィーヌ・サニエが下品なのに、映像美と官能的な美しさで上品に見えて来ます。多少ネタバレですが、プールは鏡だったのだとかなと…。観た人それぞれで解釈が違ってくる映画。

フランス映画女優陣豪華共演『8人の女たち』

whentheycry 出てくる女優さんが素敵だった。 フランソワ・オゾン監督という要素も幾つかあったものの今まで見てきた物と系統が違うのと、歌い出すところ、女の争い、オチ、コミカルに描いてるところが面白かった。舞台チックなのも僕には新鮮で楽しめた。 ドッグヴィルのように演じる場所をこだわる映画は日常の些細だけれど大きなことを気付かせてくれるから好き。 リュディヴィーヌさんが良い演技!

人の死生観に迫る至高の1本『まぼろし』

whentheycry フランソワ・オゾン監督の初期長編作品展。 この頃から人間のエグさを感じさせる映画を撮っているけど最近の作品よりドストレートだった。 最初は若くて美しい魅力的なフランツは魔性の男と呼ぶに相応しいが、レオポルドに操られるようになるとどんどんとただの哀れな青年へと成り下がって行くのが恐ろしい。 レオポルドのように「飽き性で真新しいものが好きでそれでいて周りを惹きつけてしまう人間」はごく稀に存在する。 そして彼らは無意識のうちに人を惹きつけ操り、捨てて行く。 キャッチコピーに「より多くを愛するものは、常に敗者となる」とあるのだけれどレオポルドに限らず、フランツもアナもより多くを愛してしまった者だと思う。 ヴェラだけが唯一の良識者のように思えた。 「もしもフランツのような人があんなにも愛情を注いでくれたらなんて嬉しいことだろう」と思ったけどあの四人の関係を見ていたら人間ってそう簡単に出来ていないんだなと改めて感じました。 やっぱり、フランソワ・オゾン監督は音楽と撮り方と人に魅せる力がこの時から凄くて、こんな切ない話なのに笑わせてるくるシーンがあるのが見ていて飽きない!

えげつない大人の童話『クリミナル・ラヴァーズ』

whentheycry 随分攻撃的なフランソワ・オゾン監督の長編初期作。 見ているとアリスがビッチで我儘な行動を取っていて理解ができないように思えたけど、本人も気付いてないところでリュックはサイードに惹かれていてそこにアリスが気付いた故の反応なのかな。 ここだけ言うと簡単な映画に思えるけど、アリスとリュックの関係性に多く謎が残る。カップルかと思いきや姉弟にも思える。 ヘンゼルとグレーテルが題材としてあるみたいだから姉弟なのかもしれない。 ともかく、若きジェレミー・レニエは大変可愛いです。

家族崩壊がテーマのブラックコメディ

フランソワ・オゾンにしては珍しいコメディ映画です。初期の長編映画ですが、オゾンが撮るとコメディも普通のコメディに終わりません。ブラックコメディと言う言い方すら生温い人間の本質を突いた1本です。コメディであっても、観賞後に考えさせられてしまうのがオゾン監督らしさと言えるでしょう。