『ローグ・ワン スターウォーズ・ストーリー』の海外感想、評価!
「もう一つのスター・ウォーズ」である映画『ローグ・ワン スターウォーズ・ストーリー』。その公開には全世界が湧きました。お馴染みのスターウォーズの背後には、どんなドラマがあったのか…ファンが抱いてきた長年の謎を解決するような作品に仕上がっています。 さて、この映画『ローグ・ワン』ですが、早速海外からも感想と評価の声が挙がっているようです。批評家はこの映画をどう捉えたのでしょうか?ファンの評価はどうだったのでしょう?この記事では海外の評価や感想をまとめてみました。ネタバレに注意です!
どこかノスタルジックな雰囲気が漂う?
タイムマシン技術が、若きレイア姫の出演を可能にしていた?!
『ローリングストーン』や『ザ・ガーディアン』などの有力媒体で公開当時、過去作品との見事な調和が評価されている今作ですが、そうした旧作の世界観を引き継いでの高評価は、まさにタイムマシンとも言える最新のCG技術の産物でした。 『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』で帝国勢力のウィルハフ・ターキン総督役を演じた、ピーター・カッシングは1994年に亡くなっており、今作に出演することができなかったはずです。しかし、CG技術によってスクリーンに姿を現しましたのです。 また、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』での登場でファンを喜ばせたキャリー・フィッシャー演じるレイア・オーガナ姫もCG技術によって、映画の外の世界での時の流れを感じさせない姿で今作に登場しています。これも、ターキン提督同様にCG技術の賜物です。 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に脇役として出演したノルウェー人女優のイングヴィルド・デイラをベースに、ターキン提督同様につくりあげたCGモデルをペーストし、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』当時の姿を見事に再現しています。 最新のCG技術によって、ノスタルジックな雰囲気が効果的に演出できているというのは、なんとも不思議ですが、デジタル技術によって映像表現に革命を起こしてきたスター・ウォーズらしいですよね。
セリフがつなぐ、タイムラグ
さらに、セリフにも懐かしさを喚起する仕掛けが散りばめられていました。シタデル・タワーに侵入する直前のドロイドK-2SOのセリフ「イヤな予感が」は、英語では“I’ve got a bad feeling about it”は、過去の作品でも度々印象的に使われてきたセリフです。長年のファンを喜ばせる仕掛けとなっています。 そして、印象的に多用された「希望」というセリフも見逃せません。今作の反乱軍の首脳陣は、「希望はない」と言いますが、ジンは「希望はある」と信じて決死作戦に挑みます。 そうして、デス・スターの設計図データを護衛兵から受け取ったレイア姫の、今作最後のセリフ「希望です」(“Hope”)は、その直後のシーンから始まる『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(現代『Star Wars Episode IV: A New Hope』)と今作とを、時の流れを超えてつなぐベストな一言でした。
注目すべきは登場人物〜一人ひとりが魅力的!〜
今作の魅力のひとつは、数多くの登場人物とそれぞれの個性であるという評価が多く挙げられています。
ヒロイン、ジン・アーソ
第一の見どころは、主人公のジン・アーソの成長でしょう。自分本位な性格だった彼女。しかし、帝国軍の影響で実の親と育ての親両方を失ったことや、銀河全体の危機に立ち向かう周囲の姿に感化され、徐々に正義の心を宿していきます。 よたよたと逃げ惑う幼い頃から見守ってきた我々観衆は、もはや親の立場から彼女を愛おしく見守ってしまっています。
コード・ネーム「ローグ・ワン」は個性派集団
そして、今作のハイライトであるデス・スター設計図の奪還作戦を実行する「ローグ・ワンメンバー」も個性派ぞろい。それもそのはず、タイトルの「ローグ(rogue)」は「はぐれもの」という意味の英単語で、主要な登場人物一人一人が、共同体内で個性を持て余したはぐれものなのです。 意味深な言動に座頭市のような戦い方のチアルート・イムウェ、兄貴風邪を吹かせて背中で語るタイプのガンマン、ベイズ・マルバス、ロボットらしい冷静さとは裏腹のチャーミングな口調がかわいいK-2SO、短期で扱いにくい元帝国軍の凄腕パイロット、ボーディー・ルック。 真面目な性格で個性派手段をまとめる反乱軍の将校キャシアン・アンドー。彼ら全てが作戦遂行のために命を落としますが、それぞれの死を心の底から惜しんでしまうほど、それぞれのキャラクターが印象的なんです。 そして、忘れてはいけないスター・ウォーズ最大の「はぐれもの」ダース・ベイダーもこれまでにないほど魅力的に描かれています。ジンたちの命がけの作戦を阻止すべく登場するダース・ベイダーですが、観客の誰もが「待ってました!」と心の中で歓声をあげること間違いなし。 直前までジンたちを応援し、メンバーの死に涙を浮かべていたはずなのに……。我らがフレネミー(frenemy=friend+enemy)のかっこいい登場に誰もが魅了されてしまいます。
白黒つかない世界だってある……『ローグ・ワン』は大人向け!
これまでのスター・ウォーズで描かれた共和国と帝国の善悪二項対立ではなく、その争いを外から眺め、善悪について我々に考えさせるような中立的な立場で今作は描かれています。 ベトナム戦争やイラク戦争の惨状を喚起させるような描写が意図的だと思われる形で映されていたり、反乱軍も悪事を働いたりしているとキャシアンが語ったりしています。 そもそも、育ての親ソウ・ゲレラとの再会のシーンでの「同盟軍だか反乱軍だか、あんたらがなんて自分達を故障してるか知らないけど」というセリフがあるとおり、主人公ジンが非常に中立的な人物として描かれています。
今までの『スター・ウォーズ』にはない撮影手法が効果的!
今作の戦闘シーンは手持ちカメラを用いた手法で撮影されています。こうした撮影手法による揺れる映像は、我々観衆をまるでその戦場にいるかのような感覚にするそうで、戦争ドキュメント映画などによく用いられるようですが、スター・ウォーズではなかなか使われてこなかったそうです。 また、デス・スターがテストでジェダの街を破壊するシーンは、これまでの惑星が丸ごと破壊されるような単純な映像が伝えるデス・スターの恐ろしさとは違った、複雑な映像でこそ伝えられるデス・スターの破壊力を詳細に伝えていました。 惑星ではなく街の破壊という、あえての規模の小さい破壊の描写によって、爆発、衝撃波、砂煙、地面の隆起というような複雑な工程を観客に詳細に見せ、その威力をより詳細に伝えているんです。
『フォースの覚醒』とは大きく異なった魅力がある
スピンオフである今作は、スター・ウォーズのメインテーマである「スカイウォーカー一族の時代を超えた物語」を追うための作品ではない。そういった点で、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒 』とは上手く住み分けができています。 今作は、アナキンやルーク、そしてレイのような「選ばれしもの」の物語ではなく「はぐれもの」の物語であり、「選ばれしもの」たちの偉大な物語からは独立したお話なのです。 『スター・ウォーズ/フォースの覚醒 』は、スター・ウォーズの新たな進路を示しましたが、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』はこれまでのスター・ウォーズの物語の素晴らしさをより一層引き立てているのです。
ちょっと厳しい評価の声も……あなたはどう思う?
ここまで、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』への肯定的な見解を述べてきましたが、もちろん批判的な見解も存在しています。 この記事で先に今作のノスタルジックさについて紹介しましたが、そのノスタルジックさも批判の的になっています。映画、特にスター・ウォーズには真新しさを求める人が多くいることが容易に想像できます。そうした人々は、なつかしの設定や、過去のビジュアルの踏襲が目についたようです。
一般視聴者からは高評価の声が続々!
批判的な意見がありつつも、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は多くの高評価を集めています。 ダイナミックかつ高精細なビジュアル、キャストの演技、ユーモアを交えつつ怒涛の勢いでクライマックスへと駆け抜けるストーリーライン、そして往年のファンも納得するスター・ウォーズらしさ。評価すべきポイントを上げればきりがありません!