2019年2月1日更新

【ネタバレ】「ローグワン」を「スター・ウォーズ」最高傑作たらしめた21の理由

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ローグ・ワン スター・ウォーズ
©LUCASFILM/WALT DISNEY STUDIOS
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『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が賞賛された理由とは【ネタバレあり】

スピンオフという位置付けでありながら、「スター・ウォーズ」シリーズ最高傑作とも評される『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』。 同作では、「エピソード4」と「3」のあいだのストーリーにスポットを当て、 デス・スターの設計図をめぐって繰り広げられた戦いを描かれます。 これまではジェダイ、ひいてはスカイウォーカー家の物語が中心となっていた「スター・ウォーズ」シリーズですが、「ローグワン」は特別な力を持たない人々の活躍を描いた作品で、シリーズの中でも異色の作品となりました。 この記事では、本作がシリーズ最高傑作ともいわれる21つの理由をあらすじを振り返りながら紹介していきます。物語の結末に関するネタバレも含みますので、ご注意くださいね。

1. ストーリーの発案は視覚効果担当者!「ローグワン」はデス・スター破壊を目指す物語

「ローグワン」のストーリーは、反乱軍が帝国軍から大量破壊兵器「デス・スター」の設計図を盗み出すというもので、これは「エピソード4」の冒頭のクレジットをより詳しく発展させた物語です。 「エピソード4」をご覧になった方は「なぜ巨大なデス・スターがあんなにも簡単に破壊されたのか?」「一体どうやってデス・スターの設計図を手に入れたんだ?」という疑問を抱いたに違いありません。 それは、「スター・ウォーズ」シリーズの視覚効果スーパーバイザーのジョン・ノールも同様でした。彼は「エピソード4」の冒頭のクレジットを初めて見たときから「一体どうやってデス・スターの設計図を手に入れたんだ?」という疑問を常に抱いていたそうです。 そこでその謎を解き明かす物語をスピンオフ作品のストーリーとして提案。プロデューサーのキャスリーン・ケネディのオフィスに直接赴き、自分のアイディアを発表したそう。 もちろん採用されるかどうかは不明でしたが、「言わなかった後悔」を抱えたまま生きたくないと感じた彼は挑戦し、そして見事に成功したのです。 そうしたプロセスを経て、「ローグワン」ではファンの長年の疑問に対するアンサーが提示されたのです。

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「ローグワン」の鍵を握るのはジン・アーソ&ゲイレン・アーソ親娘

「ローグワン」の中心人物となるのは、デス・スターの設計にかかわったとされるゲイレン・アーソの娘・ジン。 ジンは反乱同盟軍から、帝国に連れ去られたゲイレンの調査を命じられ、やがてそれぞれの信念をもって帝国軍に立ち向かおうとする仲間たちと出会い、自らも彼らの思いに突き動かされています。 一方、デス・スターの開発に関わることになったゲイレンは、秘密裏にデス・スターの中央に起爆装置を仕掛けることに成功。これにより、起爆装置のあるリアクター部分を攻撃さえすれば、デススター全体が吹き飛ぶように仕組んでいました。 こうして、ジョン・ノールの疑問に端を発し、 「ローグワン」ではアーソ親子を中心にしたデス・スター破壊を目指す人々の物語が紡がれることになったのです。 ファンの長年の疑問に対して、納得感のある答えを提示できたことは、「ローグワン」が高く評価された理由の一つといえるでしょう。

2.シリーズの創造主!ジョージ・ルーカスも「ローグワン」に大喜び!

ジョージ・ルーカス
©︎Joseph Marzullo/WENN.com

「スター・ウォーズ」の生みの親であるジョージ・ルーカスは、本家の「スター・ウォーズ」サーガが続いていくことだけでなく、スピンオフ作品が製作されることでこの大宇宙がより発展することを強く望んでいたそうです。 そのため「ローグワン」の製作が決まった時は大喜びしたそうです。彼の設立した映画製作会社「ルーカスフィルム」へ膨大な収入が入ることになるので、当たり前といえば当たり前ですが、それ以上に、シリーズが拡大していくのが一人のクリエイターとして嬉しかったのでしょうね。

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3.新たな楽曲と往年の名曲の融合

「エピソード4」の疑問を解消する一方で、スカイウォーカー家やジェダイ以外が主人公を務めるという意味で、「ローグワン」は画期的な要素を盛り込みつつも、往年のファンに対する配慮を欠かさなかったのも、高評価の理由の一つといえそうです。 それは、本作の音楽でも象徴的です。 「ローグワン」の音楽を担当したのは、『レミーのおいしいレストラン』で第35回アニー賞音楽賞、『カールじいさんの空飛ぶ家』で第82回アカデミー作曲賞を受賞したマイケル・ジアッチーノ。 彼の力量はまぎれもないものですが、それまで「スター・ウォーズ」シリーズの音楽を担当していたジョン・ウィリアムズは「ローグワン」に関与していません。 しかし、本作ではジアッチーノ作曲の新曲に加え、ウィリアムズが作り上げた名曲も登場します!「フォースのテーマ」はもちろん印象的なダース・ベイダーのテーマまでちゃんと使われているのです。 さらに、ファンに愛される名曲の数々が本作仕様のアレンジがなされている部分もあり、ファンにはたまりません。 このように、シリーズの伝統と革新的な要素を織り交ぜている本作。映画の始まりは「A long time ago, in a galaxy far, far away(遠い昔、はるか彼方の銀河系で)」という、歴史に残るあの一文です!

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4.ジンは今までの「スターウォーズ」の主人公たちとは一味違う!?

ローグ・ワン スター・ウォーズ
©LUCASFILM/WALT DISNEY STUDIOS

公開前の記者会見におけるジン役のフェリシティ・ジョーンズの言葉を聞くと、ジンは歴代の主人公たちと一味違うということに納得できます。 「ジンは「自分はどこから来たのか」「自分は一体何者なのか」を問い続けるキャラクターではないの。映画に中で彼女の出自は明らかになっているから。今までのスターウォーズ作品とは違って、この事実こそが物語の原動力になっている。そして、ジンの物語は「自分の存在の理由は何か」「自分に何が出来るのか」を問うものになっているのよ。 」 この発言からも、ジンは出自が謎に満ちていたルークやレイ、「父親が不在で母がいつしか妊娠していた」という特殊な誕生秘話をもつアナキンとは一味違うキャラクターだということが伺えます。 また、IndieWireのデヴィッド・イーリヒは、「勇気あるヒロイン」という点でレイとの類似性を指摘しています。なお、ジンを演じたフェリシティ・ジョーンズは、ハン・ソロの不遜を態度を意識しながらジンを演じたそうです。

実の父・ゲレインの不在と母の死というトラウマ

ゲイレン・アーソ ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
© Walt Disney Studios Motion Pictures

物語は主人公ジン・アーソの幼少期から始まります。クレニック総督がジンの家族の元を訪れ、彼女の母親を殺し、父親のゲイレンを連れ去ってしまうのです。逃げることができた彼女は洞窟の中に身を隠しますが、そんな彼女を救出して世話をしたのが、ゲイレンの友人・ソウ・ゲレラでした。

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5.ジンの育ての父、ソウ・ゲレラは単なる善人ではない!

ソウ・ゲレラ ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
©︎LUCASFILM/WALT DISNEY STUDIOS

「スターウォーズ」の世界には、帝国軍が悪役で反乱軍は善人、という基本的な設定がありますが、だからと言って反乱軍みんなが聖人のような人であるとは限りません。フォレスト・ウィテカー演じるソウ・ゲレラがその典型です。ウィテカーは自分の演じるキャラクターについてこのように語っています。 「 ゲレラは長年帝国軍の支配と戦ってきたゲリラ戦士だ。また彼は反乱軍の中でも特に過激な者たちの指導者でもある。つまり言いたいことは、反乱軍と一口に言っても、様々な人たちの寄せ集めであり、多種多様なグループの総称であるということだ。ゲレラは世界を救うために必要があればなんだってするタイプの戦士なのさ。 」 そして、ジンは成長した後にソウ・ゲレラとも決別しています。ルーク、アナキン、レイもそれぞれ家族に関しては複雑な背景があったり、家族を失うという経験をしているので、家族に関する悲劇的な背景を持つ点はジンと歴代主人公の共通点といえるでしょう。

6.ボーディ・ルックは反乱軍ではなく帝国軍の一員だった

ボーディー・ルック ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
© Avalon

帝国軍=悪、反乱軍=善人と言いきれないのは、ジンの父・ゲイレンからデス・スターからホログラムメッセージを託されるボーディ・ルックというキャラクターも象徴的です。 彼は帝国に反感を抱き、帝国を裏切るという人物。元帝国軍の兵士でありながら、帝国に反感を覚え、ジンたちの仲間になってくれるのです。主人公のジンはもちろん、ソウやボーディといった一筋縄ではいかない人物がたくさん登場するのも本作の特徴です。 ゲイレンから預かったホログラムメッセージをソウのもとに届けようとするボーディですが、ソウは簡単にボーディを信用せずに拘束してしまうところなどは、曲者揃いの本作ならではのエピソードと言えるのではないでしょうか。 なお、ボーディ役で出演しているリズ・アフメドは「スター・ウォーズ」シリーズに出演できると思うと大興奮してしまい、そのため同じシーンのテイクを500回以上も撮影したテープを監督に送りつけたそうです。 「 ギャレス(・エドワーズ監督)と電話で話した時に、ちょっと何か演じたものを送ってくれないかって言われたんだ。だからある一つの小さいシーンを演じたものを、500テイク以上撮って、全部送った。しかも、後でまた別のシーンもいっぱい送ったし。とても興奮してたんだよ! 」 上のアフメドのコメントからも、彼のシリーズに対する深い愛情が伺えますね。

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7.K-2SOによるジン救出作戦&キャシアン・アンドーらとのミッション

キャシアン・アンドー ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
©︎Supplied by LMK

ボーディがソウに拘束されていた頃、数々の罪を犯していたジンもまた、帝国に捕まっていました。 そして、強制収容所へ連行されていたジンのもとに、彼女を救うために元帝国軍ドロイドのK-2SOら反乱軍が救出にやってきます。 デス・スター破壊を目指す反乱軍は、ソウ・ゲレラにも協力を仰ぐため、彼にとっては実の子に近いジンの協力を仰ごうとします。反乱軍は、ジンが訪ねればソウも面会を許可するだろうと考えたのです。 こうしてジンは反乱軍によって帝国軍から救出されたジンは、反乱軍の情報将校であるキャシアン・アンドー、そして彼のドロイドであるK-2SOと共にソウのいる町、惑星ジェダに向かうことになるのです。 ちなみに、ジン役のフェリシティ・ジョーンズが役作りにハン・ソロを反映したのは先述の通りですが、実はキャシアンにもハン・ソロの要素があります。 後述のある大事なミッションの際、キャシアンは、紺色のファー付きジャケットを着ています。実はこのジャケット、「エピソード5」でハン・ソロが着用していたものをモデルにしているのです。 (なお、「スター・ウォーズ」シリーズの衣装には決して「ボタン」が登場しないことはご存知ですか?この伝統は本作にも継承されています)

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8.惑星ジェダはジェダイのメッカ?

ジンたちが向かった惑星ジェダは特別な惑星です。監督のギャレス・エドワーズはジェダについて、 もちろん、映画の舞台はもう1人もジェダイが残っていない時代だ。しかし人々は今でもフォースの力を信じているし、フォースに対する神秘的な信仰みたいなものはまだあるんだ。 「だからジェダはいわゆるメッカのような場所で、巡礼地として多くの人が訪れる。だけど問題は…ジェダが帝国軍に占領されていることなんだ。」 と、語っています。 ジェダはまた、チーム「ローグワン」の重要人物2人に出会う場所としても重要です。その2人とは、信仰心の厚いチアルート・イムウェと、真逆の性格のベイズ・マルバスのことです。

9.盲目の戦士チアルート&親友ベイズ・マイルズ

チアルート・イムウェ ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
© Avalon

惑星ジェダにやってきたジンたちは、ソウ率いる反乱軍の武装蜂起に巻き込まれてしまいます。 この時、彼らの助けになってくれたのが盲目の僧侶で、フォースを信奉する「ウィルズの守護者」のチアルート。彼はザマ=シウォーと呼ばれる武術を身につけており、盲目というハンデを感じさせない武術の達人でもあります。 もう一人、ジンたちの助けになってくれた人がいます。 それが、チアルートとは対照的に重装備で敵に立ち向かうベイズです。チアルートの相棒的な存在でもある彼は「元」ウィルズの守護者。激しい戦いの中で守護者としての戒律や振る舞いを忘れてしまったという側面を持った人物です。 反乱軍の武装蜂起に巻き込まれジンたちは、チアルート、ベイズらと手を組み、状況打破を目指します。しかし戦闘中にキャシアンがソウの部下を射殺してしまったため、ソウのもとへと連行されることに。

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10.ゲイレン・アーソが残したデス・スターの弱点

こうして7、8年ぶりにソウと再会したジンは、彼のもとで父・ゲイレンのメッセージを見ることになるのです。 ゲイレンのメッセージは、デス・スターの弱点に関するものでした。彼はデス・スター開発に協力するフリをして、内部構造に致命的な弱点を仕込んでいたのです。 そして、ゲレインが仕込んだその弱点を記した設計図のデータは、帝国軍の建築物データが収集されている惑星スカリフにある事がわかります。しかし、ここで悲劇が起こります。 ジンたちがいる惑星ジェダが、帝国軍によるデス・スターの試射の標的になってしまったのです。ジン、キャシアン、チアルート、ベイズ、K-2、そして解放されたボーディーは、Uウィングで脱出しますが、両足が義足のソウ・ゲレラは逃げることが出来ませんでした。

ディエゴ・ルナが語るアンドーの役割

ソウはジンに銀河の未来を託し、崩壊するアジトと最期を共にしました。こうして行動を共にすることになるジンたち反乱軍の一行。ともに命がけのミッションに挑むだけあって、家族のように密接な関係を築くのかと思いきや、そう一筋縄ではいきません。 キャシアン・アンドー船長を演じるディエゴ・ルナも、本作について、 「 チームは初めジンとキャシアンの2人だけから始まるけれど、物語が進むにつれてメンバーが増えていく。どんなチームにもあることだけど、「ローグ・ワン」の中でも対立や問題は絶えず生じる。それを一つにまとめていくのが、キャシアン・アンドー船長の役割なんだ。」 と語っています。多様な経歴を持つメンバーが集っているからこそ、対立は避けられないのです。

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11.「ローグ・ワン」ってどういう意味?

個性的なキャラクターが集い、対立を経て少しずつ信頼関係を構築していくドラマ性の高さも、本作が傑作と評される特徴の一つでしょう。では、そもそも「ローグワン」の「ローグ」ってどういう意味? デス・スターの設計図を盗み出すジンたちのチーム「ローグワン」は映画のタイトルとなっていますが、そもそも「ローグ」とはどういう意味なのでしょうか? コールサインを要求されたパイロットのボーディが、困った末に発した言葉「ローグ」。これは英語で「ならず者」や「悪漢」「ごろつき」を意味します。 彼らの計画は反乱軍によって承認されなかったのですが、それでもミッションを遂行すべきだと考える人が集まって形成されたのがチーム「ローグ・ワン」。 未認可のチームであるために、集まったのは過去に反乱軍のために何度も手を汚してきた無法者たちだったのです。ジンもキャシアンも、正義感に燃えた純粋な反乱軍メンバーではなく、何度も法を犯している存在なので、この名前は最適だと言えるでしょう。

12. いよいよ設計図を盗み出す作戦が始動!今までにないシリアスさが見事

ボーディーからの情報をもとに、ゲレインが惑星イードゥーにいると知ったジンたちは、彼を保護するためにイードゥーを目指すことになります。ソウが亡くなった惑星ジェダでの戦いに引けを取らないほど、イードゥーでの戦いも壮絶なものです。 「ローグワン」の特徴として、シリーズ屈指のシリアスさと、緊張感溢れる様々な戦闘シーンが挙げられます。イードゥーでの戦いの顛末を語る前に、ここでは本作のいくつかの戦闘シーンとその魅力を紹介していきたいと思います。

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コンセプトアートから分かるリアルな戦闘&現代社会を反映した戦争映画としての魅力

血の混じった泥や、飛び交う銃弾。霧深い惑星で、無数の宇宙船、兵士たちが戦う場面、帝国軍が支配している地帯へ反乱同盟軍が突撃する場面など……。 公開された本作のコンセプトアートの中には、戦争映画の傑作『プライベート・ライアン』のような雰囲気で、リアルな戦闘が描かれていました。 「ローグワン」は、間違いなく「スター・ウォーズ」シリーズの世界観を継承していますが、シリーズの中でも特に戦争映画としての特徴が強い作品でもあります。 ギャレス・エドワーズ監督もこの点については自覚的で、スターウォーズセレブレーションというイベントで、こんなことを語っていました。 「基本的にジェダイがいない時代の物語です。神は助けにこない、だから自分たち自身でやらなくてはならない。 」 戦争の現実を描きます。戦争において、良いやつは悪いやつ、悪いやつは良いやつです。映画にするにはとても複雑な設定です。

13.「ローグワン」は白黒ではなく、グレイ!

本作はジェダイが去り、普通の人々が銀河の平和を守るために戦うストーリーであり、今までのように、白黒善悪がはっきりとした映画ではないとグレイ監督はいいます。 そして、ジェダイVSシス、あるいは反乱軍VS帝国軍というわかりやすい完全懲悪の世界観を反映しているからこそ、本作は現代の観客にも響いたのでしょう。 その一例として、占領下にあり争いの絶えないジェダイの聖地である惑星ジェダは、今日の中東の様相が強く反映されており、後述の惑星スカリフでの戦闘はベトナム戦争を彷彿とさせるもの。また、ジンの育ての親であるソウは大義のために戦う「テロリスト」です。 このような現実を彷彿とさせるようなキャラクターや舞台設定を用いて、フォースもライトセーバーも登場しない「リアル」な戦争描写を用いたからこそ、本作はシリーズの他の作品と一線を隠す存在となり、独自の魅力を打ち出すことにも成功しているのです。

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現代社会の問題を色濃く投影

ディエゴ・ルナ
©Hahn Lionel/Sipa USA/Newscom/Zeta Image

キャシアン・アンドーを演じるディエゴ・ルナによると、本作は現代社会の問題を反映し、疑問を投げかける映画となっているそうです。 オリジナルの「スター・ウォーズ」が製作された頃と現在では、世界は大きく変化し、戦争におけるモラルやテロリズムと反乱のあり方も、ここ3、40年で大きく変化しています。 彼らはそうした時代の変化を自覚した上で、過去の「スター・ウォーズ」を懐古するだけの作品を作ることに違和感を覚えたのかもしれません。 「 我々はとても多様化して複雑な世界に住んでいる……。だから正しい選択を下すのはとても難しいんだ。」 本作では、ルナの語るような白黒つかない灰色の世界が描かれています。

14.ロンドンの地下鉄の駅で撮影されたシーンがある!

リアルという意味では、本作にはこんな特徴的なエピソードもあります。ジンと彼女のチームが長い灰色の廊下を走ってストームトルーパーから逃げているシーンは、実はロンドンのとある地下鉄の駅で撮影されたものなのです。 監督のギャレス・エドワーズは、何年も昔からこの駅を映画の撮影に使いたいと考えていたそうです。 「僕が初めて働いた職場がその駅からすぐ近くのところにあったから、毎日そこを通り過ぎていたんだ。その度に、すごく未来的でSF映画のような場所だなと思っていた……。将来自分がSF映画を撮ることになったら、絶対にこの駅を撮影に使おうと決めていたのさ。 」 しかし、スターウォーズ映画の一場面を地下鉄の駅で撮影するなどという話を監督が持ち出した時、最初は誰もが冗談だと思ったそうです。エドワーズ監督はそれでもダメ元で映画製作のアート部門に、そこで撮影した際のイメージ画像を作るように頼みました。 そしてその出来上がったイメージはなんと、映画の雰囲気にぴったりだったのです!そこで誰もが納得し、カナリー・ワーフ駅での撮影が行われました。撮影に要したのはたったの4時間。駅は一晩閉鎖されただけでした。 「遠い昔の遥か彼方の銀河系」の物語がロンドンの地下鉄で撮影されたというのも、本作ならではのエピソードではないでしょうか。

15.往年のファンも満足の壮大な空中戦も楽しめる!

『スター・ウォーズ フォースの覚醒』において一点物足りなかった点を挙げるとするならば、それは空中戦が少なかったことでしょう。広大な宇宙でたくさんの宇宙船同士が戦うアクションは、「スター・ウォーズ」シリーズの主なセールスポイントとも言えるため、この点は少々意外でした。 一方、「ローグワン」はこの宇宙船同士のアクション描写はふんだんに盛り込まれています。世界観やキャラクターの背景などにリアルティを求めつつ、こうした往年のファンも楽しめるような要素をしっかりと抑えている点は嬉しいですよね。 「ジェダイの不在」や現代社会の反映といった革新的な要素を盛り込みつつ、従来のシリーズへの配慮を忘れない点も、本作が広く愛されるポイントといえるでしょう。

16. 惑星イードゥーでの死闘と父との別れ

父・ゲレインのいる惑星イードゥーで、ジンと仲間たちは再び壮絶な戦いに巻き込まれます。デス・スターの保安責任者であるクレニック長官は、デス・スターの指揮官であるターキン総督の命令で、機密情報を漏らした研究者たちを尋問。「犯人が名乗りでなければ研究者全員を殺害する」と脅します。 これを受けてゲレインは自ら名乗り出ますが、クレニックは研究者を皆殺しにした上で、自らゲレインの顔面を殴りつけます。 一方、密かにゲレイン暗殺の命令を受けていたキャシアンは、事態の一部始終を目撃した上で、クレニックとゲレインの接触のタイミングを見計らって任務を遂行しようとしますが、この時、キャシアンは引き金をひくのをためらってしまいました。 折悪く、キャシアンの連絡を受けて反乱軍が帝国軍へ攻撃を開始。この攻撃を受けて、ゲレインは致命傷を負ってしまいます。そしてゲレインは、駆けつけてきたジンの腕の中で息をひきとるのです。 こうして、帝国との激しい戦いの中でジンは育ての父ともいえるソウ、そして、ようやく再会できた実の父・ゲレインも失ってしまったのでした。

17.ドロイドK-2SOはちょっと上の空?物語に深みを出す良キャラ!

K-2SO ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
©︎LUCASFILM/WALT DISNEY STUDIOS

ソウやゲレインとの別れなど、シリアスな展開が続く「ローグワン」ですが、決して悲しいだけの作品ではありません。 本作にも、ユーモアはあるのです。そうした側面を担っている重要なキャラクターが、先述のドロイド・K-2SO。アラン・テュディックによって演じられるK-2は、ジンのかばんをわざと落としたり、命令に従わなかったりと、様々な問題があります。これについてテュディックは、 「 キャシアンがK-2SOをプログラムし直して過去のデータをすべて消した時、なんというか、彼は上の空になってしまったんだ。彼は思ったことを何でも言う。正直なのはいいんだけど、無駄なことまで言ってしまう。お年寄りにそういう人いるよね、そんな感じなんだ。 」 と、語っています。 これまで本作に登場したドロイドたちとはまた違った魅力をもったキャラクターというのがわかりますよね。また、K-2にはキャシアンを親友として慕っているという設定があり、親友の身を本気で案じるなど、ドロイドでありながら非常に人間的な側面もあります。 K-2の存在により、物語にユーモアが深みが加わっており、物語をエンターテイメントして魅力的にしているのも、本作が人々から愛される理由の一つとしてあげられそうです。

18. 非道なターキンと反乱軍の処理との板挟みにあえぐクレニックというキャラに切なさがある

オーソン・クレニック ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
© Avalon

「ローグワン」を語る上で欠かせないのが、悪役のクレニックです。クレニックは、ダース・ベイダー、ターキン総督といった大物たちの部下ですが、帝国内ではエリートとされる立場にあります。つまり彼は、中間管理職なのです。 彼のそうした立場がファンの共感を得たのか、ネット上ではクレニックのファンを公言する人のコメントも見受けられます。冷酷な人物ではありますが、彼には彼なりの野心や情熱があり、デス・スターの開発にも彼は長年にわたって尽力してきました。 例えば「銀河を掌握する」といわれてもピンとこない人でも、「組織の中で出世したい」といわれれば納得しやすいでしょう。 クレニックの野心や苦悩もまた非常に現実的で、本作のリアルな世界観にマッチしています。

19. ダース・ベイダーの登場に酔いしれる

ダース・ベイダー ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
© LFI/Photoshot

「ローグワン」には、ターキンだけでなく、シリーズ最大のヴィラン、ダース・ベイダーも登場します。ダース・ベイダーは初めてスーツに袖を通してから数年後、パワーに満ち溢れていた頃です。 ベイダー卿はクレニックを惑星ムスタファーの要塞に呼びつけると、フォース・グリップで恫喝した上で、彼に任務の完遂を命じます。 同じ頃、ジンたちはデス・スターの危険系を説き、設計図がある惑星スカリフを目指すよう反乱軍を説得しますが、ゲレインやソウらが亡くなってしまっていることや、反乱軍内部に降伏派がいたことなどでジンたちの主張は却下されてしまいます。 仕方なく、ジンはキャシアンら「ローグワン」の少数の仲間とともに地図を奪うべく、惑星スカリフを目指します。そして、クレニックもまた、ベイダーの命令で、惑星スカリフへ。こうして彼らの決戦の地は、惑星スカリフとなるのです。

ベイダー卿の圧倒的悪役感と無双ぶりに酔いしれる

惑星スカリフでの戦いは本作最大のクライマックスで、敵味方入り乱れての激しい戦闘が何よりの見せ場となります。この記事では「ローグワン」の面々の戦いの顛末について述べることは避けますが、一点だけ。 本作でのベイダー卿の戦闘は圧巻の一言です。作品の公開前は、ラストにチラリと顔をのぞかせるくらいのファンサービス的な登場になるのではないかと予想されていたベイダー卿ですが、しっかりと戦闘場面があります。 そして、なんといっても本作のベイダー卿は「悪」の魅力に溢れています。思い返せば、エピソード1〜3は彼の誕生秘話であり、4〜6は多くの場面で誰かしらジェダイという彼に真っ向から対抗できるような存在がいました。 そんな中、ジェダイ不在の本作では、「一般人から見たベイダー卿」の恐ろしさが存分に描かれていると言っても過言ではないでしょう。エピソード7から登場するカイロ・レンも魅力的なキャラクターではありますが、やはり「スター・ウォーズ」はベイダー卿がいると一味違いますね。

20.人気キャラクター、ターキン提督が復活

グランド・モフ・ターキンを演じた、ピーター・カッシングは1994年に亡くなっていますが、本作ではCGを使い、『新たなる希望』のターキンをカムバックさせました。今までで最高に複雑で、コストのかかるCG再現だった。CGのエキスパートたちが、カッシング出演のホラー映画の映像から、ターキンの足を再構築し、自然な動きを生み出すために莫大な時間をかけていた。 ターキン提督は、過去のアーカイブ映像やCG、そしてガイ・ヘンリーの演技によって表現されたのです。時を超えて、人気キャラクターが復活してくれたのはファンにとっても嬉しいですよね。

21. レイアの登場によってシリーズをすぐに観たくなってしまう【ネタバレ】

そして、何より本作でファンを驚かせたのは、レイア姫のサプライズ的な登場でしょう。ネタバレになってしまいますが、本作のラストにはあのレイア姫が登場します。 イングヴィルド・デイラの演技とCGによって、若きキャリー・フィッシャー演じるレイア姫は再現されたのです。そして、映画の最後にデス・スターの設計図を無事受け取ります。 「これは一体なんですか?」と聞かれた時彼女は一言「希望よ(Hope.)」とだけ答えますが、これは続く『エピソード4』のサブタイトル『新たなる希望』に繋がる、とても巧妙なセリフです。 キャリー・フィッシャーも2016年に亡くなってしまっていますが、物語の中ではレイア姫もターキン提督も蘇りました。

「ローグ・ワン」は後続クリエイターたちの希望に!

ジンをはじめとする名もなき英雄たちが残した希望は、若きスカイウォーカーであるルークへと託されました。ここから、あの伝説の三部作がはじまるのです。 一方で「ローグワン」は、「スカイウォーカー家の人間でなくても、ジェダイでなくても、面白いスター・ウォーズは作れる」と後続のクリエイターたちに希望を与えたのではないでしょうか。 記事内であげた作品が愛される様々な理由に加えて、こうした功績からも、本作が最高傑作と評されているのではないかと思います。