『シンゴジラ』の形態変化一覧 第6形態より先では人間型になるって本当?
『シン・ゴジラ』は、1954年から始まったゴジラ映画シリーズでは通算29作目の作品です。タイトルになっている、「シン」には複数の意味があり「神」「新」「真」といったものがあげられています。 『シン・ゴジラ』の大きな特徴は、ゴジラが形態変化すること。庵野秀明が創り出した独特な世界観で謎の巨大生物が進化していく様子は意味深です。この記事では映画『シン・ゴジラ』に登場したゴジラの形態変化について考察していきます。
『シン・ゴジラ』の特徴・形態変化
シン・ゴジラの特徴
『シン・ゴジラ』版のゴジラにはいくつもこれまでと違う特徴があります。 まず大きさ。初代は50~100m程度の大きさでしたが、2014年のゴジラは108m、「シンゴジラ」はそれを上回る118.5mという巨体になっています。 今までのゴジラとは外見も異なっており、第4形態は焼け爛れたあとのゴツゴツした皮膚で、体内には高温を溜めているような赤い光が漏れて見えています。 過去作のゴジラより不気味さを増しており、尻尾は長く手は短く、太い脚部に比べ上半身は細身です。
一番の特徴は形態変化
しかし『シン・ゴジラ』の一番の特徴は、ゴジラが何度も形態を変化させることです。最初の登場シーンでは全く馴染みのない生物の出現に度肝を抜かれた方も多いのではないでしょうか。 一般的な姿のゴジラになるまでに何段階もの形態変化があるのが庵野秀明版のゴジラなのです。
『シン・ゴジラ』形態変化一覧
第1形態:モデルはラブカと呼ばれる深海サメ
シンゴジラの第1形態は、映像のなかでは明確な姿が確認されていませんが、オタマジャクシのような形になっている海洋生物です。 劇中で確認されたのは尻尾と背中の部分のみで、全体像は不明となっています。 モデルとなっているのは、「ラブカ」と呼ばれる深海サメ。大きく見開いた目、首のあたりにはエラと思われるものがあり、強い印象を受ける不気味な未確認生物です。
第2形態:ネット上で蒲田くんと呼ばれる人気者
ゴジラの生態変化は、ネット上では形態によってそれぞれ名前がつけられています。第2形態は蒲田くんと呼ばれ、上陸した場所からつけられた名前がSNSで拡散しました。 上陸後に陸上でも対応できるように急速に進化したのが第2形態で、魚類だったゴジラが両生類と変化していきます。その不気味な体に脚が生えてきますが、手が未発達なので、ヘビのように地面を這って移動します。 幼体といえども、全長は120m以上あり、エラから流れ出てくる赤い体液は放射性物質が含まれており、もの凄い悪臭を放っています。そして、ある程度すると動きが止まり、今度は第3形態へと変化していくのです。
第3形態:第2形態からさらに手が生えた状態
第2形態からさらに手が生えたものが第3形態のゴジラの幼体で、品川くんという名前がつけられています。脚もしっかり生えているので、立ち上がってみたものの、まだ足元がおぼつかない感じです。 両生類から爬虫類へと変化し、まだまだゴジラと呼ぶには相応しくありません。 ネット上では「ギョロっとした目がキモ可愛い」といわれており、幼体ゴジラのチャームポイントとなっているようです。 身長は57mとなり全長は168m以上にも及びます。ゴジラの体内で冷却機能が十分でなかったため、一度海中へと戻っていきました。
第4形態:一般的に知られるゴジラの姿
ゴジラの最終形態となっているのが第4形態です。この姿は一般的に知られるゴジラの姿で、身長118m以上、体重9200トン、全長333mとなっています。 歴代ゴジラのなかでも最も大きな姿と変化したゴジラは、破壊力や熱線といった攻撃力で、人々を絶望へと追い込んでいくのです。 相模湾から鎌倉へ上陸したことで、ネット上では鎌倉さんという呼び名がつけられています。首都へと進行を始めたため、自衛隊が防衛作戦で迎え打ちますが、一向にダメージを与えることが出来ません。
第5形態:『シン・ゴジラ』のラストシーン
実際には第4段階が最終段階の姿ですが、ゴジラは休眠体制になったとき下あごが左右に割れ、紫色の放射線を撒き散らします。 物議を醸した映画のラストシーンに映ったゴジラの尻尾。複数の人の影が尻尾から生えている様子が映し出されました。これは第5形態への変化の始まりです。
この第5形態の雛型は、幕張メッセで開催された「ワンダーフェスティバル2017」で初公開されています。ゴジラが再稼働し、あの人型のものが放出されたら一体どうなるのでしょう?
第6形態は存在するのか?
では、それ以上の形態、第6形態は存在するのでしょうか?2016年12月号の「日経サイエンス」に「シン・ゴジラの科学」という特集記事があり、そこにはシン・ゴジラの進化についてのあらゆる可能性が語られています。
そもそも映画『シン・ゴジラ』はゴジラの進化が大きなテーマとなっていますが、現在の最先端科学の観点から考察しても十分興味深い、本格的SF映画といえるものだそうです。劇中のゴジラの進化はまさに、魚類から両生類、爬虫類、そして人類に至るというような「地球での生命進化の歴史を早回しで体現」しています。 第5形態で見せた人型のものは第6形態への進化途中で、次世代の個体が尻尾に形成される「群体化」であり、陸上に上がった上位捕食者としてのダウンサイジングとのこと。つまり無性生殖できる、生体内核融合という永久機関を得た無敵の存在に! さらに、鋭い歯を備えた口を持つ第4形態はまだ「赤ちゃん」で、糧が核エネルギーであるゴジラには口も必要なくなるだろうという予測もあります。
原子力を糧に生きるということは……
実は地球上に、原子力を生体活動に使用する極限環境微生物は実際存在します。彼らは宇宙のような極限環境でも生息できるようで、ゴジラもそうなっていくと予想されます。 これを突き詰めると、いずれ宇宙に飛び出し、生命が存在するような新天体へ飛散するというシナリオも可能だとか。もちろんこれらは、あくまで可能性の話です。 さらに劇中では、ゴジラが放出する「新元素」は自然界のあらゆる元素を体内生成できる可能性もあるとほのめかされています。なんとこれが、宇宙での物質創生を再現しているというのです。シン・ゴジラは神話になるのかもしれません……。
第7形態、第8形態の真相は?究極の進化が巷で噂されている
巷で噂されている「第7形態」「第8形態」ですが、これらについては「シン・ゴジラの科学」で語られているわけではありません。おそらく「シン・ゴジラの科学」の予測から派生した形態なのではないでしょうか? 出回っているいわゆる第7形態の特徴は、「シン・ゴジラの科学」ですでに語られていた第6形態の可能性の話で、「体内に宇宙を宿す」「あらゆる元素を体内で生成可能」「宇宙の極限環境にも適応」です。 また、第8形態は最終形態で、宇宙の外側へ出て、神の次元に到達するというもの。もはや哲学的レベルな話ですが、庵野監督ならあり得るかもと思わせてしまうところもありますね。 しかし映画でも「人類の8倍の遺伝子情報を持つ神に近い存在」と言われていたゴジラですから、「神」「宇宙」になるというのはあながち見当違いなものでもないかもしれません。
『シン・ゴジラ』での形態変化は庵野監督の思いつきだった
庵野監督は、シンゴジラの形態変化に関して、ただの思いつきだったと語っています。その理由は、肺魚から両生類、そして見慣れた姿のゴジラへと、形態が変化していったら面白いんじゃないかと考えたからのようです。 東宝からは「見慣れたゴジラのイメージを壊す」といって嫌がられたようですが、監督自らが交渉したのです。 その結果、『シン・ゴジラ』を鑑賞した人々は、監督の思惑通り新しいゴジラの姿に度肝を抜かれました。これまで分からなかったゴジラの進化が見えたという面でも評価されたようです。
『シン・ゴジラ』を形態変化に注目して見返してみよう
映画『シン・ゴジラ』を初めて見たとき、ゴジラが急速に進化していく様子を見てワクワクした方も多いのではないでしょうか。しかしラストシーンのゴジラの姿から「もしあの時倒せていなかったらゴジラはどう進化していたのだろう」と想像してみると恐ろしいです……。 科学的に見ても興味深い描写であるゴジラの形態変化に注目して、もう一度『シン・ゴジラ』を見返してみてください!