2018年3月22日更新

『シンゴジラ』ラストの尻尾は第5形態の始まりだった。謎を徹底考察&解説!【ネタバレ注意】

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2016年に公開された『シン・ゴジラ』。映画が公開されるや否やストーリーや設定、ラストシーンが謎を呼び、様々な視点から考察されるようになりました。この記事では本作が伝えたかったメッセージを、徹底考察・解説していきます。

映画『シンゴジラ』で物議を醸したラストシーン、あの尻尾は何なのか?

映画公開直後から、様々な考察を生んだ映画『シンゴジラ』。

特にラストシーンで登場するゴジラの尻尾は、映画が伝えたかったメッセージが凝縮されているような、もしくは物語の続きを想像させるような演出だったのではないでしょうか?

本作にはそんなラストシーン以外にも見どころがたくさんあります。今回はそんな傑作を深堀りしていきます。

この記事は映画のネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。

『シンゴジラ』のあらすじをおさらい

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(C)2016 TOHO CO.,LTD.

11月3日、都心付近で二つの異常事態が同時発生します。ひとつは東京湾羽田沖から噴出した水蒸気、そして東京湾アクアラインではトンネルの崩落事故。日本政府は海底火山によるものだという見解を出しました。一方内閣官房副長官の矢口蘭堂(長谷川博己)は、巨大生物らしいものを現場で発見していち早く報告しましたが相手にされません。

しかし巨大生物の尾の部分が改めて確認され、結果として矢口の意見は受け入れられます。巨大生物は多摩川から大田区へ向かい、蒲田から岸に上陸しその全貌を人々の前に現しました。自衛隊が出動するものの生物の破壊力は凄まじく、上陸から2時間の間に死者・行方不明者合わせて100人超となる大惨事となりました。

生物の上陸後に確認された放射線量の増加。やがて矢口達はこの生物が太古からのもので、放射能を浴びる事で巨大化した「ゴジラ」だと知ることになります。東京だけでなく近隣の横浜や鎌倉にも上陸し被害を拡大していくゴジラ。果たして、人類にゴジラを止める手はあるのでしょうか?

『シンゴジラ』は東日本大震災のメタファー

日本がこれまで直面してきた大災害を彷彿とさせる

地震による津波や台風による土砂被害など、天災の多い国、日本。特に近年は地震などの大型災害が各地で発生し、不安な日々を過ごしている人も少なくありません。ゴジラは物語上に顕在していますが、映画を観た人の中には「ゴジラ=東日本大震災」と感じた人もいるのではないでしょうか?

震災後、日本は放射能問題と対峙することになりました。映画ではゴジラが破壊し歩いたところに放射能があると確認されます。

そのほかにも、未知の害獣に対する政府の対応は震災時の日本国政府を彷彿とさせます。なんでも東日本大震災当時の幹事長だった枝野幸男を取材して、ストーリーを練り上げたんだとか。

本作のキャッチコピーでもある「現実(ニッポン) 対 虚構(ゴジラ)。」はリアリティを彷彿させる内容です。

映画のタイトル『シンゴジラ』の「シン」の意味とは?

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(C)2016 TOHO CO.,LTD.

本作のタイトル『シン・ゴジラ』は庵野監督自らが命名したものです。「シン」は「新」、または「真」であり「神」など複数の意味を重ねて「シン」というカタカナ表記を採用。

人間の8倍もの遺伝子情報を持ち、無生殖によって個体増殖、さらには自身も進化することで死を克服した「完全生物」ゴジラ。生物の新たな真であり、神的存在という意味合いで「シン」とつけられました。

ゴジラの正体は何なのか

東京湾から現れたゴジラは何ものなのか?混乱する日本に現れた米軍によって、その正体が作中で説明されます。ゴジラは遥か昔から東京湾に住む生物が、核物質を有する産業廃棄物に適応し進化を遂げた生物であるということ。

しかし、ゴジラ研究の第一人者である牧教授がアメリカから帰国後行方不明であり、詳細がわからないまま日本はゴジラとの戦いに突入しました。

そんなゴジラの正体には諸説ありますが、前述した「東日本大震災」で日本を襲った「地震」や「津波」の具現化という説が強いです。

また戦争で亡くなった人々の恨みが、ゴジラの語源である「呉爾羅(ごじら)」となって現れたという説もあります。呉爾羅は大戸島に伝わる迷信の1つ。普段は海底で眠っている怪物ですが、目を覚ますと近くの生物を食い尽くしやがて陸に上がって人をも襲うと言われています。そのため大戸島では不漁を呉爾羅のせいにし、生贄として嫁入り前の娘を海に流していたと語られています。

映画のラストシーン、ゴジラの尻尾に隠された意味は?

印象的なラストで終了した映画『シンゴジラ』。

ゴジラは全長333メートル、体重9万2千トンという第4形態へと進化を遂げます。その後、尻尾の先端から人の形をした無数の生命体が分裂、群体化していくという第5形態への進化過程が劇中ラストで、ゴジラの尻尾として登場しました。

人型に分裂したこの尻尾は、第5形態への変化の始まりだったのです。

ネットでは、ゴジラが人間を取り込んで養分にしているというものや、環境を汚染した人間への当てつけでゴジラは人間が作り出した害獣といった説が語られています。しかし、ゴジラの設定からするに、人型の影は無生殖による個体増殖というものが有力でしょう。

第1形態から第5形態まで変化していった流れをみると、今後個体が増殖することは大いにありえるのです。

ゴジラに破壊され、放射能で汚染されて壊滅した東京。そしてゴジラは凍結しただけで完全に死んだわけではありませんし、油断すると状況が元に戻る事を警告していると思われます。

ゴジラの第5形態の雛形が公開される

2017年2月に開催された「ワンダーフェスティバル2017」では第5形態雛形が公開され、そのビジュアルにファンから「怖すぎる」「鳥肌が立った」などの声が上がりました。 第5形態は第4形態よりも小型で、人の形に近く、背びれと尻尾と鋭い牙が特徴。 最終形態として設定された第5形態ですが、映画では進化の途中で凍結させられたために行動を起こせないままに動きを止めました。複数の人間が取り込まれ、ゴジラとは言い難いクリーチャーと化した第5形態。凍結が少しでも遅ければ、人型のゴジラに羽が生えて群体化し、世界に拡散されていました。

第6形態から第8形態まで囁かれている

ゴジラが第1形態から第5形態まで変化してきた様子を見ていれば、誰もがそれ以上を想像するはず。2016年12月号の「日経サイエンス」では、シンゴジラの科学特集が組まれ、ゴジラの進化の可能性について語られています。 この研究では、劇中でゴジラが放出した「新元素」によって自然界のあらゆる元素をゴジラ自ら生成できる個体となり、宇宙での物質創生を再現していると語られました。 これが発展して巷では第7形態、第8形態の設定もささやかれています。しかしこれは全て公式発信ではなく、あくまでも作品を鑑賞した人々の考察によるものです。

牧教授の真意は何?

城南大学で細胞生物学を研究していた牧悟郎教授。日本の学界を追放され、直後に妻を失います。その後牧教授は渡米して米国エネルギー省へ勤務していました。しかし、ゴジラが近々日本に襲来することを予測していた牧教授は極秘帰国してその後行方不明になります。

ゴジラが現れた東京湾羽田沖には彼の使っていたプレジャーボートが無人状態で見つかり、そこには宮沢賢治の詩集『春と修羅』と折り鶴が残されていました。最後まで映画に登場しないまま終わった牧教授。

ゴジラの日本襲来はかつて放射能の事故で妻を失い、助けの手を差し伸べなかった日本政府へ彼が復讐したかったためだと思われます。細胞を研究していた牧教授は、おそらく第1形態より以前の生物(ゴジラ)を持ち出したことで米国から追われており、それを東京湾に放った張本人なのです。

その他にも自らゴジラに食べられる事でゴジラを動かしたのか、または細胞学を研究していた彼自身がゴジラになったのか、様々な解釈がされていますが、本当の真相は謎のままです。

『シンゴジラ』とエヴァの共通点

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さて、総監督を務めた庵野監督の代表作「エヴァンゲリオン」との共通点から、本作を考察してみましょう。

庵野秀明は『新世紀エヴァンゲリオン』で一世を風靡した存在ですが、実は庵野監督の他にも音楽が鷺巣詩郎、監督兼特技監督が樋口真嗣と『新世紀エヴァンゲリオン』のスタッフが再集結しています。そのためか、公開直後から「エヴァっぽい」という意見が多く見られたのもうなづけます。

さらに、本作に登場するゴジラを見て使徒を想像するファンも多くいます。

「使徒」とは、ご存知エヴァに登場する人類に敵対する生物。旧約聖書に登場する天使の名前をモデルとし、人類を生み出したとされています。生命の根源でありながら、人類の脅威として日本に襲来するのです。

神々しさをも備えた使徒と、本作で日本を襲ったシンゴジラ。我々に警鐘を鳴らす存在であることは確かです。

『シンゴジラ』の面白さは圧倒的リアリティ

テレビやネットを利用して混乱の端緒を描く

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(C)2016 TOHO CO.,LTD.

本作の面白さの秘密は、作中のパニック状態の描写にあると言われています。特にテレビやネットを使用し、まるで実況中継されているかのような緊迫感のある描写が、得体のしれない巨大生物によってパニックを起こされた首都圏をリアルに再現しています。

今や災害時にはなくてはならない情報ツールとなったテレビやインターネット。私達は普段の生活でも地震や台風などの災害でこれらから提供される情報を頼りにしています。そのような観客の共感性に訴えかけた描写からリアリティが生まれたのでしょう。

政治家・官僚の会議や自衛隊の対応も徹底的にリアルを追求

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災害時にずっとチェックするのは被害状況ももちろんですが、政治、つまりは政府の対応も四六時中チェックする対象になります。国のトップがどのような指示を出すのか、それによって自衛隊などの救助隊はどのように動いて国民を助けるのか……。実際の災害時にも気になりますね。

映画『シンゴジラ』でも、打倒ゴジラのために政治家や自衛隊が活動する様子が描かれました。

本作は実際に防衛省や自衛隊の協力を経て製作されています。自衛隊だけでなく海上保安庁の機器も登場し、臨場感のある戦闘が展開された結果、リアルな映像を作り出すことに成功しました。

もちろんフィクション映画ですが、自衛隊の戦車が出動してゴジラと対峙するシーンで「こんな事あるわけない」とあっさり否定できないどころか、「こんな現実があるかもしれない」と感じてしまいます。

見慣れた風景が破壊されていく様子がリアルで怖い

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まず、物語の冒頭でゴジラが現れるのは東京湾アクアライントンネルです。その後羽田沖から多摩川河口、呑川にかかる旭橋を破壊し、とうとう蒲田駅手前で上陸。蒲田駅商店街を襲来するゴジラと、恐怖で逃げまどう人々。さらにゴジラは品川神社から北品川駅へ破壊を繰り返します。

このように、商店街や神社、駅などを破壊するのは、人里離れた山林を破壊する以上に観客の恐怖感を煽ります。普段買い物で利用する商店街や、通勤・通学で移動するために使う駅が次々に破壊されていく様子は日常と密接に関わっている分衝撃度も増します。

困惑し逃げ惑う人々。課題が残されたまま映画が終わる

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民衆から閣僚・総理大臣まで様々な人々が犠牲になった『シンゴジラ』。首都圏を壊滅するゴジラを倒すために日本と海外が手を組んで対策を練り、ゴジラへと立ち向かいます。しかし、ゴジラがまき散らした放射能や破壊された街並みは復興に時間を要しました。

そして、最終的に凍結した尻尾の先に気になる物体。物語は人々のこれからの生活に不安の影を落としたまま終了します。あえて課題を残したままラストを迎えたからこそ、リアルなノンフィクション映画のような印象を与えたのかもしれません。

ニホン対ゴジラ!国のために闘う姿がかっこいい

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早くからゴジラの存在に気がつき、ゴジラとの戦いの指揮を執る内閣官房副長官の矢口(長谷川博己)。彼が事務局長になった「巨大不明生物特設災害対策本部」は個性的なメンバーが集まり、打倒ゴジラのために戦います。

国を守るため、国連の決定にも立ち向かう

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ゴジラを倒すため、国連安保理によって決定された熱核攻撃。つまりは水素爆弾による攻撃であり、周辺住民360万人の疎開が行われます。しかし、日本はその決定に待ったをかけ、米軍と共に共同作戦の「ヤシオリ作戦」として独自の作戦を展開。結果としてゴジラの完全凍結へと導きました。

『シンゴジラ』は観れば観るほど面白くなる!

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一度の鑑賞だけでなく、何度も繰り返し観る事で新たな発見がある『シン・ゴジラ』。2017年3月22日にはブルーレイ・DVDも発売されました。ぜひ考察したうえで、もう一度鑑賞してみてください。