2019年8月20日更新

あなたは気づいた?映画『シンゴジラ』に出てくる小ネタまとめ【エヴァとの共通点も】

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『シン・ゴジラ』
(C)2016 TOHO CO.,LTD.

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『シン・ゴジラ』がもっと面白くなる小ネタまとめ【ネタバレ注意】

2016年7月に公開され、翌年の第40回日本アカデミー賞では、最優秀作品賞を含む最多7冠を達成した映画『シン・ゴジラ』。「エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明が総監督・脚本、ゴジラの怪獣造形に関わってきた樋口真嗣が監督を務めました。 ゴジラ映画29作目の本作は「現実(ニッポン)VS虚構(ゴジラ)」のキャッチコピーのもと、興行収入80億円超えの大ヒットを記録することに! 公開されるや否や、過去の概念を覆す新しいゴジラ像に日本中が沸き、作品のメッセージの解説や考察も飛び交いました。この記事では、もっと『シン・ゴジラ』が面白くなる小ネタから、庵野監督の代表作「エヴァンゲリオン」との共通点までまるっと紹介していきます。 *本編のネタバレに触れています。未視聴の方はご注意ください。

1. シンゴジラの生態・スペック

「ゴジラ」シリーズ最大サイズ!?

『シン・ゴジラ』
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登場早々に街を破壊、自衛隊のミサイルを物ともしない皮膚の硬さを見せつけ、火炎放射と放射性物質で東京を地獄絵図に変えたシン・ゴジラ。アメリカのエネルギー省(DOE)に在籍した研究者・牧吾郎が、神の化身「呉爾羅」に因んで、「ゴジラ」と名付けました。 身長118.5m、全長333m、体重92000tとシリーズ歴代最大サイズを誇り、初代ゴジラを思わせる赤く発光した体と昭和のゴジラをリアルにしたようなフォルムが特徴です。 必要に応じて進化あるいは退化を行う、という従来とは一線を画する特性を持ち、自己増殖による無限繁殖、有翼化などの可能性も言及されました。巨災対はそんなゴジラを無力化すべく自衛隊と協力し、エネルギー切れにさせた後、「在来線爆弾」を放ちます。 激しい抵抗を受けますが、最後はゴジラを凍結することに成功したのでした。

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2. シンゴジラの正体は古代の海洋生物

『シン・ゴジラ』
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ゴジラの頭部をよく見ると、深海魚のように裂けた口の中は乱杭歯という恐ろしい形になっており、瞳がかなり小さいことがわかります。 これはその正体に由来しており、ゴジラは元々古代の海洋生物だったそうです。核開発が活発化する60年前、世界中で深海に投棄された放射性廃棄物を摂取するのに適した生物が出現し、生態変化を起こした成れの果ての姿がゴジラなんだとか。 DNAは人類の8倍の情報量を誇り、最初の生物は爬虫類なのか、魚類なのかすらわからないほどの変貌を遂げたゴジラは、人間のエゴから生まれたのです。 生物なのに食事を必要とせず、生命維持エネルギーすらも体内の核融合炉で作り出せてしまうのは、核の力を取り込んだからなのでしょう。言ってしまえば、生物の宿命=死すら超えた存在であり、「人類の絶望」そのものでした。

3. 形態変化が映画考察の糸口に

新たなゴジラ像の確立に成功

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本作以前の「ゴジラ」映画では、子供のゴジラや成長途中の若者ゴジラなどが登場していました。 それが今回は、謎の尻尾姿から徐々にお馴染みのゴジラの姿になるという、全く新しい概念で姿を現します。第2形態と呼ばれる幼体は、蒲田に上陸したことから愛称は“蒲田くん”。大きく見開いた不気味な目と、体液垂れ流しという恐ろしいビジュアルなのに、なぜかネットを中心に人気になりました。 成長したゴジラの目が小さいことに関して、庵野監督は「敵無しの強さだから目があまり必要ない」と語っています。つまり"蒲田くん"のあの目は、敵だらけであることを意味しているのかもしれませんね。 この形態変化は、映画で描かれた第5形態以降の存在が噂され、作品考察の糸口にもなっています。

4. 総勢329名出演!隠れキャストに気付いた?

『シン・ゴジラ』には329人のキャストが出演しています。片桐はいりが掃除のおばさん役でさりげなく出演していたり、ゴジラの恐怖に逃げ惑う女性の1人として元AKB48の前田敦子も出演していました。 他にも自衛隊の1人として斎藤工や、ラッパーのKREVAらの姿も確認できます。突然の登場に加えて、登場時間が短いため隠れキャストとして話題になりました。 そして、エンドロールの一番最後には野村萬斎の名が。野村萬斎はなんと、“シンゴジラ”を演じていた張本人。『アバター』や『猿の惑星』で使われている、モーションキャプチャで撮影に臨みました。

5. 登場人物の役名に隠された小ネタ

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名作医療ドラマとして知られる『白い巨塔』と『シン・ゴジラ』、どう考えても共通点などなさそうです。ところが名前を並べていくと、似たような名前が多く挙がります。 カッコ内が『白い巨塔』に出てくる登場人物の役名です。 財前正夫(財前五郎)、里見祐介(里見脩二),大河内清次(大河内清作)、東竜太(東貞蔵)、花森麗子(花森ケイコ)、柳原邦彦(柳原弘)、関口悟郎(関口仁)、金井光二(金井道夫)、菊川俊介(菊川昇)。 実は、庵野監督が『白い巨塔』のファンだったことから、これらの役名が使用されました。 また主役の矢口蘭堂の名前は、庵野監督の妻である漫画家の安野モヨコの作品『ジェリービーンズ』に登場する福田蘭堂からきています。

6. 映画のキーパーソンはリケジョの星、尾頭ヒロミ

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(画像左の女性が尾頭ヒロミ) 米国大統領特使カヨコ・アン・パタースン、防衛大臣・花森麗子、都のベテラン職員のおにぎり差し入れおばさんに至るまで、本作に登場する女性キャラクターたちは、非常時にそれぞれ自分の任務をやり遂げました。 その中でも特に頑張っているのが、環境省自然環境局野生生物課長補佐の尾頭ヒロミ。その鋭い観察眼と洞察力で、ゴジラを追い詰めたのは彼女なのです。 地味なスーツ、化粧っ気もなく表情に乏しい顔、自分だけが分かってる風の早口。女子力とは無縁のような彼女なのになぜか人気が沸騰し、ヒロミを演じた市川実日子の知名度は急上昇しました。

7. ゴジラといえば伊福部音楽

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1954年に公開された『ゴジラ』の音楽を担当した伊福部昭。彼が作曲したお馴染みの「ゴジラのテーマ」が、『シン・ゴジラ』でも使用されています。 当初は伊福部昭によるオリジナル音源は古い録音だからと、修正バージョンを映画で使用する予定でした。しかし、本編にはオリジナルがそのまま使用されました。 修正バージョンは映画のサントラに入っています。

8. エヴァファンには堪らない!鷺巣詩郎による音楽も

エヴァンゲリオンサントラ
「鷺巣詩郎が音楽担当」と発表された時点で期待したファンも多かったのではないでしょうか?鷺巣詩郎は『新世紀エヴァンゲリオン』の音楽を担当した人物です。 期待に違わず、本作にはエヴァの作戦BGMとしてお馴染みの曲がふんだんに使われています。しかもバージョンを変え、なんと6パターンも!ファンならずとも思わずニヤリとしてしまう、心憎い演出ですね。

9. 明朝体に早口。「エヴァンゲリオン」を彷彿とさせる演出

『新世紀エヴァンゲリオン』最終報告書
市川実日子演じる環境庁職員・尾頭ヒロミを筆頭に、キャストが競うように早口でしゃべる本作。さらに専門用語が多い上、長ったらしいお役所の部署名が視聴者を苦しめています。 庵野監督はリアルな災害対策室を作ろうと膨大な情報をセリフに込めたのですが、そのままだと到底放映時間に収まりません。内容は妥協せず時間内に収める、そこで思いついたのが早セリフだったのです。 元来、役人は早口で淡々としゃべるもの。過剰ともいうべき情報を詰め込むこの手法、実は本作に限ったことではないのです。 難解なセリフを早口で喋る、大量の情報を文字で表記する。これらは庵野秀明監督の代表作『新世紀エヴァンゲリオン』でも多用されています。

10. 似てるのは名前だけじゃない!?「ヤシオリ作戦」と「ヤシマ作戦」

ヤシマ作戦概要『エヴァンゲリオン』
後半の見せ場となる「ヤシオリ作戦」。エヴァに登場する「ヤシマ作戦」のBGMが戦いを勢いづけてくれます。ヤシオリ作戦、ヤシマ作戦の名前や音楽以外にも類似点があることにお気付きでしょうか? 全能を思わせるゴジラに対し、人類が仕掛けたヤシオリ作戦。米軍の協力を仰ぎ、自衛隊、JRの新幹線、ポンプ車、なりふり構わず総動員で挑みました。 一方『新世紀エヴァンゲリオン』のヤシマ作戦の標的、第5使徒「ラミエル」もまた、攻守に優れ弱点の見当たらない敵だったのです。自衛隊から陽電子砲を召し上げ、日本中の電力を集結してラミエルと対峙するネルフ。電力供給が停止し漆黒の闇に包まれた街を背にしながら……。 この2つの作戦は古い伝説や神話をもとに名付けられています。

11. “シンゴジラ”と“使途”の共通点

アダム『エヴァンゲリオン』
「エヴァ」との共通点は他にも。 『新世紀エヴァンゲリオン』において第1、第2使徒であるアダムとリリス。生命の源であり、使徒の中でも神に近しいとされる存在です。対する『シンゴジラ』は、新、真、神と複数の解釈を有し、全ての生き物の頂点に君臨する完全生物なのだといいます。 環境に応じて進化する能力を持つゴジラは、両生類、爬虫類と作中形態を変貌させますが、その姿が使徒に似ていると言う意見があるのです。魚の姿をした第6使徒ガギエル、二足歩行の第7使徒イスラフェル……。 人類の脅威でありながら神々しさを備える使徒。『シン・ゴジラ』のゴジラ≒使徒と考えられるのも納得です。

12. 鉄道マニアも喜ぶ無人在来線爆弾

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ハリウッドでもゴジラ映画は作られていますが、さすが元祖日本製ゴジラとうならされたのが、この新幹線から在来線まで爆弾を乗せて、ゴジラを攻撃する作戦。 『シン・ゴジラ』では、現実に作れそうにない新兵器など出てきません。タンクローリーからポンプ車まで、実在のものを活用して戦っています。 このような演出が、「本当に日本にゴジラが来たら」と考えてしまうようなリアルさに繋がっているのでしょう。

13. ラストで見せたゴジラの尻尾の謎【ネタバレ注意】

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最後に残された謎がゴジラの尾っぽの先です。ゴジラが分裂したのか、はたまたゴジラが飲み込んだ人間なのか、諸説出ていますがまだ正解は出ていません。 ただ、あの分裂はゴジラの第5形態の始まりだったことが分かっています。映画公開から1年後の2017年に、第5形態の雛形が公開され話題を呼びました。そこには分裂が進み、“ゴジラ”の原型をとどめていない姿が。 映画が第5形態の始まりで終わっている、という本作の大きな謎。ここを深堀りすれば本作が伝えたかったメッセージが見えてくるかもしれません。以下の記事では、ラストシーンについてより詳しい考察&解説をまとめています。

14. 庵野秀明が「29」という数字に込めた想い

『シン・ゴジラ』はゴジラシリーズの29番目の作品です。初代ゴジラ公開年は昭和29年。『シン・ゴジラ』の公開日は2016年7月29日。 大の特撮ファンである庵野監督の初代『ゴジラ』へのリスペクトや愛が伝わってくるエピソードですね。そして329番目の『シン・ゴジラ』の出演者は、野村萬斎でした。

15. 庵野監督曰く『シン・ゴジラ』は「矢口の成長物語」だった

『シン・ゴジラ』
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映画『シン・ゴジラ』は、人類が一岩となって巨大不明生物に立ち向かうストーリーであると同時に、矢口蘭堂(長谷川博己)の成長物語でもありました。 矢口を演じた長谷川はORICON NEWSのインタビューに対し、撮影の後半に「これは矢口の成長物語かもしれない」と、庵野監督に言われたと明かしています。矢口の「内閣官房副長官」という役職は現実でも目立つことはないですが、30代で就くことが難しいポジションなのは確か。登場した当初は、優秀な政治家然とした無機質な印象を受けました。 しかし、ゴジラの出現と共に彼の感情が爆発したり、赤坂の現実主義と対立する理想主義者として描かれたりと、純粋で熱い一面が表面化します。上層部の反発や別組織との協力、それぞれの譲れない信念の衝突などの中で、ある意味変わらざるを得なかったとも言えるでしょう。 人として、そして政治家としての成長が「だが、今は辞めるわけにはいかない。事態の収束にはまだ、ほど遠いからな」という最後の台詞に表れているのかもしれません。

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映画『シン・ゴジラ』は観れば観るほど面白い!

1度の鑑賞だけでは情報量が多く、その勢いに圧倒されてしまうかもしれません。 しかし1つずつ映画を構成している要素を分解して観てみると、そこには監督らが仕掛けた小ネタやメッセージがたくさん隠れていることが分かりました。 何度観ても面白い『シン・ゴジラ』。これを機にもう1度観なおしてみてはいかがでしょうか?