映画『ハクソーリッジ』あらすじ・キャスト【メル・ギブソン監督最新作】
メル・ギブソン監督最新作『ハクソーリッジ』が公開間近!
アカデミー賞受賞歴のある有名監督メル・ギブソンが10年ぶりにメガホンを取った映画『ハクソー・リッジ』が公開を控えています。第二次世界大戦中に実在した平和主義者の物語を映画化した今作は、現代における戦争と平和のあり方を問い直すシリアスな作品になる模様です。
沖縄戦が舞台になっているため日本にもゆかりがあります。日本では2017年6月24日公開となる、本作のあらすじやキャスト、監督情報、その他見どころなどを確認しておきましょう。
『ハクソー・リッジ』のあらすじ
本作の主人公は実在の人物デズモンド・ドス。第一次世界大戦で命を落とした数多くの人の墓を見て心を痛めた彼は、信仰を深め、誰に対しても決して危害を加えたりしないと聖書にかけて誓います。
その時真珠湾攻撃をきっかけに太平洋戦争が開戦。ドスは戦争への参加を余儀なくされますが、その信心深さが考慮され、医療兵として沖縄のハクソー・リッジに派遣されます。ここで勝利すれば日本軍は確実に降伏するだろう、というほどの重要な地点です。
しかしそこで彼が目にしたのは、地獄ともいえる光景でした。心優しい彼は大いに苦しみます。信仰と愛国心の間で揺れるドス。果たして彼の運命はいかに…。
『ハクソーリッジ』の気になるキャストは?
主人公のデズモンド・ドスを演じるのはアンドリュー・ガーフィールド
実在したアメリカの太平洋戦争のヒーロー、デズモンド・ドスを演じるのは、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズで主役を務めたアンドリュー・ガーフィールド。2017年現在まだ33歳の期待の若手俳優です。近年になりこれまで以上に活躍の幅を広げています。
アメリカとイギリスのハーフであるガーフィールドは両国を行き来しながら舞台俳優として活動を始め、2007年の『BOY A』で少年犯罪から更生しようとするも社会に受け入れられない青年を好演しました。2009年には『Dr.パルナサスの鏡』でハリウッドにも進出します。
2010年には『ソーシャル・ネットワーク』、またカズオ・イシグロの同名小説の映画化『わたしを離さないで』に出演し、両方の映画で数々の賞を受賞・ノミネートされました。このとき共演したジェシー・アイゼンバーグなどの同年代の俳優たちとはいまでも交友関係が深いそうです。
2012年以降は『アメイジング・スパイダーマン』シリーズの主役を務め若年層からの人気を集めるとともに、2016年には『沈黙 –サイレンス-』と今作『ハクソー・リッジ』といった二つのシリアスな大作で主演を務めています。この2作は共に日本に関係が深いので特に楽しみな作品ですね。
グローヴァー大尉は『アバター』のサム・ワーシントン
ドスの上官と思われるグローヴァー大尉を演じるのは『アバター』で有名なサム・ワーシントンです。軍人を演じることには長けているワーシントンなので、今作への起用もはまり役と言えますね。
イギリス生まれオーストラリア育ちの彼はオーストラリアで演劇を学んだあとハリウッドに渡ります。キャリア初期の頃は、ピアース・ブロスナンの跡を継ぐ新しいジェームズ・ボンド役のオーディションを受けており、最終候補にも残っていたそうです(最終的にダニエル・クレイグが起用されました)。
2009年の『ターミネーター4』に出演したことで注目を集め、ジェームズ・キャメロンがメガホンをとった『アバター』では主役に起用されました。この映画は歴代1位の興行収入を記録し、3Dを一般化した映画としても世界的な話題を呼びました。続編への出演があるかどうか気になるところですね。
『タイタンの戦い』と続編『タイタンの逆襲』の主役としても有名で、戦士を演じることにかけては右に出る者はいません。
ハウエル軍曹はコメディ俳優のヴィンス・ヴォーンが新境地を開拓!
©Piovanotto Marco/Sipa USA/Newscom/Zeta Image
今作にはまたハウエル軍曹役として、コメディ俳優として有名なヴィンス・ヴォーンが出演します。シリアスな戦争映画での軍人役はヴォーンにとっては全くの新境地。どのような演技を見せてくれるのか期待が膨らみますね。
1997年の『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』への出演で知名度を上げたヴォーンは2000年以降数々のコメディ映画に出演。出演した作品は必ずヒットすることから「コストパフォーマンスの良い俳優」の第1位に選ばれたこともあります。
ベン・スティラーと仲が良く、一年間で3本もの映画で共演したことも。近年では『インターンシップ』や『ウエディング・クラッシャーズ』でオーウェン・ウィルソンとも共演しています。
10年ぶりの監督作を世に送り出したメル・ギブソンを振り返ろう
『ハクソー・リッジ』を監督したのは1995年『ブレイブハート』でアカデミー監督賞を受賞したメル・ギブソン。もともとは俳優出身の多彩な映画人です。今作は2006年に公開された『アポカリプト』以来実に10年ぶりの監督作品となります。
1979年にカルト的人気を誇る映画『マッドマックス』の主役の座をつかみ一気に世界的スターに登りつめたギブソン。その後『リーサル・ウェポン』シリーズに出演して大ヒットさせ、世界でその名を知らぬ人はいない地位まで登りつめました。
1990年代から監督業にも進出し、特にスペクタクル性の強い迫力ある歴史映画を作ります。キリストの受難を描いた『パッション』やマヤ文明が舞台の『アポカリプト』は大ヒットとなりました。しかし2006年以降DV問題などで映画界の第一線からは遠ざかっており、今作が華々しいカムバックとなるのかどうか、興味深いところです。
実際のデズモンド・ドスはどんな人だったの?
本作の主人公ドスは実在の人物がモデル。武器を持たず戦闘で人を殺さなかった兵隊としては唯一「名誉勲章」と呼ばれる、アメリカ軍の勲章の中では最高位のものを受賞した人物でもあります。平和主義者でありながら戦争のヒーローという一見矛盾する人物であることが、映画の面白さを引き立たせています。
メル・ギブソンはドスを非常に尊敬しており、彼にアメリカ大統領になってほしいとまで述べています。ギブソンがこの映画を監督しようと思った理由も、「特殊なスーツを着ない、超能力も持たない、真のスーパーヒーローを描きたい」と考えたからでした。
ギブソンは長年ドスから彼の人生を映画化する権利を購入しようとしていましたが、自分が「典型的な」ハリウッド映画にされることを嫌って長年拒否したそう。彼が亡くなったためにこの企画は実現しました。ドスの息子が映画を鑑賞した際にリアルな描写に感動したそうです。
海外ではすでに続々と高評価を獲得!
映画『ハクソー・リッジ』はすでに初公開から数か月が経過しており、海外では続々と高評価を獲得しています。ゴールデングローブ賞でも作品賞や監督賞、またアンドリュー・ガーフィールドが主演男優賞にノミネートされました。惜しくも受賞は逃しましたが、まだまだアカデミー賞の有力候補です。
英語圏最大の映画情報サイトIMDBでは10点満点中8.5点を獲得し、高評価映画ランキングでトップ100にランクイン。最新作としては異例の快挙です。批評サイト「ロッテントマト」でも86%の高評価、視聴者の感想だけを見ると92%を獲得しています。
ローリングストーン誌もこの映画を絶賛。アンドリュー・ガーフィールドの演技を「彼のキャリアの中で最高のもの」と位置付けたうえで、
ギブソンはこの映画で歴史に残る戦闘シーンを作り上げ、彼の監督としての技量と才能を再度見せつけた。…これは家族、愛、信じること、そして許すことについての映画であり、それが暴力的な対立のさなかにあって我々に疑問を投げかけている。『ハクソー・リッジ』は絶対に見逃せない傑作だ。
と評しています。
『ハクソーリッジ』の日本公開は?
アメリカを含む各国ではオスカーを狙って2016年11月に公開された『ハクソー・リッジ』。日本では、6月24日公開であることが発表されました。
日本人にとって夏は終戦記念日もあり、戦争の記憶が呼び戻される時期です。夏に公開することには大きな意味があるのかもしれません。戦争の悲惨な記憶を忘れることなく、そのなかでも平和を求め続ける勇気を本作からは学べそうです。