2017年7月6日更新

『T2 トレインスポッティング』サントラの魅力を徹底解説!

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『T2 トレインスポッティング』サントラ
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ダニー・ボイル監督、ユアン・マクレガー主演映画『T2 トレインスポッティング』のサントラの魅力を1曲ずつ解説!

1996年にスコットランドから世界的ヒットを飛ばしたサブカルチャー映画『トレインスポッティング』の続編『T2 トレインスポッティング』が、20年の時を経て2017年4月8日に日本でも公開されます。 『トレインスポッティング』の作品の魅力は斬新な映像はもちろん、劇中に流れる当時の雰囲気を反映したブリット・ポップの数々の名曲。続編では一体どのような選曲で楽しませてくれるのでしょうか。 この記事では『T2 トレインスポッティング』のサントラに収録されている楽曲を1曲ずつご紹介していきます。前作と続編の共通点を探りつつ、映画を観る前に前作のサントラも合わせて復習していくのも良いかもしれません!

1.「ラスト・フォー・ライフ(Lust For Life)」(ザ・プロジディー・リミックス)/イギー・ポップ

続編『T2 トレインスポッティング』のサントラの特徴は新旧のブリット・ポップが混在していること。まずその筆頭で作品を特徴づけているアイコンとなる楽曲は、もちろん「ラスト・フォー・ライフ」ですね。 しかも今作では、1990年代を代表するブリティッシュ・テクノ・バンドのプロディジーがリミックスを手がけています。プロディジーのオフィシャルのインスタグラムには曲の冒頭の部分が公表されています。

#theprodigy #purefire

The Prodigy officialさん(@theprodigyofficial)がシェアした投稿 -

ところで前作のレントンがオーバードーズするシーンで使用されたルー・リードの「パーフェクト・デイ」が、今作でもオープニング・シーンにピアノ・リプライズ・バージョンで流れているようです。しかし残念ながら、今作のサントラには収録されていません。

2.「ショットガン・マウスウォッシュ(Shotgun Mouthwash)」/ハイ・コントラスト

2曲目はウェールズ出身のドラムンベースDJとして活躍するハイ・コントラストの「ショットガン・マウスウォッシュ」。アシッドなスタッカート・ビートが印象的なオープニング・ナンバーです。 この曲のミュージック・ビデオが映画『T2 トレインスポッティング』とのコラボレーションとして制作、公開されています。パブで演奏中のバンドに思わぬハプニングが起こる衝撃的なビデオですが、映画の映像がパブのテレビに映され、次第にリンクしていく演出になっています。 またハイ・コントラストの2012年のアルバム「ザ・アゴニー・アンド・ザ・エクスタシー」に収録されている楽曲「ザ・ファースト・ノート・イズ・サイレント」には、アンダーワールドがフィーチャーされています。

3.「シルク(Silk)」/ウルフ・アリス

2010年に女性シンガーのエリー・ロウゼルとジョフ・オディで結成された「ウルフ・アリス」の楽曲「シルク」が3曲目を飾っています。1990年代初めに流行したシューゲーザー・サウンドを彷彿とさせる雰囲気を持った曲です。 この曲は映画の本編映像からの最初のトレーラーに使用されており、アンダーワールドの「ボーン・スリッピー」の後、後半の「未来を選べ、人生を選べ」と語られるシーンに流れています。トレーラーを何回も観たファンにはすでにおなじみでしょうか。 ウルフ・アリスは2015年に大ブレイクし、その年のグラストンベリー・フェスティバルに出演しベストアクト・トップ20中4位に選ばれています。また同年サマーソニックにも出演、第58回グラミー賞ではデビュー・アルバム「マイ・ラヴ・イズ・クール」に収録されている「モーニング・リサ・スマイル」で最優秀ロック・パフォーマンス部門にノミネートされました。

4.「ゲット・アップ(Get Up)」/ヤング・ファーザーズ

今作のサントラに一番楽曲を多く提供しているのが、スコットランド・エディンバラ出身のヒップホップ・トリオ「ヤング・ファーザーズ」です。サントラに収録されているのはこの「ゲット・アップ」のほか「オンリー・ゴッド・ノウズ」と「レイン・オア・シャイン」の計3曲。 実はこのほかにも劇中で「ロウ(Low)」「ノー・ウェイ(No Way)」「デア・ミー(Dare Me)」の3曲が使われています。ダニー・ボイル監督は「ゲット・アップ」について「本作の原動力」とまで語っており、ヤング・ファーザーズは前作におけるアンダーワールドの「ボーン・スリッピー」のような重要な役割を果たしているようです。 2014年のアルバム『デッド(DEAD)』でイギリスの権威ある音楽賞・マーキュリー賞を受賞しており、授賞式で「ゲット・アップ」をパフォーマンスしています。独特なパフォーマンスもさることながら、「カテゴライズ不能」と言われる不思議なサウンドは『T2 トレインスポッティング』の映像にもぴったりマッチしています。

5.「リラックス(Relax)」/フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド

フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドは、1980年代にニュー・ウェイヴ・サウンドの旗手として活躍したイギリスのバンドです。結成時のメンバーはヴォーカルのホリー・ジョンソン、キーボードのポール・ラザフォード、ギターのブライアン・ナッシュ、ドラムのピーター・ギル、ベースのマーク・オトゥールの5人。 「リラックス」は彼らのデビュー曲で、1983年にリリースされました。当時は歌詞の過激さから多くの国の放送局で放送禁止になった問題作でしたが、大ヒットを記録した楽曲でもあります。日本でもテレビ番組やCMで使用されたことがあるので、耳慣れた曲かもしれません。 『T2 トレインスポッティング』は前作が公開された1990年代の“クール・ブリタニア”をノスタルジックな形で復活させようとしている節があるのかもしれませんが、確かにサントラにもフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドやクイーン、ザ・クラッシュなど80~90年代のアーティストを取り入れてノスタルジアを演出しているようでもあります。

6.「エヴェンチュアリー・バット(スパッズ・レター・トゥ・ゲイル)(Eventually But(Spud's letter to Gail))」/アンダーワールド・アンド・ユエン・ブレムナー

「エヴェンチュアリー・バット(スパッズ・レター・トゥ・ゲイル)」は『T2 トレインスポッティング』公開記念でリリースされたアンダーワールドの限定12インチ版に収録されている新曲で、その副題から察するとスパッドが彼の恋人ゲイルに渡した手紙の内容が読まれるシーンで使用されているようです。 この曲に関するどの感想を読んでも、「可哀そうなスパッド」や「ユエン・ブレムナー最高!」という言葉が躍っていて、今作ではスパッドがベスト・アクターだという評価が大変多いようです。この楽曲が使用されるシーンは作中でも相当重要な場面ではないかと推測されますね。

7.「オンリー・ゴッド・ノウズ(Only God Knows)」/ヤング・ファーザーズ

ヤング・ファーザーズのメンバーは、リベリア出身エディンバラ在住のアロイシャス・マサコイ、ナイジェリア人の両親を持つエディンバラ生まれのケイアス・バンコール、そしてエディンバラ出身の“G”・ヘイスティングスの3人。それぞれバックグラウンドの異なるメンバーが作り出す音楽だからこそ、単純なカテゴリーに収まらないのでしょうか。 新曲「オンリー・ゴッド・ノウズ」は、2017年1月24日にヤング・ファーザーズの公式ホームページでシェアされました。この曲にはリース教会合唱団(Leith Congregational Choir)がフィーチャーされており、エレクトリック・パンクとゴスペルの融合というハイブリッドな楽曲に仕上がっています。
ヤング・ファーザーズ「オンリー・ゴッド・ノウズ」

8.「ダッズ・ベスト・フレンド(Dad's Best Friend)」/ザ・ラバーバンディッツ

「ダッズ・ベスト・フレンド」は劇中で、レントンがシック・ボーイの部屋で一緒にこの曲のミュージック・ビデオを観ているシーンで使用されているようです。どうやらこのシーンは、作品を観たレビュアーからの評価も高く、印象的な場面になっている模様。 ザ・ラバーバンディッツはアイルランドのヒップホップ・コメディ・デュオ。ブラインドボーイ・ボートクラブ(デイヴ・チャンバース)とミスター・クローム(ボブ・マクグリン)の二人で、パフォーマンスやインタビューの間は常にレジ袋で作ったマスクを被っている覆面アーティストとして活動しています。

9.「ドリーミン(Dreaming)」/ブロンディー

イギー・ポップに続いて登場するアメリカ出身のロック・バンドはブロンディで、「ドリーミン」は1979年のアルバム『恋のハートビート』に収録されている楽曲です。 ブロンディは女性ヴォーカリストのデボラ・ハリーを中心に結成された、ニュー・ウェイヴの代表的なバンドです。1982年に解散した後、1997年に再結成しており、2017年にはアルバム『ポリネイター(Pollinator)』をリリースしています。 前作のサントラにはブロンディの「アトミック(Atomic)」が、スリーパーのカバー曲として収録されていました。「アトミック」も「ドリーミン」同様、『恋のハートビート』からのシングル曲です。

10.「RADIO GA GA」/クイーン

「RADIO GA GA」は、70~90年代のブリティッシュ・ロック・シーンに君臨し続けたクイーンによる楽曲で、1984年のアルバム『ザ・ワークス』からのシングル曲です。ドラムのロジャー・テイラー初のシングルヒットとなりました。 レディ・ガガがその名の由来はこの曲からだと語っていることが知られていますが、ミュージック・ビデオに1927年の映画『メトロポリス』の映像を使用していることでも有名です。またこの曲は、1985年にイギリスのウェンブリー・スタジアムで行われた「ライブ・エイド」でのクイーンのステージで歌われ、ライブ・エイドのハイライトとなった楽曲でもあります。 前作のサントラからの傾向からはあまり考えられないほどポップな選曲で、果たしてどのようなシーンで流れているのかが、気になるところです。

11.「イッツ・ライク・ザット(It's Like That)」/RUN-DMC VS ジェイソン・ネヴィンス

Run-D.M.C.はアメリカ・ニューヨーク出身のヒップホップ・グループで、メンバーはジェイソン・ミゼル(ジャム・マスター・ジェイ)、ジョゼフ・シモンズ(Run)、ダリル・マクダニエルズ(D.M.C.)の3人。2002年にジャム・マスター・ジェイが射殺されたことから、活動休止しています。 「イッツ・ライク・ザット」は1998年にアメリカのDJ・プロデューサー・リミキサーとして活動しているジェイソン・ネヴィンスとのコラボレーション楽曲で、Run-D.M.C. VS ジェイソン・ネヴィンスの名義でリリースされました。今作のサントラはヒップホップ/ラップ・ナンバーが多く、ベストシーンで使われているようでもあります。 Run-D.M.C.のコラボ曲といえば、1986年にスティーヴン・タイラーとジョー・ペリーとともに制作されたエアロスミスの「ウォーク・ディス・ウェイ」のカバーを思い出します。また、ジェイソン・ネヴィンスはリミキサーとしても引く手あまたで、カーリー・レイ・ジェプセンの「ディス・キス」のリミックスを手がけています。

12.「ハマースミス宮殿の白人」/ザ・クラッシュ

ザ・クラッシュはイギリスのパンクロック・バンドで、1970年代後期から1980年代の音楽シーンに影響を与えたバンドの一つです。結成メンバーは、ヴォーカルのジョー・ストラマー、ギターのミック・ジョーンズとキース・レヴィン、ベースのポール・シムノン、ドラムのテリー・チャイムズの5人でした。 「ハマースミス宮殿の白人」は1978年の5枚目のシングルで、ファースト・アルバムの『白い暴動』の米国版に収録されています。いち早くレゲエとパンクロックを融合させたり、その政治的な内容の歌詞で、彼らの幅広い音楽性と政治性を表した傑作です。 小説「トレインスポッティング」には「ロンドンの夜」という、ザ・クラッシュの1979年3枚目のアルバム『ロンドン・コーリング(London Calling)』のタイトルにかけてあるような章があります。

13.「レイン・オア・シャイン(Rain Or Shine)」/ヤング・ファーザーズ

「レイン・オア・シャイン」は、2015年にリリースされたアルバム『ホワイトメン・アー・ブラックメン・トゥ』に収録されている楽曲で、ファースト・シングルです。心拍音のようなビートが早く強く脈打ち、ダークで不安感を煽るような印象の曲になっています。 この楽曲が映画のどのシーンで使用されているかはまだわかりませんが、曲順から考察してもクライマックスに近い場面で流れている可能性が高いですね。ダニー・ボイル監督が語ったヤング・ファーザーズの今作での重要性と楽曲の雰囲気から考えても、おそらく重大なシーンに使われているのではないでしょうか。 原作者のアーヴィン・ウェルシュは、自身とヤング・ファーザーズの地元であるエディンバラで、あるドキュメンタリー番組を通して知り合っていたようです。また、ダニー・ボイル監督はマーキュリー賞受賞をきっかけにヤング・ファーザーズを聴くようになったそうです。

14.「ホワイテスト・ボーイ・オン・ザ・ビーチ(Whitest Boy On the Beach)/ファット・ホワイト・ファミリー

ファット・ホワイト・ファミリーは2011年にサウス・ロンドンで結成されたロック・バンドで、メンバーはヴォーカルのリアス・サウディ、ギターのソウル・アダムチェイスキー、オルガンのネイサン・サウディ、ベースのタイシ・ナガサカ、ギターのアダム.J.ハーマー、そしてドラムのセベリン・ブラックの6人です。 「ホワイテスト・ボーイ・オン・ザ・ビーチ」は2016年にリリースされた彼らのセカンド・アルバム『ソングス・フォー・アウア・マザーズ』からのファースト・シングルです。この曲のミュージック・ビデオはイングランド南東部にある白い断崖絶壁ビーチー・ヘッドで撮影され、メンバーが無理やり丸坊主にされアーミールックに身を包んでいる摩訶不思議な世界観が印象的です。 まるでフワフワ漂うような不思議なこの楽曲が、劇中のどのシーンで使用されているのか非常に気になりますが、サントラの曲順が最後から2曲目であることを考えると、かなりラストに近いことが想像できます。

15.「スロー・スリッピー(Slow Slippy)」/アンダーワールド

前作のサントラで映画『トレインスポッティング』の代名詞ともなった2曲、「ラスト・フォー・ライフ」と「ボーン・スリッピー」は、今作のサントラで生まれ変わった楽曲です。「ラスト・フォー・ライフ」はプロディジーのリミックスによって、「ボーン・スリッピー」はアンダーワールド自身の手によって最新バージョンにアップデートされました。 続編公開記念版として公式サイトのみでリリースされた限定12インチには、「ロング・スロー・スリッピー」が収録されています。「ボーン・スリッピー」のスロー・バージョンともいえる「スロー・スリッピー」は物語のどの部分で流れるのでしょうか。前作の忘れがたいラストで流れた「ボーン・スリッピー」同様、強い印象を残しているのでしょうか。 今作のサントラはなんとアンダーワールドのリック・スミスが劇中音楽も担当しています。『T2 トレインスポッティング』の日本版サウンドトラックは、映画公開より10日前の2017年3月29日発売です!