フィリップ・K・ディック原作のSF映画7選【「人間とは?」系最高峰】

2017年5月12日更新 3849view

生前こそ不遇だったものの、死後にその評価を高めた「現代で最も重要なSF作家」フィリップ・K・ディック。アイデンティティの損失や未来社会の不安といったテーマの著作は、『ブレードランナー』、『トータル・リコール』といった映画に昇華されています。

フィリップ・K・ディックは現代で最も重要なSF作家

フィリップ・K・ディック

1928年生まれのフィリップ・K・ディックは、52年に作家としてデビュー以降、1982年にその生涯を終えるまで、決して恵まれた評価を得てきたとはいえません。

しかし、死後になって日常生活への不信感や既存社会の崩壊をテーマとした数々の著作が世界的に認められるようになり、今日では「現代で最も重要なSF作家の一人」と評されています。

1.『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(映画化名:『ブレードランナー』)

igagurichan リドリー・スコット監督作品。 P・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」が原作。SFサスペンス&ラブストーリー。この映画の世界観が好きです。人種が混沌としていて、酸性雨の降る暗い世界の中に浮かぶ夜景が美しい。 レプリカントを始末するブレード・ランナーのデッカード(ハリソン・フォード)逃げるレプリカントのロイ(ルトガー・ハウアー)。ロイは悪役で狂気の表情を魅せるのですが、彼の魂の叫びが心に響きます。レプリカントの苦悩。悪と善の曖昧さ。 うどん屋のシーンの「2つで充分」何が充分なの?調べたら海老のような…これなんだ?劇場版しか観てないのでずっと気になってます。続編が楽しみです。

酸性雨が降り注ぐ2019年のロサンゼルスで、危険な労働に駆り出されていた人造人間のレプリカントが、人間に反逆を起こします。そこでブレードランナーのデッカードが彼らの追跡に乗り出しますが、その過程で「生」に執着するレプリカントの実態を知ることに…。

数あるフィリップ・K・ディック原作の映画化作品の中でも、おそらくもっとも有名なのがこの作品。

ディックは映画化の企画が挙がった当初こそ難色を示していましたが、テスト映像の出来映えに感激し、完成を心待ちにしていたとか。しかし彼は、それを待たずして亡くなってしまいます。

2.『追憶売ります』(映画化名:『トータル・リコール』)

Maaaaaaboou フィリップ・K・ディック原作のSF映画。これくらい古さを感じるSF映画好きです。そしてさすがのディック原作で設定が面白い。シュワちゃんだとマッチョ感ありすぎたけど、なかなか楽しめた。

体験したことのない「記憶」を頭に植え付けることができる未来に、火星旅行を夢見る男が火星に行った体験を植え付けてもらうも、それにより「本当の記憶」が甦ってしまいます。

「自分は本当は何者なのか?」、「果たして自分は存在するのか?」というテーマを突き詰めた、いかにもディックらしい作品です。

1990年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で映画化されましたが、設定はかなりアレンジされています。むしろ2012年のリメイク版の方が原作に忠実といえます。

3.『にせもの』(映画化名:『クローン』)

異星人と地球との戦いが混迷化していた未来世界。地球防衛の権威として信頼を得ていた科学者スペンサーが突如、異星人が送り込んだ爆弾を抱えたクローン人間だという容疑をかけられてしまいます。自分が人間である証明をすべくスペンサーは逃亡を図りますが…。

尊敬を受けていた男が突然、差別や迫害される存在となっていくという、価値観の逆転を描いた作品。映画『フォレスト・ガンプ』やテレビドラマ『CSI:ニューヨーク』で知られるゲイリー・シニーズ製作・主演による映画版は、衝撃的なラストが話題となりました。

4.『少数報告』(映画化名:『マイノリティ・リポート』)

taichimachima いやあ、よかった。舞台は予知によって殺人事件ゼロを実現した未来のアメリカ。この未来予知システムがたまらんのです。予知するのは3人の幼い男女。その名もプリコグ。もうこの設定の時点でたまりません。中2心をくすぐります。 ストーリーまずまず。ちょい役でピーター・ストーメアが出てたのが個人的に嬉しい。いい感じにマッドドクター演じてます。 #ネタバレ

犯罪予知が可能になった未来を舞台に、近い将来犯罪を犯すと予知されてしまった犯罪予防局長官アンダートンは、真相を突き止めるべく警察に追われながら調査を開始します。隠された自我とマインドコントロールをテーマにした、ディックの真骨頂ともいえる作品です。

2002年にスティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演で映画化されましたが、実はそれ以前に『トータル・リコール』(1990年版)の続編として企画されたこともありました。

5.『報酬』(映画化名:『ペイチェック 消された記憶』)

Takuto_Ishii 面白いという噂を聞き鑑賞。 実際面白かったですねー!近未来SFにもかかわらずかなり古い感じもしてその雰囲気も良かったですし、ストーリーもあんなガラクタで面白いようにうまく行く感じが最高でした。驚いたのは未来を見るマシンが手相占いをヒントにして作られたってことですねー、驚いたし感動したしなるほど!と思いました。

短期間で極秘プロジェクトに属し、その期間の記憶すべてを消し高収入を得る仕事エンジニアのマイケルはある日、親友のジミーから100億円の報酬と3年分の記憶を抹消する大仕事を頼まれますが__。「記憶を消す」という要素をサスペンステイストで盛り込んでいます。

ジョン・ウー監督、ベン・アフレック主演で映画化され、ガンアクションや白い鳩などウー監督ならではの定番シーンは健在。しかしバイオレンス要素が抑え目にされたせいか、少々半端な出来となってしまった感は否めません。

6.『暗闇のスキャナー』(映画化名:『スキャナー・ダークリー』)

ytk0213 観終わったあと、しばらく整理がつかなかった。大事なのは、フレッド=ボブ・アークターであること。同一人物でありながら、スキャナー越しの関係であり、自身がスクランブル・スーツのような感覚。時々感じる、肉体と精神が切り離されるような感覚を理解して、ボブの精神で観ると筋が通るんだろう。もう一度観たら、よくわかるかも。原作は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の作者、フィリップ・K・ディック。彼自身の実体験を元に、ドラッグに対する強いメッセージが籠められているとのこと。その辺りを事前情報で入れておくと、感慨深い映画かもしれないな。キアヌはこういうの似合う。

近未来のアメリカを舞台に、右脳と左脳を分裂させるドラッグ「物質D」の供給源を探るために自らジャンキーとなった覆面麻薬捜査官。しかしドラッグの影響により、捜査官とジャンキーという自信の二重人格に振りまわされることに。

自身も麻薬常習者だったディックの体験が、ストレートに表れた作品。2006年にリチャード・リンクレイターによって映画化されましたが、現実と幻覚を曖昧にする狙いから、実写映像をトレースしてアニメーション化する手法「ロトスコープ」が採用されています。

7.『ゴールデン・マン』(映画化名:『NEXT-ネクスト-』)

予知能力を持つ全身黄金色のミュータントが、危険な存在として人類に追われていきます。コミュニケーションの齟齬によるミュータントの疎外感や差別を描いたこの物語は、現在よりもずっと世間から低く扱われていたSF作家という職業に邁進した、ディックの心情を反映しています。

2007年にニコラス・ケイジ製作・主演で映画化されましたが、予知能力という設定だけ踏襲され、あとは大幅に変更されています。そのせいか内容的にも批評的にも芳しくないものに…。

【番外編】フィリップ・K・ディックの自伝を模したような作品もある

ディックの奇妙な日々

現在では高名な存在となったフィリップ・K・ディックですが、彼の生涯に触れた伝記で映像化された作品はこれまでに発表されていません。しかし、それに近い内容の映画ならあります。

長いスランプに陥っていたSF作家ディックが、精神的プレッシャーから自身のSF作品世界に捉われていくという1986年製作の『ディックの奇妙な日々』。この映画は、監督&脚本家のゲイリー・ウォルコウが、ディック本人にオマージュを捧げて製作されています。