海外で話題沸騰のサスペンスホラー『スプリット』!!
M・ナイト・シャマラン脚本、監督の話題のサスペンスホラー、『スプリット』がいよいよ日本でも2017年5月12日に公開されます。
解離性人格障害(DID)に苦しむ主人公ケヴィンを演じるのは『ナルニア国物語/第1章: ライオンと魔女』(2006)で世界的にも有名になったジェームズ・マカヴォイです。
23もの人格を持つと診断が下されたケヴィンに誘拐された3人の少女は、恐ろしい24番目の人格が現れる前に無事逃げ切ることができるのでしょうか…。
この記事では本作の10のトリビアをお届けいたします。ネタバレが含まれますのでご注意ください。
1.24の人格を持つ男は存在する!!
『スプリット』の主人公ケヴィンのように、実際何十もの人格を持つDID患者は存在するのでしょうか。
実在する人物ビリー・ミリガンはケヴィン同様24の人格を持ったDIDを患っていました。ビリーは罪を犯した際、やったのは自分ではなく他の人格である、と供述し自分を弁護。紆余曲折あってビリーは結局のところ無罪になりました。
しかし、この『スプリット』は実話ではありません。どこまで真実に近いのでしょうか。その辺のことは次の章で見てみましょう。
2.『スプリット』はどこまで真実?
上記のようにDIDを患っている患者さんは少なからず存在しますが、まれな存在。では『スプリット』はどの程度真実に基づき、またどの程度フィクションなのでしょうか。
監督の話によりますと、専門家たちでさえ答えが出せずに悩んでいるようです。どこまでが真実なのだろうか?患者の言っていることのどこまで証明できるのだろうか?
ただ、映画に出てくるものは全て症例に基づいているとのこと。盲目の人なのに他の人格はみんな目が見えているとか、一人はコレステロールが高いのに別の人格のコレステロール値は低いだとか、ハチ刺されにアレルギー体質の人の残りの人格はアレルギー反応がない、等々。
プラシーボ効果というのは存在しますし、精神によって身体に何らかの変化をもたらすことはありますよね。気持ちの変化で血圧が上がったり胃潰瘍ができることもあるそうです。
にわかには信じられないかもしれませんが、人格が変化することもあっても不思議ではありません。脳のほとんどが解明できていないのですから。その苦しみは患者さんにも説明することが難しいのかもしれませんね。
ちなみに、シャマラン監督はいつかプラシーボ効果についての映画を作りたいと思っているようです。
3.新人アニャ・テイラー・ジョイ、要チェック!!
誘拐された少女の1人、キャシー・クックを演じたアニャ・テイラー・ジョイは2015年アメリカで公開されたホラー映画『The VVitch: A New-England Folktale(原題)』で一躍脚光を浴び、世界でも注目されるようになりましたが、シャマラン監督はそのことを知らなかったようです。
他の大勢の女の子と同じようにオーディションを受けてその中から選ばれたとのことです。しかし、監督いわくそれは偶然ではなく“スイート・スポット”のようなものとのこと。ある時期、次から次へと主役に抜擢されることがあると言います。
カメラが向けられるとやる気やそれにつながるあらゆる感情が湧き出てくるからその結果、次々主役が回ってくるということだそうです。いわゆるブームというものですね。今がまさにアニャのブームというわけです。気になる方は今のうちに要チェックです!!
4.ジェームズ・マカヴォイはいつ選ばれた?
出典: www.amazon.co.uk
DIDという難しい役どころを見事に演じ切っているジェームズ・マカヴォイですが、M・ナイト・シャマラン監督はいつ彼に白羽の矢を立てたのでしょうか。次のように答えています。
監督はジェームズと面識はなかったそうです。ただ有名人として知っていただけで、彼の気品や優雅さをとても良いと感じていたと言います。
ジェームズに謙虚さを感じてたようですし、さらには舞台俳優としての経験が豊富であったことが監督にとってはとても重要なポイントだったようです。演劇の演出技法が身についている、ということもポイントが高かった様子。
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子どもに女性、そして“肉体第一主義者”、そのすべてを演じられる人を探すのは藁山の中から針を探すようなものだったとか。初めジェームズは検討されていなかったのですが、とある映画に出ている彼を見て、スタッフ含め全員一致で彼に決まったそうですよ。
5.ジェームズ・マカヴォイは最も勇気ある俳優
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マカヴォイは『フィルス』(2013)でドラッグ、アルコール、女、不正行為、何でもありのハチャメチャ刑事を演じました。シャマランはそんな難しい役をこなした彼を最も勇敢な俳優だと称えます。
演技力のある役者が伝記ものに進路変更することが多々あるそうです。
彼らは挑戦してみたい気持ちもあり、またクレイジーな役も演じてみたいが、風格を出したいので伝記映画に出演するのだというのが監督の考え。クレイジーなのはあくまで自分ではなく、その人物であると逃げ道を作ることができるからとのことです。
キャリアを重ねた俳優にとって、変なイメージが定着しやすい役を演じることは大きなリスクだと言います。
しかし、それをマカヴォイはやってのける俳優だと監督は絶賛しています。怖いもの知らずなんじゃないか、とのことですよ。
6.ビーストの価値観
ケヴィンの人格の中で24番目に登場するビーストはその名の通り野獣のように危険な人格なのですが、ビーストの価値観はどこから来たのでしょう。シャマラン監督は次のように考えているようです。
一般的にホラー映画において、セックスをしたから殺される、という一見矛盾したような理由で殺害されることはよくあるわけです。一見真逆なようですが、相手に魅力を感じるという気持ちと殺したくなる気持ちは相反するものではなく表裏一体ということです。
そして本作の場合は、ビーストの価値観はトラウマ的なことから来ているわけですがトラウマを持って生きる人間の気持ちも、これまた先ほどの一見真逆に見える表裏一体的性質を含んでいるのではないでしょうか。
そして、トラウマを抱えた人間とそうでない人間もまた表裏一体ではないか。トラウマを抱えた人間はそうでない人間と確かに違います。でも誰もがトラウマを抱えうるし、抱えたとたんそうではない人間とは違ってしまいます。でもどちらが正しい、とかどちらが欠けた人間だとか決められるでしょうか。
私たちは特に何も起こらなければ正常な暮らしを送っていて万事完璧だ、と思いがちですが、ビーストは実はそうではなくて、わたしたちがぼんやりしているだけじゃないのか、というようなことを伝えてくれているのです。
7.『スプリット』で明かされる驚愕のラスト?!
『スプリット』のクライマックスは誘拐された少女キャシー(アニャ・テイラー・ジョイ)とケヴィン・ウェンデル・クランブの24番目の人格との対決シーンですが、この男はとても動物的で危険な人物。
そこからシーンは最後に、ダイナーにあるテレビのケヴィンの逮捕を報道するニュースシーンに切り替わるのですが、ケヴィン逮捕のニュースがさらには15年前のMr.ガラスことイライジャ・プライス逮捕へと関連していくのです。
そこからカウンターに座っている”ダン”が映し出されます。そうです『アンブレイカブル』(2001)のダンとプライスです。最後の最後で本作『スプリット』と『アンブレイカブル』がつながっていたのだということがわかるのです!!
8.『スプリット』のポスターにヒントが隠されていた?
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ブルース・ウィリス主演の映画『アンブレイカブル』のポスターを覚えていらっしゃいますか?ブルース・ウィリスとサミュエル・L・ジャクソンが映っていて背景のガラスに亀裂が入っている、あれです。
もうお気づきですね。『スプリット』のポスターにある割れたガラスのデザインは『アンブレイカブル』のポスターと似ているわけですが、どうやら同じ映画のシリーズらしいということが色々とわかってきました。
言われてみればどちらの監督もM・ナイト・シャマランですし、何で気が付かなかったんだろう…という感じですが…。
9.『アンブレイカブル』&『スプリット』
本作の若かりしケヴィンと彼に虐待行為を行っている母親が『アンブレイカブル』にちょこちょこシーンに映っていたのではないかと考えられます。
ブルース・ウィリス演じるデイヴィッド・ダンの勤め先のスタジアムでダンはケヴィン母子の前を掃除をしながら通り過ぎたり、薬の売人ともみ合う直前に母親が虐待しているのが実はケヴィンだったり。
さらに、ケヴィンが子供の頃父親が乗って出かけたアムトラックは『アンブレイカブル』で事故にあったのと同じもの!!『アンブレイカブル』、『スプリット』と全く別の名前で続編、やられました…。
10.『スプリット』では終わらない?!
シャマラン監督、実はケヴィンというキャラクターを『アンブレイカブル』のために書いていたそうなのですが、15年後に別の作品、つまり『スプリット』に登場させることにしたそうです。
さらに物語はこれで終わらず、別のオリジナルアイディアが既に浮かんでいて “どうしても”との強い思いから『アンブレイカブル』は3部作になるようです。次回作も楽しみですが、まずは本作を最大限堪能しましょう。