2019年1月25日更新

『ミスター・ガラス』ネタバレ解説&あの2作との関連性を徹底整理

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ミスター・ガラス
©Universal Pictures All rights reserved.

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『ミスター・ガラス』を前作のネタバレともに徹底整理・解説

『ミスター・ガラス』は、2019年1月18日に公開が予定されているM・ナイト・シャマラン監督の新作です。シャマラン監督は自身のTwitter等で、本作は『アンブレイカブル』(2000)と『スプリット』(2017)の続編であると発表しました。 『アンブレイカブル』の主人公デヴィッドとミスター・ガラス、そして『スプリット』のケヴィンの3人が主要キャラクターとして登場する本作では、一体どんな“真実”が待ち受けているのでしょうか。 この記事では本作の気になる情報を一挙に紹介。また、前2作とともに復習していきましょう!

注意:「アンブレイカブル」シリーズ3部作のネタバレ情報を含みます

気になる『ミスター・ガラス』のあらすじは?

ミスター・ガラス
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『ミスター・ガラス』では、人知を超えた能力を持つデヴィッド、ケヴィン、そしてミスター・ガラスの3人が、ある研究のためにある施設に集められます。 そこで彼らを出迎えたのは、精神科医のエリー・ステイプル。彼女は「スーパーヒーローは存在するのか?」という研究をするために彼らを集めたと説明します。 しかし、ステイプル医師の本当の目的は、自らを人間以上の存在だと信じる彼らを使って、それらの能力はすべて妄想であると証明することでした。 こうして“禁断の研究”が始まり、ついに驚愕の真実が明らかになります。

ミスター・ガラス/イライジャ・プライス (演:サミュエル・L・ジャクソン)

今回はこのキャラが中心に!?

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本作のタイトルにもなっている「ミスター・ガラス」。本名はイライジャ・プライスで、コミック専門の画商をしています。 彼は先天的な骨形成不全症を患っており、人生で94回骨折した経験を持つ壊れやすい身体の持ち主(『アンブレイカブル』では「今までに54回骨折した」と言っていましたので、以前よりも増えていますね)。一方で非凡なIQの持ち主でもあります。 『アンブレイカブル』(2000)に登場した彼は、ブルース・ウィリス演じるダンに、その能力を自覚させる重要な役割を担いました。 目的を果たしたミスター・ガラスは、その後精神病棟にずっと入れられていました。

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デヴィッド・ダン (演:ブルース・ウィリス)

彼は本物のヒーローになれたのか!?

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David Dunn. Watch the trailer for #GlassMovie this Friday.

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破壊不可能なほどの強靭な肉体を持つデヴィッド・ダン。 『アンブレイカブル』で、ダンは乗客乗員131名が死亡した悲惨な列車事故からただひとり無傷で生還します。その後ミスター・ガラスと出会い、自身の肉体が驚異的なほどに頑丈あることに気がつきました。 さらにダンは悪人を察知する勘を持っており、人に触れると相手の過去の悪行が見えるという能力も覚醒させます。 『アンブレイカブル』のあとは、息子の協力を得ながら自警団として引き続き活躍。世間から「監視者」として注目を浴びていました。

ケヴィン・ウェンデル・クラム (演:ジェームズ・マカヴォイ)

23の人格を持つ男

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The Beast. Watch the trailer for #GlassMovie this Friday.

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乖離性同一性障害のため自分のなかに23の人格を持つケヴィン・ウェンデル・クラム。それらの人格は違った個性を持ち、人格が変わると体質も変わるという不思議な現象が起こります。 『スプリット』では、彼の人格のうちのひとりが女子高生3人を誘拐し、ほかのふたりの人格と協力して彼女たちを監禁していました。 『ミスター・ガラス』には、前作で登場しなかった人格も登場します。

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誘拐事件の被害者 ケイシー・クック (演:アニャ・テイラー=ジョイ)

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She’s never free from The Beast. #GlassMovie

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ケヴィンのなかの別人格に誘拐・監禁された女子高生のケイシー・クックは、『スプリット』で最終的に彼らの隠れ家から救出されました。 ケイシーは『ミスター・ガラス』にも登場し、再びケヴィンやビーストと対峙することになります。

そのほか登場人物を紹介!『アンブレイカブル』のキャラクターも再登場!

ダンの息子・ジョセフ (演:スペンサー・トリート・クラーク)

『アンブレイカブル』で父デヴィッドとともにミスター・ガラスに会い、父の能力を信じた息子ジョセフ。デヴィッドが自分の能力を受け入れるきっかけのひとつとなりました。 父がヒーローになるのを望んでいたジョセフは、大人になってから父とコンビでビジランテをしていました。演じるスペンサー・トリート・クラークも続投。映画の中と同じ時間を経て成長した姿が見れます。

ミスター・ガラスの母 (演:シャーレイン・ウッダード)

ミスター・ガラスことイライジャ・プライスの母も、本作に登場します。 怪我をしやすいイライジャを苦労して育て上げた彼女は、『アンブレイカブル』で彼のことを「自慢の息子」と語っていました。 彼女のその意思は本作でも変わらず、精神病棟にいるイライジャを訪問する日々を送っています。

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精神科医 エリー・ステイプル (演:サラ・ポールソン)

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Do superheroes live among us? #GlassMovie

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本作のキーパーソンになりそうなのが、3人を対象に「スーパーヒーローは実在するのか?」を研究するエリー・ステイプル博士です。 自分は人間を超越した存在であると信じるダン、ミスター・ガラス、“ケヴィン”の3人に、彼らの考えは妄想であると証明しようとする博士。しかしそこには、想像を絶する本来の目的があったのです。

ネタバレ復習!『アンブレイカブル』と『スプリット』

この先には『アンブレイカブル』と『スプリット』のネタバレがあります!未見の方はご注意ください。

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Like right out of a comic book. #GlassMovie

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『アンブレイカブル』で明らかになったミスター・ガラスの秘密とは?

アンブレイカブル
©︎TOUCHSTONE

傷つきやすい肉体をもつミスター・ガラスは、自分が生まれたことになんの意味があるのかと苦しんでいたようです。 そこに、子供のころからのコミック好きが相まって「もし自分のこの身体と頭脳がある種の特殊能力なら、自分とは反対の存在、つまりスーパーヒーローもいるはず」と考えるようになりました。 そこで彼は多くの人が命を落とすような事故を次々と引き起こし、そのなかから生存者が現れるのを待っていたのです。ようやくデヴィッドを見つけ、ヒーローになる決意をした彼の前に、ミスター・ガラスはヴィランとして立ちはだかろうとしていたのでした。 その事実を知ったデヴィッドの通報でミスター・ガラスは逮捕され、精神病院に強制収容されます。

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『スプリット』と『アンブレイカブル』のつながりは?

『スプリット』の終盤で、ケビンのなかに24つめの人格が誕生しました。 それは、驚異の身体能力と怪力をもつ「ビースト」。23の人格のなかには、ビーストを人間を超えた存在として崇めているものもいます。 幼少期の虐待から乖離性同一性障害になったケヴィンを守るために誕生した別人格たち。なかでもビーストは傷ついたケヴィンの虐待の記憶を強く持ち、怒りと復讐心のために凶暴な人格になったのかもしれません。 ビーストは、誘拐してきた少女たちのひとり、ケイシーの身体に虐待によるものと思われる傷を見つけると、彼女を殺すのをやめました。 『スプリット』のラストシーンでは、“ケヴィン”逮捕のニュースを聞いたレストランのウェイトレスが、「15年前に事件を起こした車椅子の変人に似ている」と言い、名前が思い出せずにいたところに、居合わせたダンが「ミスター・ガラスだ」と言っています。

【ネタバレあり】『ミスター・ガラス』のストーリーを完全解説

①ミスター・ガラスの演技とトリック

施設に入れられたダンとケヴィンは、それぞれ苦手とするものを部屋に用意されたことで監禁状態になります。施設内にはいたるところに監視カメラがあり、逃げ出すことは不可能でした。しかも、そのカメラ設置を施設側に提案したのは、イライジャだったのだそう。 そしてダンは『アンブレイカブル』のラストから病棟に強制収容されていた、イライジャことミスター・ガラスと再会を果たすのですが、車椅子に座る彼は虚ろな目で薬漬けにされ、話すことさえもできない変わり果てた姿となっていました。 しかし、彼の虚ろな動作は全て演技だったことがわかります。さらに、ステイブル博士にカメラをつけさせたのも、わざとでした。イライジャは与えられた薬を飲まず、ある“偉業”のために準備していたのです。 ある夜、部屋を抜け出したイライジャはケヴィンの元へ行き、ビーストを呼び出すとフィラデルフィアで新たにオープンとなる最も話題のビル「オオサカ・タワー」でダンと決闘すること、そして彼らの存在を世界に知らしめることを提案。 ビーストにとってミスター・ガラスは生まれた時から骨折を繰り返す“痛みを知る、汚れなき者”だったので、彼を味方と認識し、協力することにします。

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②ダンとケヴィンの共通点、あの列車が全ての発端だった

その後、部屋にやってきたスタッフの喉を掻っ切ると、イライジャはビーストを出し、彼との計画を決行。地下室を通るなど、わざわざ遠回りをして病院を出ます。イライジャがビーストを外に連れて行くことを知ったダンは、自分の力を信じて鉄の扉を砕き、外にでました。改めて対峙する三人、そこにケイシーやジョセフ、イライジャの母とステイブル博士が集まります。 そこで、ダンの息子ジョセフはコミックショップで小耳に挟んだ「ヴィランはいつも親子の関係に何か秘密がある」という言葉にピンときて、ケヴィンの身の上を調査した事を明かします。そして、ケヴィンの父親が、ダンが唯一の生存者として生き残ったイーストレイル117号の事故に居合わせて、亡くなっていた同乗者であったことを突き止めていたのでした。 父が死んでしまったため、母親からの虐待を受けて多重人格が生み出されたケヴィン。そして、彼を守るために他の人格たちが生み出したビースト。ミスター・ガラスがヒーローを探すために起こした事故で、2人のヒーローが誕生していたというわけなのです。 しかし、この列車事故はそもそもイライジャが仕組んだもの。この事実を知り、裏切られたと激昂し怒りに震えるビーストがイライジャを攻撃。イライジャは全身を骨折し、母親の腕の中で死んでいくのでした。

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③ステイプル博士の正体と、ミスター・ガラスの真の目的

病院の敷地内で行われる決闘の末、ダンは弱点の水を使われたことで瀕死状態になります。 そんな彼の元にやってきたステイブル博士は、自分がただの精神病患者を診る医師ではなく、その過程で超人的な力を持つスーパーヒーローを見つけ、社会の秩序やバランスを守るため、彼らを世間に知らされないように根絶してきた秘密組織のメンバーである事を明かします。彼女の腕には三つ葉のクローバーのタトゥーが。 ダンはそのまま、クローバーの印を持つ男たちに水たまりの中に頭を入れられ、溺死します。 時を同じくして、ケイシーがビーストを落ち着かせケヴィンを呼び出したところで、彼もまた組織の人間に発砲されて命絶えます。 ヒーロー3名を根絶したと思ったステイブル。街角の飲食店で執り行われた三つ葉のクローバーの会合でも結果を報告し、次の街へと移動しようとします。しかし、彼女はこの時ミスター・ガラスの真の目的に気づくのです。彼はステイブルたちの正体を見抜いていました。 ステイプル博士の罠を見抜いていたイライジャは、世界にヒーローの存在を知らせるために、病院内の監視カメラにビーストとダンの対決を写させていたのです。もともとオオサカ・タワーに行く、というのはフェイクでした。先述の病院内の遠回りも、カメラに姿を写すためでした。 ステイブルがこれに気づきカメラのデータを消すも、映像はすでにイライジャによってとあるwebサイトに公開されていました。それがバズり、世界にスーパーヒーローの実在が証明されるのでした。

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シャマラン監督が『ミスター・ガラス』に託したメッセージ

本作では、「スーパーヒーローの実在」が主題になっています。しかし、そのヒーローの素質は誰が持っているかわからない。そして自分が得意と思う事、自分が秀でていること、そしてヒーローになろうと自分を“信じること”が、自身にパワーを与えるという自己肯定をシャマラン監督は本作で訴えています。 「自分の妄想を映画化した」と語るシャマラン。実は本作は彼の全額自腹(約2000万ドル)で製作されています。これは、クリエイティブの面で全権利を自分が保持するためでした。長い間構想していた事もあり、まさに監督自身思い入れの強い一作となっていることでしょう。また、本作のラストは、ダンたちの死後に彼らに代わる新たなスーパーヒーローの誕生することを思わせますが、シャマラン監督は「続編を製作する気はない」と公言しています。 実は、シャマランは自身の監督作全ての続編の権利を持つ監督でもあります。本作ももちろん例外ではありません。なぜ権利を持ちたいのか−−その理由は「続編を作らせないため」。

『ミスター・ガラス』でシャマラニバースは終わり?

M・ナイト・シャマラン
©︎Oscar Gonzalez/WENN.com

『アンブレイカブル』と『スプリット』というヒット作に登場したキャラクターたちの、まさかの大集結となった『ミスター・ガラス』。 シャマラン監督作品の中で初となるユニバース化でしたが、これを持って完結となる予感。しかし、先述の通りクリエイティブ面でのこだわりが強い監督です。これからも、我々にさらなる「どんでん返し」で驚かせてくれるのではないでしょうか。今後の彼の活躍に期待したいところです。