2017年9月16日更新

クラウドファンディングで製作されたおすすめ映画まとめ!【ファンに愛された良作たち】

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この世界の片隅に

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国内外で話題のクラウドファンディングとは

世界中で注目を浴びている、「クラウドファンディング」という言葉をご存知ですか? クラウドファンディングとは、「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語で、インターネットを通じた新たな資金調達方法のこと。映画・アニメ、ソフトウェアなどの製作、防災や科学研究といった様々な分野において、各プロジェクトへの出資に活用されています。 今回はクラウドファンディングの仕組みのほか、クラウドファンディングで製作されたファンに愛された良作についてご紹介します。

映画の関連プロジェクトで多いのは「購入型」

クラウドファンディングは基本3つの種類に分けられ、リターンのない「寄付型」、金銭のリターンがある「金融型」、映画の関連プロジェクトに多い「購入型」があります。 まず各プロジェクトは目標額を設定し、「Motion Gallery」や「Readyfor」などの専門サービスを介して、不特定多数の人に資金を募ります。「購入型」は、数千円単位から高額のものまで製品やサービスが提示され、支援者が好きなものを選んで購入する形式です。 この時に購入したものが、プロジェクト実行後にリターンとして戻ってくる仕組みのため、支援者にとっては事前購入(先行販売)に近いとも言われています。

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魅力的なリターンがもらえる仕組みが人気の秘密!?

「購入型」の支援者の中には、クラウドファンディングに参加しないと手に入らない、魅力的なリターンに惹かれて資金を提供する人が非常に多いようです。 内容はプロジェクトごとに様々で、完成した製品やサービスをいち早く利用する権利など、支援した金額に応じて差がある模様。映画の場合は、劇場鑑賞券・グッズのプレゼントやプレミア試写会に招待される、といったリターンがあります。 やはり映画好きなら、エンドクレジットに自分の名前が記載されたり、有名俳優に会える可能性がある「映画への出演」は見逃せないものかもしれませんね。 それではそんなクラウドファンディングの力を借りて製作された素敵な作品たちをご紹介します。

『きみはいい子』【2015年】

『そこのみにて輝く』で知られる呉美保監督が、中脇初枝の同名連作短編を映画化した作品です。主演は高良健吾、ヒロインを尾野真千子が務め、池脇千鶴や高橋和也らが共演しました。 5つの短編の中から、「サンタさんの来ない家」など3篇に焦点を当て、主要キャラクター3人の生活を交互に描写する群像劇。問題を抱えた大人と子どもの姿を通して、幼児虐待やネグレクト、いじめ、学級崩壊など現代社会の闇を浮き彫りにします。 2015年6月より全国主要都市約30館で公開されましたが、全国100館での公開拡大を目指して、VPF(映画をフィルムからデジタル化するためのサービス)費用のためのクラウドファンディングを実施しました。

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『ハッピーアワー』【2015年】

『うたうひと』などの濱口竜介監督が主催する、市民参加型の「即興演技ワークショップ in Kobe」から誕生した、5時間17分に及ぶ大長編です。 30代後半のごく普通の女性4人が、その内の一人が離婚を決意したことを機に、これまでの人生を振り返るヒューマン・ドラマ。メインキャストに抜擢された4人は女優としての経験は未経験でしたが、ロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を獲得する快挙を成し遂げました。 本作は、本編5時間超えの長さに比例して制作費用が超過してしまい、クラウドファンディングの挑戦に踏み切ったとのだとか。開始から一ヶ月経たずに目標の300万円を達成し、最終的には465万円の資金を集めることに成功しました。

『恋人たち』【2015年】

橋口亮輔監督が、名作『ぐるりのこと。』以来7年ぶりに発表した長編映画。出演者は橋口監督のワークショップなどを通して選出され、脚本もそれぞれにあて書きされました。 3人の男女を主人公に、現代社会の生きづらさに苦しみもがきながら、ひたむきに生きる人々を描く絶望と再生の物語です。篠原篤、成嶋瞳子らが経験は浅いながらリアルな演技を披露し、光石研やリリー・フランキーといった実力派が脇を固めています。 クラウドファンディングでは、橋口監督による全国訪問、海外映画祭に出品するための費用として支援金200万円を募りました。最終的には230万円が集まり、バンクーバー国際映画祭、釜山国際映画祭などに出品を果たしています。

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『この世界の片隅に』【2016年】

こうの史代の同名漫画を、『マイマイ新子と千年の魔法』の片淵須直監督が映画化した劇場アニメーションです。舞台は第2次世界大戦下の昭和19年、広島・呉。過酷な日々をまっすぐに生き抜こうとするヒロイン・すずと、周囲の人々の日常を丁寧に描きました。 能年玲奈から改名した女優・のんがすずの声を演じ、声優に初挑戦したことも話題に。そのほか、細谷佳正や小野大輔、藩めぐみら実力派声優が集結し脇を固めています。 製作に至るまでの資金、プロモーション費用などの一部をクラウドファンディングで募り、何と約3900万円を集めました。当初の公開館数は63館でしたが、SNSや口コミなどで評判となり、ミニシアター系映画では異例のロングラン上映となっています。

『アメリカン・スリープオーバー』【2016年】

新感覚ホラー長編『イット・フォローズ』で、世界的に注目を浴びたデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の商業デビュー作品にして、青春映画の傑作です。 デトロイト郊外、夏休み最後の週末。毎年恒例の「スリープオーバー(お泊り会)」を舞台に、少年少女の揺れ動く心情、思春期の切なさを描く群像劇。キャストのほぼ全員が無名にも関わらず、各国の映画祭において数々の称賛を浴びました。 日本では、イベントなどで限定上映されると円盤化を熱望する声が寄せられ、Blu-ray化を目指して支援者を募ることに。2017年5月現在、目標の50万円に対し90万円を超える資金が集まっており、100万円に到達しそうな勢いです。

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『ブルーハーツが聴こえる』【2017年】

飯塚健や井口昇ら6人の監督が、1995年に解散した伝説のロックバンド「THE BLUE HEARTS」の楽曲をテーマに制作した、6編によるオムニバス映画です。 ある女性が、同棲して3年になる恋人の浮気現場に遭遇する「ハンマー(48億のブルース)」のほか、SFや青春ものなど様々な分野の物語が集結。各作品の主演を尾野真千子や市原隼人、斎藤工や優香らが務め、豪華なキャスト陣の出演が実現しました。 本作は、バンドの結成30周年を迎える2014年に制作が開始するも、制作幹事を務める会社が経営難に陥り、一時は公開が危ぶまれるほどの危機に。しかし、クラウドファンディングで目標金額を超える148万円が集まり、2017年4月から全国公開されました。

『ダブルミンツ』【2017年】

クラウドファンディングを活用した映画は年々増えており、2017年6月3日には映画『ダブルミンツ』が公開されます。 本作は『下衆の愛』などの内田栄治がメガホンを取り、大ヒット漫画『同級生』などで知られるBL界の巨匠、中村明日美子の異色作を映画化します。 高校時代、主従関係にあった市川光央と壱河光夫。数年後に再会した2人が犯罪の世界に堕ち、共犯者という新しい関係を築いていく様を描く愛憎のドラマです。同じ名前を持ち共依存に溺れる男たちを、BOYS AND MENの田中俊介と、『花宵道中』で知られる淵上泰史が演じます。 公開劇場の拡大と映画祭への出品のため、目標額250万円のクラウドファンディングが行われました。終了日の2017年3月30日には、目標を大幅に上回る700万円もの資金が集まり、公開劇場も順次追加されているようです。

このように映画製作を身近に感じることができる“クラウドファンディング”。あなたも是非クラウドファンディングを通して、映画に関わってみてはいかがでしょうか?