2017年7月6日更新

徹底取材で比較検証。4DX vs. MX4D【正直どっちがいい?】

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4DX

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4D上映といえば4DXとMX4D

4DX

4D版での上映とは、スクリーンに3D(もしくは2D)の映像が投影されるとともに、シーンに合わせて座席が振動したり風が吹いたりする、触覚や嗅覚に対する効果を楽しめる上映方法のことです。 日本国内には4DXとMX4Dの2規格の4D上映が存在しています。しかし観客にとって、「実際どっちを選ぶのがベストなのか」についてはブラックボックスな感が否めないのが現状でしょう。 そんなまだまだ一般には知られていない4DXとMX4Dについて、まずは手掛けているメーカー、導入実績、効果の違いなどを説明します。 さらに後半では、映画『ローガン/LOGAN』をサンプルに、4DX vs. MX4Dが実際どれだけ違うのかを徹底的に検証。白黒つけます!

手掛けるメーカーとこれまでの導入実績をまとめてみた

【4DX】CJ 4DPLEX社

4DX

世界初となる4D版の上映施設として開発されたのが、韓国のCJ 4DPLEX社の4DXです。同社は本社を韓国・ソウルに置き、米国・ロサンゼルスと中国・北京に国際オフィスがあります。 ハリウッドの大ヒット作品からローカルなタイトルまでさまざまな作品との提携し、4DXによる演出をサポートしています。 2009年以来、ハリウッドの440以上の作品が4DXで上映されてきました。2017年6月時点で、全世界における導入施設数は377劇場。日本では2013年4月に中川コロナシネマワールド(名古屋)が導入されたのを皮切りに、今では50劇場に導入されています。価格は通常料金+1000円です。

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【MX4D】MediaMation社

MX4D

一方のMX4Dは、アトラクション業界で26年以上の実績を誇るMediaMation社によって開発されました。同社は多数の受賞実績を誇るテクノロジー企業で、米国カリフォルニア州トーランス市に、本社とともに広さ6000㎡の工場を所有しています。 これまでに、映画館、テーマパーク、アミューズメントパーク、ミュージアム、展示会業界に、アトラクション設備を提供してきました。 MX4Dの導入は2013年から始まり、2017年6月時点では全世界で約150劇場に導入。国内では2015年にTOHOシネマズ ららぽーと富士見(埼玉県富士見野市)で初めて導入され、現在は18劇場に配備されています。価格は通常料金+1000円〜です。

シートおよび劇場の効果を比較

4D

4DXでは動き(モーション)、振動(バイブレーション)、エアー(耳元の風)以外は、周囲から風が吹いてきたり香りが漂ってきたりする仕組み。濡れるのがイヤな人は水の効果をOFFにできるのが特徴です。座面はメッシュのような生地でサラッとしています。 一方、MX4Dでは背中を突くようなバックポーカー(背後)や足元が振動するレッグティクラー(足元)など、効果をより細かく設定できるのが特徴です。スノー(雪)、レイン(雨)といった一部効果を除き、前後・左右・上下方向の揺れをはじめ、ほとんどの効果は座席自体で発生させています。座面は高級感あるレザー調。

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2大メーカーの担当者に実際に聞いた、演出方法のこだわりの違い

MX4D

似ているようで微妙に演出方法が異なる4DXとMX4Dですが、それぞれのこだわりについて両社からコメントをもらいました。

【4DX】効果を続々と増やして、アトラクション体験を追求

「2009年の導入以降、徐々に改良を加えてきました。例えば、2015年には嵐と雪の効果を開発。よりリアルな劇場の天気を表現できるようになったのです。 2017年3月、米国・ラスベガスで開催されたシネコン2017では、サイドモーション&ツイストという新機能も公開しました。これは前後、左右、上下の動きに“ひねり”をプラス。既存のモーションに比べて可動範囲が約4倍以上に広がります。 こうした機能のさらなる開発により、リアルなアトラクション体験を追求しているのです。」(CJ 4DPLEX社)

【MX4D】シーンに応じてメリハリをつけるよう徹底

「MX4Dのこだわりは、メリハリのある演出です。会話中心の場面は全く振動させず、一方のアクションシーンには思いっきり揺らすようにしているんです。エアーコンプレッサーにより緩やかな揺れから激しい動きまで幅広い演出ができるのも特徴です。 このほか座席自体の振動の細かな制御も可能。振動は音声入力によって生み出していますが、これはプログラマーが振動専用の音源を一から制作しているんです。また、各種効果の改善など、日々見直しを図っています」(ダイナモアミューズメント)

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MX4D陣営には直接取材も敢行!

MX4Dの施設導入を推進しているソニービジネスソリューションと邦画におけるMX4Dプログラムを行うダイナモアミューズメントに直接話を聞いたところ、MX4Dでは、通常公開に合わせて上映する作品は、できるだけ雰囲気を壊さないよう映画に集中できる演出を心掛けているとのこと。 一方、すでに多くの人が鑑賞済みの再上映作品では振動や揺れをあえて強めにするなど、「監督・プロデューサーといった作品の制作担当者らと蜜なコミュニケーションを取り、制作意図に合わせたプログラムを作り込んでいる」(ソニービジネスソリューション)とのことです。

映画『ローガン/LOGAN』をサンプルに特徴をチェック・比較してみた

4DXとMX4Dの違いが分かったところで、現在上映中の『ローガン/LOGAN』で実際どのくらい差があるのかチェックしてましょう。今回、4DXはユナイテッド・シネマ豊洲、MX4DはTOHOシネマズ六本木で体験してきました。 『ローガン』についての詳細はこちらでチェック↓

振動はリアル派?それともアトラクション派?

ローガンがクルマを運転中のシーンでは、4DXもMX4Dも座席が振動したり左右に揺れたりしますが、そのレベルに大きな違いがあります。4DXの方が常に強調気味なのに対し、MX4Dではシーンに応じて振動や揺れが細かく制御されていた印象です。 例えば、車上荒らしに見舞われる冒頭のシーン。チンピラを蹴散らしたローガンがその場をクルマで去るところでは、4DXだとクルマの動きに連動して座席が振動したりスイングしたりします。座席がグイングイン動いて視点が変わるのは、不慣れな人だとちょっと戸惑うかもしれません。 一方、MX4Dではむやみに座席を動かさず、まるで車中にいるかのように座面や足元が揺れるのを確認できました。ただし、4D版ならではのアトラクション感覚を味わいたい人には、ちょっと物足りないかも。

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同じ発作シーンでも演出方法が違う!

4D版の大きな見どころと言えるのが、チャールズが発作を起こして、時の流れがゆっくりになるシーンです。 特に4DXでは、チャールズの発作が治まるまでの間、声を出すと震えた声になりそうなほど(上映中は声を出せませんが)、とてつもない振動が襲います。それこそ「もう止めて!」というレベルです。ダイナミックな演出が好きな人には“クセ”になるかも。 一方、MX4Dもそれなりに振動しますが、4DXに比べるとやや抑えられている印象です。その分、チャールズの発作中にゆっくりと動くローガンが、武装集団を次々と串刺しにした時に強い振動が。攻撃力の強さを感じさせられました。 4D版であっても作品をじっくり見たい…という人にはMX4Dの方がいいでしょう。

4DX版では心地良い風や焦げたタイヤのようなニオイが

4DXだけに感じられたのが、心地良いそよ風とタイヤのニオイです。例えば物語終盤、疲弊して崖下に倒れたローガンが子供たちに救出されるシーン。子供たちのアジトまでロープで引き上げれらた際、映像に合わせて優しく心地良い風が吹き付けます。 また、ピアーズが廃工場に訪ねてきた際にはタイヤのようなニオイがして、すぐ近くにクルマがあるような感覚に。まるで作品の中に入り込んだような体験を味わえました。

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MX4D版ではお酒のような香りにビックリ

MX4D版のオリジナルな演出として挙げたいのが、ローガンの飲酒シーン。廃工場に戻ったローガンが瓶に入ったアルコールをクイッと飲むと、シトラスのような微かなニオイが発生。この際「シュッ」という、まるで炭酸が弾けるような、ニオイの噴出音もします。 こういった演出は劇中で3度ほどあるのですが、ハラーズホテル&カジノに到着後、新車のホイール交換を待っている際に立ち寄ったバーでも、MX4D版なら同様の効果を楽しめるんです。

クライマックスの戦闘シーンも違う!

逃げる子供たちを武装集団が襲うアクションシーンでは、いずれも強い振動、揺れ、風などを感じることができ、4D版ならではの体験を味わえます。 その中でも両規格には違いがあり、4DXの場合、ローガンとローラで振動効果が細かく設定されていました。ローガンはかなり激しく、ローラは抑え気味になっています。 一方のMX4Dでは、ローガンがアダマンチウム合金の爪で相手を切り裂くシーンが注目。切り裂いたような風とともに血飛沫のような水滴が顔にかかります。 さらにこの他にも、さまざまな違いが確認できました。例えば4DXだと廃工場にクルマが乗り付けたシーンでは、映像の砂埃に合わせてスクリーン手前に煙が発生するのに対し、MX4Dの場合は銃の発砲に合わせて、耳元のゾワッとした風とともにストロボが眩しく光ります。

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結局どっちがおすすめ??

4DX

今回体験してみた印象としては、4DXの方が揺れや振動が激しいので、ジェットコースターやフリーフォールなどのアトラクション好きにお勧め。一方、酔いやすい人や座席が動くのが苦手な人には、4DXに比べて揺れや振動がやや抑え気味なMX4Dの方が向いています。 このほか、揺れや振動以外でいえば、劇中にいるかのような風が吹くなど作品の雰囲気をより味わいたいなら4DX、お酒のニオイがしたり血飛沫のようなミストが掛かったりとユニークな効果を味わいたいならMX4D、ということもいえるでしょう。 もちろんこれらは『LOGAN/ローガン』の例なので、別の作品では異なる違いも発見できるかも。あなたの気になる作品で、4DXとMX4Dの違いを劇場で確かめてみてはいかがでしょうか。

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