【新しい時代を作る!?】ミレニアル世代の監督たち

2017年7月14日更新

それぞれの世代によって共通の感覚や特徴がありますが、とりわけミレニアル世代が注目を集めています。映画業界でもミレニアル世代の監督作品は、注目と期待を集めています。そんなミレニアル世代の監督たちをご紹介します。

ミレニアル世代って何?

80年代以降に生まれ、2000年代に成人を迎えた世代をミレニアル世代と呼びます。物事にとらわれない自由で柔軟な考え方を持つ反面、悲観的な一面があります。バブル崩壊後の空気を肌で感じながら大人になった世代であり、インターネットや携帯電話などが常に身近にあった世代でもあります。 ネットや携帯電話ですぐに繋がることができるフットワークの軽さを持ちながらも、実際のコミニケーションはやや苦手で、帰属感はあまりありません。冷めているように見えて、心の中では熱い思いが渦巻いていることも。2017年現在、20代後半から30代後半の人がミレニアル世代に該当します。

新しい時代をうむ?!ミレニアル世代の監督たちを紹介 日本編

各方面、業界で活躍が目覚しいミレニアル世代ですが、それは映画界にも言えることです。ミレニアル世代の映画監督たちが注目を集め、手がけた作品はどれも話題になっています。 これからの日本の映画界を担っていく、期待のミレニアル世代の監督たちをご紹介します。

山戸結希 

少女の内面を深く掘り下げるような、ピュアで繊細、そしてどことなく怖さのある作品を発表し続けている注目の女性監督・山戸結希。2016年には、大人気漫画の実写化作品『溺れるナイフ』のメガホンを撮り、さらに期待が高まっています。 山戸結希は、大学在学中に制作した作品、『あの娘が海辺で踊ってる』で東京学生映画祭の審査員特別賞を受賞しました。ダンスユニット「東京女子流」の初主演作品『5つ数えれば君の夢』でデビューを飾り、その後も多数のアイドルユニットのMVを手がけています。 思春期の少女の複雑で繊細な感情を映像で表現することに長けている山戸結希。アイドルを夢見る少女を主人公に描かれる作品も多く、その作品は女性監督ならではの魅力にあふれています。

松居大悟

中央が松居大悟

自身も俳優であり、劇団ゴジゲンの全ての公演の演出や制作を手掛けている松居大悟監督は、2016年発表の作品『アズミハルコは行方不明』が第29回東京国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされています。 監督・脚本家・俳優として活躍する多彩な松居大悟ですが、映画監督としてのデビュー作は、2012年に公開された『アフロ田中』です。その後2013年に『男子高校生の日常』、2014年『スイートプールサイド』でメガホンを取り、思春期を生きる男子の葛藤や悩み、恋と友情、虚無感や切なさなどを独特のタッチで描きました。 また、松居大悟は、数多くのミュージシャンのMVの監督を務めています。中でも、「クリープハイプ」は、シングル曲のMVだけでなく、長編映画『自分のことばかりで情けなくなるよ』やショートフィルム『ゆーことぴあ』など、多くの関連映像を手がけています。

深田晃司 

2016年発表の『淵に立つ』で、カンヌ国際映画祭のある視点部門の審査員特別賞を受賞した、深田晃司。2002年の映画『椅子』を発表後、人間の内面を深く鋭く描く作品を多数発表しています。また、映画制作と並行して劇団青年団の演出家としても活躍、舞台だけでなく、若手映画化監督の作品を上映する映画祭の企画などにも携わっています。 深田晃司は、東京国際映画祭を始め、国内外の映画祭で注目を集め続けている、ミレニアル世代を代表する映画監督です。

海外にも多くの注目監督が!海外編

日本だけでなく、海外にもミレニアル世代の映画監督が多数の注目作品を発表しています。

グザヴィエ・ドラン 

俳優マヌエル・タドロスを父に持つ、カナダの期待の若手監督・グザヴィエ・ドラン。日本でも2011年に公開された映画『マイ・マザー』で鮮烈なデビューを飾っています。この作品をドランが発表したのは、2009年。カンヌ国際映画祭でも注目を集めました。 デビュー作『マイ・マザー』以降、手がけた作品が3作連続でカンヌ国際映画祭で上映され、4作目の『トム・アット・ザ・ファーム』はヴェネツィア国際映画祭で上映されるなど、世界の映画祭に名を轟かせています。 繊細で美しく激しさを秘めた映像が、見る者の胸を打つグザヴィエ・ドランの作品。母と息子の葛藤、愛と憎しみをどの作品でも描いています。その題材を映し出すのに最適であるとして、2014年の『マミー』は正方形の映像で上映されました。

デミアン・チャゼル

2016年に公開され、世界的大ヒットとなったミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』を手がけるデミアン・チャゼルもミレニアル世代の監督です。 デミアン・チャゼルが初めて監督を務めた映画は、2009年に制作された『Guy and Madeline on a Park Bench』で、こちらも『ラ・ラ・ランド』同様、ミュージカル映画です。若きジャズ・ドラマーの奮闘を描く『セッション』で大きな注目を集め、アカデミー賞の5部門にノミネートされるほどの話題作となりました。 高校時代はジャズ・ドラマーを目指していたというだけあって、音楽やダンスをモチーフに描いた作品が多いデミアン・チャゼル。音楽に身を捧げた人の葛藤や恋愛がハートフルに描かれた作品は、個性豊かなアメリカ映画界の中で、一際輝いています。

 バリー・ジェンキンス

マイアミを舞台に、内気な少年・シャロンの人生を幼年期・少年期・青年期と3つに分けてていねいに描いた作品『ムーンライト』。2016年のアカデミー賞で作品賞を受賞したこの作品のメガホンを取るのは、バリー・ジェンキンスです。 2008年に発表された自主制作映画で監督としてデビューしたバリー・ジェンキンスは、その後も本格的な映画制作に向けてさまざまな活動を行いましたが、どれも軌道には乗りませんでした。デビュー作から8年たった2016年に、自身の故郷であるマイアミを舞台にした長編映画『ムーンライト』の脚本・監督を務めます。 内気でいじめられっ子の黒人少年・シャロンが、さまざまな悩みや葛藤に直面しながら成長していく姿を切なく激しく描いた『ムーンライト』によって、バリー・ジェンキンスは世界的映画監督となりました。人種差別や母子家庭の貧困、そして同性愛などに悩み葛藤する主人公、シャロンの姿は、現代のアメリカ社会を生きる人だけでなく、世界中の人々の胸に響いたのです。

今後の映画界の中心、ミレニアル世代

自由で柔軟な感性で創られたミレニアル世代の映画監督の作品には、どれも個性豊かですが、共通して静かな熱さと虚無感のようなものがあります。それは、世代が持つ共通の感覚なのでしょう。それぞれの個性や魅力を存分に生かした作品の中に、今の時代特有の空気が盛り込まれているのです。 ミレニアル世代の映画監督の作品は、これからの映画界を大きく変え新しい時代を作っていってくれることでしょう。