グザヴィエ・ドラン監督おすすめ映画ランキング

2017年7月6日更新

弱冠19歳で監督デビューし「アンファン・テリブル(恐るべき子ども)」と呼ばれたカナダ出身のグザヴィエ・ドラン。監督のみならず、自ら出演し脚本・美術・編集・音楽までに才能を発揮する若き天才の作品を、おすすめ度でランキングしました。

グザヴィエ・ドラン監督おすすめ映画ランキング!作品の特徴と評価は?

クザヴィエ・ドラン

2009年に『マイ・マザー』で監督デビューしたグザヴィエ・ドラン。デビュー作がいきなりカンヌ国際映画祭で3冠を果たし、その後も出品した作品がそれぞれ高く評価されています。作品の特徴は、家族や性のあり方を若者の視点で鋭くシビアに描くリアリズム。

1作目『マイ・マザー』から、『胸騒ぎの恋人』(2010)、『わたしはロランス』(2012)、『トム・アット・ザ・ファーム』(2013)、『Mommy/マミー』(2014)、そして2016年に発表された『たかが世界の終わり』までの6作品のおすすめ度を、IMDbとRotten Tomatoesの海外評価にCiatrユーザーの評価を加えてランキング形式でご紹介します。

【6位】死に直面する若者と家族の葛藤を描く

この作品についてネガティブなレビューをいくつか読んだけど、まったく同意できない。うまく関係を築くことができなくなった家族について描いたすばらしい作品だ。そう、緊張感がある。クローズアップや沈黙の瞬間がある。そして、物語は非常に深い感動に包まれて収束する。

キャストも、音楽も、画像もすべて完璧。

彼は天才だ。『まさに世界の終わり』にインスパイアされ、それを完全に違う形でこの作品として創り上げた。これはハリウッド映画ではないことを心に留めてほしい。これは観客に挑んでくる映画だ。

引用:imdb.com
監督は実力のあるキャストから緊張感のある演技を引き出していて、これは映画での演技だということを忘れてしまう、ひどく体力を消耗させられるドラマだった。(画面いっぱいのクローズアップで)憂鬱な閉塞感を感じた。まるでこの恐るべき家族の一員のような気分にさせられた。

2016年5月にカンヌ国際映画祭でプレミア上映され、日本では2017年2月11日公開の『たかが世界の終わり』は、グザヴィエ・ドラン監督の6作目です。マリオン・コティヤールやレア・セドゥ、ギャスパー・ウリエルなどフランス映画界を代表するキャストを集めた作品で、原作は劇作家ジャン=リュック・ラガルスの『まさに世界の終わり』。

12年ぶりに帰郷した若手作家のルイは、実は家族に自分の死期が近いことを打ち明けるために訪れたのですが、久しぶりに顔を見せたルイに明るい態度を見せる家族になかなか言い出せず・・・。死に向き合う若者と家族間の愛憎を描いた作品です。

『たかが世界の終わり』は第69回カンヌ国際映画祭でグラン・プリを受賞しました。しかしIMDbの平均評価は7.1、Rotten Tomatoesでは残念ながら批評家の平均評価5.9、47%Rottenの低評価を記録しています。それでも日本公開後のCiatrユーザーの評価は未知数です。

【5位】ケベック州を舞台にした心理スリラー

Megu_Komatsu クザヴィエ・ドランの作品が好きで観てみました。特にこれといったストーリー性もなくオチも淡々と描かれているのにどこか惹きつけられるのは狂気の演技力でした。主人公の死んだ恋人の兄の狂気には頭をかしげることばかりでしたが、何があったのか鑑賞者のご想像に任せます、という意味も受取れます。
最近『トム・アット・ザ・ファーム』を観たが、グザヴィエ・ドランは今日活躍している中でも重要な監督の一人といえるだろう。まだ25歳だというのに、成熟した知性を持って驚くべき映画を製作した。魅力的な映像だけでなく脚本の深さにも驚嘆する。
引用:imdb.com
批評総評:ゾッとするような緊張感に全体的に心を奪われる作品。『トム・アット・ザ・ファーム』は、彼の映画製作の才能をさらに確証づけた。

2013年に監督・主演・脚本・編集を務めた『トム・アット・ザ・ファーム』は、第70回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で国際映画批評家連盟賞を受賞しました。監督の出身地でもあるカナダ・ケベック州の田園地帯を舞台にしたサイコ・スリラー作品で、男性の恋人を亡くしたトム役を監督自身が魅力的に演じています。

恋人のギョームを亡くし悲嘆にくれるトムは、葬儀に出席しようとギョームの故郷を訪れます。しかしそこで待っていたのは息子のセクシャリティーやトムの存在を知らない閉鎖的な家族でした。そんな中、ギョームの兄フランシスだけがトムの存在を知っており、恋人であることを家族に黙っているように強要されますが・・・。

『トム・アット・ザ・ファーム』は、IMDbでは平均評価7.0と『たかが世界の終わり』よりも低い数値ですが、Rotten Tomatoesでは批評家の平均評価7.2の78%Fresh、観客の平均評価3.6の72%likedでした。しかしCiatrユーザーの評価は一番低い3.5となっています。

【4位】切ない三角関係を描く

『胸騒ぎの恋人』

Megu_Komatsu 男2女1の三角関係を描いた作品。その男女数、一人の女を男が奪い合うのではなくて、男(ゲイ)と女が一人の男を奪い合うストーリー。とても面白いです。で、二人から想いを寄せられるニコラ(男)が小悪魔的で男の世界にもこんな人いるんだなぁと魅力的!で、美青年です。クザヴィエ・ドランの作品は映像やファッションだけでなく登場人物たちも美しすぎてエロい!
監督のカメラワークと色彩のチョイスは視覚的で感情を刺激し、観るも美しい。モントリオールの美しさと文化をとらえている。キャスティングはこのストーリーを非常にリアルに形作っている。

さらに重要なのは、この映画が洞察力のある青年の視点から、若者の愛の物語を語るものであること。若者が書いた脚本で製作された映画をたまに観ることがあるが、この作品は複雑な愛の形を現代的で明敏な視点で描いている。

引用:imdb.com
深すぎず、でもとても美しい。『胸騒ぎの恋人』は超スタイリッシュな映像で三角関係を描いている。まるで、ミレニアル世代における、トリュフォーの『突然炎のごとく』のジュールとジムとカトリーヌのようだ。

長編2作目『胸騒ぎの恋人』も、監督自身がゲイの青年役で主演しています。そしてこの作品では監督・製作・脚本・編集に加え音楽の選曲も手がけ、才気あふれる若手監督として注目されました。第63回カンヌ国際映画祭ではある視点部門で上映され、若者の視点賞を受賞しています。

ゲイの青年フランシスとその親友の女性マリーが、あるパーティで出会った美しい青年ニコラに同時に恋をしてしまうという、若者たちの切ない三角関係を描いています。フランシスをドラン監督が、マリーを『わたしはロランス』のモニア・ショクリが、そしてニコラを『マイ・マザー』にも出演しているニールス・シュナイダーが演じました。

『胸騒ぎの恋人』の評価は総合的には6作品中の中ほどで、5位の『トム・アット・ザ・ファーム』と比べると、IMDbでは平均評価7.2と高く、Rotten Tomatoesでは批評家の平均評価6.9の73%Fresh、観客の平均評価3.6の70%likedとやや低い結果になっています。Ciatrユーザーの評価もわずか0.1ポイント差の3.6でした。

『トム・アット・ザ・ファーム』はサイコ・スリラー、『胸騒ぎの恋人』は恋愛映画とジャンルの違う作品のため、ダイレクトに比較することは難しいですが、監督独特のスタイリッシュな映像ではこちらの作品の方がおすすめ度は高いかもしれません。

【3位】天才監督が誕生したデビュー作

『マイ・マザー』

YU66 これがグザヴィエドラン19歳の監督デビュー作品だと思うと、観る前からワクワクしかなかった。

多くの人が経験した覚えがある、思春期特有のあの気持ちが懐かしい。 それが繊細であればある程、苛立ちが爆発してしまうところ共感。

やっぱり色使いや家具や小物が完璧。 ロランスには勝りませんが、フレッシュで独特な作品はその辺の監督には出せません。

momoka_0131_ 彼の音楽の使い方やカメラワークの特徴?こだわり?は初めの頃から変わらないのだなと思った。描く母親というものへの女性観とかも。あんまりかわってない。すごく知的なひとなのだろうなと思った。映画というよりもドキュメンタリーみてるかんじ。主人公の年頃だからこそかんじることもたくさん描かれていてわたしはそれがすきだった。
ドラン監督の映画への熱意は『マイ・マザー』から感じることができる。確かな脚本、信頼できる演出スタイル(主人公ユベールと彼氏とのベッドシーンは傑出している)と、美しく表現された演技。無視することはできないすばらしい作品だ。
引用:imdb.com
何がこの作品をずば抜けたものにしているかというと、感情の強さ、激しさ、奥深さであり、監督の年齢がこのすべてをさらに印象深くしている:この作品を作った時、彼はまだ19歳だった。

監督デビュー作『マイ・マザー』は、監督の半自伝的作品といわれています。2009年カンヌ国際映画祭で若者の視点賞など3冠に輝き、鮮烈なデビューを飾りました。この作品から監督・製作・脚本・主演を兼ねており、その才能を見せつけています。

カナダ・ケベック州に住むユベールは17歳の少年。そりの合わない母親との関係に悩み、愛憎の間で揺れ動く思春期を鮮やかに切り取った作品です。17歳で脚本を書き、19歳でユベールを演じて撮った監督の恐るべき才能に、ただただ驚くばかりです。

『マイ・マザー』の評価はドラン監督の6作中、どのメディアでもほぼ均一の3位で、IMDbでは平均評価7.5、Rotten Tomatoesでは批評家の平均評価7.1の81%Fresh、観客の平均評価は3.9の81%liked、Ciatrユーザーの平均評価は3.9でした。

【2位】トランスジェンダーをテーマにした恋愛映画

『わたしはロランス』

s_p_n_minaco 『胸騒ぎの恋人』の次に観たグザヴィエ・ドラン監督作。まず画面がスタンダードサイズとは驚き。しかも屈指の男前メルヴィル・プポーが女になるとは、心の準備なしで観ると結構衝撃な絵面。途中、魔夜峰夫の漫画みたいだったけど、だんだん見かけもこなれていくのが何とも言えず細かい。アッと度肝を抜くような心象風景が何度かあって、やりすぎってくらいスペクタクルな仕掛けは好き。音楽もドラマティックだが、中でもベタなクラシックがハマってる。後姿、スローモーション、しっとり美しいカナダの景色、若干力みすぎな気もしつつ迸る瑞々しさ。相手に応えたいけど自分を捨てられないって葛藤は、どんなカップルにも通じると思う。
これは力強く、人を困惑させるような、まったく型にはまらない作品で、レビューを書くのも観るのもなかなか簡単にはいかない。トランスジェンダーの体験を描いた物語で、それが人間関係にどんな影響を与えるかを語り、それ以上のことも描いた映画だ。
引用:imdb.com
このトランスジェンダーを扱った作品に完全にノックアウトされ、監督したグザヴィエ・ドランが23歳だったことがわかって驚いた。魅力的できらびやかで、真心のこもった完成された作品。

監督23歳の3作目『わたしはロランス』が2位!男女問わず幅広い支持を獲得しているこの作品は、LGBTの中でもトランスジェンダーの性同一性障害を持つ男性を主人公にしています。フランスの俳優メルヴィル・プポーが主人公ロランスを、そしてロランスを支えるフレッドを『マイ・マザー』『Mommy/マミー』にも出演しているスザンヌ・クレマンが演じています。

カナダ・モントリオールに住む国語教師のロランスにはフレッドという恋人がいましたが、ある日突然、ロランスは「女になりたい」とフレッドに告白します。二人の愛と葛藤の10年間を描いた斬新なラブ・ストーリーです。やはりドラン監督の独特な映像と構成には多くの高い評価がついています。

フレッド役のスザンヌ・クレマンがこの作品で評価を得て、2012年カンヌ国際映画祭ある視点部門で最優秀女優賞を受賞しました。またこの作品ではドラン監督自ら衣装も担当しています。『わたしはロランス』の評価は、IMDbでは平均評価7.6、Rotten Tomatoesでは批評家の平均評価7の83%Fresh、観客の平均評価は3.8の78%liked、Ciatrユーザーの平均評価は4.1でした。

【1位】ADHDの息子を持つ母親の現実を描く

Satoko_Suzuki 2015/06/17 強烈にグイグイ、ズカズカ入ってくる映画。画面に釘付けにして離さない。感情を鷲掴みにしておいて「WONDER WALL」で泣かす。

ずるい。

母と息子の、いびつで太い絆=線、に近所の主婦を加えた、三角形。終わりが来ることがわかっているからこそ、輝く三角形。眩しくて危うくて涙が出ちゃう。

こんなに音楽の使い方が上手い映画って、得した気分になる。選曲、タイミング、音の強弱などが本当にステキ。

『Mommy/マミー』は私にいつまでも残る痕を付けたといえる。そのにじみ出る素直さ、美しさ、生きる力を与える色調は、疑いもなくこの作品を観ようとする誰もを魅了してやまない。
引用:imdb.com
『Mommy/マミー』は最近観た作品の中では最も力強いエンディングを持つ、グザヴィエ・ドラン監督の最も成熟し示唆に富んだ作品だ。

堂々の1位に輝いたのはドラン監督5作目『Mommy/マミー』。2014年カンヌ国際映画祭でパルム・ドールにノミネートされ、審査員賞を受賞しました。多動性障害(ADHD)を持つ息子スティーヴをアントワン=オリビエ・ピロンが、その母ダイアンをアンヌ・ドルバルが、そして『わたしはロランス』のスザンヌ・クレマンが二人の隣人カイラを演じています。

ADHDのため施設に預けていた息子スティーヴが放火事件を起こしたため、引き取って育てることにしたシングルマザーのダイアン。二人の新しい家の隣に住む教師カイラはストレスから吃音になり休職中。そんな三人が築いていく不思議な関係を描きながら、家族と親子のあり方を真摯に問う物語です。

この映画の最大の特徴は1:1で構成される画面アスペクト比と、作中を彩る音楽の選曲のすばらしさ。音楽担当は『わたしはロランス』も担当したノイアです。『Mommy/マミー』の評価は、IMDbでは断トツの平均評価8.1、Rotten Tomatoesでは批評家の平均評価7.9の89%Fresh、観客の平均評価は4.2の89%liked、Ciatrユーザーの平均評価は『わたしはロランス』同率タイの4.1でした。