世界で一番有名で偉大な音楽祭、ウッドストックを映画で知る

2017年7月22日更新

1969年開催のウッドストック・フェスティバルは、ロック史上でも伝説になっている野外音楽フェスです。それを記録したドキュメンタリー映画が存在するのはご存知でしょうか? 本稿では、その映画の見どころ、意外な事実などをまとめてみました。

伝説の音楽フェス、ウッドストック・フェスティバルとは?

イーグルスの大ヒット曲『ホテル・カリフォルニア』(1977)の歌詞にこんな一節があります——1969年以来、スピリット(酒)はございません。spiritを「魂」と「蒸留酒」の2つの意味にかけているのですが、では、1969年にアメリカで何があったのでしょう? それはウッドストック・フェスティバル。イーグルスは、「自由の精神はウッドストックを最後に失われた。」と皮肉っているわけです。つまり、ヒッピー文化が掲げた「ラブ&ピース」という理想は、ウッドストックに集約されたと言えます。 ウッドストック・フェスティバルは、最初の大規模な野外音楽フェスとして伝説になっています。その模様を記録したドキュメンタリー映画をご紹介します。

ドキュメンタリー映画『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』(1970)

『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』(1970)は、フェスの模様を記録した作品で、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を受賞しています。 監督・撮影は、マイケル・ウォドレー。本作以外では、『ウルフェン』(1981)というホラー映画を監督しています。 この初の大規模な野外音楽フェスでは、十分な準備がなされず、施設や食料が不足し、予想外に大量の人(約40万人)が詰めかけたため、現場はかなり混乱したようです。また、雷雨、強風、停電などのアクシデントにも見舞われます。 にもかかわらず、スタッフも観客も平和的に仲良く難局を乗り越えたことが、インタビュー映像など、様々な形で記録されています。2009年には225分の『ディレクターズ・カット版』のBlu-Ray、DVDがリリースされました。

編集を担当したのは巨匠、マーティン・スコセッシ!

編集は何と、『グッドフェローズ』(1990)などの巨匠、マーティン・スコセッシが担当しています。関係者の証言によると、監督のマイケル・ウォドレーはセンター・ステージのカメラを担当していただけで、実質的な撮影の指示はスコセッシがしていたそうです。 スコセッシ監督は自分の作品に度々、ロックを使用することから、かなりの音楽愛好家であることが分かります。1978年には、ザ・バンドの解散コンサートの模様を捉えた、『ラスト・ワルツ』を撮っています。 ニューヨークを中心に活躍していたマーティン・スコセッシは、この『ウッドストック』の後に、ハリウッドに拠点を移すことになるのです。

数々の名演が生み出されている!

ウッドストックには、二度と見ることも聴くこともできない名演が残されています。ブルースロックの雄、キャンド・ヒートのリーダー、アル・ウィルソンは、この翌年に亡くなってしまうので、黄金期のメンバーによる演奏はこれが最後です。 同じくジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョップリンらが、翌年に夭折してしまったのは言うまでもないでしょう。フェスが終了したと勘違いして大量の観客が帰ってしまった後に、ギターを弾くジミ・ヘンドリックスの姿には、鬼気迫るものがあります。 また、真夜中の闇の中で演奏するファンクバンド、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、デビュー直後のサンタナによる、手に汗握る演奏なども記録されています。

ラブ&ピースと産業ロック

いかがでしたか? 野外音楽フェスは今や日本でも、フジロック、サマーソニックなど当たり前のように開催され、トイレ、宿泊地、食堂などの施設も充実しています。 それにはウッドストックで生じた混乱に対する反省があるのは間違いないです。一方、イーグルスが主張するように、自由なはずのロック・ミュージックがこれ以降、「商業主義」に走ってしまったという負の側面があることも否めません。 1969年のウッドストックには、フォークからファンクまで、実に多彩なジャンルの音楽が集結しました。未見の方は、ドキュメンタリー映画で当時の自由な雰囲気、ウッドストックの「魂」を体験してみてはいかがでしょう?