【ネタバレ】『シェイプ・オブ・ウォーター』作品の裏側を徹底解説!公開日は?【アカデミー賞】
ギレルモ・デル・トロ監督の新作、『シェイプ・オブ・ウォーター』が公開へ
独特の作風で知られるギレルモ・デル・トロ監督の新作、『シェイプ・オブ・ウォーター』がベネチア国際映画祭、トロント映画祭で公開され、話題になりました。 ギレルモ・デル・トロ監督は、1964年メキシコ出身。日本の漫画、アニメ、特撮ものに造詣が深く、その作風にかなり影響を与えています。また、ホラーやファンタジーが大好きで、『エクソシスト』(1973)の特殊メイクを担当した、ディック・スミスに師事しています。 主な監督作品には、『ヘルボーイ』(2004)、『パンズ・ラビリンス』(2004)、『パシフィック・リム』(2013)、『クリムゾン・ピーク』(2015)などがあります。さて、新作『シェイプ・オブ・ウォーター』の見所は?あらすじやキャスト、そして記事後半では今作の製作の裏側や見所を徹底解説します!
『シェイプ・オブ・ウォーター』あらすじ
時代は1962年、米ソ冷戦のまっただ中です。イライザは政府機関で清掃員として働く、口のきけない孤独な女性でした。 ある日、彼女は同僚のゼルダとともに、政府の極秘実験を目撃し、水槽の中にいる半魚人のような姿をした、謎の生物と親密になります。優しい隣人たちの力を借りながら、イライザとその生物は言葉を超えた愛を交わすようになるのです。 果たして2人の恋の行方は? そして政府の執拗な圧力から逃れられるのか? 不思議な生物の正体は? 異種間の恋愛が美しく描かれる、ファンタジー・ロマンスです。
あのシーンはどのように撮影した?作品の裏側を徹底解説!【ネタバレ注意】
①半魚人のスーツを製作した人数は、およそ60人!?
“Jones is an actor whose performance and pantomime breathe life and humanity into evocative creature designs, and this film’s Amphibian Man is possibly his most soulful, captivating creation yet."
— Doug Jones (@actordougjones) January 20, 2018
~ Jim Vejvoda, IGN.@shapeofwater still playing in many theaters! pic.twitter.com/DAMXanYZHm
今回ダグ・ジョーンズがスーツアクトを務めた、半魚人。この半魚人のスーツに関して、ギレルモ・デル・トロ監督は「工程としては、(スーツ)のフォルムを決めるところから、血管、しわ、毛穴、突起のようなものを作っていく。それらの層が沢山あるんだよ」と話しています。 また、それぞれの部分にそれぞれの専門職がおり、このクリーチャーを作るにあたっては60人の人間を要したそうです。
②辻一弘は何故、クリーチャーの目だけを手がけたのか
今回、90回アカデミー賞メイク・ヘアスタイリング賞部門にてノミネートされた、日本人のアーティスト辻一弘。彼は特殊メイクを得意として、『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』の主演ゲイリー・オールドマンに施したメイクでノミネートされましたが、彼が『シェイプ・オブ・ウォーター』のクリーチャーデザインにも一躍を買っていた事はご存知でしょうか? 彼がデザインしたのは、目の部分。ギレルモ・デル・トロ監督は彼に目だけをデザインさせた事に関して、「彼の場合は目の表面や形を作ることに非常に長けていて、美しさと奥行きを作ってくれる。宝石のオパールのような目にしてくれた」と語っています。
③息を飲むラストシーン、実は水を一滴も使わず撮影していた!?
Congratulations to #TheShapeofWater for making it onto @TheAcademy shortlist for Outstanding Visual Effects! pic.twitter.com/7gRQJ6h8eo
— The Shape of Water (@shapeofwater) December 18, 2017
ポスターデザインにも起用されている、映画の中で重要なこのシーン。水中の中で、クリーチャーとイライザが抱き合っていますが、このシーンの撮影には一滴の水も使わなかったと監督は明かしています。 「彼女が水中の中で漂っているように見えているけど、あれは一滴も水を使わないで撮っている。これは古い演劇的な手法で、“ドライフォーウェット”というんだ。部屋の中を煙で充満させて、ビデオプロジェクターで水を映し出し、人や物を全てワイヤーで吊るす。上の方でそれを動かしている人がいるんだ。 役者は浮いている演技をして、送風機で髪の毛や服等を揺らす。そして、それらをスローモーションで撮影するんだよ。」
④1シーンだけ、実際に水を使って撮影したシーンがある!
.@RealGDT’s #TheShapeofWater may just be the unlikeliest love story of the year. Watch the exclusive featurette via @Mashable! https://t.co/jKv4IPmBGh pic.twitter.com/DdX1dDE5gt
— The Shape of Water (@shapeofwater) November 30, 2017
先述の通り、今作の象徴でもある「水」を実は一滴も使わずに撮影した事が明かされました。しかし、一箇所だけ水を使っているシーンがあるのです!それが、お風呂場でイライザとクリーチャーが交わるシーン。 実は、あのお風呂場のセットごと、自分らで用意したプールのような水槽の中に沈めて撮ったのです!デル・トロ監督は次のように語っています。「バスルームのセットをまず作った。2個は予算がなくて作れなかったんだけどね(笑)セット内に作ったバスルームを切り取り、それを持ち上げるようにして、自分たちで作ったプールのような水槽の中に沈ませたんだ。カメラは防水のものを使用したよ。」 映画では足元からゆっくり水位が上がって行くように見えますが、実際にゆっくりと少しずつセットをプールに沈ませることでそれを可能にさせたのです。
④半魚人はとあるマーベルキャラが参考になっていた!?
今回、ギレルモ・デル・トロ監督に半魚人役を頼まれ演じたダグ・ジョーンズは役作りの際に監督の言ったとあるマーベルキャラを参考にしたようです。それというのは、単独コミックも存在する「シルバーサーファー」です。実はダグ・ジョーンズは以前、映画『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』でこの役を演じていました。 監督はそこから、彼に“シルバーサーファーと闘牛士の融合体”というようにこの役の立ち振る舞いを説明したのです。確かに、このクリーチャーの立ち振る舞いは闘牛士のように堂々として雄らしさが溢れていますね。
『シェイプ・オブ・ウォーター』で描かれる、 異種生物の恋愛とセックス
インタビューなどで、デル・トロ監督は、本作ではメロドラマの巨匠ダグラス・サーク監督を意識したと語っています。つまり、主人公の人間であるイライザと、半魚人のような謎の生物との恋愛が見所ということでしょう。 実際デル・トロ監督は、フランケンシュタインや半魚人といった古典的な怪物と人間の女性との関係を真剣に突き詰めたそうです。そのために、あるシーンではダグ・ジョーンズに全裸で撮影に臨んでもらったとのこと。 こうした問題にはすでに「ヘルボーイ」シリーズでも触れていたのですが、今回は異種間のセックスという難題に踏み込んでいます。
『シェイプ・オブ・ウォーター』キャスト
イライザ/サリー・ホーキンス
Shape of Water- first birthed over a looong breakfast with @DanielDKraus in 2011. It shows next week at the Venice Film Festival. pic.twitter.com/iFNGuBAs1T
— Guillermo del Toro (@RealGDT) August 23, 2017
サリー・ホーキンスは、1976年生まれのイギリスの女優です。2008年、マイク・リー監督のコメディ、『ハッピー・ゴー・ラッキー』に主演して、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞しています。 また、ウッディ・アレン監督の2013年のコメディ、『ブルージャスミン』での演技が評価されました。
ストリックランド/マイケル・シャノン
マイケル・シャノンはアメリカの俳優で、1974年生まれ。 1993年に『恋はデジャブ』で映画デビューし、2008年に出演した『レボリューショナリー・ロード/燃える尽きるまで』の演技でアカデミー助演男優賞にノミネートされました。 2013年の『マン・オブ・スティール』および2016年の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』では、ゾット将軍を演じるなど、悪役も多いようです。 本作では政府の冷徹な調査官役を担当しています。
ゼルダ/オクタヴィア・スペンサー
Thx @booksngreetings for a fab sunny Sunday pic.twitter.com/Si52nHUEzQ
— octavia spencer (@octaviaspencer) April 12, 2015
イライザの同僚、ゼルダ役は、1970年生まれのアメリカの女優、オクタヴィア・スペンサーです。 もともとはキャスティングの仕事をしていたのですが、ジョエル・シュマッカー監督の『評決のとき』(1996)に端役で出演し、映画女優デビューを果たしました。 その他、『マルコヴィッチの穴』(1999)、サム・ライミ監督の『スパイダーマン』(2002)、『スペル』(2009)などに出演し、2011年の『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』でアカデミー助演女優賞を受賞しています。
クリーチャー/ダグ・ジョーンズ
Trying to show off my my supermodel “Lieutenant Saru” walk as a new species of alien, a Kelpien, at Saturday’s @startrekcbs #SDCC panel. pic.twitter.com/0JKC7Qk234
— Doug Jones (@actordougjones) July 24, 2017
イライザと恋に落ちる謎の生物を演じるダグ・ジョーンズは、1960年生まれのアメリカの俳優で、『ミミック』(1997)以来、ギレルモ・デル・トロ監督作品の常連です。 『パンズ・ラビリンス』(2006)で牧神パン、『ヘル・ボーイ』(2004)、『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(2008)で半魚人のエイブと、パントマイムを勉強した経験を活かして、スーツアクターとしての出演が多いようです。 本人のツイッターには、『ゴジラ』(1954)などの日本を代表するスーツアクター、中島春雄に対するオマージュが投稿されています。
ジャイルズ/リチャード・ジェンキンス
リチャード・ジェンキンスは、ゲイの画家であるジャイルズ役を熱演しました。 彼は、『扉をたたく人』でのアカデミー主演男優賞ノミネートに続いて、『シェイプ・オブ・ウォーター』で助演男優賞ノミネートされるという快挙を成し遂げています。 そんな実力派俳優として活躍中のリチャード・ジェンキンスは、演じたキャラクターと作品全体への深い愛を見せています。本人曰く、普遍的かつピュアな脚本に魅力を感じるそう。そして、スケールの大きなストーリーを美しい映像で表現したデル・トロ監督の実力に賞賛の声をあげています。
ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞!
Congratulations to @RealGDT and the incredible team behind #TheShapeOfWater for winning the the Golden Lion @la_Biennale #Venezia74 pic.twitter.com/wnnZjuNMea
— The Shape of Water (@shapeofwater) September 9, 2017
本作はヴェネツィア国際映画祭において、最高賞である金獅子賞に輝きました。アメリカ映画の金獅子賞受賞はソフィア・コッポラ監督の『SOMEWHERE』(2010)以来7年ぶりということです。 登壇して賞を授与されたデル・トロ監督は、「信念に従って、純粋さを失わないように。」とクリエイターたちを勇気づけました。 また、本作が撮影されたロケ地でもあるトロント国際映画祭でも、大絶賛を受けました。デル・トロ監督とトロントの縁は深く、『ミミック』(1997)などでロケ地に選び、トロントに家も持っているそうです。
アカデミー賞13部門にノミネート!
尚、今作は90回アカデミー賞作品賞を始め、監督賞、脚本賞、主演女優賞、助演女優賞などなど13部門に渡るノミネートが発表されました!アカデミー賞作品賞にモンスター映画がノミネートされるのは、映画史上初とも言われています。最有力候補として、このまま受賞となるのでしょうか?
『シェイプ・オブ・ウォーター』気になる日本公開日は?
その他、音楽やダンスなどのミュージカル要素も採り入れられているという情報もある、『シェイプ・オブ・ウォーター』。かなり際どい性描写もあるようなので、大人のダーク・ファンタジーという趣があります。 北アメリカでの公開は2017年12月8日、気になる日本公開日は2018年3月1日です。 2016年のトロント映画祭で絶賛された、『ラ・ラ・ランド』も日本で公開されるや、大ヒットを記録しました。本作も話題になること間違いなしと思われます。公開が待ち遠しいですね。