ドラマ「緊急取調室」シリーズが視聴者を惹きつけたワケ【各シリーズ最終回のネタバレも】

2017年10月26日更新

緊急事案対応取調班、通称キントリと、被疑者の心理戦を描いたドラマ「緊急取調室」シリーズ。2017年にシーズン2が放送され、新シリーズの噂も聞こえる異色の刑事ドラマの魅力に迫ります。

異色の刑事ドラマ「緊急取調室」シリーズの魅力をご紹介!

ドラマ『緊急取調室』は、取り調べの録音、録画による可視化を義務付ける「刑事司法改革関連法案」が国会に提案されたことを機に、2014年1月から放送されました。 天海祐希演じる刑事・真壁有希子が、左遷先の警視庁捜査一課「緊急事案対応取調班(キントリ)」で、クセの強い被疑者と対峙する異色のドラマ。2015年9月にスペシャルドラマ、2017年4月からシーズン2が放送され、最高視聴率は17.9%を記録しています。 従来の刑事ドラマとは一線を画し、取調官と被疑者の内面を掘り下げることでファンを獲得した、「緊急取調室」シリーズの魅力をご紹介します! 本記事はストーリーのネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。

1.被疑者逮捕から始まる斬新さと巧みな心理戦

一般的な刑事ドラマはまず何らかの事件が発生し、刑事がその全容を明らかにすることで、犯人の逮捕へ繋がる展開が基本とされています。 それに対し、「緊急取調室」シリーズでは犯人逮捕から物語が始まるのです! 取調官と被疑者の会話劇が中心で、捜査の過程やアクションはほぼ描かれません。いかに犯行を認めさせるか、真犯人を炙り出すかの心理戦に、視聴者は興味を惹かれた様子。取り調べでお馴染みの"飴とムチ"など巧みな揺さぶりには、取調官ごとの個性があります。 キントリのチームプレイが突破口となるため、絶妙なコンビネーションも見どころです。

2.天海祐希率いる名バイプレイヤー揃いの「キントリ」キャスト!

主演の天海祐希が演じるのは、SIT(特殊犯捜査係)在籍時に犯人の交渉に失敗して左遷された取調官で、刑事の夫と殉職で死別した過去を持つ真壁有希子です。 出演作のイメージから、姉御的な「理想の上司」像に挙げられる天海ですが、今作では年上に囲まれる後輩キャラを好演しています。シーズン1では髪を20cm、シーズン2では25cmもカットし、これまでにないキャラクターを完成させました。 さらに、天海と組むキントリのキャストは名バイプレイヤー揃いです!トップを務める管理官・梶山勝利は田中哲司、有希子の同僚となる菱本進はでんでん、中田善次郎は大杉漣、小石川春夫は小日向文世が演じています。 その他の警察関係者を、速水もこみちや鈴木浩介、草刈正雄、大倉孝二らが演じており、豪華キャストがドラマを盛り上げました。

3.キントリが向き合う被疑者役のゲストも話題に

レギュラー陣以外に、高嶋政伸、安達祐実、鶴見辰吾らを始め、被疑者を演じるゲストキャストの顔ぶれも非常に豪華です。メディアでは、重要な役どころとして「天海祐希とバトル勃発!」などといった見出しで取り上げられました。 特にシーズン2では、第1話に登場した三田佳子の怪演が大きな話題でした。三田が演じたのは、宅配便配達員毒殺事件の被疑者となる、天涯孤独の未亡人。物忘れを理由に有希子を翻弄し、静かな狂気や愛憎を秘めた老婆の演技が絶賛されました。 ゼネラルプロデューサーの三輪祐見子によると、舞台を観るような雰囲気を作れるキャストを選んでいるらしく、毎回迫力の心理バトルが展開されます!

4.井上由美子の手腕が光る視聴者を飽きさせない『緊急取調室』の脚本

脚本を担当したのはドラマ『白い巨塔』、『14才の母』の井上由美子。取調官と被疑者が向かい合う取り調べを通し、コミュニケーションの大切さを訴えたそうです。 緊迫した雰囲気の中で、事件の裏にある人間の業が明らかとなり、人ひとりが丸裸になっていく描写は脚本家の手腕が感じられました。いつ誰が犯罪者、被害者になるかわからない現代社会において、人間の内面に踏み込む斬新な人間ドラマと言えます。 井上は話がパターン化しないよう、被疑者像を創るのに苦心したそうですが、社会性のある切り口で描かれた脚本に視聴者も惹きこまれたようです。

5.限定された舞台だからこその演出に対するこだわり

三輪祐見子が重視したのはキャスティングだけではなかったそう。取調室という狭い空間が主な舞台であるため、演出面にもこだわったと明かしました。 室内のシーンが多いことから、映像が単調にならないよう工夫されています。カメラワークなども含め、照明や色調整にも気を遣って演出しているのだとか。音楽担当の林ゆうきには、「舞台に変化が無いぶん、音楽はダイナミックに」とオーダーしたと言います。 刑事ドラマらしい派手さがない代わりに、制作陣のこだわりがつまった作品となりました。

6.ドラマ「緊急取調室」各シリーズの最終回をネタバレ!

事件解決と並行して有希子の夫の殉職の謎に迫る『緊急取調室』シーズン1

8年前に殉職した警視庁警備部の捜査員で、有希子(天海祐希)の夫だった真壁匡(眞島秀和)。死の謎を探る有希子は、元警察官・嘉納肇(堀部圭亮)が持つ取材手帳に手がかりがあると掴みました。 しかし、嘉納が何者かに殺され、有希子は容疑者として逮捕されるのです!その後、調査を進める小石川(小日向文世)が銃撃され、銃痕から嘉納、匡の事件と同一犯と推測されました。やがて刑事部部長の郷原政直に辿り着き、有希子との攻防の末に郷原(草刈正雄)が真実を語り始めます。 当時の警視総監は組織改革を進めており、必要な裏金を郷原が管理していました。それを知った匡は正義感が強かったため、口封じで殺害されてしまったのです。 最後は郷原が上層部を庇って逮捕され、警察組織の闇は謎のままとなりました。

グレーな部分も描き大人のドラマを展開した『緊急取調室』シーズン2

シーズン2は"普通の人間が一番怖い"をテーマに、白黒つかないグレーな結末もある、という大人に響く物語が展開されました。最終回では、男二人組が起こした拳銃強奪事件、および連続狙撃事件の早期解決にキントリが挑みます! 注目したのは、有希子の亡き夫・匡に似た容疑者の一人、峰岸充彦の息子(寺坂尚呂己)が逮捕された5年前のストーカー放火殺人事件でした。 その被害者こそが、もう一人の容疑者・久保寺圭(鶴見辰吾)の妻子だったのです!囮として捕まった久保寺は、娘の家庭教師だった神木進次郎(水上剣星)が真犯人だと告白。現在は海外の弁護士事務所に所属しており、一時帰国する日を狙って復讐する計画でした。 久保寺家から金を盗んでいた神木は、それを知った妻を家に居た娘と共に殺害、娘に思いを寄せる峰岸の息子に罪を着せようと工作したのです。やがて逮捕された峰岸は頑なに久保寺を庇うも、有希子の訴えに心動かされ、拳銃の隠し場所を自供しました。 郷原の後任の磐城(大倉孝二)から解散を言い渡されていたキントリですが、5年前の事件の再捜査が命じられ、神木の取り調べを行うシーンで幕を閉じます。 実力派キャストと斬新な脚本、細やかな演出が揃った「緊急取調室」シリーズ。すでに新シリーズの噂もあるので、観直す際は細部にまで注目してみてください!