『北の国から』はバブルという時代が生んだ教訓ドラマだった【20年続いた名作】

2017年10月30日更新

1981年から2002年まで続いたテレビドラマ『北の国から』。なぜそんなに長期間人気が継続し、未だに根強いファンを獲得しているのか?その魅力に迫ります。

ご長寿ドラマ『北の国から』って一体どんなドラマだったの?

1981年に連続ドラマとして24話が放送された『北の国から』。その人気から定期的にスペシャルドラマが作られ、2002年の放送終了まで、軒並み高視聴率を記録した秀作ドラマです。 本編を見たことがない方でも、田中邦衛の五郎のモノマネや、吉岡秀隆の純のモノローグのパロディをバラエティ番組などで、お笑い芸人がおもしろおかしく演じる姿を一度は目にしたことがあるでしょう。それほど名物キャラクターが多く、人々に愛されたドラマなのです。

『北の国から』のあらすじ

東京で妻の令子に去られた黒板五郎は、2人の子ども、純と蛍を連れて、故郷である北海道の富良野に帰郷します。 市街地から奥まったところにある過疎村・麓郷(ろくごう)で、朽ちかけた五郎の生家をなんとか修復し、そこで生活をはじめる3人。家の裏手には原生林が広がり、電気もガスも水すらもありません。あまりにも原始的な生活環境に、拒絶反応を示す都会っ子の純。 純は東京のガールフレンドや母親が恋しくて仕方がありません。しかし、ここでは東京で情けなかった父親の五郎が生き生きとして、頼もしく見えます。 やがて純は大自然のなかで成長を重ね、家族のありかたや、愛の意味や、生きていくとはどういうことなのかを学んでいくことになるのです。

富良野の美しい大自然に愛されたドラマ

本作『北の国から』は1980年当時、半年間の放送期間のドラマに対して、異例ともいえる1年2か月に及ぶロケで撮影されました。予算的にも既存のドラマの枠組みを大きく越えました。 アメリカのドラマ『大草原の小さな家』をヒントに製作された本編での雄大な自然の描写は、それだけで大きな魅力に満ちています。作品の舞台である富良野は放送当時から多くの観光客を集め、北海道の観光名所となりました。

ドラマ『北の国から』の主演キャストと言えば田中邦衛

黒板五郎/田中邦衛

五郎役はもちろん田中邦衛。この人なしではこのドラマは語れません。 80年代当時、他の高視聴率ドラマの主演と言えば美女やイケメン揃いでした。それまで脇役が主だった田中邦衛を主演に抜擢したことが、本作品の勝因といえます。情けない父親像がぴったりのハマり役で、彼の代表作となりました。

五郎とともに北海道に引っ越すことになる子供たち

純/吉岡秀隆

「僕は……なわけで……」という本作のナレーションがあまりにも有名な純役には吉岡秀隆。東京のガールフレンドに語りかけるという体裁のこの独特の独白は、山下清風に演出されているそう。脚本を担当した倉本聰のドラマ『前略おふくろ様』から転用された手法です。 吉岡秀隆は少年時代から青年期までの純を演じ、ドラマと共に大きくなってゆく姿を見ることが出来ます。

蛍/中嶋朋子

純の妹で優しい性格の蛍。この役柄を演じたのは中嶋朋子です。富良野の生活にもすぐに順応した父親っ子の蛍ですが、大人になるにつれて五郎の意志に反した道を進むようになります。 吉岡秀隆とともに、ドラマ内で成長の軌跡を見せてくれる中嶋朋子。この2人の大きくなってゆく姿を見られるのも、本作品の大きな魅力です。

ドラマ『北の国から』に出演していたその他のキャスト

さかのぼること約35年前に始まった「北の国から」では、様々なキャストが出演しています。主要なキャストを紹介していきたいと思います。

黒板令子/いしだあゆみ

五郎の妻であり、純と蛍の母である令子。東京生まれの美容師ですが、浮気をして五郎の元を去ります。演じたのはいしだあゆみ。 「ブルー・ライト・ヨコハマ」などのヒットソングを持つ歌手としても有名な彼女、本作の令子役は女優として当たり役でした。

宮前雪子/竹下景子

令子の腹違いの妹で、純と蛍の叔母にあたる雪子。純と蛍に懐かれ、富良野の家に同居するようになります。演じたのは竹下景子です。 70年代から80年代にかけて非常に多忙な売れっ子女優であり、政治家の発言がきっかけで「お嫁さんにしたい女優No.1」と称され人気を博しました。

北村草太/岩城滉一

富良野の牧場で働く北村草太。純と蛍から慕われる青年ですが、女性関係にルーズで、恋人がいるにも関わらず雪子に恋をします。 この役柄を演じるのは岩城滉一です。1977年に覚醒剤により逮捕されていますが、その後更生の道を歩み、本作の出演でキャリアを確固たるものにしました。

中畑和夫/地井武男

五郎の幼馴染みであり、親友である中畑和夫。木材屋の経営者で、様々な場面で黒板家を助けます。この中畑役には、悪役からマイホームパパまで幅広く演じ分ける実力派俳優の地井武男。 バラエティ番組などでも活躍しましたが、2012年に惜しまれながら他界。本作品はそんな俳優・地井武男の代表作です。

数多く残された『北の国から』の名言集

ドラマ『北の国から』には視聴者の心に訴える名ゼリフが数々存在します。そのうちの代表的なものをいくつか、紹介していきます。

「電気がなかったら暮らせませんよッ」

放送第一回で純が言うセリフです。電気もガスもない富良野の家に絶望した純が五郎に訴えます。

「お前ら、いいか、敗けて逃げるんだぞ」

五郎の従兄の清吉(大滝秀治)のセリフ。放送第三回で東京に帰ろうとする純に向けた言葉でした。

「子供がまだ食ってる途中でしょうが!」

スペシャルドラマ『北の国から'84 夏』での五郎のセリフ。ラーメン屋での純の大切な告白を受け入れようとする五郎、その会話に水をさした店員に向けた言葉です。

「おまえの親父がくれた泥の付いた一万円だ」

『北の国から`87初恋』で、純が東京へ向かうトラックの運転手に言われたセリフです。心に重く響いてしまいますね。

『北の国から』の脚本家・倉本聰が伝えたかったこととは?

日本を代表する名脚本家である倉本聰。彼の代表作である本作には深いメッセージが込められています。 本作が放映された1980年代は日本はバブル景気。当時はその好況がバブルだという認識は当然なく、大量消費社会を多くの人が享受した時代です。そのなかで家族の形態も変化してきました。父性は失墜し、家庭内暴力などの問題も顕在化してきました。 そんな時、世間の注目を集めたのが本作です。倉本は金ですべてが買え、無駄の溢れた都会に対して疑問を感じ、『北の国から』の脚本を練り始めます。主人公たちはカネとモノと情報の溢れた都会を捨て、大自然のなかで生活を始めるのです。 現代社会が置き忘れてきた、お金では買えない大切なものが本作には描かれ、それが長い時間を越えて、視聴者の心を掴んで離さないようです。