石井裕也監督おすすめ映画8選!【『舟を編む』】

2017年11月5日更新

自主製作映画時代から注目されてきた石井裕也監督。商業映画デビュー後も順調に秀作を発表し続け、日本映画界を代表する若手として期待を集める石井監督作品を8作ご紹介します。

日本映画界が期待する若き才能!石井裕也監督

学生時代から数々の映画祭で高い評価を受けてきた石井裕也監督は、これからの日本映画を背負う若手のホープです。1983年6月21日埼玉県浦和市生まれで、大阪芸術大学芸術学部映像学科の卒業制作『剥き出しにっぽん』がぴあフィルムフェスティバルのグランプリに輝いて注目を集めました。 続けて日本大学大学院芸術学研究科で学びつつ、制作した複数の作品が海外の映画祭でも特集されるなど新人らしからぬ評価を得ます。ぴあのスカラシップ作品となった『川の底からこんにちは』ではついに史上最年少にてブルーリボン賞監督賞を受賞しました。 プライベートでは女優の満島ひかりとの入籍・離婚というニュースも話題になった石井監督ですが、ここではこれまで発表した作品の中からおすすめの8作を紹介します。

1.東京国際映画祭で注目された、風変りな駆け落ち喜劇【2010年】

勢いで駆け落ちした英語教師・明美と高校生・ノリオの奇妙な同棲生活と周囲の人間模様を描いた群像劇です。生活のため内緒でアルバイトする明美と、弁護士目指して勉学に励むノリオですが、ふとしたきっかけで2人の関係に微妙な変化が訪れます。 34歳の明美を目黒真希、ノリオを森岡龍が演じ、どこかずれた2人の掛け合いが独特のコミカルな雰囲気を醸し出しました。 公開に先駆け、第22回東京国際映画祭の日本映画・ある視点部門に出品されて注目を集めます。また第50回日本映画監督協会の新人賞にもノミネートされ、期待の新鋭としてその名を知らしめました。

2.いきなりキネ旬5位にランクイン!石井裕也監督の商業映画デビュー作【2010年】

ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞したスカラシップ作品として、『君と歩こう』と並行して製作された事実上の商業映画デビュー作です。モントリオール・ファンタジア国際映画祭の最優秀作品賞と最優秀女優賞に輝いたほか、キネマ旬報年間ベストテンでも堂々第5位に選ばれました。 派遣OLとして東京でパッとしない日常を送っていた佐和子が、病気の父に代わって田舎のしじみ工場経営に乗り出す姿を描きます。どん底から立ち上がり、開き直って成長していくヒロインの佐和子を『愛のむきだし』で一躍実力派女優として注目されていた満島ひかりが熱演しました。 本作がきっかけとなり石井裕也監督は満島と入籍に至りましたが、2016年に離婚しています。

3.中年男が息子たちとの関係に悩むハートウォーミング・ドラマ【2011年】

15年前に妻を亡くしてから男手一つで2人の子供を育ててきた50歳の中年男・宮田が主人公です。浪人生の俊也と高3の桃子とはうまくコミュニケーションがとれず関係がぎくしゃくしている上、亡き妻と同じ胃がんの症状があらわれて体調不良に悩みます。 様々な問題に悪戦苦闘しながらも、子供たちのためにかっこいい親父であろうと懸命に努力する姿が共感をよびました。 主人公を演じたのは、『悪人』や『恋人たち』で味のある名演技をみせる光石研、2人の子どもには森岡龍と吉永淳が扮したほか、友人の真田を田口トモロヲが演じました。独特のぎこちない家族関係にスポットをあてる石井裕也監督の優しい視線が心温まる秀作です。

4.臨月の妊婦がクールにエネルギッシュに生きる日常を描く人情ドラマ【2011年】

臨月を迎えたというのにアメリカ人の恋人と別れてお金もなくなった一人の妊婦と周囲の人々の人間模様をコミカルに描いた人情ドラマです。自身の薄幸な境遇にも関わらず、困った人たちの助けになろうとクールに奮闘するひたむきなヒロインを仲里依紗が演じました。 住む家もお金もなく、それでも前を向いて子供の頃暮らした古い長屋に帰って来た妊婦の光子。そこには経営難に陥った食堂を営む幼なじみの陽一と彼の叔父だけがひっそりと暮らしていました。 個性あふれる脇役を中村蒼や石橋凌、竹内都子、近藤芳正らが演じています。さて、光子は無事出産の日を迎えることができるのでしょうか?

5.三浦しをんのベストセラーを映画化し、各賞を独占した石井裕也の代表作【2013年】

本屋大賞を受賞した三浦しをんのベストセラー同名小説を見事に映画化した傑作です。日本アカデミー賞で最優秀作品賞など主要6部門を独占するなど様々な映画祭を席巻し、米アカデミー賞の日本代表作品にも選ばれました。 玄武書房の辞書編集部に配属された馬締光也が言葉にまつわる特殊な才能を生かし、訳あり編集部員たちと協力しながら新辞書「大渡海」を編纂する姿をユーモラスに描きます。 主人公の馬締を松田龍平、編集部員の一人・西岡をオダギリジョーが演じたほか、馬締が恋する下宿先の娘・林香具矢には宮崎あおいが扮しました。豪華キャストの個性を活かした石井裕也監督の演出が冴えわたり、文字通り代表作となりました。

6.石井裕也が再び原点である家族に向き合った人間ドラマ【2014年】

『舟を編む』が大絶賛された石井裕也監督が再び自らの原点に立ちかえり、家族の姿に真摯に向き合った人間ドラマです。期待を裏切らず、高い評価はもちろん興行的にもロングランヒットを記録しました。 脳腫瘍で余命宣告された母・玲子は認知症も手伝って、夫や息子たちに本音を吐き、家族の秘密や問題をあらわにしてしまいます。平凡だと思っていた家族が壊れ、やがて再生して絆を取り戻していく姿を描きました。 妻を原田美枝子、夫を長塚京三、長男を妻夫木聡、次男を池松壮亮と達者な演技派が揃い、それぞれ独特の存在感を放っています。原作は早見和真の同名小説であり、著者の実体験がもとになっています。

7.戦前のカナダを舞台に描く壮大なる実話の映画化【2014年】

戦前のカナダ・バンクーバーで活躍した日系移民の野球チームにまつわる実話を壮大なスケールで映画化した大作です。その才能を認められ、若き石井裕也が監督に大抜擢されました。 1900年代初頭、カナダに移民として渡って来た日本人たちは、過酷な労働と苦しい生活、また人種差別という厳しい現実と必死に戦っていました。彼らを中心に結成された野球チーム「バンクーバー朝日」も体格で勝る白人チームに負け続けていましたが、努力と頭脳により次第に強豪チームへと躍進していきます。 製材所で働く主人公のレジー笠原を『ぼくたちの家族』に続き妻夫木聡が演じました。また池松壮亮、勝地涼、亀梨和也ら人気若手俳優に加え、高畑充希や佐藤浩市ら大作らしい豪華キャストも話題になりました。

8.一冊の詩集をもとに石井裕也が織り上げた切ないラブストーリー【2017年】

詩人・最果タヒのベストセラー同名詩集をもとに、石井裕也が大都会・東京にひっそり生きる一組の男女の物語として実写映画化しました。 昼間は看護師、夜はガールズバーで働く美香と工事現場で肉体労働に従事する慎二。ともに孤独や漠然とした不安に苛まれ、生きづらさを覚えていた2人がある日偶然出会い、次第に心を通わせていきます。 慎二を石井作品として3作連続の抜擢となった池松壮亮、ヒロインの美香を石橋静河というフレッシュな若手がみずみずしい魅力で演じ切りました。映画初主演となった石橋は俳優の石橋凌と原田美枝子の次女であり、さすが新人らしからぬ存在感をみせています。