【映画ハガレンを正直評価!】実写『鋼の錬金術師』のヤバいところとスゴいところ【ネタバレ注意】

2017年12月9日更新

「試写会で原作ファン号泣」「謎の中国人サクラレビュワー疑惑」など公開前からいろんな意味で話題作となっていた実写映画『鋼の錬金術師』がついに2018年12月1日に公開!一足お先に鑑賞してきた編集部が素直にスゴいところとヤバいところを語ります。

ぶっちゃけどうなの?ciatr編集部が実写『鋼の錬金術師』をレポート!【ネタバレ注意】

発行部数700万部を超える荒川弘による大人気コミックを実写化した映画『鋼の錬金術師』2017年12月1日に公開されました。 「試写会に行った原作ファンが号泣する」「日本語がめちゃめちゃな高評価レビューが突然大量に投稿される」「0巻が人質」など、公開前から巷でも話題となっていた本作をciatr編集部が率直にレポート! 初めはスゴいところから、そしてヤバいところを紹介していきます。めちゃくちゃ重大なネタバレを含んでいるので悪しからず。ちなみに執筆者は中学生の頃ハガレンにどハマりして懐中時計を買ったという痛い過去を持つ原作・アニメ鑑賞済みファンです。 見るか、見まいか。悩んでるそんなあなたに、この記事を贈ります。

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ナイスキャスティング!水石亜飛夢演じるアルの声がスゴイ

“しっくり”感、は実写版でファンのニーズを満たすために必要な要素の1つですが、本作の中でもかなりの“しっくり”感を醸し出しているのは、新人声優・水石亜飛夢(みずいしあとむ)演じるアルフォンスの声。 原作・アニメファンの間では、かなり特徴的な声質をした声優・釘宮理恵がアルフォンスの声を担当したことから、かなり固定されたイメージができているかと思います。そんなイメージが強い中、水石演じるアルフォンスは、凛々しいけれどどこかあどけなさの残る少年を見事に演じています。まさに釘宮に“遠からず、近からず”な、実写版の確固たるアルフォンスが再現されていました。 最初は戸惑ってしまうかもしれないけれど、物語が進むにつれ、気づけば一番しっくりきているのはアルフォンスだったように思われます。

大泉洋を始め実写『鋼の錬金術師』脇役勢の演技力がスゴイ

本作において大泉洋の演技力はなくてはならないものでしょう。中盤から後半までの物語の展開を支えているのは彼といっても過言ではありません。 実力派俳優として『アイアムアヒーロー』や『東京喰種トーキョーグール』などの数々の実写映画に出演している大泉洋が本作で演じたのは、ハガレンファンの中でも強烈な印象を残した、ショウ・タッカー。 国家錬金術師という称号を守るために自身の娘を手にかけてしまう、狂気に満ちた男ショウ・タッカーを見事な演技力で自然に演じきった大泉洋の演技には圧巻の一言。あの名言もゾワっとしてしまうレベルで仕上がっています。 またドクター・マルコーを演じた國村隼、ヒューズ中佐を演じた佐藤隆太など脇を固める俳優陣の確かな演技力にこの映画は支えられています(確信)。

実写化が難しそうな「ハガレン」に真剣に向き合ったCGがスゴイ

『鋼の錬金術師』の世界を実写化するにあたってCG描写は避けては通れない課題であったことは容易に想像がつきますが、さすが曽利文彦。映画の最初から最後まで、リアルなCG描写が続きます。 本作の監督を勤めた曽利文彦は映画『タイタニック』にCGアニメクリエイターを務めるなど、日本のVFXシーンを中心に活動してるいわゆるCGのスペシャリスト。映画冒頭部に描かれるエドとアルの少年時代の人体錬成のシーンは、このように錬金術が描かれるのかとファンならば思わず引き込まれてしまうこと間違いなしです。 そのほかにも序盤のエドと神父の戦闘シーンなど、CGの見どころに溢れている本作。「錬金術が本当にあったらどんな感じなんだろう」というファンニーズには確かに答えられている作品となっています。 今まではスゴいところを紹介しましたが、次からはヤバいところを紹介していきます。

キャラクターの性格と信念が歪められすぎててヤバい

試写会で見たファンが必ずといっていいほど言及しているのが、「キャラクターが歪められている」という点。 例えば、松雪泰子が演じたラスト。原作・アニメではホムンクルスとしてのプライドに溢れ、人間を見下している部分もあるような誇り高き美女でしたが、本作で描かれたラストは「ホムンクルスは人間と同じ」という発言をしたり、最後には人間と同じであることを喜ぶような発言すらします。 例えば、本田翼が演じたウィンリィ・ロックベル。原作者である荒川弘はウィンリィを「守られるだけでない自立した強い女性」として描いていますが、本作においてウィンリィはそのようには描かれていません。映画の大半のシーンでエドと行動を共にし、挙げ句の果て終盤には人質に取られるーー。言葉の節々や髪型、兄弟との関わり方では「ウィンリィ」を表現できているのかもしれませんが、その中身はウィンリィとは異なるキャラクターになってしまっています。 その他にも戦いの場でウィンリィを見つけたエドが笑顔になる(原作ならば怒るに近い反応を見せそうなところ)、兄弟の一番の理解者であったはずのマスタング大佐が物語序盤で「お前は国家の犬だ!」と賢者の石を追い求めるエドを否定する、といった原作やアニメで描かれていたキャラクターの性格や信念、といった重要な要素が抜け落ちてしまっている印象を受けました。 これは原作ファンの逆鱗に触れて然るべきなのかもしれません。

実はあんまり戦闘してないのヤバい

『鋼の錬金術師』の見どころの一つは錬金術を駆使した戦闘シーンではないでしょうか。またそのようなシーンを求めて映画館に足を運ぶファンも少なくないはず。 ところが本作、戦闘シーンが非常に少ないんです。序盤の神父とエドが戦うシーンはCGを駆使した目を見張るものとなっており、このテンションの描写が2時間続くとなると非常にアクション映画として必見のものになるのでは、と思ったのですが後半にいくにつれ次第に戦闘シーンがなくなっていきます。 中盤から終盤にかけての全ての戦闘が一方的に行われるため、バトルシーンを楽しみに劇場で向かった人は頭を抱える結果になりそう。最初の戦闘シーンは迫力抜群でとてもカッコいいのに……。

賢者の石に関する設定がヤバい

2時間という尺に収めるために原作の面白い要素を抽出して、少々駆け足で進んでいく本作。原作の中でもエドとアルが追い求める「賢者の石」は映画でも重要なキーアイテムとして登場します。 でも、その賢者の石に関する設定がヤバい。終盤では実は大佐やエドたちの上司であるハクロ将軍がとある計画を目論んでいることが明らかになります。その計画はサイクロプスのような見た目をしてゾンビのような動きをする謎の生き物を大量に生産し軍隊を作り出し、国を支配する、というものでした。 しかし、この謎の生き物は知性がなく、産みの親であるハクロ将軍を食べてしまったり、頭を撃たれるだけで死んでしまったり、そもそも戦闘力が高くなかったりと少し残念な設定。 ……ん、ちょっと待って。映画のその直前のシーンでは賢者の石を錬成するために10人前後の人間が生贄にされている描写があるのですが、そんな貴重な賢者の石をこんなポンコツな生き物に1個使ってしまうの!?しかもあんなに大群を生み出すほど!? 原作で非常に丁寧に、そして慎重に描かれていた賢者の石だけに、映画の設定の雑さにはため息が出ちゃうかもしれません。私は出ました。

実写映画『鋼の錬金術師』はアリかナシか?判断するのはあなたです

以上、実写映画『鋼の錬金術師』のヤバいところとスゴいところ、2つにわけてご紹介しました。 原作ファンならどうしても許せない描写もあるかもしれません。全てのファンに絶対見て欲しい映画、とお墨をつけることはしませんが、この作品がアリなのかナシなのか、ぜひご自分の目で確かめて見てはいかがでしょうか?