岡崎京子、伝説の女性漫画家の作品の魅力に迫る。

2018年1月11日更新

2018年公開予定の映画『リバーズ・エッジ』の原作者、岡崎京子。彼女は『東京ガールズ・ブラボー!!』や『pink』などの代表作を持ち、“ニューウェーブ作家”と評され不動の人気を誇ってきました。今また脚光を浴びている作品の魅力に迫ります。

岡崎京子とは?

1963年東京都生まれ。高校生の頃からイラストや文章の投稿を始め、1983年に漫画ブリッコ(白夜書房)でデビューしました。ファッション、音楽、映画、文学など幅広いジャンルに精通していた岡崎京子は、漫画家としての枠にとらわれず、多方面で活躍していました。ところが1996年に交通事故に遭い、その後遺症のために筆を絶ってしまいます。 ’80~’90のポップカルチャーのバイブルのような作品は若者らの心を掴み、岡崎京子自身も当時を象徴する存在として絶大な影響力があったと言われています。

なぜここまで支持されるのか

新たな創作活動は20年以上行っていない岡崎京子ですが、2015年には大規模な展覧会も行われるなど未だ人気に陰りは見られません。描かれるテーマは、甘酸っぱい恋愛や煌く青春のようなものとは一線を画しています。読む者にガツンと強烈な後味を残すアクの強さが特徴です。また人間の歪んだ自己愛、嫉妬、暴力、性、ありとあらゆる汚い感情を作品で突き詰め、その表現の文学性も高く評価されています。

ファンが語るその魅力

読者たちは岡崎京子が描く人間のダークサイドから目を背けたい反面、人物の心情や行動の中に自分と同じ一面を垣間見て共感しているようです。表面的ではない「人間の本質」を鋭く描くのが、岡崎京子の強みであり、時代を超え多くのファンを魅了してきた所以なのです。

美への渇望が身を滅ぼし、地獄に堕ちた主人公りりこの物語

全身整形で美を手に入れたモデル、りりこ。彼女は芸能界一の美貌で人気の絶頂を極めていましたが、人知れず整形手術の後遺症に苦しんでいました。高額なメンテナンスを定期的に受けていても、徐々に劣化のスピードが早まっていく恐怖から、りりこの心は次第に壊れていき......。 2012年に公開された『ヘルタースケルター』は、世間に岡崎作品の強烈なインパクトを与えた作品です。ラストでその圧倒的な美が崩れ、狂った化け物のように堕ちていくりりこ。身を滅ぼしてでもしがみついた作り物の自分を手放せず、苦しみぬきました。しかし彼女を崇拝していた女の子たちの興味は、りりこに戻ることは二度となかったのです。

映画を見た人たちの反応は?

まずは、主演の沢尻エリカの体当たりの演技が高く評価されています。また若者に人気と知名度の高い写真家の蜷川実花が監督を務めたことでも話題を集め、本作をきっかけに岡崎京子の作品にハマる人も多かったということ。 リアルタイムで読んでいなかった世代にも、岡崎の独特な世界観が受け入れられています。

ボリス・ヴィアンの小説を漫画化した『うたかたの日々』

1947年にボリス・ヴィアンによって書かれた同名小説を岡崎京子が漫画化した作品です。「世界一美しくて切ない恋愛小説」と言われ、2013年には映画化もされています。 映画の監督を務めたのは『エターナル・サンシャイン』で有名なフランスのミシェル・ゴンドリーです。 資産家のコランは美しいクロエと出会い、幸せな結婚をしました。しかし新妻は肺に睡蓮が生長してしまう奇妙な病に冒され、夫は妻を救いたい一心で資産を全て投げうって治療を受けさせます。やがて全ての希望は消え、最悪の結末が訪れますが......。 この作品を岡崎京子は自らの感性を生かしつつ、原作には忠実に漫画化しています。普段のオリジナル作品で見せる表情とは一味違った岡崎京子を知りたいという方必見です。

監督が原作の素晴らしさに、思わず映像化に手を染めてしまった作品

2018年2月公開予定の『リバーズ・エッジ』は、岡崎京子の最高傑作との呼び声が高い作品です。主演に二階堂ふみと吉沢亮を起用し、『世界の中心で、愛をさけぶ』の代表作で知られる行定監督がメガホンを取ります。監督はこれまで漫画の映画化は避けていたそうです。しかし今回『リバーズ・エッジ』に関しては、この岡崎京子の名作があまりにも魅力的だったので、ついに漫画の映画化に手を染めたと、原作漫画に最高の賛辞を述べています。 作品に登場する若者らが抱える虚無感、生きづらさ、死と隣り合わせで生を追い求める姿にあなたも自分自身を重ねてみてください。岡崎京子の世界観が凝縮した作品です。

映画の好評価を予感させるコメント

岡崎京子、今を生きる人々に心を震わす一作を

原作漫画の映画化で今後ますます注目が集まりそうな、岡崎京子をご紹介しました。彼女が休筆してから20年以上の時を経て、現代日本人はめまぐるしい変化を遂げてきました。今はSNSで誰もが自分の日常をシェアしないと気が済まず、人々の意識は常に外へ向かって発信することが中心ではないでしょうか?そうして見た目ばかり取り繕う一方で、内面に抱える本当の自分の声には無関心です。 そんな人々に、心の深いところに響く彼女の作品を手にとってもらうきっかけになればと思います。