『チワワちゃん』×天才監督が新たな世界を作り出す
『へルタースケルター』や『リバース・エッジ』など数々の人気実写化作品の原作者として知られる岡崎京子。2019年には、短編作品がつまったコミック『チワワちゃん』の実写化が実現します。 2019年公開の注目映画のひとつでもある『チワワちゃん』。今回は、本作で監督を務める二宮健にスポットを当てました。新進気鋭の天才監督の経歴と制作作品をみていきましょう。
注目の新人監督・二宮健のプロフィール
MATSUMOTO TRIBE の上映で香港アジア映画祭に行ってきました。香港にもたくさんの新たなるファイターが生まれたみたいで嬉しいです。早く松本グローバルファイターになって、世界と戦ってください。 pic.twitter.com/QBF2CktVq4
— 二宮健 (@Some_Kind_of_W) November 21, 2017
二宮健は、1991年生まれ、大阪府出身の映画監督。幼い頃から映画制作に興味を持ち、2008年に監督した作品『試験管ベイビー』で高校生映画コンクール「映画甲子園」で監督賞を受賞します。 高校卒業後は、様々な芸術分野で活躍する著名人を多く輩出している大阪芸術大学映像学科に入学し、本格的に映画の世界へと進出。在学中から、自主映画作品の発表を続け、業界内でも注目を集めていきました。
映画甲子園で活躍した高校時代
映画甲子園は、高校生の自主制作映像作品を募った映画コンクール。2006年から開催され、出場者の中には、その後も映像の世界へと道を進めている人も多くいます。 2008年に開催された映画甲子園で監督賞を受賞した『試験管ベイビー』。大阪国際大和田高等学校の映画研究部として応募したもので、二宮健が監督した作品でもあります。 本作は、審査員のひとりで、映画『病院へ行こう』(1990年)や『おくりびと』(2008年)といった名作を作り出している監督・滝田洋二郎によって選出されました。
二宮健は大阪芸術大学映像学科のOBのひとり
【卒展】昨日降り続いていた雨も、今朝には止んでくれました!今日は11時から、「平成29年度 大阪芸術大学卒業制作展」のオープニングセレモニーを行います♪スペシャルゲストトークショーや受賞作品プレゼンツアーなども開催予定です。みなさん、ぜひお越しください★https://t.co/xsdYYSYXNU pic.twitter.com/bW3EhnWh0t
— 大阪芸術大学 企画広報部 (@KouhouOua) February 11, 2018
大阪芸術大学は1957年に設立された私立大学で、芸術学科はもちろん、映像や舞台芸術、アートサイエンスなど様々な学科があり、西日本最大規模の総合芸術大学としても知られています。 二宮健は、そんな大阪芸術大学映像学科の卒業生。同大学の卒業生には他にも、映画『舟を編む』(2013年)の石井裕也、映画『そこのみにて光輝く』(2014年)の呉美保、映画『リンダ リンダ リンダ』(2005年)の山下敦弘、映画『私の男』(2014)の熊切和嘉などといった監督が挙げられます。
二宮健監督作品を紹介!
在学中に制作!『大童貞の大冒険』
映画『大童貞の大冒険』は、2014年3月に公開された中編映画作品です。キスの経験もない20歳の童貞大学生が主人公で、とある出来事をきっかけに校内のマドンナ的存在に惹かれ思いを募らせていく物語。 自信が持てず、イケメンたちに嫉妬しながらも、自分の気持ちをぶつけようと突き進んでいく男の姿を描いた青春ドラマです。 本作は、二宮健が大学在学中に発表した作品のひとつで、監督・脚本だけでなく編集や音楽も担当しました。
卒業制作にしてSF大作『SLUM-POLIS』
映画『SLUM-POLIS』は、2015年9月に公開された作品です。 南海トラフ大地震後、復興が進まずスラム化した地区が生まれた2041年の西日本。スラムポリスと呼ばれる無法地帯の地区では、3人の若者が夢を実現するために暴力団の麻薬輸送車襲撃を計画しています。しかし、巨大暴力団を相手にしたことから大きな闇の抗争に巻き込まれてしまいます。 本作は二宮健が大学の卒業制作として発表した映画作品。スケールの大きさから国内外多くの映画祭で上映され注目を集めました。
天才を感じさせる映画『眠れる美女の限界』
映画『眠れる美女の限界』は、2014年3月に公開された作品です。 マジシャンの助手として生計をたてる女優・アキは、30歳目前になっても女優として芽が出ず、将来に絶望。今後の自分の未来が明るく見えなくなったアキは、毎日マジシャンの催眠術にかかったふりをするようになります。しかし、催眠術を演じることから次第に現実と妄想の区別がつかないカオスな状態に陥っていき......。 本作は、二宮健が監督・脚本を務めたヒューマンドラマ。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015では、審査員特別賞を受賞しました。
演出を追及した映画『MATSUMOTO TRIBE』
映画『MATSUMOTO TRIBE』は、2017年4月に公開された作品です。 松本ファイターという無名の俳優を、本人そのままに、その生き様を映し出したような斬新な作品。映画のオーディションに参加する松本ファイターが演技をみせるも認められない現実の苦悩、そして思わぬ展開が描かれていきます。 無名と知名度のある2人の松本が登場することで、それぞれのTRIBEが本人を通じて残されていった作品。本作で二宮健は「演出とは?」ということをテーマにして制作した映画と話しています。
セルフリメイク映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』
映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』は、2014年に自身が発表した映画『眠れる美女の限界』を商業映画のデビュー作品としてセルフリメイクした作品で、2017年10月に公開されました。 女優という夢と生きる目標を見失い妄想と現実を揺れ動く主人公・アキ役には桜井ユキが抜擢。また、アキの中に残る唯一の美しい思い出として恋人のカイトとの時間が描かれ、そのカイト役を高橋一生が演じています。
話題の実写化映画『チワワちゃん』
岡崎京子のコミック『チワワちゃん』を原作にした本作は、チワワちゃんの愛称で親しまれた女の子がバラバラ遺体となって発見されることから始まる物語。残された友人グループがチワワちゃんの思い出を語るも、誰もその本名を知らず、ただバカ騒ぎをしていただけだったことに気付きます。 若者らしく自由で不安定な姿が描かれた青春ストーリー。二宮健は本作のファンで、自分が映画化すると話していたといいます。念願叶った実写化に携わるということもあり、様々な視点から注目を集める映画になりそうです。 映画『チワワちゃん』は、2019年公開予定。商業ベースに乗り、日本映画での活躍を大きくしていく二宮健。今後も、彼の活躍から目が離せません!