2020年6月3日更新

映画は世界を救う?根深い社会問題を扱った映画特集【社会派SFも紹介】

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ゲット・アウト
© Universal Pictures

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他人事じゃない!現実社会の問題を取り上げる社会派映画が心に突き刺さる

世界中で巻き起こっている、解決すべき様々な社会問題。それらをすくいあげ、私たちに提示してくれるのが社会派映画です。忘れてはいけない出来事を思い出させ、現実から目を逸らしていることを気付かせてくれます。 観た者に答えを委ねる作品も多く、心をかき乱されることでしょう。そんな社会派映画の中から、おすすめ作品を紹介していきます。あなたも他人事ではない物語が、そこにはあるのです。

『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』(2003年)

世界的に多い冤罪、テキサス州で飛び抜けて多い死刑執行がテーマ

『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』は、2003年に公開された作品です。死刑執行回数の多いテキサス州を舞台に、冤罪や死刑制度の問題を扱ったサスペンスドラマとなっています。 元同僚の女性をレイプし殺害したという罪で逮捕され、死刑判決が下された元大学教授のデビッド・ゲイル。死刑執行の3日前、ゲイルはある人気誌の女性記者を呼び出し、独占インタビューで自身の人生について明かしていきます。それを聞いた記者のビッツィーは、次第にゲイルの冤罪を確信していき……。 主演は『アメリカン・ビューティー』のケヴィン・スペイシーと『タイタニック』のケイト・ウィンスレット。監督はアラン・パーカーが務め、製作にはニコラス・ケイジが参加しています。 重苦しい題材とは裏腹に、堅苦しい雰囲気がなく1つの娯楽作品として鑑賞できる本作。死刑制度の矛盾点を考えさせられ、意外性やアイデアに富んだ結末は、サスペンス好きからも注目を集めました。

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『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013年)

エイズへの偏見・承認治療薬の少なさに疑問を呈した実在の人物を映画化

『ダラス・バイヤーズクラブ』は、当時エイズに対して未だ偏見の強かった80年代に、世間や政府に反旗を翻した、あるエイズ患者の実話を基にした作品です。 1985年のある日、突然体調を崩し医者からHIVが陽性で余命30日だと宣告されたロン・ウッドルーフ。当時世間一般的にエイズは同性愛者がかかる病気だと思われていたため、無類の女好きだった彼は自分がかかった事に衝撃を受けます。 彼はアメリカで認可されたエイズの治療薬がほとんどない事を知り、未承認薬を求めてメキシコに赴き「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立。アメリカ国内のエイズ患者に、治療薬が届く為の仕組みを作り上げていきます。 主演のマシュー・マコノヒーが実在した不屈のエイズ患者を熱演。その体当たりの演技が評価され、賞賛を浴びました。また、トランスジェンダーでやはりエイズ患者のレイヨンを演じたジャレッド・レトも高い評価を受け、その年のアカデミー賞で主演男優賞と助演男優賞をそろって受賞しています。

『42 〜世界を変えた男〜』(2013年)

アメリカの人種差別問題を根本から変えた実在の野球選手の半生

『42 ~世界を変えた男~』は、史上初の黒人メジャーリーガーとなった伝説の野球選手、ジャッキー・ロビンソンの壮絶な半生を描いた伝記映画です。 1947年、ブル ックリン・ドジャースに初めてのアフリカ系アメリカ人選手、ジャッキー・ロビンソンが入団。未だ人種差別が激しかった当時、メジャーリーグには白人選手しかおらず、ジャッキーの入団は国内中で大きな波紋を呼びました。 チームメイトやファンからも差別を受け、孤独な戦いを強いられたジャッキー。しかし彼はそんな周りの空気にも負けず、努力を重ねていきました。その姿に、次第に周りの意識がも変化していきます。 アメリカとカナダでは、公開3日間の売上で初登場1位を記録し、野球映画史上最高のオープニング記録を樹立。タイトルにもなったロビンソンの背番号「42」はアメリカ・カナダ中の全野球チームにおいて永久欠番にもなっており、タイトル通り世界を変えた伝説の名プレイヤーとして崇められています。

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『海を飛ぶ夢』(2004年)

ヨーロッパの社会問題を3カ国合作で世に知らしめた大作

『海を飛ぶ夢』は、2005年に公開されたスペイン・フランス・イタリア合作の映画。30年間全身不随と闘い、尊厳死を求めた実在の人物ラモン・サンペドロの伝記を基に製作されたヒューマンドラマです。 19歳からノルウェー船のクルーとして世界中を飛び回っていたラモン・サンペドロは、25歳の時岩場に頭を強打し首から下全てが不随になってしまいます。家族の献身的な支えのもとに生きていた彼は、事故から26年目を迎えたある時、自らの選択で人生に終止符を打ちたいと渇望するようになりました。 そして尊厳死支援団体のジュネや女性弁護士のフリアらと共に、法律では認められていない尊厳死の願いを叶えるべく奮闘します。ラモンとその家族や友人の葛藤を描いた感動の物語です。 アカデミー賞外国語映画賞や、ヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞など、有名映画賞の数々を受賞し、世界的に評価されている本作。生と死について、安楽死と尊厳死の違いについてなど、命について考えさせられる名作です。

『ゲット・アウト』(2017年)

潜在的差別意識の恐ろしさを指摘する名作ホラー

アカデミー賞4部門にノミネートされ、見事脚本賞に輝いたホラー映画。監督・脚本は映画『アス』でも注目を浴びたジョーダン・ピール、主演は今作で一躍著名となったダニエル・カルーヤが務めました。 黒人の青年クリスは、恋人である白人のローズの実家へ訪れることになります。両親の温かい歓迎を受けるものの、異様な雰囲気にどこか違和感を覚えます。やがてその居心地の悪さは加速していき、彼を待ち受けていたのは恐ろしい体験でした。 人種差別を取り扱う映画のようで一味違うのがこの作品。登場する白人たちは、最後まで差別には否定的なのです。善良な白人リベラルの奥深くに潜在する差別意識をあぶり出し、鋭く風刺しています。

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『ホテル・ルワンダ』(2006年)

「ルワンダ虐殺」を描くノンフィクション映画

1994年、アフリカの小国ルワンダで民族間の抗争が勃発。100日間で100万以上の罪なき人々が殺害されるというおぞましい状況の中、人々を救った実在のホテルマンを描いたノンフィクションです。 混乱の中、ホテルの副支配人だったポール(ドン・チードル)は、フツ族過激派が同族の穏健派やツチ族を虐殺していく光景を目の当たりに。彼はツチ族やフツ族の難民を、自分のホテルで匿うことを決意します。ポールの勇敢ある行動で、1,268人もの命が救われたのです。 「アフリカのシンドラー」と呼ばれたこの主人公を讃えると同時に、この作品は、今もまだ世界でこのようなことが起きている現実を叩きつけてきます。諸悪の根源とも言える欧米の差別意識や、不公平で無力な国連への批判も力強く込められた作品です。

『存在のない子供たち』(2019年)

自分を生んだ罪で両親を訴える少年を見つめる

第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門でプレミア上映され、15分間のスタンディング・オベーションを受けた傑作。貧困問題や移民問題に目を向けたヒューマンドラマです。 監督は、『キャラメル』『私たちはどこに行くの?』のナディーン・ラバキー。本当のシリア難民である少年ゼイン・アル=ラフィーアを主役に抜擢するなど、出演者のほとんどが役柄と近い境遇の素人であるのが特徴的です。 物語の主人公は、中東のスラムに生まれたゼイン。彼は出生届が出されていないため、法的には存在すらしていません。学校へ通うこともできず、兄妹たちと過酷な労働を強いられていました。 そんなゼインは、12歳で両親を訴えます。罪状は「僕を産んだ罪」。どこか他人事のように受け止めている世界の難民・貧困問題を、目の前に突きつけられる作品です。

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『スノーデン』(2017年)

政府による情報監視を告発した男は「裏切り者」?

2013年6月、エドワード・スノーデンという男が、アメリカ政府の監視システムを告発しました。アメリカの国家安全保障局(NSA)が全世界のメール、ビデオ通話、ネット検索履歴、通話などのあらゆる情報を把握していたのです。 本作は、NSA職員であったスノーデンが告発に至るまでの経緯を描いた社会派エンターテインメント。主人公のエドワード・スノーデンを『(500)日のサマー』などのジョセフ・ゴードン=レヴィットが好演。『プラトーン』などのオリバー・ストーンが監督を務めました。 告発を受け、FBIは情報漏洩罪など数十の容疑で彼を指名手配します。彼はなぜ多額の報酬や約束された将来、恋人との幸せな暮らしを捨ててまで、実名を晒してカメラの前に立ったのでしょうか。のんびり寝ている私たちを叩き起こすような映画です。

『スキャンダル』(2020年)

セクハラに立ち向かう女性キャスターたちを描く

アメリカで実際に起きた、女性キャスターに対するセクハラ騒動を描いた本作。2016年、アメリカ最大のテレビ局FOXニュースの元人気キャスター、グレッチェン・カールソンが、CEOのロジャー・エイルズを提訴しました。 まさかのスキャンダルにテレビ業界に激震が走る中、FOXニュースの看板番組キャスターのメーガン・ケリーと、新人キャスターのケイラ・ポスピシルもそれぞれに想いを巡らせていて……。 『モンスター』のシャーリーズ・セロン、『めぐりあう時間たち』のニコール・キッドマン、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』のマーゴット・ロビーという豪華トリプル主演が実現。“#MeToo”ムーブメントの先駆けとなった事件の内幕が明かされます。

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『新聞記者』(2019年)

日本政府とメディアへの疑惑に斬り込む強気なサスペンス!

第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた話題作。東京新聞所属の記者・望月衣塑子が書いた小説を原案にした社会派サスペンスです。 主人公の1人は、若手女性記者・吉岡エリカ(シム・ウンギョン)。極秘情報が匿名のファックスで届いたのをきっかけに、ある大学新設計画の調査を任されます。やがて調査上に内閣府の神崎という人物が浮上しますが、その矢先、神崎は自殺してしまいました。 もう1人の主人公は、内閣情報調査室の若手エリート官僚・杉原拓海(松坂桃李)。神崎の元部下で、彼の死に不信感を抱いています。立場の違う二人が調査を進めるうち、思わぬ事実が見えてきて……。 主演2人の迫真の演技は必見。反政府的な内容を持つ本作は、鋭く時代を切り裂くナイフのような作品です。

『GO』(2001年)

俺は何者だ!在日コリアンの青年が掴んだ恋と自分らしさ

在日コリアンの高校生の姿を描く青春映画。原作は、『SP』などの脚本家としても知られる在日3世の金城一紀著の直木賞受賞小説です。 自身が在日コリアンであることを気にしていない高校生の杉原(窪塚洋介)は、ある日女子高生と恋に落ちます。自分の国籍を伝えなければと思い始めた矢先、同じ国籍を持つ親友に悲劇が起こり……。 生まれながらに「国籍」「在日」という枠組みに縛られ、自分のアイデンティティに悩む主人公。差別や偏見を取り扱っているものの、民族の悲劇の物語などではなく、一人の青年を見つめる視点であるのが特徴的です。 自分の生き方を掴んで行く彼の姿がエネルギッシュ。重いテーマを取り扱う作品ながら、モヤモヤした感情を一蹴する爽やかさを持っています。

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『誰も知らない』(2004年)

取り残された子どもたちだけの誰も知らない生活

主演の柳楽優弥が、史上最年少の14歳でカンヌ国際映画祭主演男優賞に輝いた本作。監督は『万引き家族』『三度目の殺人』などを手がけた是枝裕和です。1988年に発生した巣鴨子供置き去り事件を題材として、アパートに残された幼い子どもたちの姿を描きました。 父親の違う4人兄弟が母親と共に、隠れるように小さなアパートに越してきます。長男の明(柳楽優弥)は小学校6年生の年齢ですが、学校に通ったことがありませんでした。やがて母親は新しくできた恋人と同棲を始め、家に帰ってこなくなってしまいます。 子供達だけの誰も知らない生活は、過酷で悲惨なもの。けれど彼らはたくましく生きようとします。柳楽優弥の強い眼差しはいつまでも心に残るはず。 ネグレクトや無国籍児、子どもを取り巻く無関心な社会なついて考えさせられます。

『パラサイト 半地下の家族』(2019年)

富豪家族にパラサイトする貧困一家の行く末は

アカデミー作品賞および監督賞、カンヌの最高賞を同時に受賞した、韓国のブラック・コメディ映画。『母なる証明』『スノーピアサー』のポン・ジュノが監督を務め、彼と4度目のタッグとなるソン・ガンホが主演を務めました。 キム一家は家族全員が失業中で、半地下の薄暗いアパートで貧しい生活を送っています。ある日長男ギウは、IT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ面接を受けに行くことに。偽造した名門大学の入学証書を利用して、英語の家庭教師として採用されます。 やがて、妹のギジョンも美術の家庭教師としてパク家へ。普通の生活を望んだ貧しい家族と、高台の豪邸で暮らす家族。二つの家族の運命は、思いもよらぬ方向へ転がって行きます。先進国を中心に広がる格差社会を露呈した作品です。

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『トガニ 幼き瞳の告発』(2012年)

権力の闇から弱き子どもたちを救えるか

2000年から2005年にかけて、韓国光州広域市の聾学校で生徒に対する性的暴行が日常化していたことが判明。その実話を基に、『新感染 ファイナル・エクスプレス』のコン・ユ主演で映画化した作品です。 田舎のろう学校に美術教師として赴任した主人公は、生徒や教師の空気に違和感を覚えます。ある日暴力を振るわれている生徒を目撃し、彼女らが性的暴力を受けていたことが発覚。犯人は、校長や教員でした。 彼は提訴しますが、地元警察や法曹関係者を買収した校長らを相手に、裁判は思うように進みません。悔し涙を誘う展開は、あなたが主人公の立場だったらどうするかと問いかけてくるでしょう。 この映画によって事件が再検証され、加害者らは改めて裁判にかけられました。また韓国政府は「トガニ法」を制定し、障がい者などに対する法律を改定しています。

突飛な設定はなにを意味している?おすすめ社会派SF映画

様々な社会問題を取り上げた社会派映画を紹介しました。ここからは、おすすめの「社会派SF映画」をピックアップしていきます。 「社会派SF映画」とは、現実にはありえないSF要素のなかに社会問題を織り交ぜ、メタファーによる批判や皮肉を込めた作品のこと。比較的とっつきやすく、気軽に見ることができるはずです。「社会派映画って難しいのでは?」と思っている人はこちらからチェックしてみてください!

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『第9地区』(2010年)

アパルトヘイトを反映したエイリアン映画!

地球で暮らすエイリアンを制圧しようとする人類の姿を、ドキュメンタリータッチで描いたSF映画。アカデミー賞4部門にノミネートされた話題作です。 南アフリカ共和国のヨハネスブルク上空に宇宙船が出現。難民となった大量のエイリアンは、地上で暮らすことになります。しかし、その醜い容姿やゴミを漁るなどの文化の違いから、人間からの差別や反発が問題になっていきました。 やがて、彼らを「第9地区」へ移住させる計画がスタート。その責任者となったヴィカス(シャールト・コプリー)を、まさかの事態が待ち受けます。 舞台である南アフリカ共和国でかつて行われていた「アパルトヘイト政策」を反映したこの作品。アクションシーンや近未来的要素が楽しめるB級SFらしい映画であり、差別や格差、排外主義的な社会への批判を込めた映画でもあります。

『X-MEN2』(2003年)

ミュータントはマイノリティの暗喩?

X-MEN 2
©MARVEL

マーベル・コミックの「X-メン」実写映画シリーズ第2弾。突然変異による超人的能力を持って生まれたミュータントたちを描くSFアクション映画です。監督は『ユージュアル・サスペクツ』のブライアン・シンガー。 このシリーズに登場する生まれながらの超能力者たちは、能力を持たない人間たちから忌み嫌われています。その描写は人種的・宗教的マイノリティに対する偏見そのもの。 作中、アイスマン(ショーン・アシュモア)がミュータントであることを家族にカミングアウトするシーンがあります。この時彼は、両親から「普通の人間になれないの?」と尋ねられるのです。これはまさにセクシャルマイノリティを取り巻く現実でしょう。 様々なマイノリティへの差別を指摘しながら、彼らが誇りを持って生きる、その生き様を表現しています。

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『ガタカ』(1997年)

遺伝子操作が当たり前になった世界で見えるのは

美しくスタイリッシュな映像が特徴の近未来SF映画。宇宙飛行士を夢見る青年ヴィンセント(イーサン・ホーク)は、自然妊娠で生まれた「不適正者」であるために夢を諦めていました。遺伝子操作によって生まれた「適正者」は数多く存在し、優れた知能と体力と外見を持っています。 宇宙飛行士は「適正者」にのみ許された仕事。そんな中、事故で脚の自由を失った「適正者」の生体IDを手に入れるチャンスが訪れて……。 2018年、1人の中国人科学者が遺伝子操作した双子の女児を誕生させ、「タブーを冒した」と批判されました。無限の可能性と危険を孕む遺伝子操作。それが当たり前になった近未来を舞台に、ヒトの意志や夢を強く描いた作品です。 また、生まれた環境による差別や社会階層の再生産を批判し、人間の運命はDNAだけでは決まらないことも訴えかけてきます。

『エリジウム』(2013年)

格差社会の理不尽さを宇宙規模で表現

『第9地区』を手がけたニール・ブロムカンプ監督・脚本作品。『オデッセイ』のマット・デイモンを主演に迎え、「エリジウム」と呼ばれるスペースコロニー(宇宙の人口居住地)を舞台にしたSFアクションです。 2154年。超富裕層は、環境破壊によって退廃した地球を離れエリジウムで暮らしています。そこでは高度な科学技術による豊かな生活を送ることができました。一方、地上の人々は過酷な労働を強いられ、満足な医療も受けられない生活を送っています。 主人公のマックスは、地上の工場で働く青年。ある日、事故で致死量の放射線を浴びてしまい余命5日を宣告されます。高度な医療を受けるためエリジウムへの潜入を目指しますが、様々な壁が待ち受けていて……。 ユートピアとディストピアを壮大なスケールで描く現実離れしたSF映画でありながら、貧困層からの搾取や医療などの格差社会を描いた社会派作品です。

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『未来世紀ブラジル』(1986年)

監視・統制された人間社会の狂気と代償

『未来世紀ブラジル』
© Universal Pictures/Photofest/zetaimage

20世紀のどこかの国。情報省の役人がテロの容疑者「タトル」を「バトル」と打ち間違え、無実のバトルを無理やり連行してしまいます。その様子を目撃した上階の住人ジルが抗議するも、相手にされません。 一方、情報省に務めるサムは、抗議に来たジルが夢に出て来た美女にそっくりなことに気がつきました。事態は複雑に絡み合っていき、衝撃の結末が待ち構えています。 レトロで魅力的なビジュアルで描かれた近未来の世界。しかしそこはダクトが張り巡らされ、徹底した情報管理がなされた統制社会です。この作品は、歴史のどこかで情報統制を敷いてきた国家への批判、そして今もどこかで行われている統制への警告だと言えるでしょう。 『12モンキーズ』のテリー・ギリアムが監督・脚本を手がけ、『キャリントン』のジョナサン・プライス、『タクシードライバー』のロバート・デ・ニーロが出演。時代を超えて色褪せない不朽の名作です。

社会派映画は世界を変える?

様々な社会派映画を紹介しました。『トガニ 幼き瞳の告発』のように人々の意識を変え、法を変えた作品もありましたね。エンターテインメントとして親しまれる映画は、そのテーマに人々の関心を向けるパワーを持っています。 あなたも社会派映画を見て、普段対峙していない社会問題について考えてみませんか?ひとりひとりの意識が変わることで、少しづつ世界も変わっていくかもしれません。