アニメ『未来少年コナン』ネタバレ&その後解説!島の少年の旅立ちを描く宮崎駿初監督作に迫る

1978年にNHKで放送された『未来少年コナン』は、スタジオジブリの巨匠・宮崎駿がはじめて監督を務めた名作アニメ。『天空の城ラピュタ』の原型ともいえる世界観と、島で育った少年コナンが飛び回るアニメーションといった本作の魅力は現代でも色褪せていません。 今回はそんな『未来少年コナン』のあらすじや登場人物といった基本設定から、本作の魅力に至るまで徹底解説します。
アニメ『未来少年コナン』あらすじ【ネタバレなし】

西暦2008年、超磁力兵器を使った最終戦争によりほとんどの人間は滅び、大陸は海へと沈みました。それから20年後、少年コナンとおじいの2人だけが暮らす孤島「のこされ島」に少女ラナが流れ着きます。 地球最後の生き残りだと思っていた二人はラナを歓迎しますが、そこに科学都市インダストリアが送り込んだ、ラナを狙う兵士たちの影が忍び寄ります。追手による激しい銃撃戦の末、ラナは連れ去られ、おじいは命を落としてしまいました。 ひとり島に残されたコナンは悲しみを乗り越え、おじいが残した言葉を胸に旅立つことを決めます。
アニメ『未来少年コナン』ネタバレ解説!少年コナンの旅立ちを描く
滅びの海に漂う出会い
西暦2008年、核を遥かに超える超磁力兵器を用いた世界戦争が勃発。地球は地殻変動により大部分が海に沈み、人類の文明は崩壊しました。それから20年後、生き残った老人「おじい」と、戦争後に生まれた野生児の少年コナンは、孤島「のこされ島」で平穏に暮らしていました。 そんなある日、コナンの前に砂浜に打ち上げられた少女ラナが現れます。彼女は科学都市「インダストリア」から逃げてきた、世界を救う鍵となる太陽エネルギーの権威・ラオ博士の孫娘でした。 しかし、インダストリアの行政局次長モンスリー率いる捜索隊にラナを連れ去られ、その際の戦いでおじいが命を落としてしまいます。コナンはおじいを埋葬し、ラナを救うため手作りの足漕ぎボートで島を旅立つのでした。
インダストリアの影
旅の途中でコナンは、野生児の少年ジムシィや、交易船バラクーダ号のダイス船長と出会い、反発し合いながらも確かな絆を結んでいきます。インダストリアに潜入したコナンは、圧倒的な身体能力を武器に幾度も窮地を切り抜け、ついにラナとの再会を果たしました。 インダストリアの独裁者レプカは、人類を征服するために旧世界の文明を復活させようと、ラオ博士から太陽エネルギーの秘密を聞き出そうと企んでいました。コナンとラナは変装して潜入していたラオ博士を発見・救出します。 しかし、インダストリアは地殻変動による沈没の危機が迫っていました。博士はレプカに閉じ込められた地下の住民を救うため、都市の中心にある「三角塔」で太陽エネルギーを復活させます。
大津波と裏切りの塔
レプカは太陽エネルギーを使って、旧世界の最凶兵器である超大型飛行艇「ギガント」を起動させ、世界を再び支配しようと飛び立ちます。コナン、ジムシィ、改心したモンスリーの3人は空中でギガントに飛び乗り、内部から機体を徹底的に破壊。レプカは大爆発を起こすギガントと共に海へと墜落して沈んでいきました。 地殻変動が限界に達してインダストリアの島は完全に海へと沈没しますが、ラオ博士や住民たちはサルベージ船で脱出に成功。ギガントから海へ投げ出されたコナンも、ラナのテレパシーによって奇跡的に発見され、救助されます。ラオ博士は新しい世界の未来をコナンとラナに託し、静かに息を引き取ります。
新大陸への航路
サルベージ船で生き残ったインダストリアの人々は、ハイハーバーへと移住します。ハイハーバーで新生バラクーダ号が推進式を迎え、ダイスとモンスリーは結婚。コナンとラナ、ジムシィはバラクーダ号でコナンの故郷である「のこされ島」へと戻りました。 のこされ島があった付近は地殻変動によってせり上がり、島はかつての荒涼とした姿ではなく、豊かな緑に包まれた広大な大地へと生まれ変わっていました。コナンはその中央におじいと住んでいた懐かしのロケット小屋を発見し、この新大陸で新しい暮らしを始めることを誓いました。
『未来少年コナン』の世界を彩る登場人物!担当した声優は
コナン / CV:小原乃梨子

コナンはのこされ島で生まれた12歳の少年です。自然の中で育ったためか身体能力が高く、銛一本でインダストリアの兵士たちと渡り合います。足の指の力も人間離れしており、足の指だけでものに掴まるシーンも。偶然に出会った少女ラナを助けるため、のこされ島から旅立ちます。 コナン役を演じた小原乃梨子は、テレビ朝日版『ドラえもん』の野比のび太でお馴染みの女性声優です。
ラナ / CV:信沢三恵子

コナンと同い年の12歳の少女・ラナ。過去に太陽エネルギー開発に関わり、唯一の生き残ったラオ博士の孫娘で、博士の居場所を知る人物として科学都市インダストリアの者たちから追われています。敵に屈しない意志の強さを持つ、典型的なジブリヒロインです。 ラナの声を担当したのは信沢三恵子です。『母をたずねて三千里』のフィオリーナ役のほか、『サマーウォーズ』にも陣内万理子役で出演しています。
ダイス / CV:永井一郎

ダイスはインダストリアの船バラクーダ号の船長を務める男です。最初にラナをさらった人物ではありますが、後半はコナンたちに協力します。部下からの信頼も厚く、憎めない人物です。 ダイスを演じた永井一郎は、国民的アニメ『サザエさん』の初代磯野波平役として知られている声優です。
レプカ / CV:家弓家正

インダストリアの行政局長を務めるレプカは、独裁政権を目論む野心家の男。大きな力を持つ太陽エネルギーの秘密を手にするため、ラオ博士への手掛かりとなるラナを執拗に追いかけます。裏設定として『ジブリ・ロマンアルバム 天空の城ラピュタ』ではムスカの末裔という記述も。 レプカ役を演じたのは家弓家正。レプカのほか『風の谷のナウシカ』のクロトワ役など、悪役を演じることが多い声優です。
モンスリー / CV:吉田理保子

モンスリーはレプカの部下で、インタストリア行政局次長を務める28歳の美女。口癖の「バカね!」からも分かるように気が強く、格闘能力も高いです。ラナの追手を率いる敵として登場しましたが、後半はコナンたちと行動を共にするツンデレっぷりを発揮し、最終話ではバラクーダ号の船長ダイスと結婚しました。 モンスリー役を演じた吉田理保子は、『アルプスの少女ハイジ』のクララ役、『魔女っ子メグちゃん』の神崎メグ役など、ヒット作に多く出演しています。
【考察①】自然の描き方は当時の公害問題を反映

1978年に放送された本作の自然の描き方は、制作当時の日本が直面していた高度経済成長期の深刻な公害問題や「オイルショックによる近代文明への不信感」と密接に結びついていました。単なるSF冒険活劇にとどまらず、当時の社会世相を色濃く反映した「環境と人間」の対立・共生がコアテーマとなっています。 特に印象的なのは、インダストリアでプラスチックごみを再生して合成パンを作るシーン。これは当時の大量生産・大量消費社会や、化学物質によって汚染されていく食・環境への痛烈な風刺と考えられます。
【考察②】レプカらを通じて支配構造を巧みに描く

レプカやインダストリアの描写は、圧政や独裁政治の支配構造に対する強烈な風刺となっています。宮崎駿監督はレプカとインダストリアを、「システム(制度とテクノロジー)を使って人間を支配する独裁政治のリアルな構造」として本作に落とし込みました。 宮崎駿監督が示した「独裁への対抗策」は、この強固な圧政に対してコナンというシステムの外側にいる「野生児」をぶつけた点。作中では「どんなに強固な独裁システムも、人間の生身の生命力や連帯、そして土に根ざした生き方(ハイハーバーの暮らし)の前には、最終的に維持できず破綻する」という強い批判と希望が描かれているのです。
【解説①】原作はアメリカの小説!アレンジに込められた思いは
記念すべきNHKアニメシリーズ第1作目の原作は

『未来少年コナン』は1978年に放送されたTVアニメで、NHK初のアニメシリーズとなった記念すべき作品です。70年代に『世界名作劇場』が人気を博していたこともあり、原作にはアメリカの児童文学『残された人々』が選ばれました。 また、本作はスタジオジブリのアニメ監督である宮崎駿の初監督作品としても知られています。コナンやラナといったキャラクターの名前や、インダストリアやハイハーバーといった土地名こそ原作と共通するものの、設定やストーリーは宮崎駿によって大幅に変更が加えられました。 原作は冷戦時代を描いたダークSF作品でしたが、アニメ版ではより少年・少女向けの健全な方向にアレンジされ、まさにNHKアニメ第1作目として相応しいものとなっています。海外児童文学を原作とする、という部分はNHKアニメに受け継がれていき、『キャプテン・フューチャー』、『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険』と続いていきます。
原作をアレンジした宮崎駿の思いとは?
宮崎駿監督はこの原作のキャラクター設定や結末を大胆にアレンジしました。そこには「子どもたちに絶望ではなく、生きる喜びを伝えたい」という独自の哲学とアニメーション論が込められていました。 原作小説は、当時の東西冷戦の影を色濃く反映したディストピア小説。原作のコナンは戦争のトラウマを抱えた暗く傷つきやすい少年として描かれており、冷戦構造がアメリカ=善、ソ連=悪という偏った設定も嫌ったそうです。 そこで主人公コナンを、超人的な身体能力で笑いながらピンチを切り抜ける「生命力の塊のような野生児」へと作り替えました。絶望的な世界でも「生きることは楽しい」というポジティブなメッセージを子どもたちに届けたかったのではないでしょうか。
【解説②】ジブリ映画を思わせる爽快なアニメーションが好評!
名作アニメとして多くのアニメーターに影響を与えた!

本作では、監督の宮崎駿や高畑勲がコンテ・演出の大部分を手掛けています。2人が得意とする観ているだけで気持ちのいいアニメーションは、このころから発揮されており、それがいまだに名作アニメとして本作が語られる最大の理由です。 『AKIRA』や『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』など、大作劇場版アニメに数多く参加している凄腕アニメーターの井上俊之や、庵野作品ではお馴染みの摩砂雪なども、『未来少年コナン』を観てアニメーターを志したと語っており、後のアニメ業界への影響は計り知れません。
宮崎駿作品を象徴するような第6話のアクションシーン

中でも有名なのは第6話「ダイスの反逆」での脱出劇、そして主人公コナンの大ジャンプシーンです。 インダストリアでレプカたちに捕らえられたラナを三角塔から救出したコナンは、激しい追撃をくぐり抜け、塔の半ばから大ジャンプして脱出。着地したコナンは足元から痺れ、足の裏が地面に張り付いてしまいますが、追っ手を撒くことに成功します。 高い塔から飛び降りて、ビリビリと痺れたけれど助かるというのは現実ではありえないことですが、それをアニメーションの力で可能にし、視聴者も楽しませる、というのが宮崎駿作品の凄いところです。この第6話の大ジャンプはその象徴的なシーンではないでしょうか。
【解説③】『未来少年コナン』のその後を描くのはあの作品!?

主人公の少年の前に、突然不思議な女の子が現れ、少年の冒険が始まるーーといったストーリーは『天空の城ラピュタ』の構造と似ていますが、実はこの『未来少年コナン』はジブリ映画『天空の城ラピュタ』と深い関係があるのです。 本作が好評を博したこともあり、NHKでは続編の企画が進行し、宮崎駿は『未来少年コナン2』の原案をNHKに持ち込みました。ですが、この企画はTVシリーズとしては実現せず、宮崎駿は自身の原案をもとに『天空の城ラピュタ』(1986年)が生みだすことになります。 さらに没になった企画は、後に『新世紀エヴァンゲリオン』を手掛けるアニメ制作会社ガイナックスに持ち込まれ、アレンジを加えた上で『ふしぎの海のナディア』(1990年)として放送されました。 特に『天空の城ラピュタ』は監督が一緒なことはもちろん、前述の通りストーリーなども酷似しており、その後を描いた続編ではないですが、『未来少年コナン』の正当な後継作と言えるでしょう。ややこしいですが、1999年に放送された『未来少年コナンⅡ タイガアドベンチャー』はまったくの別物です。
【解説④】映画版『未来少年コナン』はアニメから大幅な変更に?

TV放送からおよそ1年後の1979年には、同じく日本アニメーションが製作した『野球狂の詩 北の狼南の虎』と同時上映で、劇場版『未来少年コナン』が上映されました。 TVシリーズをまとめた総集編という位置づけでしたが、ハイハーバーやギガントが登場しないなど大幅な変更がなされており、評判はあまり芳しくなかったようです。それを受けてか1984年には第24話「ギガント」から最終話「大団円」までの3話をまとめた『未来少年コナン 特別編 巨大機ギガントの復活』が公開されています。
宮崎駿監督作『未来少年コナン』は後のアニメ界に影響を与えた名作!

今回は宮崎駿監督がジブリ創設前に手がけた、不朽の名作として名高いテレビアニメ『未来少年コナン』を紹介しました。ジブリ映画の源流を感じることができる本作、ぜひチェックしてみてください!