アニメ『BANANA FISH』あらすじを最終話までネタバレ!本編後日談『光の庭』解説も
不朽の名作と名高い『BANANA FISH』とは?【ネタバレ注意】
『BANANA FISH』とは吉田秋生による別冊少女コミックに連載された少女漫画と、それを原作にした作品です。漫画版の連載期間は1985年から1994年で、番外編も作成されました。 物語の舞台は現代のニューヨーク。メインキャストは天才の名をほしいままにする美少年アッシュ・リンクスと、日本からやってきた少年奥田英二の2人。そんな彼らを取り巻くのはストリートキッズの少年たちと薬物「BANANAFISH」を狙うマフィアたちです。 裏社会の薄暗さや犯罪マフィア同士の争いなどが描かれ、少女漫画というにはハードボイルドな世界観や、映画のようなストーリー展開に魅了されたファンは数多く、現在も色褪せることはありません。 こちらの記事では、アニメ全話のネタバレを踏まえつつ、同作の魅力、『BANANA FISH』の後日譚である『光の庭』のネタバレを徹底解説していきます! ※本記事ではアニメ最終話までのネタバレが含まれるので未視聴の人は注意してください。
アニメ『BANANA FISH』前半(1〜13話)あらすじ【ネタバレ注意】
アッシュと英二の出逢い
ベトナム戦争真っ最中のベトナムで、アメリカ兵のグリフィンが同僚の兵士達を死傷させる事件が起こります。そして12年後のニューヨーク、グリフィンの弟、アッシュは瀕死の男から薬の入ったペンダントを受け取リます。 そして男は「バナナフィッシュ」とだけ言い残し、死亡してしまいました。男が渡した薬をもとに調査に乗り出すアッシュを、コルシカ・マフィアのボス、ゴルツィネが狙っています。 一方その頃ストリートキッズを取材するため、日本人大学生の奥村英二(おくむらえいじ)はニューヨークを訪れていました。取材のため、ストリートキッズを束ねるアッシュと接触する英二。そこで英二やアッシュ達は突如、マフィアのマービンと手を組むフレデリック・オーサーの襲撃に合います。 力を合わせ危機を脱したことで、絆を作り上げていくアッシュと英二。そしてマービン殺しの冤罪で逮捕されたアッシュと、アッシュの事情を知った英二は、共にバナナフィッシュの闇と戦っていくことになるのでした。
ショーターの死とオーサーとの決着
バナナフィッシュが“投与された人物が「誰かを殺せ」と指示を受けると実行してしまい、その後自殺する薬”だと知った英二達。グリフィンもバナナフィッシュの影響で、同士を殺害したのでした。バナナフィッシュを利用し政財界を牛耳ろうと考えているゴルツィネに、再び捕まってしまう英二とアッシュ。 その2人の前に、バナナフィッシュを投与されたアッシュの親友、ショーターが現れます。アッシュは殺してくれと頼むショーターを、自らの手で殺してしまいました。親友を手に掛けてしまいアッシュは絶望の淵に立たされるも、彼は単身でオーサーとの最終決戦に向かいます。 英二を日本に帰国させ、オーサーと1対1の死闘を繰り広げるアッシュはオーサーの卑怯な手に苦戦を強いられるも、遂に勝利を収めます。そしてそこには英二の姿が。英二に「日本に帰れ!」と吐き捨てたアッシュは、警察に包囲されながら倒れてしまうのでした。
アニメ『BANANA FISH』後半あらすじ(14〜23話)【ネタバレ注意】
ゴルツィネの最後の切り札
オーサーを倒したアッシュは、英二の気持ちを汲み取り、帰国を中止させます。そして最強の戦闘力を誇るブランカと対峙するアッシュは彼には敵いません。 ゴルツィネは英二の安全の代わりに、アッシュに再び自分の下で働くよう命じます。それに従うアッシュ。アッシュにとって英二は、すでに代わりのいない親友だったのです。 全てを知った英二は、仲間と共にアッシュを奪い返します。しかしゴルツィネの最後の切り札、傭兵部隊隊長・フォックス大佐からアッシュを庇ったことで、大怪我を負ってしまう英二。アッシュは彼を自分のそばに置いていたことを後悔します。病室で「一緒に穏やかな日本で暮らそう」と話す英二。 しかし最後の戦いに赴く前に英二の病室を訪れたアッシュは、「サヨナラ」と言い残し去って行くのでした。
ついに悪夢「バナナフィッシュ」を葬り去る
ゴルツィネを人質にとったアッシュは、フォックスと対峙します。しかしアッシュがバナナフィッシュのデータを持っているのを知ると、フォックスはあっさりとゴルツィネを撃ち抜きました。 フォックスと戦闘になるも、やっとの思いで勝利するアッシュ。こうしてゴルツィネとフォックスは死に、バナナフィッシュのデータも、炎の中へと消えたのでした。 ゴルツィネが率いていた組織は、バナフィッシュを利用し少年売春クラブを経営していました。アッシュはそのクラブの利用者に、政府関係者や高官がいることを暴きます。それをフリージャーナリストに伝えたため、利用した政府の高官達も逮捕。アッシュの調査が遂に実を結んだのです。 こうしてバナナフィッシュを巡る数々の事件は、終結を迎えたのでした。
アニメ『BANANA FISH』最終話衝撃の結末【ネタバレ注意】
全ての事件が終わり、英二は怪我の治癒のため日本に帰国します。「英二の人生にこれ以上関わってはいけない」と考え、空港には行かないアッシュ。空港にて英二はアッシュに手紙を書きます。図書館で手紙を受け取った彼は、その暖かい内容に涙を溢しました。 英二への想いが溢れ、図書館から飛び出すアッシュ。しかしその瞬間彼は、ショーターの子分であったラオに刺されてしまいます。 自身の命がもう長くないことを悟り、図書館へと引き返すアッシュ。そしてアッシュは今一度英二からの手紙を読みながら、幸福の表情を浮かべ最期を迎えるのでした。
本編『BANANA FISH』から7年後の英二を描く『光の庭』とは?
『BANANA FISH』には、アニメ化されていないアナザーストーリーが存在します。舞台はアッシュが亡くなってから7年後のニューヨーク。英二はすでにプロカメラマンになっており、ニューヨークに住んでいます。英二はアッシュの死に負い目を感じながら、この7年間を生きてきたのでした。 そんな彼のもとに伊部俊一の姪である暁(あきら)がやってきます。不仲な両親の関係や、自身が男ではなく女に生まれてしまったことを気に病み、心身が削られていた暁。英二はそんな暁を心配して、ニューヨークに呼んでいたのです。 アッシュのファーストネームである「アスラン」と、暁(あかつき)は同じ夜明けという意味であると話す英二。暁を元気付ける一方で、英二は自身もアッシュの死と向き合います。そして英二の個展には、“夜明け”というタイトルでアッシュの写真が並んでいるのでした。 この「光の庭」の他にも、『BANANA FISH ANOTHER STORY』には「ショーターとアッシュの過去」や「英二の棒高跳び選手時代の話」など全5ストーリーが収録されておりアニメを観終わった後に読みたくなることは間違いありません。
35年経っても輝き続ける名作『BANANA FISH』
雑誌の掲載が始まったのは1985年、コミックスは全19巻となっています。作品の中に盛り込まれたテーマは、ドラッグ、マフィアや人種紛争などいった社会的なものが多く少女漫画としては異色。 しかし、作品自体は良く作り込まれており、まるで映画のようなストーリー展開からは目が離せません。 そして、キャラクター。メインキャストから端役まで、1人1人個性的なキャラクターが多く非常に魅力的です。 特に主人公アッシュがそのカリスマ性ゆえに心悩ませ葛藤する姿や心の闇は荒っぽい物語の中に切なさが加わり、心に響くものがあるでしょう。 扱うテーマの奥深さ、映画のようなストーリー展開、魅力的なキャラクターたち、時代を通じて問われる人の心。こういった要素が連載開始から30年を経過してもなお、名作と言われる所以ではないでしょうか。
『BANANA FISH』原作者の吉田秋生とは?
『BANANA FISH』を描いたのは漫画家の吉田秋生です。1956年8月12日生まれで1977年に『ちょっと不思議な下宿人』という漫画から活動を開始しました。 その後、数々のヒット作を生み出しており、『河よりも長くゆるやかに』や『吉祥天女』、『夜叉』などで漫画賞を受賞。近年では4姉妹それぞれの生き方を描いた『海街-diary』が映画化され、話題となりました。 吉田の作品はどれも作品を描いた時代のテーマが盛り込まれており、時代を感じさせるものが多いです。 その一方で、どの時代でも人々が抱える哲学的な概念や心の葛藤、ドキっとするようなエッセンスが盛り込まれ、背景に時代を感じさせつつも、いつ読んでも色褪せない不思議な魅力があります。
『BANANA FISH』のネタバレあらすじを読んでアニメ本編を観てみよう!
この作品の魅力は、ストーリー、そしてキャラクターですが、1番の肝となっているのはアッシュが抱える社会に対する怒りや心の闇と、それを救い上げる奥田英二という少年の存在、と言えます。 特に女性読者が心惹かれる部分となっているかとは思いますが、ボーイズラブ的なものなのでは?という声も上がっています。確かにそう見えなくもありません。 しかし、後日談である『光の庭』 にてシンは2人の関係について 「言っとくがあいつらの間は性的な関係はいっさいなかった、恋愛に近い感情はあったかもしれないが魂の奥深いところで結びついていたんだ」と語っています。 この2人は魂で結びついているのだ。アニメもファンがそう感じられるような作品になっています。