2018年5月18日更新

実写「るろうに剣心」はなぜ高評価?映画を成功に導いたヒットの裏側

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『るろうに剣心』
(C)和月伸宏/集英社  (C)2012「るろうに剣心」製作委員会

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実写映画「るろうに剣心」が大ヒット!何が観客の心をつかんだ?

映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」
©和月伸宏/集英社 ©2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

最近、漫画が原作の実写映画が増えてきています。そのなかでも大ヒットを収めたのが、実写映画「るろうに剣心」シリーズです。 「るろうに剣心」は2012年に第1作目、2014年には2部作である第2作・第3作が公開されました。第1作目は、公開されてから2週連続で累計興行収入と累計動員がトップとなるほどの人気ぶり!シリーズ最終章2部作の制作も決定し、それぞれ2021年4月と6月に公開予定です。 この記事では、「コケる」と言われがちな漫画原作の実写映画「るろうに剣心」が、なぜ大ヒットを収めたのか考察していきます。

実写映画「るろうに剣心」シリーズのあらすじをおさらい

『るろうに剣心』
(C)和月伸宏/集英社  (C)2012「るろうに剣心」製作委員会

2012年に公開された第1作目『るろうに剣心』は、緋村剣心と神谷薫が出会い、仲間たちとともに高荷恵という医者を救うために悪徳商人と戦うというストーリー。 2014年に公開された第2作目「京都大火編」では、抜刀斎として活躍していたころの剣心の過去に関係する隠密御庭番衆や、剣心の後を継いで人斬りとなった志々雄真実が登場。そして剣心たち一行は、京都大火を目論んでいる志々雄たちとの対決を決意します。 第3作目「伝説の最期編」では、剣心の師匠である比古清十郎が剣心に奥義を授け、満を持して志々雄との最終対決に臨むというストーリーです。

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評価が高かった!主人公・剣心を演じた佐藤健

『るろうに剣心』がヒットした第1の理由として挙げられるのが、主役の佐藤健がハマり役だったということでしょう。 剣心は凄腕の剣豪であるものの、見た目は華奢で柔らかい顔立ちをした童顔。普段は頼りなさげな雰囲気ですが、いざ剣を抜くと誰よりも強い抜刀斎へと変貌します。そんな2面性のある剣心を演じきったのが、主演の佐藤健。 見た目からしても全く違和感がなく、今となっては「剣心は佐藤健以外に考えられない」と言えるほどです。 ちなみにこの作品で、佐藤健はジャパンアクションアワードのベストスタント賞、ベストアクション男優に選ばれています。

剣心を取り巻く主要キャストも実力派ぞろい

神谷薫/武井咲

ハマり役だったのは、佐藤健だけではありません。暗い過去を背負った剣心の心を癒す神谷薫を演じたのは、武井咲。繊細さと気の強さを同時に感じさせる魅力的な演技で、第36回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞しました。

比古清十郎/福山雅治

剣心の師匠である比古清十郎は、歌手で俳優の福山雅治が演じました。圧倒的な存在感と渋い声で、「さすが剣心の師匠」と言いたくなるほどのハマリ役です。

志々雄真/藤原竜也

剣心の宿敵である志々雄真実は、演技派俳優の藤原竜也が演じています。素顔が出ないキャラクターですが、わずかに見える表情と声、動作などから、志々雄のキャラクターを忠実に再現しているので、藤原竜也の演技にも注目してみてください。

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コスプレにならないリアリティさで映画に引き込まれる

実写映画の難しいところは、物語の世界観をそのまま3次元で再現することです。それがうまくできないと、コスプレっぽくなってしまったり安っぽくなってしまったりします。ですがこの実写「るろうに剣心」は、リアリティがありつつもわざとらしすぎません。そんな総合的な演出の高さも評価されました。 たとえば、剣心のトレードマークである赤毛は、明るい茶色になっています。もし真っ赤にしていたら、リアリティがなくなっていたかもしれません。 明治時代という比較的再現しやすい物語設定も成功の要因ではありますが、いかに現実的に原作の世界を表現するかにこだわっているのも、この映画がヒットした重要な要素です。

アクションシーンの完成度が高すぎる!

この映画の評価の高さは、アクションシーンにもあります。漫画には2次元ならではの技が目立ちますが、それをうまく3次元で表現し、迫力のあるアクションシーンを作り出しました。 アクションシーンではスタントマンを用意する映画も多くありますが、佐藤健は「自分で演技する」という信念のもと、足の運び方や剣の構え方などをしっかり勉強し、全て自分で演じきりました。 ほかにもアクションシーンのためにスパイクがついている足袋を使って早く走りやすくしたり、ワイヤーアクションを取り入れたり、カメラをヒモで吊ってみたりと、安易にCGを使わずに出来る限り生身の人間が再現できるような工夫をしています。 俳優たちはもちろん、スタッフがいかに本気で演技に臨んでいたのかというのが伝わってきますね。

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原作に敬意を払い漫画の世界観を大事にした脚本

『るろうに剣心 京都大火編』
(C)和月伸宏/集英社 (C)2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

映画『るろうに剣心』の第1作目は、中心キャラクターたちが出会う原作序盤のハイライト部分が映画化されています。第2部・第3部では幕末時代暗躍した者たちが出会い、それぞれの信念のために戦うという「るろうに剣心」の物語の魅力がぎゅっと詰まったストーリー。 映画のシナリオは基本的に原作に忠実ではありますが、映画は尺が決まっているので、「漫画とまったく同じ」というのはむずかしい。そのため映画「るろうに剣心」では、「原作に忠実ではなく誠実に」という考えのもと、原作の世界観を大事にしつつ映画というかたちで組み立てなおしました。 原作内の盛り上がる部分をうまく切り取ってまとめている脚本力も、映画の評価が高い理由のひとつです。

「るろうに剣心」の原作を知らなくても大丈夫!

映画内で完結しているため、誰でも楽しめる実写映画に仕上がった

『るろうに剣心 伝説の最期編』
(C)和月伸宏/集英社 (C)2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

漫画原作の映画だと原作ファンがターゲットになりがちですが、映画「るろうに剣心」は、原作を知らない人でも楽しめるようになっています。 物語の背景や登場人物などはしっかりと作中で説明されていますし、第1作、第2作・第3作の中で物語が完結しているので、原作が分からなくても楽しめます。この工夫によって、原作ファンはもちろん、原作を知らない人も足を運びやすかったのでしょう。 まだ見たことがない人は、この機会に1度見てみてはいかがでしょうか。