2018年3月16日更新

建築好き必見!美しい建築が登場する映画8選

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ブレードランナー
©WARNER BROS

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強い印象を残した、美しい建築が登場する映画と言えば?

映画と建築は切っても切れない密接なつながりがあることは言うまでもありません。さまざまな登場人物たちが織り成す人間模様やドラマチックな物語の舞台として、作品のきわめて重要な要素をなしています。 ここでは、とりわけ強い印象を残した美しい建築が登場する映画を、新旧バリエーション取り混ぜて8作品ご紹介します。 撮影のロケ地として使用された既存の有名建築物から、映画のために新たに製作されたセットまで、幅広く選んでみました。もちろん映画ファンのみならず、建築好きであれば必見の作品たちです!

1:『ブレードランナー』【1982年】

2017年に待望の続編が公開されて大きな話題になった、SF映画の金字塔『ブレードランナー』。リドリー・スコットがメガホンをとり、公開当時としては近未来だった2019年のロサンゼルスを舞台に、人造人間であるレプリカントと捜査官の壮絶な死闘を、類まれなる映像美の中で描きました。 絶えず酸性雨が降り続き、アジアの文字や広告が氾濫する高層建築や飛行する車など、混沌とした街の風景が鮮烈なビジュアルで表現されています。

エニス・ブラウン邸/フランク・ロイド・ライト

ハリソン・フォード扮する捜査官・デッカードが暮らす自宅として登場するのが、近代建築三大巨匠の一人、フランク・ロイド・ライトが手掛けたエニス・ブラウン邸です。ロサンゼルス郊外にあり、完成は1924年。ライト独特の「テキスタイル・ブロック住宅」の代表作のひとつとして知られています。 映画では合成によって高層ビルのように見えますが実際は低層住宅です。また、リドリー・スコットは映画『ブラック・レイン』でも同邸宅を再び使用しています。

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2:『バレエボーイズ』【2015年】

ノルウェーのオスロを舞台に、一流のバレエダンサーを夢見てレッスンを続ける少年たちの姿を追ったドキュメンタリー映画です。 ルーカス、トルゲール、シーベルトという3人の少年が12歳から16歳までに経験する友情や成長、希望や挫折をオスロの街や美しいバレエの映像とともに描きました。 3人はやがて、たった1人だけが英国の名門ロイヤル・バレエ・スクールに入学を許可されるという厳しい現実に直面します。

オスロ新国立オペラハウス/スノヘッタ建築事務所

彼らが活躍する舞台として、しばしば映画に登場するのがオスロ新国立オペラハウスです。 エジプトにあるアレクサンドリア図書館などで知られるスノヘッタ建築事務所が設計を手掛け、2007年に完成しました。 氷山をイメージしたガラス張りと屋根の傾斜が美しく、北欧らしい内部も映画の中で強い印象を残しました。2008年には世界建築フェスティバルで文化賞を受賞するなど、ノルウェーのオスロを代表するランドマークとして愛されています。

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3:『時計じかけのオレンジ』【1972年】

アンソニー・バージェスの近未来小説を、スタンリー・キューブリック監督が見事に映画化し、その後の若者文化に多大な影響を与えた70年代を代表する傑作です。 近未来のロンドンを舞台に、マルコム・マクダウェル扮するアレックスをリーダーとする不良グループが繰り広げる過激な暴力とその後の残酷な顛末を、大胆かつセンセーショナルな映像で描きました。

スカイブレイク・ハウス/ノーマン・フォスターほか

映画ではロンドン市内を中心に様々な建築物が登場しますが、中でも重要なシーンで使用されたのが、アレックスらが襲撃する作家の自宅となったスカイブレイク・ハウスです。 ハートフォードシャー州ラドレットにあり、ノーマン・フォスターら4名の建築家で構成される「チーム4」が設計して1966年に完成しました。 ポップで斬新な外観やインテリアが今日でもじゅんぶんモダンです。ノーマン・フォスターの作品は巨匠として世界各地に存在しており、ロンドン市庁舎やカリフォルニア州クパチーノにあるアップル新本社などが有名です。

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4:『ガタカ』【1998年】

DNAの操作による優秀な遺伝子を持つ者が、劣性な者を管理支配する近未来を舞台にしたSF映画です。 イーサン・ホーク扮する「不適性者」のヴィンセントが、宇宙飛行士になるという夢のために遺伝子適性を偽って別の男になりすまし、宇宙飛行施設「ガタカ」に入社するのですが……。

カリフォルニア州マリン郡庁舎/フランク・ロイド・ライト

「ガタカ」の建物として撮影に使用されたのが、フランク・ロイド・ライトが設計したカリフォルニア州マリン郡庁舎です。州内サン・ラファエルにあり、1960年に完成しましたがその前年にライトは他界しており、遺作の一つです。 外観・内装とも円と曲線が非常に印象的な、公共施設とは思えない斬新なデザインになっており、まさに宇宙関連施設にふさわしい佇まいです。

5:『ロスト・エモーション』【2017年】

リドリー・スコットが総指揮をとり、ニコラス・ホルトとクリステン・スチュワートが共演した切ないSFサスペンスです。人類滅亡の危機に直面して作られた、感情を持たない人間たちの共同体である「イコールズ」。そこから脱出を試みる一組の男女の姿を描きます。 日本で大規模なロケが敢行され、長岡造形大学はじめ様々な有名建築物が近未来都市の一部として使用されました。

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淡路夢舞台・狭山池博物館/安藤忠雄

撮影に選ばれた複数の建築物の中には、世界的巨匠である安藤忠雄が手掛けた淡路夢舞台と狭山池博物館もあります。 迷路のような淡路夢舞台は兵庫県淡路市にある複合文化施設であり、2000年に完成。一方、ため水と一体化した大阪府立狭山池博物館は2001年に開館した公共施設です。ともに安藤忠雄らしいコンクリートの無機質で幾何学的なシンプルさが、映画の中でも異質な存在感を放っています。

6:『マイノリティ・リポート』【2002年】

原作がフィリップ・K・ディック、監督スティーブン・スピルバーグ、主演トム・クルーズと最強コラボによって製作されたSF大作です。 「プリコグ」という名の予知能力者が犯罪を事前予知し、未然に防止するという策が効果を発揮している西暦2054年のワシントンDCが舞台です。予知によって逆に標的となってしまった犯罪予防局の男が、容疑を晴らそうと奔走する姿を描きます。

2054年をイメージした近未来セット

2054年という近未来社会を見事にビジュアル化したセットが撮影のため建設されました。そのリアリティは単なるセットをはるかに超えた完成度を持ち、ある種の美しさを呈しています。 ちなみにセット以外では、ワシントンDCにある有名なロナルド・レーガン・ビルディングが撮影に使用されています。

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7:『未来世紀ブラジル』【1986年】

コンピューターが人間を管理する社会の恐怖を描いた、ディストピア映画の傑作です。テリー・ギリアム監督が独特の皮肉とブラックユーモアを交え、強烈な風刺世界を構築しました。 ある国家の情報管理局において、1人の男が殺した小さなハエのせいで事務的なミスが発生してしまい、そのことが思いも寄らぬ悲劇を生み出すのでした。

集合住宅アブラクサス/リカルド・ボフィル

ロケ地として使用されたのが、1983年、パリ郊外に低所得者用集合住宅として建設されたアブラクサスです。劇場・宮殿・凱旋門と名づけられた3つの棟で構成されていますが、なんと言ってもまるで壮大なセットのような外観が特徴的です。 設計したのはスペイン・バルセロナの建築家リカルド・ボフィル。日本でも、銀座資生堂ビルやラゾーナ川崎プラザなどいくつかの作品を手掛けています。

8:『プレイタイム』【1969年】

『ぼくの伯父さん』などフランスを代表する映画監督兼俳優ジャック・タチの長編4作目として製作されたコメディ大作です。膨大な時間と資金を投じ、一部批評家からは絶賛されたものの興行的には失敗。しかし、没後は再評価の気運が高まっています。 近未来のパリを舞台に、就職のためやってきた男ユロとアメリカ人観光客バーバラの出会いを独特のユーモアを交えて描きました。

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パンセンヌの巨大セット「タチ・ヴィル」

本作の撮影のため、半年以上の時間と巨費を投じてパリ東部パンセンヌに建設されたのが「タチ・ヴィル」と呼ばれた巨大セットです。 ガラス張りの高層ビルや空港、オフィスや住宅など、機能的なモダニズム建築を代表する建物が林立し、セットとは思えないスケールでシュールな雰囲気を醸し出しています。

色褪せることのない、映画の中の名建築たち

バチカン美術館
©ciatr

以上8作品をご紹介しましたが、近未来ものが比較的多いかもしれません。ただ、製作・公開当時にあっては近未来でも、21世紀の今日にとってはさほど先でないものも少なくありません。 それでも、建築物の斬新さや新鮮なセンス、際立つ個性が全く色褪せてみえないのは、それらが名建築であることの証だと言えるでしょう。 他にも、美しい建築が登場する映画はたくさんあります。物語の面白さだけでなく、一度、建築やセットそのものに注目して映画を鑑賞してみるのも一考かもしれません。