世界三大映画祭を制した名匠の最新作、『女は二度決断する』を徹底紹介
一瞬で家族を失った女性の決断を描く衝撃作『女は二度決断する』
映画『女は二度決断する』は、2000年代にドイツ各地で起きた、極右組織(ネオナチ)による連続テロ事件に着想を受け製作された、ファティ・アキン監督による社会派ドラマです。 テロにより、愛する家族を奪われた一人の女性の悲しみと怒りを描きます。そんな彼女が迎える衝撃的な結末が、大きな話題を呼びました。
カンヌ国際映画祭、ゴールデングローブ賞などの栄誉に輝く!
そのセンセーショナルな内容から、世界各国の映画賞にノミネートされた『女は二度決断する』。ゴールデングローブ賞やクリティクス・チョイス・アワードといった外国語映画賞を受賞すれば、アカデミー賞外国語映画賞ショートリスト(ドイツ代表)にも選出されました。 また、主人公の女性を演じたダイアン・クルーガーもカンヌ国際映画祭で主演女優賞を獲得。「激しく、鮮やか!ダイアン・クルーガーの演技は完璧だ!」(ロサンゼルス・タイムス)、「ダイアン・クルーガーがとてつもなくエネルギッシュ!(ヴァラエティ)といった各メディアからの絶賛レビューも相次ぎました。
『女は二度決断する』あらすじ
ドイツ・ハンブルク。ドイツ人女性のカティヤは、トルコ系移民の夫ヌーリと結婚。息子ロッコをもうけ、幸せに暮らしていました。ところがある日、トルコ移民街にあるヌーリが経営するコンサルタント会社の前で爆弾テロが発生。カティヤは、ヌーリと社内にいたロッコを一瞬にして失ってしまうのでした。 捜査の末、人種差別や移民排斥を掲げるネオナチグループのメラー夫婦が容疑者として逮捕され、裁判が始まります。カティヤと友人で弁護士のダニーロは、彼らに法の裁きを受けさせようとしますが、ヌーリに前科があることや、夫婦のアリバイを証言する者が現れたことから、裁判は思うように進みません。 はたして、裁判の行方は?そして、カティヤの悲しみは癒えるのでしょうか?
主演は本作でカンヌ国際映画祭女優賞に輝くダイアン・クルーガー
爆破テロで、夫と子どもを奪われた女性カティヤを演じるのはダイアン・クルーガー。これまでに、「ナショナル・トレジャー」シリーズや『イングロリアス・バスターズ』といったハリウッド映画で華々しく活躍してきた彼女ですが、初めて祖国のドイツ語を喋る作品に主演します。 ファティ・アキン監督には以前からラブコールを送っていたというクルーガー。撮影に入る半年前からテロで家族を亡くした人たちの自助会に参加し、カティヤ役に臨みました。「撮影中、何度も自分が演技をしているのではないような感覚になった」と回想するほど入り込んだ演技で、見事にカンヌ国際映画祭で主演女優賞を獲得しました。
『女は二度決断する』その他キャスト
デニス・モシット(ダニーロ役)
✱登場人物:ダニーロ✱
— 映画『女は二度決断する』 (@FatihAkin_movie) March 28, 2018
カティヤとヌーリ夫婦の親友の弁護士。2人の結婚の際は立会人になった。家族を失ったカティヤと共に裁判に立ち向かい、彼女の気持ちに寄り添う良き友人。
先日まで監督+ダイアンと共に来日していたデニス。日本が好きで、日本語をマスターしていました!※写真左 pic.twitter.com/COlkpSQdsJ
カティヤとヌーリ夫婦とは友人で、両者の結婚の際には立会人を務めた弁護士ダニーロ。カティヤと共に裁判に立ち向かいますが、その直前に彼女に施したある行為が、裁判の行方を左右することになります。 ダニーロを演じるのは、『暗い日曜日』などのドイツ・ヨーロッパ映画を中心に活躍するデニス・モシット。本作の監督ファティ・アキンとは古くからの知人で、彼の初期短編にも出演しています。その他の出演作に、本作と同じくテロ事件をベースとした社会派サスペンス『クローズド・サーキット』があります。
ヌーマン・アチャル(ヌーリ役)
✱登場人物:ヌーリ✱
— 映画『女は二度決断する』 (@FatihAkin_movie) March 21, 2018
カティヤの夫。トルコ系移民。郊外で家族仲良く暮らす。ハンブルクで在住外国人相手のコンサルタント会社を経営。
演じるのは、ヌーマン・アチャル。
ウィル・スミスがジーニーを演じることで話題のガイ・リッチー監督による実写版“Aladdin”(19年米公開)に出演予定。 pic.twitter.com/4MwZpoLGDS
カティヤとは学生時代からの恋人だったヌーリ。麻薬密売業をしていましたが逮捕され、出所後すぐに彼女と結婚。足を洗って在住外国人相手にコンサルタント会社を経営し、子宝にも恵まれ幸せな生活を送っていましたが……。 ヌーリを演じるのは、『ホームランド』や『プリズン・ブレイク』といった人気ドラマシリーズで注目を浴びたヌーマン・アチャル。ファティ・アキン監督作には、2014年の『消えた声が、その名を呼ぶ』以来二度目の出演となります。
ヨハネス・クリシュ(ハーバーベック役)
✱登場人物:ハーバーベック✱
— 映画『女は二度決断する』 (@FatihAkin_movie) March 12, 2018
主人公カティヤ(ダイアン・クルーガー)の家族を殺したとされるメラー夫婦の弁護人。「法廷において、自分より秀でる者を許さない!」という雰囲気を醸し出す敏腕。
演じるのは、ヨハネス・クリシュ。代表作『顔のないヒトラーたち』など。#4月14日 #女は二度決断する pic.twitter.com/DKTDkUe30f
テロ実行犯の容疑者メラー夫婦の弁護人を務めるハーバーベック。カティヤ側が提示する物証や証言の盲点を巧みに突いて、無罪を勝ち取ろうとします。 ハーバーバックを演じるのは、『360』や『顔のないヒトラーたち』などで、そのコワモテな風貌を活かした役どころを多くこなすヨハネス・クリシュ。本作でも迫力ある弁護士役を演じていますが、実は俳優業以外にミュージシャンとしての顔も持ちます。
監督は世界三大国際映画祭を制したドイツの名匠ファティ・アキン
Don't miss #InTheFade director Fatih Akin in person at the @laemmleroyal tonight after the 7:20pm showing!
— In The Fade (@InTheFadeFilm) January 5, 2018
Tickets: https://t.co/neSWhJWKoX pic.twitter.com/yvUJKFOhhA
メガホンを取ったのは、ベルリン、カンヌ、ヴェネチアの世界三大国際映画祭すべてで受賞経験を持つファティ・アキンです。自身もトルコ系ドイツ人という血筋から、『愛より強く』『そして、私たちは愛に帰る』などで、祖国を離れて強く生きる人々を描いてきました。 ドイツ国内でのトルコ移民の社会的背景や、多発した移民狙いのテロ事件に強い憤りを感じたことが、『女は二度決断する』を監督するきっかけになったと語っています。
『女は二度決断する』の見どころ&ポイント
全3章からなる映画構成
"At every step of the way, she’s a fascinating study in nuanced emotional displays, whether erupting with pain or struggling to keep those same feelings contained." - @IndieWire on Diane Kruger in #InTheFade: https://t.co/BGalb96JmX pic.twitter.com/5XMYdFPf3J
— In The Fade (@InTheFadeFilm) December 12, 2017
本作『女は二度決断する』は、章仕立てで構成されています。カティヤが家族を失う過程を描く「家族」。続いて、カティヤと被告人メラー夫婦の裁判模様を描く「正義」。そして、裁判後のカティヤの行動を追っていく「海」の全3章です。 ここでのポイントは、「家族」「正義」が雨や曇りといった悪天候になっているのに対し、最後の「海」が快晴という点。清々しい天気が、カティヤの行動をかえって重いものとしています。章ごとに、カメラレンズを変えて撮影されていることにも注目してみてください。
ドイツが抱える反移民感情の実態が描かれる
夫のヌーリを殺され、警察の質問を受けるカティヤ。しかし、ヌーリがトルコ系移民でかつ前科があったことなどから、まるで容疑者への尋問のような扱いを受けることに。それだけではなく、母親やヌーリの両親たちとの心の溝も浮き彫りとなります。 移民排斥を掲げる極右組織の暗躍もさることながら、警察や身内にまで存在するマイノリティへの差別と偏見の実態。ドイツ全体が内抱する闇を、本作では余すことなく描いているのです。
主人公が取る「最後の決断」を見逃すな!
本作のラストでカティヤがとる最後の行動は、世界各国で物議を醸しました。これについてカティヤ役のダイアン・クルーガーは、「色々な選択肢はあったが、一人残された彼女が、唯一とれたのがあの行動だと思う」と語っています。 「カティヤと同じように愛する者を奪われたら、あなたならどうしますか?」ーーこれは、ファティ・アキン監督からの、観客への問いかけでもあるのです。
『女は二度決断する』は、4月14日(土)から全国公開!
『女は二度決断する』は、4月14日(土)から全国ロードショーされます。ラストでカティヤが取る大きな決断を、あなたは支持するか、それとも否か? それを考える意味でも、是非ともご覧ください!