2018年6月25日更新

ホロコースト否定論めぐる法廷劇、映画『否定と肯定』が傑作だった件

(C)DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016

ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)否定論をめぐる裁判を描いた話題作『否定と肯定』。アカデミー賞女優レイチェル・ワイズが主演した本作は世界各国で大ヒットとなりました。世界的ヒットとなった話題作を徹底紹介していきます。

ホロコースト否定論をめぐる裁判を描いた『否定と肯定』

アメリカ人ホロコースト研究家であるデボラ・E・リップシュタットが発表した『否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる戦い』を原作とした2016年公開の映画『否定と肯定』。 ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)という歴史的題材、そしてその否定論めぐる裁判を題材にした法廷劇という難しい内容を取り扱いながら、『否定と肯定』は映画評論家からの評価も高く、また興行的にも世界中で大ヒットしました。 今回はそんな話題作を徹底紹介していきます。

ホロコースト否定論者に名誉棄損で訴えられた女性研究者が裁判で戦う!

否定と肯定
(C)DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016

『否定と肯定』の主人公は、アメリカの大学で教鞭をとるホロコーストの研究家デボラ・E・リップシュタット。彼女は自著の中でイギリス人のナチス・ドイツ学者であるデイヴィッド・アーヴィングを攻撃する論を記します。その結果、アーヴィンブはホロコースト否定論者と呼ばれたことを不服に感じ、イギリスにおいてリップシュタット、そして出版社を名誉毀損で訴えます。 イギリスでは名誉毀損で訴えられた場合、訴えられた側に立証責任があるため、リップシュタットは事務弁護士、法廷弁護士などを集め弁護士団を結成しました。 そしてアーヴィングのホロコースト否定論を崩す必要のあるリップシュタットは弁護士団とともにユダヤ人の大両虐殺が行われたアウシュビッツを訪れたりするなど様々な調査を開始。対するアーヴィングは弁護団を結成せず、一人でリップシュタットに対抗します。 イギリスの王立裁判所で繰り広げられる両者の攻防戦をメインにストーリーは展開していきます。そしてどんなことにも動揺を見せず戦うリップシュタットの姿は観る人を圧巻させること間違いありません。

リップシュタットを演じるのはイギリス出身のアカデミー賞女優レイチェル・ワイズ

否定と肯定
(C)DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016

『否定と肯定』で主人公リップシュタットを演じるのはイギリス出身の女優レイチェル・ワイズ。 デビュー後は主にテレビ映画で活躍していたももの1995年公開の『デスマシーン』でスクリーンデビューを果たし、その後ハリウッドにも活動の場を広げます。そして2005年公開の映画『ナイロビの蜂』でアカデミー賞そしてゴールデングローブ賞の助演女優賞を見事受賞し、演技派女優として注目を集めるようになりました。 本作の撮影前に役作りのために、リップシュタット本人を自宅に招き、延々と語りあり、そして立ち振る舞いを学んだと言われるレイチェル・ワイズ。 自身もユダヤ系の血を引く家系の生まれのため、特にアウシュビッツでの撮影は演技ではなかったと本人が発言するなど、本作での彼女の迫真の演技は観る人を惹きつけて離さず、本作を大ヒットさせるに至った理由の一つであることは間違いないでしょう。

『ハリー・ポッター』シリーズでおなじみのティモシー・スポールがアーヴィング役を好演!

ティモシー・スポール
©Daziram/Future Image/WENN.com

リップシュタットに対抗する学者アーヴィングを演じるのはイギリス出身のティモシー・スポール。 その後マイク・リー監督やダニー・ボイル監督などイギリス出身の監督の映画を中心に活躍し、そして2001年公開の『バニラ・スカイ』の出演をきっかけにハリウッド映画でも活躍中です。 様々な役を巧みにこなす彼は個性派俳優と知れれる一方、2014年には『ターナー、光に愛を求めて』でカンヌ国際映画祭男優賞し、演技派俳優としての地位も獲得しました。 本作で演じるアーヴィングは弁護士団を雇わずにひとりで、リップシュタットの弁護団からの追求をうまく交わし、自身の正しさを主張する歴史学者。ティモシー・スポールは一匹狼で曲者である本役を見事に怪演しています。

法廷弁護士役にはイギリス映画で活躍するトム・ウィルキンソン

トム・ウィルキンソン
©Dennis Van Tine/Future Image/WENN.com

『否定と肯定』でリップシュタットを擁護する弁護士リチャード・ランプトンはイギリス出身の俳優トム・ウィルキンソンが好演しています。 王立現劇学校で演劇を学んだ後、テレビドラマに出演するとともに、舞台俳優としても活動を開始します。その後1990年代より映画にも進出し、1993年公開の『父の祈りを』、1995年公開の『いつか晴れた日に』、1997年公開の『フル・モンティ』などイギリス映画を中心に活動を続ける一方、最近ではどハリウッド映画にも進出し、様々な役どころを見事にこなす演技派俳優です。 本作でも演技派俳優たる魅力を存分に発揮しており、本作の見どころである緊迫した法廷シーンはトム・ウィルキンソンの見事な演技なしには成り立たなかったといっても過言ではないでしょう。

事務弁護士役には『007スペクター』のマックスで知られるアンドリュー・スコットが好演!

アンドリュー・スコット
©Gary Mitchell/Landmark Media Landmark Media/Newscom/Zeta Image

『否定と肯定』でトム・ウィルキンソン演じる法廷弁護士とともにリップシュタットを擁護する弁護団の一人である事務弁護士アンソニー・ジュリアスを演じるのはアイルランド出身の俳優アンドリュー・スコット。 アンドリュー・スコットはテレビ、映画、そして舞台と様々な分野で活躍しており、最近では2015年公開の『007スペクター』のマックス役が記憶に新しいところです。 本作では法廷弁護士とともにリップシュタット擁護のために翻弄し、そして見事にホロコースト否定論を覆していく法廷シーンを盛り上げています。

監督は『ボディーガード』のミック・ジャクソン

本作でメガホンを取るのはイギリス出身のミック・ジャクソン監督。 デビュー当初はイギリスのテレビでドキュメンタリーやドラマの演出を中心に活躍し、その後長編映画を撮るようになり、ケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストンの共演で話題となった1992年の映画『ボディーガード』で一気に世界中の注目を集めます。 最近は再びテレビ映画を中心に活躍しており、本作は久しぶりの本格的な長編映画となりました。

法廷シーンは本作一番の見どころ

否定と肯定
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『否定と肯定』の見どころは何と言ってもリップシュタットとアーヴィングの攻防戦が繰り広げられる法廷シーンであることは間違いありません。 映画に登場する法廷シーンは作品によっては内容が難しすぎたりして、観る人を飽きさせてしまうことも多々有ります。しかし本作は弁護士団を携えて戦うリップシュタット、その一方で単身で彼女の攻撃をかわしていくアーヴィングの攻防が観る人を惹きつけて離さず、そしてこの法廷シーンが本作を傑作と言わしめている理由の一つと言えるでしょう。

観客を最後まで釘付けにする作品

否定と肯定
(C)DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016

『否定と肯定』のテーマはユダヤ人虐殺という歴史的テーマ、そして法廷劇を中心として展開するストーリーとなっており、どちらかというと気軽に楽しむと言う映画ではなく、鑑賞後にいろいろ考えさせらえる映画と言えます。 それでも映画評論家からの評価も高く、興行的にも成功を収めたのは、観る人を最後まで惹きつけて離さないキャスト陣の演技、そして監督の手腕、さらにそのストーリーの充実さに他ならないでしょう。 映画『否定と肯定』は、DVD&Blu-rayが発売中です。